第捌拾壱話《剣ヶ峰龍雅と盾ヶ原虎太郎のとある一日》
「何もないというのは恐ろしいものだ。なぁ、虎太郎。」
「いいじゃないか何もなくて…」
龍雅と虎太郎は、背中合わせで漫画を読みながら話す。
「どっか遊びに行こうぜ。」
「外雨だぜ?」
「お前には瞬間移動があるだろ。」
「金使いたくない。」
「俺がお前の分も払うから行こうぜ。」
「ていうか疑問に思っていたけど、何処から金が入ってくるんだ?」
「妹からの小遣い。」
「妹のヒモかよ…」
「それも毎月数億…帰ってくる前から家や俺に注ぎ込んでいたらしい。」
「だからお前んちは金が尽きないのか。お前の両親のおかげでもあるけど」
「知らんうちに俺に投資されていたんだよ。俺は…理由を聞いたんだが、将来兄さんは、投資した金に比べようにならないほどの偉業をいくつか成すのでこれくらい安いものという理由らしい。武器とか生活に必要なものは能力で生み出せるし、電力も炎も能力や武器で出せるし、使うとしたらやはりサービスと食材、食品、その他保険や税金かな?」
「偉業? 何だそれは…」
「さぁ? まぁ、俺は将来何か凄い事でもやるんだろ。でも、名声や地位を得るならやってもいいと思ってる。俺が欲しいのは、人、金、名声、地位だな。人というのは、勿論俺好みな男女の事だ。…さて、遊びに行こうぜ。」
「わかったよ。何処に行く?」
「そうだな。とりあえず観光地にでも行こう。ここは雨やみぞればかり降る癖に3月でも東京の真冬並みに寒いが、4月近くになると気温が一気に上がり、律義に桜が咲く…この島は不思議なものだ。何処か避寒地に行こう。適当な所にな。」
「そうだな…沖縄とかは?」
「ありだね。けど泳げないな…海開きはあれどまだ寒い…」
「泳ぐ気でいたのか…」
「あぁ、沖縄に行ったら海で泳ぐ。俺はいつだってそうしてきた。」
「そうか…けど、寒い所出身が春の沖縄に行くと泳ぐらしいぞ。」
「まぁ、そうだがねえ…よし、関西に行くぞ。んで、夏に沖縄行くか…俺ハワイへのパスポート持ってるけどお前持ってないだろ?」
「まぁな。ていうか何故に関西?」
「タコ焼き食いたい。」
「はぁ…いつでも行けるし、食えるだろ」
「いつでも行けるなら行こうぜ。それに本場を嘗めるなよ。俺が食いたいのは、俺や東京で作るものよりも本場で作る奴が最高に食いたいのだよ。」
「なら、ハンバーガーの本場にも?」
「あぁ、ちゃんとパスポート作ってアメリカにいくよ。」
「そうか…」
「さて、行くぞ。虎太郎。」
「あぁ」
二人は立ち上がり、漫画を本棚にしまう。
「だけど、準備するから待ってろ。」
「あぁ」
虎太郎は、瞬間移動し、家に戻る。
(あぁ、面倒だなぁ…折角の休みだらだらしたいのに…)
虎太郎は、そう言いながら出かける準備をする。
「準備完了っと…」
虎太郎が関西へ行く準備をして龍雅の部屋に瞬間移動した。
「よし、準備したな。行くか。」
「あぁ」
そう言って龍雅と虎太郎は、玄関に行き、靴を履き、瞬間移動した。
「ここが大阪か…」
龍雅は、そう言って大阪、道頓堀の風景を見渡す。
風景自体は、2018年と変わらない風景だ。
その中身や街の機能は、変わっているかもしれないが…
「前来た時とあまり変わらないな…まぁ、それもいいんだが。」
「いつ行ったんだ?」
「ん? 一か月前、空飛んでね。」
「そりゃ変わらんだろ。街全体が…」
「変わるもんだぜ。一か月の間にもな。変わるといっても機能とかそう言う意味ではあるがね。だが、俺が言っているのはそうではない…まぁ、そう言う意味ではお前が正しいかもな。風景が変わらないという意味ではね。」
「今の機能を体験していないくせにか?」
「まぁ、そうだな。これから体験するつもりだ。」
龍雅は、そう言って二人は、道頓堀の街を歩く。
「ちゃんと金持ってきているんだろうな?」
「あぁ、ちゃんと持ってきた。」
「なら、いい。」
「さて、早速タコ焼き食うかな。」
龍雅は、そう言って視線の先にあるたこ焼き屋に向かって行った。
そこは、
「並ぶぞ。」
「えぇ…大行列じゃん。」
「それほど美味いんだろうよ。俺並んでおくから席とっておいてくれ。」
龍雅は、そう言ってちょうど空いていたテーブルに鞄を置いた。
「わかった。」
「何人前がいい?」
「そうだな。能力使ったし、これから長距離瞬間移動で移動するから5人前で」
「なら、俺も5人前だ。帰ったらまた能力をトレーニングするしな。」
「相変わらずトレーニングしてるのかよ。」
「あぁ、苦労、挫折など味わいたくないから色んな分野をトレーニングしているのさ。だけど、最近は経験値じゃなく技術の方を重視しているがね。あまりにも強すぎると相手に気持ちよく勝たせることが難しくなるし、ワンサイドゲームになっちまう。それにゲームでもそうだけど折角手に入った力も発動させる前に勝っちまったら面白くないだろう?」
「どうして勝たせる必要があるんだ?」
「いやぁ…敵が主人公っぽいセリフ言っていたら相手に勝たせたくなるのでね。俺って主人公に倒されるべきラスボスですし?」
「そんな理由でか…」
「そんな理由だよ。まぁ、対策されにくくするために戦闘技術を磨いてるって訳さ。最もその過程でレベルが敵と味方とのパワーバランスを崩れる程に高まってしまったら宮弥にまたレベル1に戻してもらうがね。さて、話がズレたな。俺ならんでくるから」
「たこ焼き10人前、店内で!」
龍雅は、そう言ってタコ焼き十人前の値段と同じ金額を出した。
「はい! ちょうどお預かりします。レシートは?」
「要ります。」
そう言って龍雅は店員からレシートを受け取ると、ポーチにしまい、そして出来立てのたこ焼き十人前が乗ったトレイを受け取った。
たこ焼きは、美しい程に丸くそして美味そうだ。
たこ焼きの上には青のりが振りかけられており、その上に、ソースとマヨネーズは、バランスよくかけられている。
削られた鰹節は熱によってまるで踊るかのように動く。
ソースと鰹節はよく合うものだ。
たこ焼きの容器は紙製で、使い捨てのようだ。
「ありがとうございました。」
龍雅は、虎太郎の待つ席に行き、トレイを置き、自分の席に座る。
「さて、食うか…いただきます。」
「いただきます。」
二人は、そう言ってたこ焼きを一つ食べる。
――美味い…外はカリカリで、中はトロトロ、ソースとマヨネーズ、鰹節、そして青のりはたこ焼きによく合う。たこ焼き自体の味もいい…出汁が効いている。蛸は、良い肉厚で甘みもある。なるほど、俺より美味い。
龍雅は、そう言って五人前をあっという間に平らげ、ゴミは、能力で洗浄し、白紙の紙に変化させ、ポーチにしまった。
「その白紙何に使うんだ?」
「ん? さぁ…?」
龍雅は、そう言って立ち上がり、トレイを店にあるトレイを回収する場所に戻した。
「お前の能力は、ほんと応用性が高いよな。」
「ブーメランだ。虎太郎…お前も応用性が高いぜ。せて…食ったか?」
「あぁ、全部食ったぞ。」
「美味かったか?」
「これほどうまいたこ焼きは初めて食ったよ。」
「よかった…さて次、行くか。」
虎太郎は、そう言ってゴミを燃えるゴミのゴミ箱に捨て、龍雅は鞄を持ち、二人はたこ焼き屋を去って行く。
「さて、タコ焼き食ったし、通天閣行ってその後にハルカス行きその後に、大阪城行こうぜ。」
「わかった。」
「じゃあ行くぞ。」
龍雅は、虎太郎と共に観光を始めた。
大阪の観光地を回り、そして写真を撮り、施設内を楽しんだ。
そして大阪でいくつか土産を買った。
「今日は楽しかったな。」
龍雅は、そう言って高層ビルの屋上から夜景を見る。
「あぁ…俺とお前二人だけでどっか行くの久しぶりだったけ?」
「そうだな。我が愛しの恋人達と遊ぶのもいいが、こうやって親友同士で遊ぶのもいいものだ。」
「夜まで遊んじまったな…芽衣、怒ってるだろうな。連絡入れてるけど…」
「そういや、俺、家に電話するの忘れてた。まぁ、料理は宮弥がやってるだろ。あいつの料理俺より遥かに美味いし。」
「そっか…」
「いい加減妹に料理習わせろよな。」
「習わせてるけど、お兄ちゃんが作った料理がいいのとか言って自分で作ろうとしねえ…芽衣が作った料理も美味いのに…」
「ハハッ! それほどお前は妹に愛されているって事だな。」
「お前の妹はどうなんだ?」
「俺の方か? 俺は、そうだな。俺に色んな事を教えてくれたり、色んな場所に連れていって貰ってるな。この前だと月とか…火星とか…後、冥王星」
「月に火星!? それに冥王星!?」
「あぁ、冥王星にアメリカの旗が建てられていたし、基地もあったよ。真っ暗で寒いけどまぁ、貴重な体験だった。」
「そっか…龍雅も愛されているだな。」
「…さて、そろそろ帰ろうぜ。あいつらが待っている。」
「あぁ、帰ろう。」
龍雅は、虎太郎と手を繋ぎ、瞬間移動で帰って行った。




