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剣ヶ峰龍雅の欲望/Life.of.Predetermined:GreedDragon  作者: 六月不二
日常章Ⅰ《取り戻した日常編~Normal daily life is beautiful/Happy days everyday~》
84/222

第捌拾話《法外利息の白い闇のチョコにはご注意を》


 エプロン姿の龍雅は、虎太郎の家で出来上がった自作チョコを食べた。


 ――よし、美味い…出来た。このチョコの元は手作りカカオだ…異世界であらゆる材料を一から作り、揃えた…俺の寿命は、異世界に入っていると停止、不老不死になり、現実世界に戻ると動き出すが、永久牢獄のおかげで俺は不老不死だ。だからいくらでも時間が割ける。


 龍雅の目の前には、無数の手作りチョコが並んでいる。

 食べても問題が無い金属である金粉が混ざったチョコレートだ。

 食べやすいように一つ一つが小さく作られ、形も色も違い、更に味も様々で、皿ごとにキャラメル、ストロベリー、バナナ、ピーナッツ、マカデミアナッツ、ミルク、ホワイト、ブラック、ビター、ビター&ホワイト、ミルク&ホワイト、チョコミント、ミニタルト、ゴールデンと分けられている。

 ゴールデンの皿には悪ふざけとも悪趣味入れる程に金色に輝くチョコが存在している。

 その出来栄えは、写真写りにも良く見てよし食べてよしの高級チョコレート店顔負けの完成度だ。

 

 「おう、虎太郎。そっちは出来たか?」

 「あぁ、出来た…まぁ、いくつか余ったんだがな。」


 虎太郎は、そう言って余ったチョコを手に取る。

 虎太郎のは至って普通で、手作りというのが目に見えてわかる心温かくなりそうな手作りチョコだ。

 だが、少し変わっている点がある。

 それは少し金粉が入っている事だ。

 龍雅から余った純金を分けてくれたのだ。

 正確には押し付けたのほうが正しい。

 

 「じゃあ頂くぜ。」


 龍雅は、虎太郎の手に持っているチョコを食べる。


 「お前…! 何やってんだ!」

 「ふむ、美味いな。流石は毎日調理場に立ってるだけある。」

 「まぁな。」

 「礼にやるよ。はい」


 龍雅は、チョコを手に取り、虎太郎に食べさせる。


 「自分で食うよ!」


 虎太郎は、龍雅の手を抑え、龍雅の手からチョコを取り、食べる。


 「…俺のより美味いじゃん。調理場にそんなに立っていない癖に…」

 「ハハッ! 俺は、何にしても才能があるからね。最強を求めずとも楽しくてやりこんでいる間に勝手についてしまうものなのさ…」

 「何だよそれ…」

 「まぁ、安心しろ。お前も最強にはなれずとも準最強にはなれるさ。まぁ、お前には俺を超えてほしいのだがな。」

 「俺には無理だよ。」

 「鍛えれば俺にいつか追いつくさ…ていうか鍛えてんのに可笑しくねえか? こんな細い体…男性ホルモン増やしてもすぐに戻っちまう。外見だけでも男らしくいてえのにな。」

 「そうか? 今の龍雅は、可愛くていいと思うから変えなくていいと思うけど?」

 「可愛いって…それだからお前は嫌がっていても女にモテる…いや、言っても無駄か…」

 「それどういう意味だよ。」

 「そのままの意味だよ。お前は鈍感の天然たらしって事だ。現に俺は男でありながら…」

 「おっとそれ以上言うな。それ以上言ったらハンマーで頭殴るからな。それにたらしはお前もだと思うぞ?」

 「まぁ、そうだな。俺は、お前とは違って意識的に使っているからな…けど、俺が美しすぎるかな…俺の光輝が強すぎるせいで眩しくて自分に強い自信のある美少女や俺の助けた美少女以外誰も近付いてこない。こんなにチョコ貰ったのに、自己完結失恋の手紙が多い。俺はアイドルでもどっかの御曹司でもあるまいし…俺は面食いだと認めよう。だが、美しい者よ…男女であれ俺はお前達を愛させてくれ。」


 (あぁ、また龍雅の暴走が始まった。)


 「はいはい…落ち着け落ち着け…」

 

 虎太郎は、そう言って龍雅の頭を叩く。

 

 「ていうかお前そっちの気もあったのかよ…」

 「そうだが? 英雄色を好むっていうじゃん。まぁ、俺は英雄にはなれはせず怪物になっちまうがね。だが、生憎…俺好みの奴がお前以外いなくてな。」


 龍雅は、そう言って虎太郎の顎を触り、顔を近づける。

 中性的な龍雅の声は、男性よりになる。

 虎太郎は、「離せ」と言いながら、龍雅の手を掴む。


 「うわー…今度からお前んち泊まらんとこ…いつかやられるな…」

 「襲いはしねえよ。」

 「その言葉信じるぞ?」

 「だから安心してこれからも泊まっていいぞ。」


 龍雅は、そう言って虎太郎の肩を叩く。


 「おっ…おう…」


 (安心して泊まれるわけないんだよなぁ…)


 虎太郎は、そう思いながら作ったチョコを小袋に一つずつ詰めていく。 

 龍雅も、作ったチョコを悪戯要素ありと小さく書かれた箱に詰めていく。


 数分後…


 「ふぅ…詰め終わった…後は袋に入れて…」


 虎太郎は、袋を持ってチョコが入った小袋を入れていく


 「俺は、そのまま持っていく。」


 龍雅は、そう言って無数の小袋を空間の穴に放り込んでいく。


 「あぁ、そうか…龍雅は、物質を保管できる能力を持っていたんだよな。」

 「この能力コピー出来たらよかったのに…」

 「生憎俺の能力は、お前のようなよくわからない能力や紗里弥のような超強力な能力は完璧にコピーできないんだ。それ以外だったら完璧以上にコピー出来るんだがな。」

 「なるほどな…」

 「だが、お前は俺と違ってそれほど貰ってないから荷物が楽だ…」

 「それは嫌味か?」

 「いいや。さて、出来た事だし、俺帰るな。じゃ、また明日。」

 「おう」


 龍雅はそう言って盾ヶ原邸から去って行く。


 「龍雅さん帰ったの?」

 「あぁ、あっ、芽衣。少し早いけどお返しやるよ。」

 

 虎太郎は、そう言って芽衣に出来立てのチョコをあげた。


 「ありがと。お兄ちゃん。」

 「どういたしまして。さて…晩飯にするか…あっ、それ食べるなら晩飯食べてから食べろよ」

 「わかってるよ。お兄ちゃん。」

 「わかってるならいい。」


 虎太郎は、そう言って夕飯の準備を始めた。


 翌日

 

 ホワイトデー

 男性達が女性達にチョコのお返しをする日である。

 かつてバレンタインデーの日で、貰ったもの3倍で返さねばならないというルールが出来ていた。

 しかし、そのルールの発端は、バブル時代のある男が言った事でしかない。

 バブル崩壊した後も日本でも、その悪しき風習は続いた不景気であってもだ。

 バブルのような時代でもないのに…

 調子に乗ったバブル時代の人間は現代の日本人に原罪を刻み込ませた。

 ホワイトデーのお返しを年利で計算すると2000%を超える。

 闇金も真っ青だ。

 その原罪が消えたのは、つい数年前の事であった。

 ホワイトデーの価値は平等となり、男も苦しまずに済むのだ。

 しかし、龍雅この男、原罪を抱えたまま生きている。

 誰にも強要させずただ一人で、そのバブル時代の人間が後の人間に背負わせた失われた原罪を背負っているのだ。


 ――あぁ、忙しい…


 龍雅は、学校で貰った相手の元に行き、虚空からチョコの入った箱を取り出し、渡している。

 

 「ありがとうございます。先輩」

 「あぁ、お前はあの時のお前だったんだな。ふむ、虎太郎には渡さなかったのかな?」

 「いえ、その日、インフルエンザで休んでいましたので、友達に渡して龍雅先輩の机に…後、虎太郎先輩にも食べてもらおうと…」

 「あぁ、なるほど…先輩のご親友虎太郎先輩にもと書かれて一つの箱に二つの菓子が入っていたが、あれは虎太郎だったのか…まぁ、虎太郎と一緒に食べたが…じゃあ、後で虎太郎にホワイトデーの返済について言っておくから…」

 「いえ、虎太郎先輩はいいです。虎太郎先輩に私のお菓子を食べてもらうのが…」

 「…なるほどな。そういや、名前聞いてなかったな…えっと…」

 「小鳥遊色葉です。」

 「色葉か」


 ――こいつ虎太郎に惚れているか…ふむ、では、ここはお膳立てと行こうか…


 「だが、返さねばならない。いいか? 俺は、虎太郎にお前に返すために、お返し探しの買い物に行ってもらうように言っておく。お前は虎太郎と共に行くのも行かないのも自由だ。詳しい答えは、後で聞こう…ほら、俺と虎太郎のメールアドレス、後サイヴァーのアカウント名…」


 サイヴァーとは、アメリカの大手企業が開発したSNSである。

 あらゆる言語を正確に翻訳でき、世界中のあらゆる人と会話が可能なSNSである。

 運営の人工知能がその使用者の口調を理解し、翻訳する事が出来るシステムを備えており、そのシステムは、あらゆるアプリでも採用されている。

 

 「日時が決まれば連絡する。じゃあな。」


 龍雅は、そう言い、爽やかに別れの挨拶をし、次の場所へと向かって走っていく。


 その頃…

 

 「龍雅…あいつ…勝手なことしやがって…」

 

 虎太郎のスマホの画面は、メールアプリが開かれており。色葉と龍雅からのメールが届いていた。


 「ハハッ! その様子だと我がフィアンセがお前に何かやらかしたようだな。」


 紗里弥は、そう言って虎太郎に話しかける。

 紗里弥の手はお返しのチョコやプレゼントが溢れており、女一人では持ち帰られないほどの量だ。

 

 「紗里弥か…これお返しだ」


 虎太郎は、そう言ってチョコを紗里弥に渡した。


 「はて…何故お前も私にホワイトデーのお返しを送るのか? 私は、返礼など求めていなかったはずなのに…何故男子生徒全員が私に返礼をするのだろうか…」

 「やっぱり全員考える事は同じなんだよ。可愛く優しい少女から貰ったならちゃんと返さなきゃいけない。例え、礼を求めていなくても、男というのはお前みたいな良い奴に何かお返ししたくて仕方がないのだと思う。」

 「なるほどな…ククク…あいつらが貴様を気に入るのがわかるな。その優しさで、我が姉を今後ともよろしく頼む。お前なら姉上を幸せにできるはずだ。極星院という高貴な肩書や身分に囚われている姉上が今はそう思っていなくとも、身分や肩書に関係なく接するお前をいずれ素直に求める日が来るだろう…姉上は、決して悪い奴じゃない。ただ自分に素直になれないだけだ。高飛車なお嬢様を演じる一人の少女でしかない。長女として召使いの前でも本当の自分を明かさない少女…私は、本当の自分になれる相手が何人も者がいるだが、姉上には家族しか本当の自分を打ち明かすものがいない…君が母上とおなじように姉上に高飛車な演技させないような親しい存在になって欲しい…そして一つ言っておくぞ。」


 紗里弥の雰囲気が少女から極星院のお嬢様モードへと変化する。


 「もし姉上を悪い意味で泣かせたらただではすまぬ故、覚悟しておくがよい…姉上を泣かせていいのは、私だけであるぞ…もしもその時が来たならば貴様をどうしてくれようか…」


 紗里弥は、邪な笑みに禍々しく邪悪な殺気を放ちながら、虎太郎に釘を刺し、虎太郎に身も心も凍るような冷気が襲い掛かる。


 「お? おう…」

 「ハハハハハ! まぁ、我が姉を大切しておけばそれでいい。ほら、あっちに早速現れたぞ。姉上がお前のお返しを待っているぞ! そら行ってこい!」


 紗里弥は、麗弥を指を指し、そして虎太郎の背中を押した。


 虎太郎は、紗里弥に背中を押され、麗弥の元に向かって行く。


 「あら、虎太郎。御機嫌よう。」

 「麗弥…これ、お返し。」


 虎太郎は、そう言って麗弥にお返しのチョコを渡すと、麗弥は、お返しのチョコを見て、


 「なんですの? これは…小市民らしい貧相なお返しですわね…」

 「そう言ってないで、一つ食ってみろよ。」

 「ふぅん…じゃあ、わたくしの口に合わなかったら捨てますわ。それよりも貴方のチョコがわたくしの口に運ばれる事に光栄だと思いなさい。」


 麗弥は、そう言い、小袋から一つチョコを取り出し食べた。


 「小市民にしてはやるのね。チョコを溶かすだけのチョコじゃなく一からカカオから作られているようね。」

 「あぁ、龍雅に素材を提供してもらったんだ。」

 「へぇ…あの紗里弥の…」

 「「チョコ一から作ろうぜ!」なんて言って、無数の純金の塊とカカオ豆を持ってきたんだ。」

 「なるほど、だから金粉が入っているのね。」

 「龍雅は、悪趣味なチョコを作っていてな。外側全部金色の食べられるチョコを作っちまったんだ。龍雅も悪趣味と分かっているのだろうから悪戯要素ありと箱に書いたそうだ。」

 「どうしてそれが悪戯なんですの? れっきとしたお返しではないのですか?」


 麗弥は、そう言って純金チョコが当たり前にあるように言った。

 

 「そうだった、お前のように高貴な奴らには通じない話だったな。」

 「それって嫌味で言ってますの?」

 「いいや、別に…じゃあ俺は、ここらへんで失礼するよ。平民かつ普通クラスの俺は、超エリートなお嬢様の前から速球に立ち去るのみ…」


 虎太郎は、そう言って麗弥の元から立ち去っていく。


 「お待ちなさい! 行ってしまわれましたわ…」


 麗弥は、虎太郎を追いかけようとするが、虎太郎は、人込みに紛れ、そして麗弥にお返しをしようとするA組のエリート達に囲まれ、見失った。


 (虎太郎…何故、わたくしは、彼に惹かれるのでしょう。平民の癖に、私の心を…)


 麗弥は、虎太郎の事を想いながら、A組の有象無象からのお返しを礼儀正しく受け取る。


 

 「虎~太郎♪」


 香織は、そう言って虎太郎に抱き着く。


 「香織、ほらお返しだ。」

 「ありがとう! キラキラしてて綺麗だね。」

 「あぁ、金粉が入っているからな。」

 「金粉!? なんでそんなものが!?」

 「龍雅に分けてもらった。なんでかわからんけど…というか押し付けられ他の方が正しいか…余った純金貰ったけど…金の価値わかんねえからなぁ…」

 「いいじゃない。貰っておけば?」

 「まぁ、そうだな。」


 香苗は、そう言って虎太郎から貰ったチョコを胸元にしまうと、虎太郎は「解けるぞ」と注意すると、「その時は舐め取ってね」と言い、胸を当てながら強く抱き着いた。


 一方龍雅は…


 「龍雅君。」

 「おぉ、奈々か…ようお前には、皆にもあげてるやつとプレゼントをやる。」


 龍雅は、奈々にチョコの入った他の人とは違う色の箱と龍雅の髪で編んだミサンガと城崎への温泉旅行券をあげた。

 

 「これは俺の髪の毛で編んだものだ…俺も重いとは重々承知している。だが、奈々の中の奈々が俺を狂乱的に求めている節が今もある…だからこの髪の毛はお前の中のお前にやるものだ。心配せずとも俺はいつもお前の傍にいると…今の奈々には、温泉旅行券をやる。お前との観光それが俺にとってのお返しだと思う。俺とお前、二人の時間を設けたいものだからな…ちゃんと下調べしてきたからエスコートしてやるよ。」

 「そう…なら、有り難く受け取るわ。…かつて私の中にいた私が消したはずのあの私の残滓…まだ消えてない事は自覚している。バレンタインの時もそうだった。私の体の一部を紛れ込ませたのは、あの私…確かにこれなら私を止められるかもしれない。私が龍雅君の事を想う程、あいつが出てくるの…いいや、本当の事を言えば性格があいつよりになる…今の私もそうなっているのかもしれない。いつかまた私が私でなくなるかもしれない。」

 「その時は、俺はお前でなくなったお前を受け入れる。そしてお前の帰りを待ち続けよう。或いは迎えに行こう。」

 「ありがとう。あいつも龍雅君の事を愛しているから悪くは思わないで、ただ…貴方と仲のいい人を傷つけてしまう…そこが悲しいな……湿っぽい話になったね。じゃあ、これは、頂くね。」

 「あぁ…」


 奈々は、早速ミサンガを付け、嬉々と立ち去っていった。


 ――さて、香織は、バレンタインデーの時、送ったし…宮弥は、要らないって言ってたし…香苗と紗里弥と緋香里だな。よし、紗里弥は最後に渡そう。お楽しみは最後に取っておこう…


 龍雅はそう心の中でそう言い、次の場所へと向かって行く。


 「はぁ~配り終わった…」


 龍雅は、そう言って席に着く。

 

 「お疲れ様です。」


 宮弥は、そう言って龍雅にサイダーを渡す。


 「おう、ありがと。」

 「どういたしまして。さてと…これからどうするんですか?」

 「まず香苗にお返しを…そして後に紗里弥と緋香里にお返しをね。」

 「やはりそうですか。」

 「だから放課後までゆっくりと待つとする。」

 「あの子は良いですか? 白い髪の赤目の少女は…」

 「あいつは…女じゃない…男だ。」

 「やはりわかっていましたか…いいや、記憶がそうさせているのかもしれませんね。」

 「お前はあいつが何か知っているのか?」

 「さて…まぁ、一番知っているのは貴方じゃないんですかね? いずれ貴方は彼の事を思い出すでしょう。彼は今、神にも勝る力を持っている。勿論比喩表現ですけどね。彼は、貴方との戦いを望んでいる。だから返礼は戦いでという事にしておきましょう…俺が後で彼に伝えておきます。」

 「わかった。じゃあこれを渡しておいてくれ。」


 龍雅は、宮弥に、奈々と同じく他の人とは違う色の箱を渡した。


 「えぇ、わかりました。」

 「後、無料券を使ってお前に命じる。俺とお前が持っている影衣を飲む用と着る用を渡してくれ。対等に戦いたい。」

 「了解しました。これで後7回ですね。影衣…本当に渡してもいいんですか? 一定の強さ以下の人間が取り込むと、戦闘力がグロテスクファントム並みの戦闘力を得、そして一定以上の戦闘力を持った者が取り込むと戦闘力が5倍になる…副産物として不死の力など強力な力が与えられる最強の装備…身に着ける事で使用者の戦闘力を3倍にし、彼の戦闘力が15倍にも跳ね上がる…それでもいいんですか?」

 「あぁ…俺だって15倍の力を手にしているんだ。俺と戦いを望むってならそれくらいの用意をしなくてはな。それに強い奴と戦うのが俺は好きだし、どのような戦いの味になるか楽しみだ。」

 「フッ…影響されているのですね。貴方に流れる真の怪人の血の影響を…」

 「あぁ、そうだとも…俺も負けないように鍛えなければな。そして叶うならば、あっちの意味でも美味しくいただきたいものだ。」

 「フフフ…彼は、男ですよ?」

 「だからどうした? 俺だってある者によっては筋肉女と間違えられる見た目だ。何か問題でもあるというのか?」

 「そうですか…ならば、学校が終わった後、持っていきましょう…」

 「あぁ、頼む。」

  

 放課後…


 「お待たせ。龍雅君」

 「はい、これお返し。」


 龍雅は、香苗にダイヤモンドのアクセサリーと箱の色の違うチョコをあげた。


 「安心しろ。純正100%天然のダイヤモンドだ。んで、チョコは、香苗、奈々、紗里弥、緋香里、そして名前も顔も忘れた大切な人だけには、他の人とは違う中身だ。」

 「ありがとう。ってその人って誰なの?」

 「わからない…けれど、昔俺と遊んでいた記憶があるんだ。幼少期いつものようにいつもの公園でまるで兄弟のように…朧気の記憶…もしかしたら過去を思い出したくなくて記憶から消しているだけなのかもしれない。その少年の事を……バレンタインデーのチョコいつのまにか貰っていたんだ。」

 「そっか…じゃあその人っていつまでも龍雅君のこと忘れていないから龍雅君のこと好きなのかも」

 「だといいな。って、それはどっちの意味でかな?」

 「勿論、あっちの意味でだよ。男の子と男の子同士…うん。良い…」


 香苗は、にやけ顔でそう言い、よだれを拭く。


 「残念ながら、香苗が考えるような薔薇は咲かないぜ。どちらかというと男の娘と女装男子といったところか…まぁ、女装…今の俺似合うからいいけど、外見が男らしくなったら女装やらないぜ。」

 「そっか…残念…でもそれはそれで美味しいからいいや。」

 「ハハハハハ! でも、お望みのものがもうすぐで見られるかもしれないぞ?」

 「どういう事? 実はな…今日虎太郎とな…」

 

 龍雅は、香苗に今朝の事を話した。


 「良い…無理…あぁ…しゅき…」


 香苗に今朝の事を少し誇張して話すと、香苗の意識がどこかに飛んでいく。


 「おーい。戻ってこい。香苗~聞いちゃあいねえ…仕方ない。」


 龍雅は、香苗の頭を軽く突くと、香苗は我に返った。


 「はっ! 龍雅君。私は何を…」

 「何、酔っていたんだ。俺の話にな。」

 「そうだったの…」 

 「じゃあ行こうか。」

 「うん!」


 龍雅と香苗は、極星院邸に向かって行く。


 「龍雅さん。どうぞ。お嬢様がお待ちです。」


 緋香里は、そう言って極星院邸の門を開く。


 「おう、緋香里。これバレンタインデーのお返しだ。確か20歳だったんだよな。これは、宮弥に取り寄せてもらった最高級の酒だ。」


 龍雅は、そう言って緋香里に箱の色が違うチョコと酒の入った高貴なオーラを放つボトルが入った木の箱を渡した。


 「ありがとうございます。」

 「俺には酒がわからない…だから、酒がわかりそうなお前に渡した方がいい…」

 「そうですか。なら有り難きましょう。」

 「じゃ、俺は紗里弥の場所に行くぜ。」

 「…信用していますし、何度も言いますが、お嬢様に何か変なことをしたら…」

 「許さないだろ? 何、多少のスキンシップは紗里弥も望んでいるはずだ。」

 「…そう思っているのは、貴方だけだとは考えないんですか?」


 緋香里は、そう言って腰に差している刀の刀身を龍雅にちらつかせ威嚇すると、香苗は刀身を見て怖がる。


 「怖い怖い…そんなに香苗を怖がらせるなよ…」


 龍雅は、そう言って刀を一瞬で取り上げる。


 「香苗さんは、一度選別軍と戦い、銃や刀を向けられたことがある筈、この程度で怖がるわけがありません。」

 「それがな。向けられた事が無いのさ。リアルではな。だから」


 「この紗里弥に何か用かな?」


 紗里弥は、そう言って二人ににこやかな表情を浮かべて近付く。


 「ほら、お返し。」


 龍雅は、そう言って紗里弥にいきなりキスをした。


 「相変わらず私に対して情熱的だな…だが、そんな龍雅が私は好きだ。」


 紗里弥は、蕩けた顔で頬を赤くする。


 「俺もキスした後に可愛くて壊したくなる顔をするお前が好きだよ。」

 「龍雅…」


 龍雅と紗里弥の二人だけの空間が築きあげられる。

 

 「なっ、ずるい! 私も!」

 

 香苗はそう言って空間を突き破り、龍雅に無理矢理キスをしようとすると、龍雅は香苗を横抱きした。


 「お嬢さん。これは俺からやるものだ。お嬢さんが奪うんじゃない…そしてお前が欲しいってなら一言言ってからにしてくれ。」

 「…ください。」

 「ん?」

 「キスしてください。」

 「よくできました。」


 龍雅は、そう言って香苗にキスをした。


 「龍雅君…好き…」


 香苗は、そう言って再び放心状態になった。


 「おい、それじゃあ私へのお返しが実質的に無い事になるではないか。」

 「まぁ、落ち着け…じゃあさ、これはどうだ? お前に影衣やってんで、今回は俺が料理作って紗里弥だけもう一品特別な奴作ってやるとかさ。」

 「…それいいな。よし、では厨房に行ってこい。」

 「了解。じゃあこれ。影の衣だ。これを取り込んだり来たりすると、滅茶苦茶強くなる。ただし、一回服用してもう一度服用しても無意味だ。精々、戦闘力が僅かに上がる程度だがな。それならば着た方がいい。まぁ、元々お前にやるつもりだったんだがね。宮弥に取り寄せてもらった。」


 龍雅は、そう言って真っ黒な液体が入ったガラス瓶を紗里弥に二つ渡す。


 「そうか…これがうわさに聞いていた。未知の物質で構成された黒い液体か…これは固体であり気体であり液体である…それでいて存在していて存在していない物質…なるほど、有り難く受け取ろう。その間、私は香苗と遊んでおくから。…色んな意味でね。」

 「おう、ほどほどにしろよ。」

 「わかってる。さて、遊ぼうかな。」


 紗里弥は、放心状態の香苗をフフフ…と笑いながら何処かへ連れて行く。


 「はっ! 龍雅! 助けて! 紗里弥に襲われるぅ~!」


 香苗は、再び我に返り、龍雅に助けを求める。


 「良いではないか。良いではないか。」

 「きゃ~~~!」


 龍雅は、香苗が、紗里弥に連れて行かれるのを見届けると、龍雅は、エプロンを取り出し、身に纏った。


 ――今は、百合の時、葡萄の時ではない。今、俺が混ざる事は許されない。


 龍雅は、そう思いながら、指を鳴らすと虚空から食材が現れ、オーケストラで演奏するかのように見える程美しく食材を調理をする。


 ――だが、度が過ぎた場合、俺は香苗を守護らねばならない。


 龍雅は、ステーキ肉を焼く。


 ――いくら我が妻と言えど戯れには限度がある。我が妻に取られようと痛くはない。まだハーレムにあるのだから…俺が紗里弥ハーレムに下るだけであるだが、俺達に関係のないものが取ろうとするなら容赦はしない。誰であろうと殺す。


 龍雅は、そう思いながら料理を進めていく。


 ――よし出来た。


 龍雅の作った料理は一流の高級レストラン並みの出来栄えだ。

 極星院邸の料理人とほとんど変わらぬ出来栄えである。

 龍雅は、紗里弥の方に一品追加した。

 それは龍雅特製の和菓子である。


 ――紗里弥は、和菓子よく食べるからな。特に俺の作った奴は好んで食う…今回は、いつもよりも大きめでいて材料も最高の物を選んだ…さて、どのような反応になるかな…


 龍雅は、そう言って料理を食卓に運ぶ。


 「おう、出来たか。少し遊んできたぞ。」


 紗里弥は、香苗に抱きかかえられて戻ってきた。

 香苗は、顔を赤くし、涙目で怒っている。


 「全く汗だくになるまで遊んでさ。ほら、手を洗え…今日はお前の好きな料理ばかりだ。」

 「お前、台所に立つと性別変わるよな。」

 「俺は、オカンじゃねえ。」

 「何も言ってないぞ。」

 「でも、そう言いそうだった。」

 「まぁ、言おうとしていたんだがな。」

 「やっぱりそうじゃないか。話が収集つかねえからさっさと食うぞ。口喧嘩はその後だ。」

 「あぁ、そうだな。口喧嘩は、また私の部屋でやるぞ。朝までゆっくりな」


 龍雅と紗里弥は、そう言ってじゃれ合いながら、食卓に向かって行く。


 「あっ、待って!」


 香苗も、龍雅達の後ろを追う。

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