第陸拾玖話《龍雅の前より変わった日常》
戦いは終わった。
龍雅は、レベル1へと弱体化した。
基本的な能力が前のレベル1よりも向上し、レベルの限界値と成長力が上昇し、技も引き継ぐようになった。
レベル上限は200へと上昇。
更にレベルアップする事で得る技も増えた。
そして勝ち取った日常…本来の龍雅の生活がまた始まろうとしていた。
龍雅は、家から出て、宮弥と共に学校へと向かう。
――さて、行くか…
龍雅のステータスは、黒衣のおかげで15倍になっており、現在の強さはレベルで計算するとLv30に相当する。
獄雅のステータスは上乗せされていない。
何故ならば、現在、獄雅は龍雅に力を貸していないからだ。
紅蓮の戦士第二覚醒を使えば、戦闘力を20倍に膨れ上がる為、実質的にLv600になる。
だが、龍雅はその全てを使うと戦闘がつまらなくなる為、弱体化して以来、黒衣の力しか使っていない。
龍雅は、学校へと向かい着くと、龍雅は後ろを振り返った。
――日本、いや地球というものは思いのほか狭い物だな。
龍雅は、そう思い、学校へと入って行く。
宮弥は、前のように翔妃という名前で、学校生活を送っており、今日、素顔を明かした状態で登校した時、生徒の殆どが彼女の美貌を見て、心が堕ちた。
(フッ…どうやらようやく出会えたようだな。宮弥…まぁ、ライバルが増えたわけだが、さて今と昔どちらが上になるだろうか…)
紗里弥はそう思い、宮弥を好敵手に出会ったかのように睨む。
「よぅ、龍雅…何かお前少し変わったな…それにお前とは何故だか知らないけど久しぶりに会った気がする…そう、遠い昔に別れたみたいにそして今、始めてあったみたいに…別人のような別人じゃないような」
「そうか? 何でそう思う?」
「いや、何となくだ。」
「なるほどな。」
――相変わらず勘が鋭いな…確かに俺は、数億年旅をし、そしてまたLv1に戻った。今の俺は、転生したと言ってもいいだろうな。全く、その勘の良さが女の方に向けばいいのにな。
龍雅は、そう思いながらジュースを飲む。
「龍雅。」
紗里弥は、龍雅に話しかける。
「ん? 何だ? 紗里弥」
「お前の鎧を改良したいのだが、一週間指輪を私に預けてはくれないか? 機能を追加したい。」
「あぁ、いいぜ。具体的に言えばどんな改造を?」
「フフフ…出来上がってからのお楽しみだ。あっ、そうだ。香織、奈菜…お前らにも強化スーツがあっただろ?」
「えぇ、そうだけど…」
「少し貸してくれ。その腕輪を改造したい。」
紗里弥がそう言うと、二人は選別軍の戦闘服を起動する腕輪を紗里弥に渡した。
「デザインが大きく変わるが、まぁ、悪い改造はしない。」
紗里弥はそう言い、指輪と二つの腕輪を紗里弥自身の鞄の中に入れた。
「紗里弥って、前から思っていたが、世話焼きだな。」
「フッ…当り前だろう。これくらい出来なくて何がお前の女か。まぁ、お前に捨てられたくないという意味でもあるが…まぁ、それはあり得ないか。」
「無いな。俺達が別れるならば、そちら側の都合だろうな。」
「まぁな。婚約者候補とかいう無駄な事があるが、才能や好意的に考えて私がお前を選ぶのは、確定的に明らか…」
「おっと、龍雅さんは貴方だけのモノではありませんよ? 紗里弥さん。俺こそは、一位に相応しい女です。」
「フッ、貴様…化けの皮が剝がれてから言うようになったな。」
「一応言っておきますが、俺は龍雅さんの貞操を二度奪いました。勿論現世で。」
「はー? それ絶対無理矢理だろ?」
「いえいえ、同意の上です。ククク、俺が味わった中で最高の味でした。」
「は? 何とか言えよ! おい…龍雅!」
「……奪われました。翔妃に…」
「よし、殺るぞ。おい、奈菜…殺るぞ。」
紗里弥は、体に炎を纏わせ、奈菜は、鉄粉を辺りに漂わせる。
「えぇ、殺りましょう。さて、龍雅君覚悟はいいかしら?」
「……まぁ、ひとまず落ち着いて俺の話を聞いてくれないか?」
「「駄目だ(よ)」」
二人のオーラは、殺意に満ちており、もはや止められそうにない。
龍雅は、翔妃に助けを求めるが、紗里弥が翔妃に何かを見せると、手を出すのをやめた。
――あっ、これ一回死んだな。
龍雅は何処かに引きずられていった。
数分後…
「いてぇじゃねえか…! 四回も殺すなんてよ! それに、乱暴もしやがって…物質を生成する能力があったからいいモノの…」
龍雅は、服と体がボロボロの状態で戻って来た。
顔はゲッソリとしており、椅子に倒れる様に座った。
「因果応報だな。」
「因果応報ね。」
「うるせぇ! 香織! 虎太郎! まぁ、だが、アイツらの成長は喜ばしい事だな。」
龍雅は、そう言って頷いた。
「な~に、納得してんだ。龍雅…お前、翔妃に寝取られるとか、私悲しいぞ。」
紗里弥と奈菜は顔を赤らめながら、帰って来た。
二人は、何処かツヤツヤしている。
「寝取られてねえよ……あぁ…これでお前の好意は下がった…」
「でも、喜んでいたくせに…おい、香織…こいつの心を読んでみろ。嘘か本当かをな。」
「半分本当で半分噓ね。口にするのが恥ずかしいけど…龍雅君の心は、今もまだ貴方に向いているわ。」
「すまん…けど、俺を無理矢理したのは許さねえからな。」
「誘い受けする龍雅君が悪いのよ?」
「そうだ。奈菜の言う通りだ。口では言っておいて体は正直な癖に」
「は? 俺はな。攻めがいいんだよ。受けじゃねえよ。リバはありえない。俺の欲のままにお前を蹂躙するんだよ。」
「いや、今までの行動を考えるとお前、絶対受けだろ。お前は私達に回されるんだよ。」
「あー、もういい…お前後で理性壊してやるよ。」
「怖い怖い…なら、逆にぶっ壊してやるよ。そして私に服従しろ。」
「もう恥ずかしい痴話喧嘩はやめにしようぜ。言うだろ? 夫婦喧嘩は犬も食わぬって」
虎太郎は、顔を赤らめながらそう言った。
「あぁ、虎太郎は童貞だからこの話は恥ずかしいよな。」
龍雅は、虎太郎に憐みの目で見ながらハハッと笑った。
「おい、龍雅…それって俺を煽ってるのか?」
「さぁな。」
龍雅は、そう言い、窓の外を見る。
――まさか、俺が無理矢理されるとは…まぁ、金もないのに宮弥…いや、翔妃に幾つも依頼を申し込んだ俺が悪いか……
龍雅は、回復の光を服に当て、服を元の状態に直した。
顔色も治り、本来の生気が戻った。
「そろそろ梅雨の季節か…」
「体育大会が近いな。雨の予報が出ても私が強制的に晴れさせるがな。」
「まぁ、そんな事しなくても、俺が世界の因果律をちょっと弄ってやれば済む話ですけどね。兄さ…龍雅さんは、どの種目に出場するんですか?」
「俺か? 俺は、能力格闘技だな。武器の使用は不可能。殺しもダメな奴…それに、今年は特別強い奴が現れそうだ。」
「特別強いってお前、去年参加してなかっただろ。」
「まあな。その時は、俺の能力は覚醒していなかったからな。去年は、まぁ…学校に残ったG組のメンバーをかき集めて他のクラスを蹂躙したがな。俺達能力者は、覚醒する前からゴリラ並みの腕力やチーター並みの速力を持っているし…まぁ、そのおかげで俺達はG組にハンデが課せられてな…重い体操服と靴を身に付けさせられ、そしてどのクラスよりも5秒遅くスタートさせられるのだよ。まぁ、それでも俺達は楽勝に勝ったがな。」
「そうですか、そろそろ昼休みも終わってゲーム製作の授業が始まりますよ。龍雅さん。」
「あぁ、そうか…んじゃ、俺はこれで行くぞ。翔妃、紗里弥。」
龍雅は、二人を抱き寄せると、二人は、龍雅に抱き着き、教室を出て行った。
三人は、選択授業ゲーム製作の授業を受ける為に、ゲーム製作教室へと向かった。
三人一組のチームだ。
三人とも優秀な才能を持っており、三人全員が作業をし、龍雅はデバッグし、宮弥は隠し要素をゲームの何処かにバラまき、紗里弥は、プレゼンや、説明書などを担当している。
ジャンルは、VRオープンワールドアクションRPGゲームだ。
コンセプトは、何もかもが自由だ。
二人は、パソコンに入力し、龍雅は、ゲームのデバッグの為に意識をゲームサーバーに転送しゲームをプレイしている。
「さて、財産無限チートを銀行に仕掛けて、デバッグルームを自宅の地下室にセットと…」
「おい、宮弥。それはさすがにバレるんじゃないか?」
「いいえ、大丈夫です。例えバレたとしても32ケタのパスワードを入力しないとデバッグルームに入れません」
「なるほど、ではそのパスワードの入手法は?」
「全武器、全アイテムを入手し、裏ボスをノーダメージで倒すとパスワードが入手可能になる。これでどうです?」
宮弥は、そう言いながらゲームにプログラムを入力した。
「まぁ、いいだろう。では、オンラインではデバッグで得たモノやチートで得たモノを無効化させてもらう。」
「いいでしょう。その方がゲームバランス的にちょうどいいですし、龍雅さん。プログラム入力終わりました。プレイを再開してください」
『あぁ、わかった。』
「今、デバックして欲しいのは、今入れた隠し要素が動いているかを確認してもらいたい。今から、お前のアバターのアイテム、装備、レベル、技を最強にし、裏ボスのパラメータや技の強さを大幅に下げてから裏ボスの場所に転送する。裏ボスをノーダメージで倒してくれ」
『いいや、一回目は裏ボスの強さは下げなくてもいい。二回目からにしてくれ。一度試してみたい裏ボスの力を』
「わかった。じゃあ、お前が一度ゲームオーバーになったらそうしよう。」
龍雅のアバターは、裏ボスの間に転送される。
「さて、裏ボスはどんな奴か…」
禍々しい召喚陣が出現する。
召喚陣から現れたのは、仮面を被ったローブの男だ。
男は、指を鳴らすとゲーム内の時間が停止した。
――さぁて…始めますかね…
龍雅も時間停止魔術を使い、動けるようになり、剣を抜き、盾を構え、戦闘態勢に入った。




