第陸拾捌話《EXLoop:Final-After 再会》
異世界から出た二人。
服装は、龍雅はいつも外に出かける服で、宮弥は、ホワイトシャツと黒いズボンを身に纏っている。
龍雅と宮弥は、数億年ぶりに家へと戻った。
「ただいま…」
宮弥は、家に着いた時に言った一言がその言葉だった。
遊び疲れた子供が言うように。
また働き疲れた大人が言うように。
宮弥は、堂々とした声で言った。
宮弥は、二階に上がり、龍雅の隣の部屋に入った
「長年、部屋を空けていたのに、埃臭くないですね…寧ろ、ラベンダーの香りがする。」
「あぁ、ここは毎日、掃除しているんだ。いつでもお前が帰ってきてもいいように」
そこは、宮弥の部屋だ。
女の子らしい可愛い部屋で、部屋にはラベンダーの香りが広がっている。
「私がいなくなった日から何一つ変わっていませんね。」
「あぁ、俺達家族、いや虎太郎や香織は信じていた。いつかお前が帰って来るって…言っただろう? 家族はお前の事を忘れてなんかいないって。」
「生きているのかさえわからないのに…」
宮弥は、学習机の椅子に座ると、深い息を吐き、目から一筋の涙が零れた。
「やっぱり家族の元はいいな…俺は、貴方を幸せにするという事ばかり考えていて自分の居場所を見失っていたようです。」
「俺はもう十分に幸せ者だ。後は、お前が幸せになればいい。俺とお前は、前世は恋仲だったのだろう? だったら現世で俺と兄妹として幸せになればいい。」
「そうですね…フフ…涙を流したのは、いつ以来ですかね…」
宮弥の顔は、涙で濡れている。
懐かしさが込み上げてくる。
「目の前が涙でぼやけて見えないな…」
龍雅は、ハンカチを取り出し、宮弥の涙を拭い、そして宮弥の部屋の地べたに座り、両手を広げた。
「宮弥、泣き止むまで側にいてやる。来い。」
「では、お言葉に甘えて…」
宮弥は、龍雅に強く抱き着き、頭を撫でながら「よしよし、いい子だ」など優しい言葉をささやき、背中を優しく叩くと、宮弥は赤子のように泣き始めた。
龍雅の目からも涙が流れ、啜り泣き始めた。
俺達は、帰ってきた。
長い旅をしてきた俺にとっては、この星で過ごす時間は短くなったのかもしれない。
この星の広さは、もう箱庭程度でしかないのかもしれない。
けれど、それでもいい。
俺は、幸せを掴む為に、生きている。
ならば、踊ろう。
自由気ままに踊ろう。
俺が望むまま。
俺がこの世界の主人公の一人だ。
強欲なる我が人生。
複雑な運命の路線。
俺の運命の旅は、まだ始まったばかりだ。
そして俺が主人公ならば、やらねばならない。
俺は、お前を理解した。
俺の記憶は覚えていないが、魂が覚えている。
俺はさ、宮弥。
血の繋がりという壁があって俺達は恋仲にはなれないのは、知っているよな。
だけど、昔は俺達は恋仲だった。
ならば、俺達またやり直そう。
浮気者の俺が言うのも何だが、俺は、前の世界程優しくはないが、それでもよろしく頼むぜ…宮弥。
私は、この時を待ち続けた。
長い間、待ち詫びた。
そして私は、堕ちた。
やはり私が前世で惚れた男には、どんな事があろうとやっぱり逆らえない…
この男は、一緒に幸せになろうと言った。
あぁ、そのつもりだ。
けれど、今は兄妹…近親での恋などしてはいけない。
私は、その過ちに気付き、龍雅の前に現れなかった。
来世は、家族になれば、一緒に居られる。
そんな軽薄な考えが私自身の恋の邪魔をした。
自分自身の首を絞めた。
だが、今はそんな事なんてどうでもいい。
兄妹でもいい。
恋を抱かずとも愛を向ければいい。
私は、あの時、死んだ。
親が死んだ時、そして施設に入った時、私は死んだ。
そして龍雅と出会った時、龍雅と施設を抜け出した時、私は生まれ変わった。
故に、貴方は、兄であり恋人であり、もう一人の親である。
だから貴方にあの神の名を与えた。
その場合、私が闇であるのだが、この力を持っている私は、闇ではない。
我が力を考えれば、副神を名乗らなければならない。
そして私は、副神であり、侯爵であり、風神雷神でなければならない。
いや、もうそんな事はしなくてもいいのかもしれない。
私は、ただ想い人と共に生きる。
私は…ただそれだけでよかったのだ。
ただ、それだけでいいのだ。
私は、もう苦しまなくていいのだ。
兄さん…私の心を再び堕とした責任取ってもらいますからね。
二人は、互いの骨が折れる程強く抱きしめた。
黄昏の光が、窓から差し込み、龍雅と宮弥を温かく照らす。
前世から愛し続けた二人を祝福する様に。
二人は、泣き疲れて眠った。
日は沈み、陽光が月の表面を反射し、月が輝き始める。
家の扉が開き、母親のただいまという声が聞こえる。
涼美は、ご機嫌な様子だ。
カジノに行っていつも以上の大勝利を収めたからだ。
涼美は、玄関の靴を見ると、見慣れない靴があった。
誰か来ているのかと二階にいる龍雅に声を掛けるが、返事がない。
涼美は、荷物を片付け、二階に上がると、龍雅の部屋を空けるが誰も居ない。
もしかしてと思い、涼美は、宮弥の部屋を空けると、そこには少女龍雅と宮弥が抱き締め合いながら眠っていた。
「帰ってきていたのね。」
涼美は、宮弥に対して微笑み、そして宮弥の頭を撫でた。
「おかえり宮弥…私の愛しい子よ。」
涼美がそう言うと、涙が溢れ、宮弥の額を涙で濡らす。
涼美は、涙を拭い立ち上がる。
「さて、二人を起こしますか。」
涼美は、二人を起こした。
「おはよう。母さん」
「久しぶり、お母さん」
二人は、ほぼ同時に起床し、涼美は、二人の手を取ると、二人は立ち上がった。
「さ、今から龍雅は、悠美のライブに行くんでしょ?」
「あぁ、そうだったな。」
「宮弥も行ったらどう? 私から宮弥が帰って来たって連絡しておくから」
「いや、いいです。お母さん…伝えなくてもいいです。俺が姉さんに直接帰って来たって伝えるんで」
「そう…じゃあ、龍雅…宮弥と一緒にいってらっしゃい。」
「あぁ、行くか…!」
二人は、部屋から出て、玄関に行き、靴を履いて家から出た。
「はぁ…やっと…やっと戻ってきたのね…」
涼美は泣き崩れた。
宮弥の姿を見た瞬間、情けない程に泣こうとしたが、二人がいる所で情けない姿を見せられないと思、、そして二人がいなくなった瞬間、一気に感情が溢れ、泣きだした。
「よかった…よかった…」
涼美は、安堵し、泣く。
やっと家族の元に帰って来た我が娘。
どれほど待ちわびたかわからない。
死んでいると思った事があった。
もう帰ってこないと思っていた時もあった。
だが、帰って来た。
あぁ、これでまたあの時の生活に戻れると…
涼美は、宮弥の部屋で一人泣き続ける。
心の雨が止むまで。
得大紐ドーム。
アイドルグループRGBプリンセスズ255の略称RGBのLIVEは終わり、龍雅と宮弥は握手券を整理券に交換し、悠美の列に並ぶ。
既に握手を終えたファンも居て、どうやら龍雅と宮弥で最後のようだ。
悠美の列は、他のメンバーより少し長く人気であることがわかる。
「兄さん。あれから姉さんは、どんな活躍を?」
「まぁ、そうだな…レギュラー番組を10本も持ったことかな? 後は、特撮番組で面白くてかっこいい悪役兼味方役をやった事とか…俺のやってるゲームの声優をやっていたり…まぁ、色々やってるな。」
「へぇ…まぁ、そんな事が…毎日が仕事ばっかりですので知りませんでした。」
「どんな仕事をしていたんだ?」
「そりゃ、まぁ、アメリカ大統領や総理大臣、極星院財閥関係者の護衛とか、スポーツトレーナー、掃除、料理、食材調達、武器調達とか…まぁ、犯罪を含めた何でも屋って感じですかね。というのも、殆どの依頼が歴史を変更するという名目であらゆる願いを叶えるだけで終わるんですけどね」
「雇うには?」
「31億円です。」
「31億!? 高いな!」
「まぁ、人間の体を全て売ればそれほどの価値が生じるからそうしたまで…いいですか? 俺は、人一人を生贄にするほどの価値のある仕事をしたいまでの事。まぁ、イケメンや美少女を紹介してもいいんですがね…兄さんは超絶イケメンですから、一文無しの場合、体で払ってもらいますよ…勿論、あっちの意味でね…俺のシェアは、何でも屋の中でも第一位…まぁ、使う奴は大体セレブか、国会議員か、風浴関係の方ですね。」
「こら! 公衆の場でそんなこと言うなよ。」
「ですけども、支払い方法を教えろって言うもんですから。」
列は進んでいく。
二人は駄弁りながら進む。
「あっ、悠美弟殿。そちらの方は彼女さんですか?」
顔馴染みの太り気味のアイドルオタクが龍雅にそう言って話しかける
「いや、妹だ。姉さんに久しぶりに会いに来た。妹は、国内外で働く何でも屋だ。あらゆる願いを叶えてくれるランプの魔神のような存在だ。」
「へぇ…じゃあ、俺の欲しいモノ全て手に入る事って」
「あぁ、叶えられるよ。けど、費用は31億円だけどな。」
「高ッ…他に方法はないんですか?」
「ありますよ…耳を貸してください。」
宮弥は、アイドルオタクに小さい声で、もう一つの方法を教えた。
「なるほど、なら悠美弟殿は、お願いし放題ですね。」
「何を言ってんだよ。お前…」
「まぁ、拙者は、アイドルと二次元キャラしか女に興味ありませんので、それに拙者イケメンではございませんので、ではさらば!」
アイドルオタクは、悠美の前の手荷物検査エリアへと向かって行った。
「さてと…次俺らの番だな。」
「えぇ、そうですね。」
しばらく経った後、次の方どうぞという合図が出て、龍雅と宮弥は、手荷物検査のエリアに行き、スタッフから手荷物検査やボディーチェックを受け、そして荷物を籠に入れ、アイドル悠美のエリアに入った。
十分前…
悠美は、アイドルとして握手を続けている。
「例のアレやってください。」
「わかりました。」
悠美は、一呼吸を入れてから笑い出した。
「フハハハハ!! 我が才能に不可能は無いィ!!」
悠美は、謎のかっこいいポーズを取りながらファンに向かってそう言うと、ファンは喜び感謝の言葉を述べ、そしてファンは手を振りながら帰ると、悠美もファンを見送る為に手を振った。
次のファンがエリアに入って来た。
次のファンは女性ファンだ。
ファンが握手をすると、ファンは「あっ、あの…壁ドンしてください」というと「わかりました」と言い、ファンに壁ドンし、「また来たのかい? 私にこれ以上惚れると心の底まで私色に染まってしまうよ?」と言いながら顎をクイッとすると、女性ファンはメロメロになって帰って行った。
次のファンは、太り気味のアイドルオタク…そう、龍雅が話していた男だ。
「悠美殿、どうやら貴女の知っている人が来ているらしいですぞ。」
「誰かしら? 龍雅?」
「まぁ、合っていますが、もう一人います。ヒントは金髪の美幼女と言っておきますかな。」
「へぇ…誰かしら?」
(まさかね…)
「では、拙者はこれにて」
アイドルオタクは、その場から笑顔で立ち去っていった。
(…ここは、家族水入らず…俺はさっさと立ち去って家族の時間を与えるだけだ…ただの豚はクールに去るぜ。)
「よう、姉さん。」
「龍雅、どうだった? 今日のライブ」
「あぁ、良かったぜ。」
「良かった。」
「あっ、そうだ。ようやく帰ってきたぜ。」
「誰が?」
龍雅の後ろから金髪の美少女宮弥が現れる。
「久しぶりですね。姉さん。」
「宮弥!?」
「そう、正真正銘本物の俺です。」
「宮弥…会いたかった…」
悠美の目から涙を零れ始め、悠美は宮弥に抱き着く。
「フフッ泣かないでください。まだ仕事中ですよ? 泣くなら家に帰ってからにしてください。」
「そうね。そうよね。」
悠美は、宮弥から離れ、泣き止み、そして顔を拭った。
「行きましょうか…兄さん。」
「あぁ、姉さん…今日はもう仕事は終わりか?」
「えぇ、後は片付けてちょっと話し合いをしてから帰る…まぁ、いつも通りね」
「じゃあ、いつも通り会場前で待ってるから」
「わかった。」
龍雅と宮弥は、その場を去っていった。
ドーム前、アイドルが出て行く裏口には、龍雅と宮弥が立っている。
スタッフとプロデューサーの許可が下りており、彼ら以外には誰も居ない。
「夜は冷えるな…」
「えぇ…そうですね。」
二人で待つ姿は、絵になる。
絶世の美少年と美少女二人が誰かを待つ。
それだけで一つの作品になる。
裏口は開くと、私服姿のRGBのメンバーが出てくる。
疲れ切った表情で送迎バスに乗る。
会場から家に近い者は、バスには乗らずそのまま帰宅するメンバーもいる。
「お待たせ。」
「へぇ~貴方が龍雅君の妹さんね。」
悠美の隣にいる茶髪の巨乳の美少女が宮弥を見て、微笑んだ。
「はい、宮弥です。以後、お見知り置きを…」
宮弥は、悠美の親友にお辞儀をした。
お辞儀姿は、美しく流れるような動きだ。
「私は、もう知っていると思うけど前井真菜。よろしくね。」
「はい!」
「さてと、帰るか…真菜さん…姉さん、宮弥…」
「じゃあ、いつも通り私達を守ってよ。龍雅」
「ハハッ冗談きついぜ。姉さん…姉さんだって俺が強くなる前から暴漢共を蹴散らしていたくせに」
「何か言ったかしら?」
悠美は、龍雅の頭を掴んで割る様に手に力を入れる。
「いててて! すまん!」
「フフッ…じゃあ行きましょうか…」
四人は話しながら会場を去っていく。
彼らの真上には、二つの流星が流れた。
やっと、宮弥編が終わりました。
どうでしたか? パワーインフレしていくこの章は(後で龍雅は弱体化します)
あの後、勇雅も帰ってきてから泣き、そして今夜の剣ヶ峰家の料理は豪華な料理ばかりで、奮発したそうです。
次回は、日常章Ⅰ《取り戻した日常編~Normal daily life is beautiful/Happy days everyday~》




