第陸拾伍話《EXLoop:Twenty-Eighth 再戦:真と偽》
龍雅は、空から降り注ぐ数兆の光線を避け続け、宮弥の元に辿り着くと、宮弥は、瞬間移動で世界の果てに移動し、指を鳴らすと時空が歪み、そこから総合エネルギー量が宇宙滅亡級の弾幕が龍雅に向けて放出されると、龍雅は弾幕を回避し始める。
宮弥は、龍雅が必死に回避している様を見て嗤う。
いくら何万回繰り返したとて、対処しきれない程の数の弾幕を張られては、本気で避けざるを得ない。
宮弥は、数十分間、龍雅が弾幕を回避する所を眺めていると、弾幕の中から大陸程の大きなの無数の大剣が宮弥に向けて光に限りなく近い速度で放たれると、宮弥は、無数の大剣を無に還し、飛んでくる一本の大剣を人差し指で受け止めた。
(これは、兄さんの大剣か…)
宮弥は、受け止めた剣の形状を槍に変え、龍雅に向かって光の数億倍の速度で放つと時空は歪み裂け、あらゆる粒子一つ一つが消滅による爆発を起こし、槍は巨大ブラックホールが化し、龍雅は、ブラックホールにこの世界ごと吸い込まれ、またあの白亜の地点へと戻った。
また死んだ。
龍雅は、また絶命した。
その後もまた百回死んだ…正確に言えば五百回死んだの方が正しい。
あまりにも一方的な戦闘。
しかし、繰り返していけば行動パターンが判るというもの。
宮弥にとっては作業ゲーにすぎない。
だが、その慢心によって生じた油断を突き、倒すという作戦に龍雅は出たが、彼女宮弥には全くのスキがない。
寧ろ隙を与えられている。
龍雅は、所詮管理者たる宮弥の所有物に過ぎない。
龍雅の住む世界、血の海の世界、平行世界を眺める世界、地獄の様な異世界、四界を司る彼女ならば、その世界で全能の力を振るえる。
だが、彼女は全能の力を使おうとはしていない。
その気になれば、四界の万物万象を完全に消滅する事なぞ朝飯前の事だろう。
繰り返す度に強くなる龍雅。
けれども、宮弥には届かず。
ダメージは確かに与えている。
だが、決定打にはならない。
何度も何度も繰り返しても同じ結果。
宮弥に隙を与えられては、死による撤退の繰り返し。
世界と龍雅は、何度も死に、生き返る。
俺は何度死んだ?
自分の好きな食べ物は?
好きな言葉は?
心の色は、まだあるが、記憶の色彩が薄れていく。
愛する者の記憶は保持し続ける。
例えそれ以外の全ての記憶を忘れてしまったとしても
愛する者の記憶さえあれば彼は進むことが出来る。
愛に飢え、孤独を嫌う強欲を語る龍。
様々な人達から愛を受けている癖に、彼の居場所などいくらでもある癖に、この孤独なる世界を走り続ける癖に、愛を欲し、孤独を嫌悪する。
故に彼は強欲と自称する。
一度掴んだ大切な存在は離さない。
決意を持った龍雅を何度も何度も殺すも宮弥の前に立つ。
何故、諦めないのですか?
お前を取り戻す為だ。
宮弥は、私なんか捨ててしまえばいいと、元の世界に戻る時空の門を開くが、龍雅は、門を鋸で切り裂き、消す。
そしてまた龍雅は、戦い死ぬ。
傷付かない。
傷付かない。
何度殺されても心という鉱石は、傷を付かない。
諦めない。
諦めない。
その執念は、もはや狂気。
彼の心は、傷付きはしないが歪む。
妹に勝てないと知りながら挑む馬鹿な男。
妹を取り戻す事しか見えない盲目な男。
『お前は、まだ諦めないのか?』
獄雅は、ボロボロの体で龍雅に語り掛ける。
「あぁ…前にも言ったと思うが、俺は、絶対に諦めない…出る手段は、あったものの俺は妹の方を取った。」
『そうか…だが、いくら経験を積んでも俺では、宮弥には勝てない。それはわかっているだろうな?』
「あぁ…わかっている。」
『ならば、俺と一つになれ…ただし、お前と妹の戦いが終了した瞬間、俺とお前は分離する。』
「いいのか? いや、そんな事が出来るのか?」
『あぁ、主導権も譲ってやる。真の肉体と真の魂が融合すれば、勝てるだろう…だが…クリエイターフォーム…真の姿となった俺がお前を倒すのを諦めたらの話だがな。一応言っておくが、俺はお前と同じように執念深くてな。お前では数え切れない程にお前を殺してやるよ。真のラスボスたる俺がな』
「…やってやるさ…」
『なら、お前の命、一つだけ頂こう。』
獄雅は、龍雅の胸を貫くと、龍雅の体から力が抜け、力尽き、龍雅は復活し、獄雅の肉体は、再生していく。
『これで俺は復活した。さぁ、始めようか』
獄雅がそう言うと、両目が破滅の邪眼となり、龍雅の体を一瞬にして滅ぼす。
広がってゆく虚無の空間。
虚無の空間は、結界の外へと及び、白亜の結界は割れる様に崩れ、この世界そのものが虚無となった。
文字通り何もない世界。
存在するのは、獄雅と龍雅と宮弥のいる城のみ。
『まぁ、はっきり言って今の俺は、宮弥よりも強い存在なのだがな。』
獄雅が指を鳴らすと無数の怪物が現れた。
『そして俺は、この世界に住まうあらゆる怪物達の創造主でもある。』
怪物達は、虚無の空間をもろともせず駆ける。
龍雅は、虚無の空間に蝕まれながら怪物を斬り刻んでいく。
虚無の空間は、有を求むるように或いは、有を捨てさせるように龍雅の体を蝕む。
体は失われていく。
再生が追いつかない。
回復術式をかけても消失速度の方が速い。
獄雅は、龍雅が戦う様を見ながらエネルギーを数秒溜め、怪物ごと龍雅を葬る。
そのエネルギーの威力は、宮弥の本気の威力の数百倍。
龍雅は死んだ。
『さぁ、これでも喰らえ!』
獄雅は、数京の無数の砲台を創造した。
その中には、神話や創作物に存在する砲台も存在しており、その砲台全てが龍雅の方に向けられている。
砲台から無数の弾幕が射出された。
一発一発が宇宙崩壊クラスの威力。
また龍雅は死んだ。
『もうくたばったか?』
「まだ2残ってるぞ…」
『そうか…なら精々足搔けよ。』
獄雅は、無数の触手のある円盤を創造する。
獄雅は、念力で触手を振るった。
触手の刀身が腕に触れると、腕が消えた。
足に触れると、足が消えた。
再生しない。
術式を集中させても再生しない。
そして円盤が開くと超新星爆発が発生した。
『宮弥が平行世界からあらゆる存在を取り出し、そして平行世界に存在を放つのならば、俺はあらゆる存在を生成し、消滅させよう。』
獄雅は、指を鳴らすと一部の空間の時間が逆流し、そして無数の砲弾が現れ、砲弾は一つとなり、龍雅に襲いかかる。
龍雅は逃げる。
『逃げられはしない。』
獄雅は、指を鳴らすと、数京の巨大な光条が降り注ぐ。
神の力と言っても過言ではない。
龍雅は、再び死に繰り返す。
獄雅は宣言通り、宮弥が龍雅を殺した回数を超える速度で龍雅を殺していく。
殺された時に戻る地点は、龍雅が命を一つ奪われ、獄雅が復活した地点。
いつの間にか、宮弥の殺害回数を遥かに超え、殺した数は数億を超えた。
破壊神にして創造神の名を名乗るに相応しい力。
『まだまだ殺す。何度も殺す。俺にとってはお前の殺す事など単なるもはやただの目の前のボタンをひたすら押すような作業に過ぎない。俺の精神力がなくなるまでお前を殺す。俺の精神が悲鳴を挙げようと殺す。』
獄雅は、あらゆる神話の攻撃を龍雅に与え殺し続ける。
獄雅の精神は、一万回繰り返す事にすり減っていく。
龍雅は、耐え続ければいいと思っている為、精神は擦り減らない物理的に勝てなくてもいい精神的に勝てばいい今の龍雅の精神は、この戦いが終わるまで眠っている。
無駄な精神力の浪費は、後の戦闘の影響を及ぼすからだ。
肉体の赴くままに戦っている。
『なるほど、無我の境地か…何も考えず肉体に任せて攻撃か…まぁ、いい…それでも殺し続ければ精神には響くだろう。』
獄雅は、飽き足らず龍雅をまた殺し、時間を巻き戻した。




