第陸拾話《EXLoop:Twenty-Second 幻想領域Ⅰ:日本》
龍雅は、魑魅魍魎の百鬼夜行を倒しながら進んでいく。
日本神話に存在しない架空生物も存在している。
魑魅魍魎は、龍雅を嗤いながら攻撃をする。
妖の強さは、弱く一振り暴風を起こしただけで死ぬ貧弱な存在だ。
いや、龍雅が強くなったと言うほうが正しい。
或いは、敵の配置する場所を間違えたか。
それでも、妖達は、本来の神話や伝承よりも強い。
――嗤うがいい…嘲うしか能のない奴等よ…その不快極まりない嗤い声がお前たち自身を殺す羽目になる。
龍雅は、刀身100mの刀を生成し、振るい、魑魅魍魎を切り裂きながら進んでいき、秒速10kmで一分間走ると、障子の張った玄関が見えてきた。
玄関の外は、月夜の光に照らされている。
龍雅は、玄関の襖を切り裂くと、外は、闇夜の千里の竹林が広がっていた。
竹林に、無数の妖共の殺意の籠った唸り声が響いており、竹林から見える無数の赤く妖しく光る不気味な眼が龍雅に殺意を向けている。
後ろから妖が迫ってくると同時に竹林の妖が龍雅に襲いかかる。
龍雅は、視認した全ての妖を破滅の邪眼で殺す。
――無意味だ。何処に行けばいい?
龍雅は、ある程度妖を殺すと、竹林に入り、目的地もわからずただ前へ前へと進む。
数百の天狗が暴風を放ち、龍雅を吹き飛ばそうとするが、逆に龍雅の放った暴風が天狗の暴風を飲み込み、天狗の体を風で八つ裂きにした。
刀を持った無数の落ち武者が、斬りかかってくる。
龍雅は、落ち武者からの攻撃を全て指一本で弾き返し、長刀で斬り裂いた。
――そろそろ、消えろ…
龍雅は、手に光の球体を作り、握り潰すと龍雅の拳から無数のエネルギー波が、溢れ出し、エネルギー波は、妖を追いかけ、貫き、50km範囲の敵を全て灰となった。
――また、湧いてくるだろう…その前に、ここの最終地点に行かなければ、何せこれ以上戦っても鍛えても強くはなれないからな。
竹林を妖を倒しながら数ヵ月進んだ。
夜は明けず、月も動かない。
深い竹林をただ無心に進んでいくと、外が見えてきた。
龍雅は、竹林の外に出ると、川の河川が見えた。
遠くには、巨大な集落が存在しており、明かりがついている。
――人が居るのか?
龍雅は、集落を見て、誰かがいると思い、集落へと向かう。
だが、集落には誰もいなかった。
人はいなかった。
明るく見えたのは、そう鎧武者や馬の形をした炎だった。
炎が集落の建物の中から出て、龍雅に向かって敵意を向けた。
その中には、改造兵と虚無の都市で倒した兵士達の姿もあった。
兵の数は、数万を超え、景色はいつの間にか、集落から古戦場へと変わっていた。
――古戦場火か…
古戦場火、それは戦場で死んだ者達の魂が鬼火として具現化した妖怪である。
龍雅は、炎の怪を振り払い、古戦場から出た。
古戦場を抜け出し、数百キロ走った。
何処へ行くのかわからない。
走るうちに夜は、赤く染まっていき、立ち止まり振り返き、空を見ると月は、禍々しく生々しい血の赤に染まっていた。
――これは何かが現れる予兆か?
龍雅の予想は的中した。
後ろから、巨大な何かが落ちてきた。
振り向くと、複数の首を持つ大蛇である八岐大蛇がそこにいた。
再び空を見ると、高積雲が発生し、月光が叢雲に遮られる。
八岐大蛇は、酒に酔っていない。
素面の状態だ。
強い酒など無い。
神話のように眠った状態ではない。
今こそ神話を越える時。
八岐大蛇は、全ての首から万物を破壊するような大咆哮を発すると、龍雅に襲いかかって来た。
龍雅は、すぐさま時間停止し、超加速するが、八岐大蛇の動きは止まっていない。
龍雅の着いて来ている。
――時間停止は、無意味と見た。ならば、鎧を纏うか…
龍雅は、魔王の鎧を纏い、更に影を魔王の鎧の黒の部分と同化させ、剣を虚空から取り出した。
――さて、これで俺の戦闘力は3倍に上昇した。やるか…
龍雅は、八岐大蛇に対して攻撃を仕掛けるが、弾かれた。
大蛇の持つ強靭な鱗に弾かれたのだ。
――なるほど、ならば雷はどうかな? 俺の雷は、インドラに匹敵する。
龍雅は、八岐大蛇に対し、雷撃を放つと、八岐大蛇は、雷撃を超高速で回避した。
――インドラは、スサノオと同一とされる事がある…もしかするとこの大蛇…ヴリトラの性質を持っているのではないか? ならば…
龍雅は、剣に雷を纏わせ、大蛇に斬りかかる。
大蛇は、雷を見ると大蛇は、万物を切り裂くような水流を放ち、始める。
水の温度は、超低温で液体窒素そのものだ。
龍雅は、水流を鎧で弾き返し、そして雷の纏った剣で斬撃を加えると、大蛇は怒り、龍雅の反応速度を超える速度の攻撃を仕掛けてきたが、跳ね返され、再び大蛇が攻撃すると、鎧の防御性を無視して龍雅に攻撃し、龍雅は10km吹き飛ばされるが、龍雅は空気を蹴り、そして槍を作成し、雷撃を纏った槍を大蛇に向かって放つと、大蛇の体に刺さり、槍に宿った雷撃は、放電し、大蛇に大ダメージを与えると、大蛇は、倒れた。
――まだ生きているな…今の内にとどめを…
龍雅が、そう思った瞬間、炎が龍雅の体を通り抜けた。
人肉の焦げる臭いがした。
とてつもない熱さと痛みを感じた。
身体を見ると、腹に焼け焦げた穴が開いていた。
――誰だ?
後ろを振り向くと、太陽が昇っているのが、見える。
夜明けだ。
いや、違う。
あれは、太陽ではない。
太陽に似た何かだ。
太陽から何やら殺意を向けられている。
――あれは…まさか…
百鬼夜行の終焉。
妖怪の中の王。
太陽の姿をした最強最悪の球体の妖怪。
――空亡…!!
禍々しい紋様の太陽が現れた。
大きさにして月と同等。
温度にして太陽と同等。
空亡は、龍雅に対して星空のような無数の炎の弾幕を放つ。
炎の一つ一つが熱く龍雅の炎の二倍の熱だ。
大蛇は、空亡から発せられる熱で目を覚まし、龍雅に攻撃を再び仕掛ける。
――チッ、大蛇も目を覚ましたか…!! 仕方ない…アレを使うか…
龍雅は、紅き戦士第二形態に変身し、戦闘力が飛躍的に上昇した。
――よし、倒す。一刻も早く倒す。
龍雅は、大蛇の尻尾を掴み、振り回す。
「空亡に焼かれて死ね! 大蛇!!」
龍雅は、大蛇を空亡に向かって投げ、大蛇は空亡に飲まれ消えた…が、空亡の様子が急変した。
空亡は、球状の状態から多頭蛇の姿へと変わっていく。
ついには、超巨大な炎の大蛇と化した。
「一体化した!? まぁ、いい…これで二体倒す手間が省けたって訳だ。」
――しかし邪眼が通用するかわからないな…でも、やるか…
龍雅は、大蛇に攻撃を仕掛ける。
だが、空亡は、高エネルギー体が意思を持ったような存在。
ただの攻撃では、逆に吸収されるだけだ。
――冷却か…エネルギーを奪えばいい…或いは、逆に炎を与え続けてオーバーヒートさせるか…否、その場合は、超新星爆発を超える熱量と有害物質を撒き散らす事になる…鎧が耐えきれるかどうか…いや耐えきれない。空亡の攻撃は、鎧を貫通して攻撃してきた。やはり冷却か…
龍雅は、大蛇に向かって絶対零度の冷気を放った。
しかし、空亡にダメージはない。
寧ろ、黄色から緑色に変わっていっているように見える。
――黄から緑…若返っている。最初から使うべきだったのかな…? これを…
龍雅は、解体を放つと空亡は、無数に分裂した。
――ダメか…だが、これでエネルギー量が減った筈だ…ならば、邪眼だ。
龍雅は、目を破滅の邪眼へと変え、無数に分かれた大蛇を全て捕捉すると、大蛇は、消滅した。
大蛇が消滅すると、炎を纏った刀と扉が現れた。
龍雅は、刀を持ち、扉を開くと、再びあの城へと戻っていった。
――ふう…次は、何処だ。
龍雅は、城の中を進んでいく。
次の扉の場所へと。




