第伍拾斜話《EXLoop: Ninetieth 極限の無理ゲー》
999回…時間にして九十年ほどの長い歳月だ。
通常の人間では、精神状態を保っていられないだろう。
元より、彼の精神は狂っている。
狂っている彼には、精神崩壊など起こり得る可能性など低い。
彼の精神が崩壊するのは、自分の死ではない。
恋人、友、家族の喪失だ。
ここには、友がいない。
ここには、恋人はいない。
ここには、家族はいない。
この危険な異世界にはいない。
いや、一人だけがいる。
だが、その一人はこの世界を統べる存在。
この世界で、彼女が死ぬ事など無い。
それがわかっているだけで龍雅は、精神が崩壊する事など無い。
龍雅は、もう一人の自分と相対している。
「行くぞ…」
龍雅は、鎧からいつも着ている服に着替え、時間を停止し、白黒の龍雅に向けて駆ける。
⦅自殺行為か? まぁ、良い…やるか…⦆
白黒の龍雅は、龍雅に向けて猛攻を仕掛けるが、龍雅は、最低限の動きで白黒の龍雅の動きを回避し、龍雅に一撃を加えると白黒の龍雅は、体に大きな穴が開き、大きく吹き飛ばされた。
⦅!?…何かが可笑しい…⦆
白黒の龍雅は、龍雅の攻撃を受けて驚愕し、後ろに下がる。
⦅いや、簡単な事か…エネルギー集中を常時使っている…常時使っているだと? それだと、奴の魔力は…いや、それだけではない…右腕の鎧の一部…あれは、乱数調整を司る場所…なるほど、防御性を捨てて速度でやって来るか…まぁ、いい…ならこちらも使わせてもらうとするか…⦆
白黒の龍雅は、エネルギー集中を使い、龍雅に攻撃するが、龍雅は、白黒の龍雅の攻撃を利用し、白黒の龍雅の攻撃のエネルギーを使い、ダメージを与える。
⦅まさか…極めたのか? この九十年の間、戦い続け、技を…⦆
「どうした? 俺? 動揺しているぞ?」
龍雅は、投擲される剣、向かってくる全てを投げ返す。
⦅いいだろう…⦆
白黒の龍雅は、龍雅の後ろに瞬間移動し、攻撃を仕掛けようとすると、龍雅は回避する。
龍雅二人は、高速戦闘を開始する。
龍雅は、地獄の様な連続攻撃を回避しながら攻撃する。
白黒の龍雅は、解体と幻想封縛を解禁し、織り交ぜながら攻撃する。
使わないと発言していたが、龍雅の戦い方が変わったので、慢心など出来なくなったのだろう。
龍雅は、全ての攻撃を回避しながら白黒の龍雅に持てる全てで攻撃する。
龍雅の全攻撃に慌て、荒く避ける白黒の龍雅、白黒の龍雅の全攻撃を冷静に的確に回避する龍雅。
戦力的には、白黒の龍雅が優勢だが、余裕があるのは、龍雅の方だ。
龍雅は、回避しながら徐々に接近していき、手が届く距離内に入ると、白黒の龍雅を掴み、手に解体を纏わせ、白黒の龍雅の頭を掴み砕き、一度死んだ。
それからも龍雅は、有利的に戦い6回、白黒の龍雅を殺した。
「どうした? これで終わりか?」
『いいや、まだだ…後、三回残っている…全ステータス極超上昇を付与!』
白黒の龍雅がそう言うと、凄まじい闘気に身を包み、消えると龍雅に強烈な一撃によって龍雅は死んだ。
龍雅は、復活すると白黒の龍雅は、手に解体を纏わせ、接近攻撃を行ってくる。
龍雅も、手に解体を纏わせ、クロスカウンターを決め、互いを殺す。
――そろそろ使うか…こいつが言っていたあの力を…
龍雅は、復活すると力を籠め、力を解き放つと結界が張られた。
『覚醒したか…ブレイブジェノサイダーツヴァイに…いつ覚醒した?』
「五百回くらいループした時、地獄で覚醒した。」
『なるほど…では、俺もそうするとしよう…』
白黒の龍雅も力を籠め、力を解き放ち、結界を張り、結界が二重に重なった。
「では、再開しようか…」
能力無効化の空間の中、二人は戦う。
――無数の武器が散らばっている…これで回復しながらやるか…
龍雅は、散らばった武器を吸収し、全能力を上昇させ、攻撃する。
第二覚醒状態、同等の力を持つ為、解体の能力が無効化されているのに気付くと両者、解体の能力を消し、肉体で戦い合う。
白黒の龍雅は、龍雅に攻撃を与えようとするが、龍雅は当たる前の一瞬に回避し、白黒の龍雅に攻撃を命中させる。
白黒の龍雅の攻撃は全て回避される。
龍雅の攻撃は、白黒の龍雅の急所に全て命中する。
白黒の龍雅は、追い詰められ、そして頭を取られ死ぬ。
復活すると、高速戦闘を開始する。
高速戦闘は、一周間続いた。
龍雅は、白黒の龍雅を1になるまで殺し続けた。
『それそれ本気を出すか…。』
「何? まだ本気を出していなかったのか?」
『あぁ、そうだ…そしてチャンスをやる。俺にたった1回だけ攻撃を当てる事が出来れば、ここを通してやろう。』
「…それは、俺を嘗めているのか?」
『いいや、お前の実力は認めているとも…だが、本気の俺は、お前の遥か上の実力を持っている。それに知っているか? あるゲームでは、たった一発で死ぬのにどんな攻撃も通用せず攻撃性が凶暴な奴がいるって事をな。』
「まさか…」
『弾幕シューティングフォーム…これで俺のHPは、1…赤子でも倒せる体力になったが、回避力と戦闘力、主に射撃能力の性能が上昇した。』
白黒の龍雅は、空に手を向けると、黒い水滴が白黒の龍雅の手に落ちた。
『そしてこれで戦闘力をあげる。』
白黒の龍雅は、虚空から大きな杯を取り出し、杯に水滴を入れると、杯から黒い液体が溢れ始め杯に満ちると、白黒の龍雅は、液体を飲み干し、そして空から黒い液体が白黒の龍雅を包み、黒い液体は、黒い服とかした。
『これで俺の全能力は15倍に上昇した。さて、これで最後に取り掛かろう…チート付与…レベル999…そして全攻撃即死付与…更に全攻撃全属性付与、ブレイブジェノサイダー・ザ・ワールドデストロイヤー解放…』
白黒の龍雅の戦闘力は、上昇し、結界が強まり、龍雅の能力が無効化され、時間が強制的に動き、龍雅は、空間に蓄積したエネルギーによる爆発によって死んだ。
『以降…俺が残機1になるとこの状態に移行する…この状態は、今ばネタバレというもの…本当は明かしてはいけない…お前の運命に置いて重要な要素になる遥か先の未来で得る力なのだが…俺を本気にさせたお前が悪い…ネタバレなんてどうでもいい…俺は、お前を殺す。何度でもな…一万一億一兆一京一垓…お前が精神が擦れきれようと、お前を殺す…前にも言ったように俺を超える事が出来なければ、俺の妹には、勝てない。現在のお前に残された力は、紅き戦士と時間逆行と復活機能のみ…時間が戻るまで力は戻る事はない…さぁ、始めるぞ…』
白黒の龍雅がそう言った瞬間、白黒の龍雅の髪は逆立ち、両目が破滅の邪眼と化し、周りにあった物質、いや空間ごと白黒の龍雅によって破壊され、白黒の龍雅の周辺100m範囲内のあらゆる存在は、白黒の龍雅以外存在しなくなった。
真の戦いは始まった。
時間が動き、エネルギーの爆風で龍雅は一度死んだ。
龍雅は、白黒の龍雅に攻撃する為に、白黒の龍雅の至近距離で復活するが、復活した瞬間、龍雅は、死んだ。
死んだ。
また死んだ。
圧倒的な戦力差で龍雅は死んだ。
これほどに差が出るワンサイドゲームなど無い。
まるで最強のデータを持つ主人公が、最初のステージの雑魚に勝負を仕掛けているようだ。
無装備かつレベル1の主人公が、負けイベントのボス又は、設定上では極限にまで鍛え、最強装備を身に着けた主人公でしか倒せない裏ボスに挑んでいるようだ。
無理にも程がある敵。
龍雅は、一気に形成を逆転され、10回死に、またあの場所へと戻された。
――黒い液体…もしかしたら…あれがあれば…
龍雅は、地獄エリアまで一気に進み、また龍雅の場所へと至った。
――さて、一体でも取り込むか…
龍雅は、禍々しい闇の柱の中、影人形を倒していく。
――もしかしたら…
龍雅は、核を露出した影人形の核を食べた。
――これは…体から力が湧き上がってくる…そうか…これでもいいのか…
龍雅の力は、上昇し、そして影人形の殲滅を再開する。
全て殲滅すると、白黒の龍雅が現れた。
『なるほど、俺からアレを取り込むという事を学び、フラグメントクレイドールの肉を喰らったか…』
「そうだ。お前のおかげだな…」
『では、早速…俺も取り込んでからするとしようか…』
白黒の龍雅が、空に手を向けると黒い液体が落ちてくる。
龍雅は、すかさず液体に向かって突撃すると、黒い液体は龍雅の身に纏わり付き、液体は、黒い服へと変わった。
『そう来ると思ってたぜ。まぁ、お前にやるつもりだったんだが…では、改めてするとしよう。』
白黒の龍雅は、黒い液体を飲むと同時に黒い液体が白黒の龍雅を包み込み、黒い服を纏った白黒の龍雅が再び現れた。
『…来い…』




