第肆拾玖話《EXLoop:Tenth 紅炎の影》
――さて、決着を着けよう…偽の紗里弥!!
龍雅は、大剣の弾幕を紗里弥目掛けて放つと紗里弥も、炎と氷の弾幕を放ち、そして二人は、弾幕を潜り抜けながら両者激突し、衝撃波で龍雅と紗里弥以外の周りの存在は、全て吹き飛ばされ、空中分解し、二人を取り囲むように炎が爆発する。
二人は超高速戦闘を再開し、互いが衝突する度に大気が揺れる。
この戦闘が地球で起こっていたとしたならば、一回の衝突で生じた衝撃で街一つは滅んでいるだろう。
――そろそろ形態を変えるか…
龍雅は、高速で後ろへ下がった。
――スタイリッシュアクションモード…
龍雅は、心の中でそう言うと、龍雅の様子が変わり、力に満ち溢れ始め、龍雅は、拳に力を籠める。
――スタイリッシュアクションモード…敵を薙ぎ払う戦闘形態…獲得経験値が少なくなるが、戦闘力が飛躍的に上昇する形態…これでやってやる…
龍雅と紗里弥が、三度衝突する。
三度目は、体感時間にして数時間の程、高速戦闘が続いた。
傷一つ付ける事が出来ない。
常に防御無視の攻撃を与えているにもかかわらずだ。
そもそも攻撃が効いているかわからない。
何故なら、紅き戦士になってから紗里弥は、怯んでいない/損傷がないからだ。
損傷がないように見えるのは、敵の姿が真っ黒だからかもしれない。
それでどうという事はない。
影人形にとっては、ただの軽傷…いや、かすり傷に過ぎない。
影人形にとっては、かすり傷などすぐに再生するほんのちっぽけなダメージに過ぎない。
だが、攻撃を与え続けていれば、いつかは倒せる。
龍雅は、最初の異世界で相対した奴らとの戦いを経験して学んだ/思い出した。
常時防御無視攻撃による攻撃でダメージを与えていく。
攻撃を受け、傷付くと、龍雅は、すぐさま後方へと下がり、龍雅の中に内包する存在をすり減らし、傷付いた体と鎧/消費したMPを回復する。
鎧の電力が減り、内包する存在をすり減らし、電力を溜める。
その動作を繰り返し、徐々にダメージを蓄積していく。
――いつかは勝てる…いつかは怯む…いつかは傷を負う
龍雅は、そう思いながら攻撃を続ける。
龍雅の体にもダメージは蓄積していく。
だが、それで怯んでいて/逃げていては、紗里弥には勝てない。
紗里弥は、右半身に冷気、左半身に熱気を纏わせ、龍雅の体を痛めつける。
龍雅の体は、切り傷、凍傷と火傷で傷付き、そして再生する。
――そろそろ決着を着けるか…攻撃力更に上昇…
龍雅は、自分の攻撃力を現在の攻撃力限界値まで上昇させ、紗里弥に渾身の一撃を数発放った。
――さて、時間を動かすか…時間を動かした時に生じるエネルギーを受けるがいい。
龍雅は、時間を動かし、辺り一帯に無数の暴熱風と衝撃波が発生し、白亜の世界を飲み込み、光の柱の外まで衝撃波と熱風が広がり、衝撃波が溶岩地帯を大きく抉り、熱風が溶岩を大きく吹き飛ばし、溶岩の大波を発生させる。
風が止み、風によって飛ばされた溶岩の後を埋める様に、地下から溶岩が湧き出て、元の溶岩地帯へと戻った。
一方、光の柱の中、白亜の空間では…
――希望的観測か…肉体に大きな損傷を与える程度とは、火力が足りなかったか…
紗里弥の影人形は、体に大きな損傷を負い、常人では目にも止まらぬ速度で再生していく。
龍雅は再び時間を停止し、体が完全に再生する前に、影人形に攻撃を与え、再生を妨げ、再生速度を常人で捉えられる限界速度にまで抑えつつも、倒そうとする。
勿論、影人形が再生している間に、龍雅に為すがまま攻撃されている訳でもなく再生を妨げる龍雅に対して物理法則の通用しない少女の姿を模した怪物/贋作だからこそ出来る不可解な攻撃を龍雅に与え、再生を妨げる外敵を排除しようとする。
――クソッ、一発一発が痛えな…
不可解な攻撃一発一発、受ける痛みは鋭く重く人一人が経験する痛みを濃縮した激痛が龍雅の体に響く。
――破壊力は無いが、感覚に直接与える攻撃のようだな…なるほど、俺をショック死させる気か…思うが、このエリアのボスから強さが格段に上がっていやがる。
龍雅の体は、不可解な攻撃による激痛で倒れようとしている。
だが、それでも攻撃をやめない。
残りライフは9。
彼は、死んでもまだ立ち上がれる。
ライフの一つ惜しくはない。
寧ろ恐れて逃げると、ライフが余計に減る気がする。
龍雅は、そう思い攻撃し続ける。
だが———その攻撃は、無意味だった。
――!?
龍雅の口から何かが吐き出される音がした。
それは、真っ赤な真っ赤な鉄の匂いがする液体。
血だ。
龍雅の口から血が流れ始める。
だが、龍雅は動揺せず攻撃をし続けるが、体から急に力が抜け、攻撃を受け倒れた。
――蓄積されたダメージと激痛…そしてこの相手がこの状態になり、回復を怠った怠惰が招いた結果か…
その隙に影人形は、龍雅を再生しきっていない体を利用し、触手のように龍雅の体を掴み、龍雅を地面に強く叩きつけ、そして投げ飛ばすと、時間が動き、暴熱風が吹き荒れるが、暴熱風は、前よりも勢いがない為、少しの損傷を受けるだけだった。
影人形の体が完全に再生し、紗里弥の姿へと戻ると、龍雅の元へ翔け、龍雅の体を蹴り始め、鎧を貫き、血肉を氷の棘を纏った足で、抉り始める。
龍雅は、激痛で苦渋の表情を浮かべる。
血が体から噴水のように噴出する。
体が壊れていく。
数秒前とは思えない有様だ。
――クソ…
龍雅の意識は朧気になっていく。
龍雅の思考は、再生のみに集中する。
――早く回復しなければ…
攻撃されつつも再生、龍雅は、紗里弥を跳ね除ける為、剣を出現させ、紗里弥に向かって放つが、全くもって効いてはいない。
影人形には、跳ね除ける手段が有った。
だが、龍雅にはその手段はない。
ケアリングを使った再生は、影人形よりも遥かに速いが、回復時に一瞬の隙が生じる。
龍雅は、回復しようとしているが、体が動けない状態で隙を突かれて回復しようもない。
――諦めるしか…いいや、まだある筈だ。一つ試すか…こんな攻撃効く筈も無いと思うが…威力は無くとも飽く迄、遠ざける為だ。もしかしたら受け止められるかもしれないが…やっているか…
龍雅は、指を僅かに動かし、巨大な鉄柱を紗里弥目掛けて超高速で放ち、紗里弥は、鉄柱に当たったと思ったが、紗里弥は、鉄柱を片手で止めた。
――クソ…このまま武器にさせてたまるか…
龍雅は、鉄柱を分解するのと同時に自分の体と鎧を再生すると、影人形を蹴飛ばし、顔についた自分の血を手で拭き取る。
――捨て身の覚悟でやるか…
龍雅は、手にエネルギーの刃を纏わせ、全ステータスを限界まで上昇させ、時間停止し、紗里弥の姿を模した贋作を切り裂こうと空へと翔る。
紗里弥は、空中で体勢を立て直し、向かってくる龍雅に向かって無数の氷の剣や槍、炎の弾幕を放ちながら炎を纏い、迎え撃つ。
龍雅は、炎の弾幕と氷の武器をエネルギーの刃で切り裂いていきながら進んでいく。
炎の弾幕を斬る度に、エネルギーの刃は肥大化していく。
龍雅は、紗里弥の元に辿り着くと、肥大化したエネルギーの刃の威力を増幅し、そして圧縮させ影人形の頭を切り裂き、弱点を掴み、潰した。
――やっと終わった…
龍雅のレベルが上昇し、戦闘力が増幅した。
白亜の空間は消え、再び灼熱の地獄へと戻る。
――さて、行くか…
龍雅は、灼熱の地獄を立ち去って行った。
――あそこが、地獄エリアか…
龍雅は、谷にかかる半透明の虹色の橋の下に存在する地獄エリアを覗き込んだ。
地獄エリアには、猛毒の大海原、禍々しい煉獄、全てを凍らせる凍結地獄など、一般的に考えられる地獄が全て存在している。
龍雅は、鉱山エリアまで続く大橋を地獄エリアを渡っていく。
――さて、次の敵は何だ?




