第肆拾参話《EXLoop:forth 神器遊戯》
「そう、私です…兄さん…いいや、こう呼んだ方がいいかな? お兄ちゃんって…」
「どうしてお前が…あの時、お前は…」
「死んだ筈ですか…酷いですね…私は、この通り生きている。私は、この通り存在している。私という存在は貴方の目の前にいる。」
宮弥は、胸を軽く叩き、手を広げた
「さて、お兄ちゃん? 貴方の力は、私、いや…俺をどれだけ楽しませてくれるか…確かめさせてもらいますよ。」
宮弥は、そう言い、指を鳴らすと、周りの光景が変わり、太陽の代わりに青い巨大な月が存在する昼間の様な青空に無数の銀河や星々、星雲が浮いている不思議な空間へと移り変わった。
天国と地獄と無数の神々しい神殿と禍々しい城と無機質な近未来の巨大都市が砕け、辺り一面にその破片が浮いている。
この空間の奥底には、青々とした草原が広がっている。
この空間の頂点には、黒い渦が星々と雲と破片を放出している。
空間の所々が破れており、破れている所には、白い渦が星々や雲と破片を吸い込んでいる。
龍雅は、斜めで空中に浮いた1km程の高さの超高層ビルの窓の上で、この空間の光景を見てクククと笑っている。
「戦いに相応しい異世界だな。」
龍雅は、後ろを振り向くと、宮弥は地上に降り立った。
「ここは、今、俺が創造した異世界…この世界の面積は、土台と併せると太陽系と同じ…銀河や星の大きさは、縮小化させてもらった…これだけ広ければ、どれだけ暴れても問題はありません。では、早速始めましょうか…この広大な世界で!」
「あぁ、いいぜ。こっちも戦う準備は出来ている。行くぜ! 我が妹よ!」
「さぁ、行きますよ! 兄さん! 言っておきますが、俺を倒さないとここからは出られませんよ!」
宮弥は先手を切り、龍雅の体を蹴って吹き飛ばす。
龍雅は、地下10階の時点で止まり、ビルを走って登っていく。
宮弥は、龍雅がこちらに向かってくる姿を見て龍雅に向かってルーン文字が書き込まれた槍を複数射出する。
龍雅は、槍を避け、剣を二本生成し、宮弥に向かって走っていくと、宮弥は、合図を出し、毒々しい矢が雨の様に降り、龍雅は、矢を避けると、次に炎の翼を持った矢の雨が降り、矢が着弾すると、超巨大な爆発が連鎖的に発生し、爆発はビルを飲み込み、龍雅は焼け死んだ。
(まずは、道具遊びと行きましょうか…さて、兄さんはグングニルを避ける事が出来るでしょうか…)
――クソ…
龍雅は、落ちながら復活し、空中に浮き、宮弥の元へ空を駆ける。
ふと、何かが追いかけてくる音が龍雅の耳に入ってくる。
――!?
数本の槍は、龍雅を高速で追いかけてくる。
まるで、蛇の様に、ミサイルの様に
――槍に描かれていたルーン文字、追いかけてくる槍…まさか…グングニルか!?
龍雅は、追いかけてくる神の槍を高速移動で躱し、向かってくるグングニルを受け、複数回死に、立ち上がると、体に刺さっていたグングニルは全て宮弥の元に戻り、消えた。
――投げると勝利を齎す魔術神の槍…
「次は、レーヴァテインでいいか…」
宮弥は、異空間から、巨大な炎を纏った木の大剣が現れた。
「させるか!」
龍雅は、宮弥の右腕を分解しようとするが…
――何!? 解体が効かないだと!?
「喰らいなさい。」
宮弥は、長さを地球と同じ大きさ程に伸ばしたレーヴァテインを龍雅の目に見えぬほど速度で振るい、全てを分解する程の熱を持つ炎で、龍雅を消滅させる。
龍雅は、すぐに復活し、宮弥に向けって空を翔ける
――クソッ、どうなっていやがる…解体が効かないなんて…
「おや、今解体が効かないと思いましたね…そうです、俺は、弱者の異能が効かない体質になっていますから、肉体による攻撃しか通用しませんよ。」
「チッ…という事は、俺の能力は無意味という事か…」
「そうではありませんよ。貴方自身を強化すればいいのです。俺ではなく私以外の存在に干渉する能力…決して貴方の能力が無意味とは言っていませんよ。要は、俺に対して能力を使わなければ良い話なのです…ただ防御用能力は、貫通させていただきますけどね。一部例外はありますが…ちなみに俺の強さは、貴方の言い方だとレベル150…異能や道具にかまけている所為で、レベルが全盛期からちっとも変わってはいない…もしかしたら倒せるかもしれませんよ?」
宮弥は、そう言い、フフと笑う。
「そうか…なら、勝てる見込みありか…」
龍雅は、宮弥に向かって空を駆ける。
宮弥は、煌びやかな剣を取り出し、龍雅に向かって投擲すると、剣は、龍雅に向かって一人でに襲いかかり始めた。
――北欧神話…勝利の剣か…
龍雅は、光帯を避けると、今度は数百万の光の剣と神槍と煌びやかな剣が射出され、その全てが龍雅に向けて放たれ、ミサイルの様に龍雅に襲いかかる。
――クラウ・ソラス、グングニル、勝利の剣の三種混合か…
龍雅は、神槍と光剣を分解していき、分解しきれない剣と槍は、防御する事で無効化し、時に反射し、武器の一部を宮弥に標的を変える。
途中で、防御は崩れるが、自分に速度上昇をかけ、防御する速度を高める。
標的が変えられた武器は、空間の穴に吸い込まれていく。
(さすが、兄さんだ。この数百万の攻撃を…)
――よし、行けるぞ!
龍雅は、剣と槍からの攻撃を受け、何度も死に、無数の攻撃を防ぎ、宮弥の元へ近づいていく。
(けれども…)
龍雅が、あと一歩届く所で、宮弥は、三叉槍を取り出し、龍雅の体に突き刺すと、超新星爆発並みのエネルギーを持つ光線が槍から放たれ、龍雅の体は、一瞬にして消滅し、ビルのあった場所で復活した。
――あれは…一体…三叉槍…あの破壊力…そうか…トリシューラか…
龍雅は、特徴に該当する槍を思い出し、冷や汗を掻く。
(さて、そろそろ…道具遊びも少し飽きて来たから俺の力の一端を見せますかね…)
宮弥は、そう思い、時間を停止する。
――時間を停止したのか!?
翔妃は、龍雅に向かって煌びやかな剣、勝利の剣を持って龍雅の元に近寄ってくる。
――ならば、こっちも…全ステータス上昇!
龍雅は、全能力を飛躍的に上昇させ、鎧のボタンを押し、宮弥の元へ翔る。
(なるほど、高速化する事で、時間停止を抜け出しましたか…)
――素粒子は、有り余るほど存在する。忘れていたが、俺の能力は、いいものばかりだ…やってやる。ここからは、時間が停止した世界でバトルだ!
(そろそろ道具遊びも終わらせて体を動かしますか…)
宮弥と龍雅は、時間が停止した世界で戦闘を開始する。
宮弥の眼は、紅い闘気を身に纏った。
龍雅は、高エネルギーの液体を口の中に含み、剣を生成し、剣にMPを乗せたエネルギーを纏わせ、剣を打ち合い始め、世界に衝撃波が響き始める。
両者一歩も引かない。
宮弥は、瞬間移動、龍雅は、高速移動で、両者、追いかけ、逃げの繰り返しながら戦う。
宮弥の攻撃は、鎧の能力を無視して攻撃してくる為、自分の攻撃の反動を防ぐ以外に効果が発揮されていない。
龍雅は、MPが無くなり始めると高エネルギーの液体を飲み込み、MPを補充し、強化効果を続行する。
宮弥は、後方へ瞬間移動し、剣を振るうと、空間が大きく切り裂かれ、空間の裂け目が発生し、裂け目は、ゆっくりと万物を吸い込みながら少しずつ閉じて行く。
(裂け目にゆっくりと引き寄せられる…)
龍雅は、体が裂け目に引き寄せられる感覚を感じ取り、裂け目から遠ざかると、宮弥は、龍雅の後ろに瞬間移動し、蹴り飛ばし、龍雅が向かって行く先にブラックホールを配置した。
――ブラックホールか…ならば…
龍雅は、咄嗟にブラックホールに向けて解体を発動し、そしてブラックホールだったものは、数億の大剣に変わり、放った。
――ブラックホールの質量は、天文学的な質量を持つ…つまり膨大の質量を持つという事は、膨大なエネルギーを持つ…その質量をエネルギーに変換し、その膨大なエネルギーから物質を生成する…
宮弥は、向かってくる無数の剣を目にすると、空間の所々に、空間の穴が出現し、剣を吸い込んでいく。
――かかったな!
龍雅は、剣を吸い込んでいる間に、龍雅は、宮弥の後ろに回り込み、宮弥の体を地面に叩きつける。
余った剣は全て自分のポーチにしまい、地上に降りた。
宮弥は、口を拭き、立ち上がりクククと笑う。
「なるほど、物理法則を利用した攻撃か…更に、ベクトルによって生じる反動を攻撃に利用して無反動攻撃…極星院と龍雅の力を以てして生まれた戦法か…やりますね…」
「お前も、その力、まるで本気を出した俺の親父みたいだな…」
「その内、貴方もこの力を手に入れる時が来るはずですよ…俺と父さんと同じ能力…紅き戦士にね…この力は、素晴らしいですよ…この戦いの間に手に入れる事が出来るかもしれませんがね…」
「フッ、そうか…」
「では、今から地上戦と行きましょうか…」
宮弥は、そう言い、戦場は、空中から地上へと移り変わる。
龍雅と宮弥は、殴り合い始める。
殴り合うごとに、地面が崩れていき、龍雅の拳から血が噴き出してくる。
(一時の夢を見せるのも、これくらいにしておきますか…)
宮弥は、指を鳴らすと、鎧に通っていた電力が切れ、そして龍雅の動きが止まった。
——電力とMPが切れただと…!?
「さぁ、自分が起こした地獄に苦しみなさい。」
宮弥は、一瞬にして遠くへと瞬間移動し、時間を動かすと超新星爆発並みのエネルギーを持つ熱風が吹き荒れ、龍雅は、一瞬にして消滅し、爆心地で復活した。
世界は、一瞬にして復元された。
「その程度ですか…貴方の実力は、まぁ、少しは楽しめましたがね…」
「何だと?」
「何故、俺が未来予知などの能力を使わなかったか…わかりますか?」
「何でだ?」
「弱いからですよ…そうだ…このままだと本気の勝負が出来ませんから、この世界を創り直しますね…少し目を瞑っていてください。」
宮弥は、指を鳴らすと、世界全体が真っ白になり、龍雅は目を瞑り、しばらく経つと、宮弥が目を開けていいですよと言い、龍雅が辺りを見回すと、世界の所々に、光の柱が出現し、世界の中心に巨大な虹色の光柱と巨大な光柱の周りを覆う結界が現れ、龍雅の後ろに一つの近未来的な小屋が出来た。
「今、十回死ぬと時間が戻るように設定し、小屋以外の場所は、セーブ出来ないようにしました。後、貴方の飛行能力に、制限をかけました。さぁ、俺の元まで来てくださいね…兄さん…後、全ての光の柱にいるボスを倒さないと私の場所には辿り着きませんよ。では、また…」
宮弥は、そう言い、その場を瞬間移動で立ち去る。
「俺を弱いと言った事、後で後悔させてやる。」
龍雅は、そう言い、小屋の中に入って行った。




