第参拾捌話《第二の輪廻 ~虎太郎と香織 下~》
虎太郎と香織は、互いにドライアイスの弾幕を張り、二人は弾幕を避け、瞬間移動で、高速移動し、そして互いの拳と足をぶつけ、後ろに引き下がり、虎太郎は、手と足を抑えた。
(…香織の能力を全て模倣したから手数は俺の方が上だが、香織の力の方が俺を上回っている…総合的に見て、互角だな…ここは…あの時模倣した能力で行くか…)
虎太郎は、香織の純粋な戦闘能力が自分よりも上である事を察し、手数で決める事にした。
(時間遅延…)
(時間遅延? いったい何を…)
虎太郎がそう思うと、時間の流れがコマ送りの様に遅くなり、虎太郎は香織の後ろに回り込んだ。
(速い…!)
香織からの視点では、虎太郎が高速に動いているように見えており、動きを捉えきれない。
(仕方がない…冷静になって未来を予知するか…)
香織は、虎太郎の動きを未来予知と読心能力で予測し、虎太郎に攻撃を当てると、虎太郎は高速で後方へと吹き飛び、空中で止まり、雷撃を放ち、そして香織の後ろにナイフを数十本生成し、電撃とすれ違いざまになるように放った。
香織は、電撃とナイフの動きを予測し、的確に避け、投擲されたナイフを持ち、瞬間移動で虎太郎の後ろに回り込み、虎太郎の体に刺した。
(未来予知か…なら、こちらも…)
(虎太郎も未来予知を…!?)
二人は、常人では捉えられない瞬間移動による高速戦闘を開始し、双方数秒後の未来を視ながら読み合い、一進一退の攻防を繰り広げる。
数秒後の虎太郎/香織の動きを予測し、攻撃しながら避ける/避けながら攻撃する。
虎太郎は、殺す気はない。
だが、香織は殺す気だ。
威力は違う…香織の方は、虎太郎を上回る力でいて殺す気でやっている為、虎太郎の戦闘力では歯が立たない。
流れ弾で、廃工場は、壊れていく。
流れ弾で、次々と兵士達は死んでいく。
虎太郎は、死んでいく兵士達を見て、目を瞑ると、香織はその隙を狙い、虎太郎を炎と雷で焼き焦がす。
虎太郎は、地に墜ちたが、力を込めて立ち上がる。
「うふふふ…私よりも多い手数を持っていても、純粋の力には勝てない…更に、この服を装備していると私の戦闘力は倍増される。諦めて私に降参して、降参しなさい、降参しろ。」
「いいや、俺は負けねえ…俺とお前をこんな事から手を引かせる…俺はその為に、お前を無理矢理にでも連れて帰ってやる! 見ておけ俺の力はそんなもんじゃないってな!」
虎太郎は、自身に電流を流し、自分に時間を停止し、香織に何発か攻撃を与え、最後に四肢に強烈な攻撃を与え、時間を再生すると、香織は、時間停止中に受けたダメージを一気に受け吹き飛ばされるが、香織は、すぐに持ち直し、瞬間移動で虎太郎に接近し、ナイフを操り、四肢を切り裂き、そして蹴り殴り、そして首を掴み、肩を噛み付いた。
「あがあああああ!!!」
「フフフ…虎太郎の肉美味しいよ…フフフフ…」
虎太郎の肩は、噛み千切られ、香織は、虎太郎の肩の肉を咀嚼し、飲み込んだ。
血の甘ったるい匂いが、廃工場に充満する。
虎太郎は、自分の肩に緑色の光を当て、肉を再生する。
「俺の体を食いやがって…お前は、一体」
「虎太郎の体の一部を取り込み、虎太郎の肉を私の体で消化し、私と一体化する…考えただけでも興奮する…一つとなるのに単純なやり方…降参はしないのなら、そうするしかない…!」
香織は、戦闘服のボタンを押し、炎と氷の超強力な連続攻撃を虎太郎に、与え始めた。
一撃一撃が重く常人なら最初の一発で、死ぬだろう。
(…電力を使うか…)
虎太郎は、電力を使い、反射膜を張り、香織は、反射膜の覆った虎太郎に殴ると攻撃が反射され、後方に吹き飛んだ。
(電力ってこういう事ね…なら、こっちは…)
香織は、ナイフとマチェットを集め、熱し、赤く光り溶け始めると、ナイフ一本が消え、虎太郎がもがき苦しみ倒れた。
虎太郎は熱い苦しい痛いと苦言を繰り返し呟き、胸を抑え過呼吸状態でいる。
胸から、解けた溶鉄が胸を焼き、流れ出て、内臓と肉を焼き焦がしていく。
虎太郎は、為すすべも無く溶けた鉄に体を侵され、そして心臓に達した溶けた鉄は、血を沸騰させ、胸から蒸発していく血液が流れ始めた。
(俺はまた死ぬのか…)
虎太郎の意識は遠くなっていく…
虎太郎はやがて息絶え、そして無傷な状態となり復活した。
「クソッ…また死んでしまったか…」
(後一回復活できる…この一回で何とか…)
(なるほど、なぜ死んで生き返るのか…そういう事ね…それにあの反射膜は電力を使う…なら…)
香織は、虎太郎に向けてドライアイスをむやみやたらに生成、乱射し、ドライアイスは反射されていく。
(更にナイフを…時間差で出現させて虎太郎を後戻りできないようにするか…)
香織は、熱したナイフとマチェットを全て消し去った。
(同じ手は食らわん! 時間停止!)
虎太郎が、時間停止しようとすると、ナイフが現れる未来が視え、虎太郎はナイフを避け、その次にマチェットが現れる未来を視て、避け、全てのナイフとマチェットを避けて瞬間移動し、時間を停止し、虎太郎は、複数回攻撃し、時間を動かし、香織は倒れた。
「また…時間停止か…」
「俺は、散々龍雅に喧嘩に突き合わされた。俺を育てて遊ぶ為にな…俺がその気になれば、お前を殺す事が出来る…」
「育てて遊ぶ? どういう事?」
「つまり、俺を強くして戦うって事だ。俺は、ただその為に、強くなる。俺はさ…痛い目合うなら早くした方がいい…俺は、さっさと強くなってさっさと終わらせたいんだ。」
「断ればいいじゃない…」
「断る!? そんな事が出来ると思っているのか!? 俺は、頼まれた事を断る事の出来ない性格ってお前は知っている筈だろ!?」
虎太郎は、そう言うと香織は立ち上がって言った。
「…なら、じゃあ何で私の頼みを聞いてくれないの!? 私のモノになるって、私だけ見るって、私だけを…」
「なら何故! 俺に言わない!? 虎太郎の事が好きだと、何故言わなかった!? この事件が起きる前から! 龍雅は、俺に言ってくれた。お前を戦いで育ててから戦うという意味で遊ぶと! あいつは後でそう説明してくれた。だが、お前は、そうも言わずにこうやって…こんな事で伝えるのなら、やめてくれよ! それに、俺は、お前のモノになれないし、お前だけを見る事なんてできない…特に…そう…今のお前を見るなんて事は出来ない…今のお前の姿は、醜い…酷い有様だ。そんなの見る事なんて出来ない…」
「…醜い? この姿が?」
「そうだ。その恰好、そのやり方、今のお前が醜いんだ。俺の知っている香織じゃない…お前は誰だ? そんなのお前じゃない」
虎太郎は、今の香織を否定した。
醜いと、見るに堪えないと…
「なんで…何でそんなこと言うの? ねぇ…ねぇ…ねぇ!!」
香織は、瞬間移動し、虎太郎の首を掴む
香織は、虎太郎の電力を吸収していき、電流を帯び始める。
やがて、虎太郎の電力は無くなり、反射膜は取れ、虎太郎を地面に叩きつけた。
「これで終わりよ!!」
香織は、ボタンを連打し、拳に力を籠め、虎太郎に混信の一撃を与えた。
「ガハァッ…!」
虎太郎は、香織の渾身の一撃を受け、気を失った。
(クソ…ここで…終わらせたかったんだがな…)
「はぁ…はぁ…連絡しなきゃ…」
香織は、奈菜と同じくあのビルに連絡し始めた。
「はい、完了しました…わかりました…では…」
香織は、虎太郎を背負い、廃工場を出て本州へと向かい、ビルの屋上に降り立ち、エレベーターで地下に向かい、拷問室の様な場所へ行き、虎太郎を椅子に括り付けた。
(虎太郎…もうすぐ終わるからね…さぁ、もうすぐで私だけのものになる…私は虎太郎だけの存在になる…その前に、私の肉を与えなきゃね…)
香織は、自分の肉を噛み千切り、焼いて虎太郎の胃の中に転移した。
(これで私と虎太郎は、一心同体…フフフ…興奮してきたわ…)
香織は、そう思い、部屋から立ち去った。
後から、龍雅がやってきて龍雅も部屋に囚われ、括り付けられた。
龍雅は、虎太郎以外が居なくなるのを確認すると椅子を壊した。
「さて、殺戮の時間だ…」
指輪の水晶を押すと、魔王の様な鎧を一瞬で身に纏い、後ろを向いた。
「虎太郎、お前は休んでいろ…後は、俺に任せな…」
龍雅は、剣を複数生成し、臨戦態勢に入った。
(ここは…何処だ?)
虎太郎が目を開けると、凄まじい殺気を放つ魔王の様な姿をした龍雅が立っていた。
男が指を鳴らすと、虎太郎の体に異変が起こり始めた。
(体が勝手に…動く…俺の体は、どうなっている!!)
虎太郎は、罠を斬り、龍雅に向かって剣を向け、立ち上がる。
操り人形の様に虎太郎は操られており、虎太郎の意志では、体が動かなくなっている。
「すまない…罠にかかってしまった…龍雅…俺を…倒せ…」
(これが今の俺に伝えられる事…龍雅…すまない…余計な手間をかけさせるが…俺を倒してくれ!!)
虎太郎の意識は、途絶え、目から光が無くなった。




