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剣ヶ峰龍雅の欲望/Life.of.Predetermined:GreedDragon  作者: 六月不二
第2章《逆行編~Repeat.Time.Prison~》
42/222

第参拾玖話《第二の輪廻 ~輪廻の終わり~》

 黒く禍々しい闘気を纏った龍雅は、黒幕の男に向けて殺意を表す。

 男は、龍雅の姿を見てこう思ったのだろう。

 この少年は、魔王だと。

 この状況を招いた自分を呪うだろう。

 かつて自分のボスが言っていた。

 奴は、世界を滅ぼす悪魔だと

 そんな悪魔が自分に向けて殺意を向けている。

 恐怖でしかない。

 絶望でしかない。

 逃げたい逃げたい逃げたい。

 だが、退ける筈も無い。

 この命令は、絶対だと…この命令に逆らえば、自分の命はない。

 けれど、勝ち目はない。

 男は、悟った。

 自分の運命は、今途絶えたと…


 (はぁ…遺書を書いてから来ればよかった…けど、もう遅い…)


 生きるのを諦め、無数の兵士と三人の能力者を操り始めた。

 まるで、最後の曲を奏でる奏者の様に…


 (今更戻っても、俺は処罰されるだけだ。死という処罰を…俺の代わりには、他にでもいる…思念系能力者など他にもいる…俺がいなくなったところで、計画に揺るぎはない…ならば、俺は、龍雅に抗い残そう…俺は生きた印を…)


「ハァ!」


 龍雅が、叫ぶと、鎧に濁った血の様な赤黒い光のラインが走り、龍雅の体に一瞬何かを纏い、毒炎と雷電を投げ、兵達は、電撃と毒炎に体を侵され、死に絶えた。

 香織は、龍雅を殴ると、香織は後方へ吹き飛ばされ、壁にぶつかった。

 兵士達は、龍雅に向かって銃弾や炎、氷、電撃などを放つが、全て跳ね返され、念動力も兵士総力で龍雅を縛るも、龍雅は逆に自分の念動力で、龍雅を縛る兵士達を一点に集め、地面に叩きつけ、大量の剣を虚空から出現させ、一点に集まった兵士に向かった剣を射出した。


 「この鎧は、あらゆる物理攻撃を反射する鎧だ。電力がある限り、この力は続く…つまり、お前らは、俺に一方的にやられるって訳だ。」

 「なら、その電力を断つ!!」


 香織は、そう言い、龍雅から電力を奪おうとするが…


 「くっ…電力が…これ以上吸いきれない…」

 「無駄だ…これの電力は、空気中の素粒子をエネルギーに分解し、そのエネルギーを電力に変換して使っている。さて、電力が欲しいならそらやるぞ!!」

 

 龍雅は、そう言い、電流を纏った手から電流を放ち、香織を電撃で痺れさせ、そして向かってきた兵士を原子へと還し、兵士だったものを剣へと変え、向かってくる兵士達の首を切断する。

 龍雅は、浴びた返り血を舐め、笑みを浮かべる。

 

 「…」


 虎太郎は、剣を持って龍雅に斬りかかる。


 「お前とは、こんな形で戦いたくはなかったんだがな…仕方がない…まぁ、今のお前は、手加減しねえからいいけどよォ!! だが、無意味だ。」


 剣はへし折れ、虎太郎の体を電撃の纏った手で掴み、虎太郎を痺れさせる。

 虎太郎は、痺れながら倒れ、虎太郎の後に続くように来た兵士の肉体を原子に還した。


 「この鎧を付けた俺にはもう勝てない…お前達は、後で相手をしてやるからそこで見ておけ…タイムだ。」


 時間が止まり、龍雅の体は、動かなくなったが…


 「スピードアップ×10」


 龍雅の体は過度の高速化で動けるようになり、龍雅は、両手に纏った炎と電を消した。


 ――虎太郎と俺の時間停止は違う…虎太郎をはじめとする様々な時間停止能力者は、世界そのものへの干渉…だが、俺は、脳と体の速度を極限にまで高める超高速移動…普通のままやると、自分の肉体も崩壊する諸刃の剣…俺はこのためだけにこの鎧を持ってきた…これから放たれる一撃は、どうなるかな…


 龍雅は、三人がおらず、改造兵が多くいる方へと最小限の力を加えた軽い空振りをした。


 ――これだけでも、お前達は死ぬ…音速を越えた一撃を受けるがいい…


 龍雅が、時間を動かすと、龍雅が空振りをした方向にある全ての存在は、元から無かったかのように消し飛び、強い衝撃でビルの外にも衝撃が及び、大地、大気は大きく揺れ、攻撃の進行方向にあった地上の建物は、全て沈み崩れ、山は崩れ、雲は消え、後方には、強烈な風が吹き、攻撃の進行方向にいなかった全員は、強風に吹き飛ばされた。


 「何!? 今の攻撃は!? 龍雅君、一体何をしたの!?」

 「ククク…俺の力の片鱗とでも言っておこうか…俺の成長は、音さえも置き去りにする…新しい自分とお前らは言っていたが、俺には勝てない…変化し続ける俺には…なァ!」

 

 ――少しやり過ぎたか…

 

 龍雅は、消し飛ばした所に緑色の光を当てると、街と山は見る見るうちに崩壊する前の元の状態に戻っていき、巻き込まれた人々は、さっきのは、何だったんだ? さっき俺、死にかけたよな? など地上の人々は騒ぎ、周りを見渡し始めた。


 ――よし、これでいい…


 「纏めて消えろ…」


 龍雅は、ハンドガンを生成し、上に向けて撃つと、兵士全員が一瞬で消えて無くなった。


 「何!?」

 

 男は、辺りを見回し、もう味方が香織、奈菜、虎太郎しかいない事になり、男は、後ろに下がった。

 

 「お前の兵士は、もはや素粒子と化した…恐らくそいつらは、自分が死んだことさえも気付いては居ないだろうよ」

 「クソッ…何で俺だけが、こんな目に…」

 「香織…奈菜…もう決着はついた…今の俺は、お前達を殺してしまうかもしれない…」

 「私達は、決めたの…私は、龍雅、香織は、虎太郎を絶対に捕えて、幽閉して、手足を斬って自分だけでは生きていけないようにするって!」

 「そうか…」


 龍雅は、鎧のスイッチを押し、鎧に走る赤黒いラインは、消えた。


 「反射能力は解除された。今の俺を二回殺せば、俺と虎太郎を好きにしてもいい…俺は、それで納得する…さらにもう一つサービスだ…」


 龍雅は、右腕の中に無数の鉄の棘を生成し、片腕から血が溢れ出てくる。

 血は、鎧の隙間から流れ出て、ポタポタと落ちていく。


 「龍雅! 一体何を!!」


 香織は、そう言うと龍雅は、クククと笑った。

 

 「片腕は、封じてやる…けど、本気で行かせてもらう…」


 龍雅は、武器を生成し、構え、黄金のオーラを纏う。

 龍雅の殺意はもう無い。

 あるのは、戦いたいという欲求のみ。

 反射膜という魔王の守りは剥がされた。

 なら、勇者達の攻め時は今だ。

 

 「今なら俺を倒せるかもだぜ? 俺を殺してみろ! そして俺達を支配してみろ! 俺達を支配した後、お前らの欲望のままに俺達を弄べ! 出来るならなァ!」


 奈菜は、ナイフを作成し、龍雅に向かって投げると、龍雅は、ナイフを蹴り上げると、奈菜は、龍雅の体を破裂させようとしたが、龍雅はそれを感じ取ったのか、目にも止まらぬ速度で避ける。


 「行くよ! 香織!」

 「えぇ、奈菜!」


 香織は、瞬間移動し、龍雅の顔に向かって直接、炎と電撃を当てると、奈菜は、剣を作成し、龍雅の体を斬る。


 「…」


 虎太郎は、奈菜に続き、虚空から大量の剣と槍を射出すると、龍雅は、虚空から放たれた武器を分解し、巨大な剣を生成し、振り投げる。


 「危ない!」

 

 香織は、奈菜を押し、避け、香織の髪は、大剣に斬られ、巨大な剣は、壁に刺さった。


 「あれを片手で…」

 

 奈菜は、巨大な剣が突き刺さった壁を見て、驚愕していた。


 「余所見している場合かァ!」


 龍雅は、香織と奈菜に向かって無数の刀を投擲し、回転させ、射出し、龍雅は、虎太郎に向かって走っていった。


 ――さて、少しばかり虎太郎と遊ぶか…


 龍雅は、口の中に高カロリーのゼリーを生成し、飲み込んだ。


 「よォ! 虎太郎…いや、虎太郎の人形…俺と一つ遊んでくれよ! お前がどれだけの力を付けたか…少しつまみ食いさせてもらうぜ!」


 龍雅は、そう言い、虎太郎の顔を蹴り、電撃を当てた。


 「さぁ、人形遊びの始まりだ!」


 龍雅は、禍々しい毒炎の壁を張り、奈菜と香織が近づけないようにした。


 「お前らは、そのこいつらで遊んでおけ!」


 奈菜と香織の目の前に、魔物の姿をした機械が大量に現れた。


 「どうする?」


 奈菜は、剣を構え、香織と背中を合わせる


 「どうしようもこうしようもないわね…ただ倒すしかないでしょう…」

 「そうね…」

 

 二人は、機械の魔物に向かって立ち向かっていった。


 「でやぁぁああ!!」


 龍雅は、虎太郎に向かって攻撃すると、龍雅の攻撃は反射された。

 

 「ほう、緋香里の能力か…けど、その能力は…俺にとっては無意味なんだよ!」


 龍雅は、鎧のボタンを押すと、鎧の周りに二進数の数字が纏わり付き、そして龍雅は虎太郎を殴ると、虎太郎は、大きく吹き飛ばされた。


 「乱数調整補助機能…本当は意味の無い機能なんだが、俺の為に着けたくれた機能でな…これでいつでもクリティカルヒットが撃てるって訳だ…おい、そこのお前…」

 「何だ?」

 「俺の友を操った罪…今は、許そう…だが、いい加減な采配を振ればただじゃ済まねえぞ…」

 

 龍雅は、男に向け、鋭い視線を向ける。

 虎太郎は、視線が男に向いている隙に攻撃するが、龍雅は、咄嗟に避け、虎太郎は、蜘蛛の糸を何重にも張り、龍雅の手足は太く絡まった蜘蛛の糸に捕まり、動きが鈍くなり、虎太郎は、両手に電撃を纏い、動きが遅くなった龍雅を殴る蹴る斬る突くを繰り返していく。


 「いいぜ…虎太郎…もっと来いよ…」

 「…」


 殴られ、蹴られ、剣で斬られ、槍で突かれているのに、龍雅の顔は、苦渋の表情を浮かべる所か、寧ろ、狂気に満ちた不敵な笑みを浮かべる。

 

 「お前のターンは終わりだ…さぁ、行くぞ!」

 

 龍雅は、蜘蛛の糸を引き千切り、虎太郎の持つ剣と槍を圧し折り、虎太郎の体を蹴り上げると、虎太郎は、時間を止め、龍雅の体を電撃、氷、炎で痛めつけてから斬り、殴り、蹴り、折り、突き、虚空から剣を射出し、龍雅の体に幾つも穴を開け、そして首を斬り、心臓と頭を刺し、そして龍雅の体を掴み、毒炎を当ててから、壁へと放り投げて、時間を動かすと、龍雅の体は壊死し、そして体から大量の血が噴き出て、死に、そして生き返った。


 「後、一回…それでお前達は勝利するゥ…だが、片腕も治った…さて、最終ラウンド開始だァ!」

 

 龍雅と虎太郎は、互いの顔を殴り、互いの腹を蹴り、互いの頭を突き、互いに後ろに下がり、エネルギー弾の弾幕を張った。

 虎太郎は、瞬間移動、龍雅は、高速移動で、目に見えぬ戦闘を開始し、大気が揺れる。

 

 「ハハハハハハハハハ!!」


 龍雅は、狂ったように笑い、虎太郎との戦闘を楽しむ。

 

 「いいぞ! その再生能力、俺を真似した回復技、いいぜいいぜ! 楽しませてくれるなァ!」


 戦闘によって壁と天井は、ボコボコになっていく。

 互いに傷付いて行く。

 虚空から剣と槍を打ち合い始め、時々、虎太郎は、空間をずらし、龍雅を切断しようとするも、龍雅は、それを予想していたように予知では捉えきれないほどの高速の速度で避ける。


 (やむを得ないな…時間を停止するか…)


 男が、虎太郎を操作し、虎太郎が、また時間停止しようとすると、虎太郎の右手に手錠が何重も掛けられた。

 龍雅の右手には、手錠が何重も掛けられており、手錠で虎太郎の体と繋がっている。

 その手錠は、長く硬い鎖で繋がれていた。


 「!?」

 「お前だけが時間停止世界に行くなんてずるいぜ? 俺にも連れて行けよ!」

 

 時間が停止し、龍雅と虎太郎は、時間停止世界で戦闘を開始する。

 手錠によって龍雅と虎太郎は繋がっている為、龍雅は時間停止世界を動けるようになっている。

 二人は、拳と拳をぶつけ合い、龍雅は、鎖を利用し、虎太郎を振り回し、地面に叩きつけようとすると、虎太郎は、地面にエネルギー弾を放ち、その反動で龍雅に向かって突進し、龍雅は、体勢を崩したが、体勢を戻す勢いで虎太郎に頭突きをし、虎太郎は頭を抑え、その隙に、虎太郎の首を絞めると、虎太郎の体から力が抜けて気絶し、時間が動き出し、龍雅は、手錠を分解し、地上に降りた。


 「おい! おい! 起きろ!」

 

 龍雅は、虎太郎の眉間を掴みながら頬を何度も叩くと、虎太郎は、痛いと言いながら起き、龍雅は、緑色の光を当て、虎太郎を適当な場所に座らせた。


 「龍雅…もう終わったのか?」

 「いいや、まだだ。俺の使い魔が、香織と奈菜と戦っている。」

 「使い魔?」

 「あぁ、この炎の向こうでな…」

 「この禍々しい炎の向こうに?」

 「そうだ…どうだ? 行けるか? 休んでおくか?」

 「いいや、もう大丈夫だ…今度こそ決着を着けよう…」

 「そうだな…言っておくが、あいつ等は俺を狙ってくる…」

 「なんでだ?」

 「俺を二回殺せば、好きにしてもいいって言ってな…」

 「なるほど…」

 「まぁ、でも一回お前に殺されたから後一回だ。」

 「何だと!?」

 「フッ…痛かったぞ。まぁ、お前に殺されるのも悪くはない…」

 「何を物騒な事を…」

 「まぁ、お喋りはここまでだ。んじゃ、行くか…」

 「あぁ…」


 龍雅は、毒炎を消し、虎太郎と共に第二の戦場へと向かった。

 毒炎が消える前…


 「はぁ…はぁ…どれだけ湧き出てくるのよ…」

 「これで百体目…」

 

 奈菜は、この場にいる最後の機械の魔物を刀で斬り倒すと、毒炎は消え、毒炎の向こうから、龍雅と虎太郎が、現れた。


 「楽しんでくれたか? 香織、奈菜…」


 龍雅は、二人に手を差し伸べる様にそう言い、妖しい微笑みを浮かべた。

 その妖しい微笑みは、男女共々魅了するような危険で甘い笑みだ。


 「そう言えば、龍雅を倒さなきゃいけなかったのよね…この体力で後二回行けるかしら…」

 「安心しろ…一回こいつに殺されたんでな…後、一回だ。だが、腕も解放し、そして虎太郎の洗脳は解放され、敵は増えた。さぁ、どうする? 諦めても良いぜ? でも、諦めずに立ち向かえば、お前達の傷を癒し、第二ラウンドに移行する事も可能だ。だが、容赦はしない…」

 「…いいえ…諦めない…」

 「なら、一つ…敗北を教えてあげよう…」


 龍雅は、二人に緑色の光を当て、体を癒した。


 「一発だ…一発で終わらせてやる…」


 龍雅は、欠伸をしながら人差し指で一を作った。


 「「「え?」」」 


 三人が、疑問に思うと、龍雅は、一瞬にして香織と奈菜に近付き、二人の首を叩き、気絶し、倒れようとした所を虎太郎は、香織を、龍雅は、奈菜を支え、寝かせた。


 「これでいい…こいつらが傷つくのは、一回目の戦闘だけでいい…」

 「そうだな…」

 「さて…後は、お前だ…黒幕よ…」


 男は、龍雅に向かって歩き、そして座った。


 「俺にはもう後がない…さぁ、殺せ…」


 男は、そう言うと、龍雅は、剣を作成し、男の首に剣を当てた。


 「あぁ、いいだろう…潔いな…だが、俺は、お前を許すつもりは無い…俺の幼馴染二人と俺の女を操った罪は重い…だが、見事な采配だった…」

 「お褒めに預かり光栄だ。俺の存在を忘れないで欲しい…俺は、奴に利用されていた。だから、俺の代わりに奴を殺せ…」


 男は、龍雅に手帳を渡し、龍雅は手帳を受け取った。


 「あぁ…お前の事は、心の中で留めておこう…だから安心して地獄で待ってな…すぐにアイツを送ってやるよ…そして数十年後、俺も地獄に墜ちよう…」

 「そうか…後は、任せたぜ…」

 

 男は、微笑み、龍雅は、剣を構えた。


 「龍雅!」

 

 虎太郎は、龍雅の手を掴み止めるが…


 「いや、いいんだ。俺がどうせ帰った所で、死ぬまで責め苦が続くだけだ…それに、もしお前が俺を匿ったとするならば、お前の家族にも迷惑がかかる…だからここで殺せ…剣ヶ峰龍雅…」

 「そういう訳だ…止めるな…虎太郎…」


 龍雅は、鋭い眼光で、虎太郎を見て、虎太郎は、龍雅の手を離した。


 「では、地獄で…また会おう!!」


 龍雅は、男の首を斬り、男の体から血が噴き出し、龍雅の体に大量の返り血が付いた。


 ――貴様も…組織に利用された人間…か…


 龍雅は、手帳に刻まれた名前を見た。


 「ベンジャミン・ブラウン」


 龍雅が手帳を開くと、手帳の内容が英語で書かれていた。


 ――英語で書かれているか…まぁ、いい…読んでみるか…


 『短調にだが、伝えよう。この組織に入った経緯を…そして誰か伝えて欲しい…表に伝えて欲しい。俺が、この組織に入ったのは、ただ能力者を受け入れてくれるという事だけだった。俺は、この力を得た所為で、小学校から高校卒業まで…気味悪いと虐められていた。俺は、能力者を受け入れ、世界の平和の為に働くという事だけで嬉しかった。だが、それは、奴らの罠だとは、まだその時の俺は気付かなかった。』


 龍雅は、メモのページを捲った。


 『俺は、組織に入り、初めての仕事をした。それは、慈善団体の手伝いだ。と言っても、慈善団体というのは表向きの顔でしかなく、ただ民衆から金を騙し取るだけのクソみたいな組織なんだがな…俺は、その慈善団体で、民衆に向かって能力を放つ事だった。民衆は、どんどんと金を継ぎ込み始める。後から思い出すと滑稽の極みだ。騙されているとも知らずに…俺は、団体に洗脳をかけた事に、後から罪悪感を覚えた。俺は、何をやっているんだと…本当の慈善団体も風評被害が逢うのに…何故だ…だが、その時の俺は気付いていなかったのだ。自分が何をやっているのか、自分の能力は何なのかさえも…俺が組織に入り、民衆を騙す仕事を手伝ってはや、数年後、組織にある事が伝えられた。ボスの失踪…ナンバー2の大火傷…そして自分の組織がテロ組織だったと…俺は騙されていた。俺は、組織から抜けようとした。だが、もう遅かった…俺は、抜け出せないように責め苦を受け、GPSを埋め込まれた。俺は、逃げても連れ戻されるだけ…俺は、絶望した…二年後、俺は、ある作戦の為に日本に来た。それは、剣ヶ峰龍雅殺害計画だ。俺は、その作戦に参加した。俺は、二人の少女を洗脳した。あんな恋をする少女を洗脳し、狂気に染めるなんて俺はなんて事を…俺は、自分を恨んだ。何故、少女に…俺が恨めしい…ただ一人の高校生を殺す為に少女を…そもそも高校生を手に掛けるなんて可笑しいんだ。それにこの後も、英雄への復讐と大統領の復讐とか…選別軍とは何だったんだ!? 今や、ナンバー2の復讐の道具ではないか! こんな事があっていいはずがない! 能力者を受け入れるとは何だったのだ? ただ利用し、食い潰しているだけだ。他の能力者も、利用し、捨てられている。これなら虐められていた時の方がマシだ…この後のページには、この組織について書かれている。それを世界に広め、この組織を潰して欲しい…』


 龍雅が、次のページを開くと、組織に着いての情報が書かれてあった。


 ――クソッ…奴め…


 龍雅は、手帳を懐にしまい、ベンジャミンの死体に、火を付け、手を合わせた。


 『良く殺してくれたな…ありがとう…龍雅…殺す手間が省けたよ…』

 「貴様は…! アルバート・スピア・ゴッドスピード!! 貴様か、ベンジャミンと香織と奈菜を利用した奴は!!」

 『利用? いや、俺は、与えただけだ。俺は、その見返りとして龍雅、お前に絶望を与え、自殺に追い込めと命じただけだ。知ってるぞ…いや、お前は知らないか…お前の能力の弱点は、この世から消えたいと思った時に、自殺するとお前は、この世から消滅するって…』

 「何!?」

 『だから俺は、龍雅…お前への復讐を果たす為に、お前を絶望させる策を幾つも練った。だが、それも全て失敗した。』

 「俺が、一体お前に何をしたんだよ!!」

 『忘れたとは言わせないぞ…お前が、あの時の作戦の近くにあった俺達のプラントや基地を全て爆発で消したって事をな!! 俺はその時に…』


 アルバートは、顔を触り、皮膚を紙の様にペリペリと剥がし、焼け爛れた火傷を負った痛々しい顔が露になった。


 『この火傷を負った…全身火傷だ…普通なら生きてはいない…だが、俺は、お前への復讐心だけで生きている。顔を偽りの皮で覆い、お前への復讐心を忘れない為、火傷を直さずにいる…あぁ、貴様が憎い、憎い、憎い!! 今すぐにお前を殺したい! 八つ裂きにしたい!!』

 「黙れ! それはこっちのセリフだ…お前こそ…俺の妹、宮弥を銃で殺し、かつていたもう一人の親友竜輝を隕石で殺し、今もそうやってのうのうと生きている。復讐すべきは、俺の方だ。テメェは、俺を逆恨みしているだけじゃねえか! 今度こそ潰してやるよ!! 宮弥と竜輝を手に掛けたテメェらの組織をな!」

 『なら、極星院の奴らに伝えておけ!! 決着を着けよう…新出島でな!!』


 ホログラムは消えてなくなった。


 「なるほど、新出島か…選別軍が造ろうとしている商業施設…そこで戦争を起こそうとでもいうのか…」


 龍雅の後ろから聞き覚えのある可憐な少女の声が聞こえた。

 それは、ルビーのように美しい赤い眼をしたブラックホールの様に黒い髪の美しい幼女だった。

 服には、返り血を浴びており、手には血の付いた刀が握られていた。


 「紗里弥…」

 「やれやれ…もう決着が付いてしまったか…全く…この血の滾りは、どうやって晴らそうか…」

 「すまんな…」

 「まぁ、ここに来る前に、十人位は斬ってきたがな…奴らとの決着は近い…その時は頼むぞ? 龍雅?」


 紗里弥は、血の付いた手で龍雅の肩を叩く。


 「あぁ…俺は、奴を殺せばそれでいい…ついでに奴らも殺そう」


 龍雅は、指を鳴らし、紗里弥に着いた血を消す。

 ついでに、残った機械の魔物を全て修復させ、虚空に戻す。


 「フッ…ならば、私は、貴様の力を借りよう…こんな事に巻き込んですまぬな…」

「いい…俺は、奴に復讐できればいいだけの話だ。友と妹に手に掛けた事を復讐出来ればな…」

「…その時になれば、お前は暴れるがよい…何、心配するな…あの施設は、奴らが造った施設だ…私が止める理由なんてない…だが、今回の様に民間人を巻き込むような事はしてはならぬ…故に、暴れる限度は考えておけ…今回は、幸いにも死者が出なかった…だが、次に死者でないとは限らぬぞ? それだけは、肝に銘じておけ…」

 「あぁ、わかった…」

 「なら、よい…龍雅…お前は、虎太郎達を連れてここから引け…ここは、極星院の調べが入る…」

 「了解した。これは、お前が読め…権力、財力があって信用できる奴に渡した方がいいからな…俺は、紗里弥の彼氏と言えどもただの一般人…後は、任せたぜ。」


 龍雅は、ベンジャミンの手帳を紗里弥に投げ渡し、紗里弥は手帳を取った。


 「これは?」

 「今回の黒幕の手帳だ。英語で書かれてある。」

 「そうか…わかった…任された。数日後のニュースを楽しみにしておけ…お前が起こした大災害の件も、こいつらの所為にしてやる。お前は気にせずに帰ればいい…」

 「お嬢様! 残っている奴ら、全員取り押さえました。」


 緋香里は、紗里弥に向かって跪いて報告した。

 

 「抵抗してきた奴らは?」

 「止むを得ず殺してしまいました。どうにもあいつら理性が無いので…」

 「よい…後で、死体を動かすな…そして死体の場所を教えるがよい…私が血痕諸共この世から消す為にな…ご苦労であった。では、予定通り、調べに上がるぞ。」

 「ハッ! 龍雅さん…帰りのヘリが屋上に…御帰りの際は、どうぞご利用ください。」

 「わかった。」

 「それでは、失礼いたしました。」


 緋香里は、立ち上がり、その場から立ち去って行った。


 「それにしても、ループをせず解決するとはな…貴様を見くびっていたようだ…さすがは、我が夫よ…どうやら、もう繰り返さずに済みそうだな…早く逃亡中のアイツにも伝えておけ、もう終わったとな…」

 「そうだな…行くぞ…虎太郎」

 「あぁ…」


 龍雅と虎太郎は、二人を横抱きし、屋上へと向かった。

 外は、もう夜だ。

 屋上には、最新の戦闘ヘリが五台止まっており、ハッチが開いている。

 

 「龍雅様、虎太郎様、さ、どうぞ中へ…」

 

 兵装を身に着けた男性が、ヘリへ案内する。

 ヘリの中には、虎太郎、奈菜、香織の学生鞄がフックに掛けられている。

 龍雅と虎太郎は、ヘリの中に入り、香織と奈菜を寝かせ、毛布を生成し、毛布を二人に掛け、ヘリは出発する。

 奈菜の心の中では…

 奈菜の心の中…そこは、今までの記憶が白亜の空間に、写真館の様に飾られている。

 そこに戦闘服ときた奈菜と制服姿の奈菜が居た。


 「どうしたの? 私…龍雅君を独占出来なくていいの? それで、貴女は良いの?」

 

 戦闘服姿の奈菜は、そう言い、もう一人の奈菜に語り掛ける。


 「そうだよ…私…私は、龍雅君と一緒に居られるなら何人いても良い…私はだって一番になりたい、けど、貴方のように殺したり、監禁なんかしない…」


 制服姿の奈菜は、そう言い、


 「それって浮気を認めてることになるじゃない!」

 「浮気? いいえ…浮気なら、隠してこそこそとやる卑怯者がやる事…けど、龍雅君は違う…龍雅君は、堂々と他に女が居ると言った。それに私だけでは、釣り合わないわ。そして、貴女はもう消えて…私と龍雅の邪魔をしないで…」

 「何を! 私は、貴女の為に言っているの! 私は龍雅君が、好き! 貴女も龍雅君が、好き! だから貴女の為に、私は、龍雅君を…」

 「それは、私の為じゃないの! 私…それは、貴女自身の為でしかない…ただの独り善がりよ! 自分可愛さにやっているだけよ! そう、貴女は、昔の私…憎まれ続けた私…だから愛を求めるのよ…強い独占欲…私から体を奪ったのも、私の為じゃなくて私という人格を殺し、龍雅君を独占する為よ…」

 「…そうよ…」

 「…本性を現したか」

 「けど、それで何が悪いの? 私が、愛しているならそれでいいの…他の女なんていらない…貴方だって邪魔でしょ? 他の女が…吐き気がする…美しい花に醜い虫がよってきたら嫌でしょ?」

 「…醜い虫?」

 「そうよ! あいつらは、所詮はそう、醜い虫でしかない! あんな奴ら殺してやりたい!」

 「そう、ならお前は、私じゃないわ…早く消えろ! 忌み子!」

 

 制服姿の奈菜は、そう言い、刀を構えた。


 「忌み子…忌み子…忌み子…忌み子! 忌み子!! 忌み子!!! その言葉を私に言うなァ!!」


 戦闘服姿の奈菜は、剣を構え、怒り狂い走り、奈菜を斬る体勢に入った。


 「さよなら、私…そしてごめんね‥‥」


 奈菜は、そう呟き、刀を鞘に納め、もう一人の奈菜の体を斬り、奈菜の体から血が噴き出し、刀を鞘に納めた。


 「けど、貴女の龍雅君への愛は分かったわ…この愛を背負って生きていく」

 「…悔しいけど…負けは負けね…わかったわ…私は、貴女と一つになる…」


 奈菜ともう一人の奈菜は、一つとなった。


 (本来の記憶が戻り、私が戻っていく…目を覚ましたら…そう…まず言う事は…)


 奈菜の意識は、遠くなっていき、ヘリの音が聞こえてくる…


 「んん…龍雅君…?」

 「奈菜?」

 「おはよう…龍雅君…ただいま…そしてごめんなさい」


 奈菜は、親に怒られる子供の様な泣き顔で龍雅にそう言った。


 「あぁ、お帰り奈菜…」

 

 龍雅は、奈菜の頭を撫でると、奈菜は、龍雅に向かって優しい表情で微笑んだ。

 第二の輪廻完結です。

 いや~疲れました。

 久々に8000文字以上書いて疲れました。

 このモチベーションずっと続けばいいのにな~

 キャラクター名前修正 帝人→竜輝りゅうき

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