第弐拾壱話《盾ヶ原虎太郎の生活は平穏ではない 下》
FGOで、リセマラしていて登校時間が遅くなりました。結果は、もう面倒だったのでヘラクレス二体とカーミラ二体で妥協しました
(朝のアレは一体何だったんだ?)
虎太郎は、そう思い、四人の朝練と言う名の戦いの様子を思い出す。
(龍雅の強さは、前に戦った時よりも遥かに強くなっている…それに対応できるあの三人も俺の力を越えている…まぁ、強くなろうが俺には関係のない…俺は平穏に過ごせばいいだけだ。)
虎太郎は、女子の居ない男しかいない教室でそう思い、鞄から体操服を取り出し、着替え、体育の授業の準備を始めた。
(龍雅は、また性懲りも無く覗きに行ったか…やれやれ…女子から好意的な目で見られているのにコソコソと…自分から嫌われるような行動をするんだ?)
――と、虎太郎は今頃、教室でそう思っているだろう。男のロマン…それを理解できなければこの行動は理解できるはずもない…
龍雅は、そう思い、ステルスアクションフォームで気配をこの世から遮断し、堂々とした態度で、女子達の半裸体を見て興奮する事もなくまるで当然の光景を見ているかの如く足を組んで静かに冷えた缶コーヒーを飲む。
――ふむ、やはり少女の半裸体と少女の香りを目と鼻で味わいながら、冷えたブラックコーヒーを飲むのは実にいい…脳が冴えるな…もし、バレて女性の悲鳴を浴びるのも良い…しかし、事後処理が大変だがな…
龍雅が、そう思うと、立ち上がり、一人の少女の尻を触った後に、壁を抜けて更衣室から出て行った。
(今さっきのは何…?)
少女は、見えない何かに体を触られ、身震いした。
「どうしたの?」
「何でもない。」
――良い触りであった…ククッ…
龍雅は、そう思い、ステルスアクションフォームのまま宙を浮き、体育館へ向かって行った。
龍雅と虎太郎は、体育の準備体操の為に、体育館のコートをクラスのメンバーと走っている。
一人一人が別々のスピードで走っており、既に走るのを終えた者もいる。
龍雅は、虎太郎と一緒に走っているのだ。
(心配だな…芽衣…あれでは疲れ切って体を壊してしまう…)
虎太郎はそう思い、芽衣の事を心配しながら、走る。
(今日の朝飯も、残していたし、食べるスピードも前までよりも遅かった…それに欠伸とは思えない大きなため息をついていた…)
「おい、虎太郎」
(あの時のダイブは、自分の体を目覚めさせる為のものだったのか? ならば、理由が付く…まぁいい…俺にも龍雅の父とは面識がある…龍雅と俺と一緒に頼めば幽霊退治も――)
「おい!」
龍雅は、虎太郎の肩を叩いた。
「何だ? 龍雅?」
「もう、コートを二週走り終わっているぞ。」
虎太郎が、後ろを振り向くと、体育館コートに敷かれているゴールのホログラムを踏み終えている事を確認した。
「あっ…」
「全く…どうしたんだ? 虎太郎…さっきからボーっとして…やはり気になるのか? 芽衣の事が…」
「あぁ、体調も優れていなかった…早めの思念体の駆除を…」
「…妹思いはいいが、助けようとする本人が油断して怪我するのはよくない事だ。」
「そうだな。悪い…」
「気にするな…芽衣の体調が優れないなら俺が技で回復してやる。俺の回復技は、不眠による疲れも取れるんでな。」
「お前の能力は便利すぎて困るな…」
「フッ、いいや…お前の能力の応用力には負けるぜ。」
「そうか…」
龍雅と虎太郎は、芽衣を心配しながら、お互いの能力を褒める会話をし、他の生徒が待機している場所に座る。
(芽衣の疲労の方は、確保できた…後は、勇雅の協力を仰ぐだけだ。)
――ふむ、やはり考えていたのは妹の事だったか…妹…俺にも妹が居た…しかし、あの時死んだ…いや、死んだのかはわからない…だが、生きていてほしい…YSが生きているといったのだから…虎太郎よ…もし、お前の妹が霊に取りつかれた時は…
龍雅は、そう思い、自分の手を見てそして手を握りしめる。
体育が終わった後の休み時間…龍雅は、虎太郎と芽衣を屋上に連れていた。
「お前の疲れを癒してやる。」
龍雅がそう言うと、芽衣の体に緑色の光に包まれ、芽衣の体を癒していく。
「どうだ? 芽衣?」
虎太郎がそう聞くと芽衣は――
「うん! 疲れも取れたし、眠気も覚めた。ありがと」
芽衣は、そう言って龍雅に笑顔を見せる。
「礼には及ばない…美少女の笑顔が見れるのならばそれでいい…」
龍雅は、そう言い屋上から去っていった。
「お兄ちゃん…龍雅も、私の事を心配して…」
「あぁ、どうやら幽霊騒ぎについてのな…」
「なるほどね…」
「勇雅さんにも話そうと思っているんだが…」
「何で勇雅さんが出てくるの?」
「勇雅さんは、幽霊を一撃で葬り去る力を持っているからだ。」
「ふーん…それにしても龍雅って不思議な力を使うのね。」
「そりゃあな…だってあいつの能力は、自分でも理解できていないんだからさ…」
「そーなんだー」
芽衣は、興味津々な表情でそう言った。
「後この事は秘密にな…」
「わかった。じゃあ、昼休みまた食堂でね。お兄ちゃん!」
芽衣は、そう言って屋上から去っていった。
(やれやれ…妹も巻き込まれてしまうかもな…いいや、もう巻き込まれているかもな…)
虎太郎は、そう思い芽衣の後を追うように屋上から去っていった。
学校が終わり、夕暮れ時、虎太郎は、掃除の為に学校に残っていた。
(何か胸騒ぎがするな…芽衣に危機が迫っているような気がする…)
虎太郎は、箒を掃くのをやめてオレンジ色に染まった空を眺めた。
「そろそろ掃除終わろうぜ…俺の能力で、ゴミなどは全て素粒子に還したからもうやる事はないぞ。」
龍雅は、そう言って手に持ったゴミ袋を粒子レベルへと分解した。
「リサイクルできたゴミもあったかもしれないのに…」
「リサイクルだぁ? 酸素や窒素も俺にとっては万物の素材になるから固体の一つや二つ素粒子に還す行動自体が俺にとってのリサイクルなんだよ。」
「何だよ! そんな滅茶苦茶な…」
「万物は、素粒子で出来ている事を知らんのか?」
「いいや、知っているけども…その能力を持っていない人達はどうすればいいんだ?」
「しらん…そいつらが万物の元を操れなかったという事だけだ。」
「無責任な…」
「そう、俺は無責任…故に俺は悪魔なのだ。」
龍雅は、そう胸を張って自分が悪魔だと自称した。
「それよりも、お前気にしているんだろう? ならば、こんな所で留まる必要性など無い筈だ。早く行くぞ…もしかしたらもしかするかも知らないぞ? 虎太郎…」
「そうだな…一応そうするとするか…しかし、先に帰ってもいいのか? 他の奴も掃除しているけど…」
「俺達は、掃除の役割を終えたのだ。ならば、もう掃除をする必要は無い筈だ。」
龍雅は、そう言い、龍雅と虎太郎の持つ箒を分解した。
「何故、箒を分解を…」
「確かに箒を分解したしかし、ロッカーの中で再構築した。問題はない…」
(問題はあるだろうが…能力の乱用しすぎだろ…龍雅…)
「さて、俺達は帰るとしようか…嫌な予感を取っ払う為にな…」
「あぁ、そうしよう…」
龍雅と虎太郎は、そう言って鞄を持って教室から出て行った瞬間、二人は何処かへ消え去っていった。
龍雅と虎太郎の二人は、虎太郎の家の前で、立ちつくしていた。
まるで、今から魔王に挑む勇者の如く…
「入るぞ…」
「あぁ…」
虎太郎は、玄関の扉を開け、家の中に入り、二人は真っ先に二階に上がった。
「芽衣!」
虎太郎は、芽衣の部屋の扉を開け、芽衣の名前を叫んだ。
芽衣の部屋は、物が壊されていないものの部屋の中はぐちゃぐちゃになっており、芽衣が何かに抗っていたという事が目に見えてわかる。
芽衣の部屋の窓は、開いており、恐らくそこから芽衣は部屋から出たのだろう。
「…手遅れだったか…」
芽衣の机には、一枚の紙とペンが置かれており、虎太郎がその紙を表に向けると、「お兄ちゃん助けて」と弱々しい字で書かれていた。
「いいや、まだ間に合う…今捉えたんだが、何かが高速で盾ヶ原宅から離れようとしている。恐らくそれが芽衣だろう…」
「そうか、ではそこまで行くぞ!」
「なら、俺の背中に乗れ! 芽衣も空を飛んでいる。空を飛んでいる奴には空で追いかけるしかない!」
「わかった!」
虎太郎は、龍雅の背中に捕まり、龍雅は窓の外に出て、空を飛ぶ芽衣を追いかけ始めた。
(芽衣…お前は、俺達が助けて見せる…)




