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剣ヶ峰龍雅の欲望/Life.of.Predetermined:GreedDragon  作者: 六月不二
第1章《学園編~Psychic.of.Japanese~》
18/222

第壱拾漆話《転校生と主人公が、通学路で衝突する可能性は現実的に考えると宝くじが当たる可能性より低い》

 土日が明け、日本は、月曜日の悪夢を見る。

 休日の悦は、平日の悪夢を乗り越えてこそ味わえる。

 

 ――やっべぇ…遅刻確実だ。昨日、親と姉さんがいないからって我を忘れる程、オナニーするんじゃなかったぜ。父さんは、また大会だし、母さんは、株式総会に行ってるし、そんで姉さんは、ライブでいないし…


 龍雅は、口に林檎リンゴ無花果イチジクのミックスしたジャムを塗ったトーストを咥え、通常の人間の三倍の速度で走る。


 ――こんな所で、エネルギーを全部果たしてしまったら、授業中に体力が持たねえ…これぐらいの速度がちょうどいいだろう。


 そう思いながら、龍雅はパンを走りながら食い終え、走る速度を加速して走っていると、曲がり角から一人の少女が現れ、二人はぶつかった。


 「いって!」


 ぶつかって尻餅をついたのは、龍雅の方だった。その少女は、謎のバリアを身に纏い、身を守っていたのだ。


 「大丈夫ですか? よく見ないと危ないですよ。」


 その少女は、龍雅に手を差し伸べ、天使のような笑顔で微笑みかけた。


 ――スゲェデジャブ…俺が少女漫画の主人公かよ…いや、俺はそもそも男だし、俺の人生は少女漫画という柄でもねえ…少年漫画だ。


 「あぁ、大丈夫だ。」


 龍雅は、少女の手を取り、立ち上がった。

 龍雅とぶつかった少女は、両目が隠れる程の前髪と腰まで届く如何にも貧相なボサボサの長髪で、しかし髪色はMs.YSに似た妖艶で高貴な金髪で、何処か胡散臭い雰囲気を漂わせる綺麗な花には棘があるという言葉がそのまま形を成したかのようで、その容姿は、龍雅に勝るとも劣らない美貌を持つ美少女だ。胸は、それなりにあり、巨乳でも貧乳でもない美しいラインを描く通常サイズの胸と言った所だ。


 ――美しい…こいつに心が奪われ…いいや、俺の正室は、紗里弥だ。紗里弥でなければならないのだ。でなければ、我が夢のサポートが泡と化す…


 龍雅は、目の前の美少女のあまりの美しさに心が奪われそうになったが、紗里弥を思い出して誘惑に打ち勝った。


 「君は、私と同じ銀河丘高校の制服を着ていますね。私は、銀河丘高校に行くのに、少々迷っていまして…そこでです。君に、案内を頼みたいのですが…宜しいでしょうか?」

 「おう、いいぜ。俺、剣ヶ峰龍雅2-Gだ。もしかしてお前転校生か?」

 「はい。今日、君と同じクラスに入る空神翔妃くうがみときと申します。私は、貴方と同じ能力者です。」

 「なぜ、俺が能力者だって事が判るんだ?」

 「私の知り合いからの情報というのは、駄目でしょうか?」

 「ふぅん…まぁいいや。それよりも早く急がねえとな。」

 「そうですね。お…違う…龍雅さん」


 翔妃は、そう言って龍雅に微笑みかけて龍雅の手を握り、龍雅は翔妃の腕を引き、学校に向かって二人は走り始めた。


 ――それにしても、こいつの事を俺の能力で感知できなかった。俺に感知できない生物は、存在しないもののみ…しかし、こいつは存在している。今俺の能力で感知出来ている…では、こいつは、今無から生まれたのか? それとも、瞬間移動か? 瞬間移動なら、こんな事せずとも、いや、出力の問題か…出力的に考えると問題はないな。


 「お前ってどこから来たの?」

 「北海道からこの前引っ越してきました。」

 「へぇ、北海道か…どうだ? 東京の気温は、暑くないか?」

 「いえ、大丈夫です。」

 「そうか、俺はお前に手を繋がれて心が熱いがな。そう、お前のような美少女に手を握られてな。」

 「フフフ…美少女ですか…嬉しいですね。君のような美少年に褒めていただけるなんて惚れてしまいそうです。」

 「惚れてしまってもいいんだぜ。」

 「フフッ、君は実に面白いですね。ですが、私が転校して早々君に好意を向けている事をクラスの男子が知るとさぞがっかりするでしょう。ですから私は、君とは友人として好きになってもいいですか?」

 「あぁ、いいぜ。」

 「クスッ…よろしくお願いしますね。」


 翔妃は、そう言ってクスクスと笑う。


 ――さて、この如何にも怪しそうな美少女…どうやってこいつを俺のモノにするか…この少女が例え毒であろうと俺は手にしてやる。


 龍雅は、そう思ってニヤリと笑い、翔妃の手を引き、丘の上の学校銀河丘高校に走って赴く。


 

 


 (龍雅は、遅刻か?)

 

 美少年とも普通の少年とも言い難い中肉中背の少年虎太郎は、そう席に座りながら思う。

 クラスの二席覗いて人で埋まっており、先生も既に教壇に立っている。その二席は、龍雅の席と恐らく転校生の席だろう。


 「間に合ったか!?」


 龍雅は、そう言いながら、教室に入る。


 「間に合ってませんよ。龍雅君。」

 「うわ、マジかよ! What The Fuck!!」

 「コラ! そんな汚い英語を使ってはいけません!」

 「サーセンすた。」

 

 龍雅は、そう言って頭を掻き、席に着いた。


 「さて、龍雅君が席に着いた所で、良いニュースをお伝えしたいと思います。」


 エヴァ先生が、そう言うと、クラスはザワザワと騒めき始めた。


「もうお気付きでしょうが、このクラスに転校生が入ります!」


 エヴァ先生が、そう言うと教室は、歓喜と好奇心の声を挙げ、騒ぎ始めた。


 「なぁ、紗里弥。お前なら知っているよな。俺はもう知った。」

 「そうか、確かに私も知っている。だが、ネタバレはいかんぞ?」

 「了解。」


 龍雅と紗里弥は、もう答えを知っているので騒がない。

 

 「皆さん! 静かにしてください!」


 先生がそう言うと、クラスは静まり返った。何と規律の良いクラスだろう。


 「では、どうぞ。」


 先生がそう言うと、翔妃がいきなり教壇に現れ、先生含めクラス全員が驚いた。


 「どうも、皆々様。御機嫌よう…」


 翔妃がそう言うと、胸に手を当てて一礼すると、クラスの男子の殆どが、翔妃の美貌に見惚れ、息を呑み、そして女子の殆どが負けたという表情で、翔妃を嫉妬ではなく、翔妃に降伏するような態度で見る。


「我が名は、空神翔妃…出身は、北海道で、好きなのは、寿司です。私のようなものが、皆様に期待を持って歓迎される事を喜ばしく思います。」


 翔妃は、胡散臭い口調と振る舞いで、自己紹介をし、龍雅の方を見て微笑み、龍雅も翔妃に微笑み返す。


 「翔妃さんは、北海道から一人で上京してきたそうです。皆さん翔妃さんを助けてあげるようにお願いします。」

 「アビゲイル先生、私の席は何処でしょうか?」

 「龍雅君の隣の席が翔妃さんの席です。」

 「なるほど、名前順ですか…わかりました。」


 転校してきた美少女が、龍雅の隣の知ると否や、クラスの男子の殆どが龍雅に、嫉妬の目を向けた。

 翔妃は、龍雅の隣に座り、鞄の中から一時間目の教材を出した。


 ――ここも、デジャブ…やはり、これは約束された運命か? だが、都合の良い…この距離だとこいつの攻略が上手く行く…ククク…いつしか、こいつの顔も暴いてやるぞ。


 龍雅が、そう思いながら某司令のように机の上で手を組んでニヤリと笑った。


 「龍雅さん。これからよろしくお願いしますね?」

 「ククッ…ようこそ、2年G組へ…なぁ、後で、メアド交換しようぜ。」

 「クスッ…登校中に交換しておけばよかったのでは? それに、今時メールなんて使うのでしょうか? 今現在では、SNSが、主流の筈…」

 「フッ…美少女のメールアドレスを貰うだけでも俺は嬉しいのだ。」

 「そういうものでしょうか?」

 「そういうものだ。」


 ――その女は、お前の人生において重要なカギとなる人物…その調子で親交を深めろと言いたい所だが、もう言う必要は無さそうだな。よきかなよきかな…


 紗里弥は、二人が仲良くする様を見てうんうんと頷く。


 時間が進んで、昼休み…龍雅、翔妃、紗里弥、虎太郎、香織は、広い学校食堂で、食事をとっている。

 学食で最も快適な場所は生徒会役員及びA組が占領しており、そしてその次に快適な場所は、B組とC組が占領し、そしてそれ以外の場所は、E組、D組、F組、G組が座る事を強いられており、スクールカーストを物語っている。

 龍雅と翔妃が食べている食事は、激辛麻婆麺で、紗里弥は、学食の中でも一番高いステーキ定食をそして虎太郎と香織は、学食の中でも比較的安い日替わり定食を選んでいる。

 今日の学食にいる殆どの人は、龍雅達の方に目が向いており、その視線の先は、圧倒的な美貌を持つ龍雅とそれと同等の美しさを持つ翔妃だ。龍雅と翔妃は、最高クラスの美貌を盛っている為、龍雅と翔妃の友人以外は畏れ多くて誰も近づけない状態だ。


 「虎太郎よぉ…俺、晩飯ないから作ってくれねえか?」

 「あぁ? お前が作れよ。お前の方が料理美味いんだしさ。」

 「確かにそうだ。しかし、俺にも俺のやる事がある例えば、日課のトレーニングとかさ。」

 「じゃあトレーニングやめればいいじゃないか…」

 「駄目だ。俺が最強になり、そして新たな能力を為には、トレーニングが不可欠だ。故に、料理する時間などないのデス! トレーニングをせずに力を手に入れるなんて怠惰なのデス!」

 「お前、某最強主人公みたいになってきてるぞ…っていうか、それって俺が怠惰って言いたいのか?」

 「俺は、そのキャラクターを恨む奴に似たいのだが…そう、俺が強欲ならばお前は怠惰…さてさて、後5つは誰でしょうか? 楽しみだな。」

 「ふむ、七つの大罪か…面白い…」


 紗里弥は、そう言い、食事を進める。


 「能力者? 何の事?」

 「いや、お前は気にしなくてもいいぞ。香織…」

 「いえ、気にしていた方がよさそうですよ。香織さん。君も能力者の素質がある。だから、この話を聞いた方がいい。私の能力は、空間を操る能力…まぁ、チート能力です。」

 「空間を操る能力か…なるほど…」


 翔妃がそう言うと、龍雅は興味深そうな顔をして頷いた。その時、龍雅の肩を何者かが叩いた。

 龍雅が、顔を上げると筋肉隆々の男が険しい表情をして龍雅達を見つめている。


 「おい、お前ら…こんな所で能力者同士、能力者の話をするな。もしするなら人気のない場所でやれ…」


 筋肉隆々の男は、5人だけに聞こえる声で、そう言った。


 「サーセンすた先輩…」

 「わかればいいんだ。裏会長、そして翔妃…放課後、会議がある。必ず出ろ。」

 「わかっておる。」

 「では、失礼する。」


 そう言って筋肉隆々の男は、その場から去っていった。


 「なぁ、紗里弥…あいつは、誰なんだ?」


 龍雅は、紗里弥だけに聞こえるように、ヒソヒソと紗里弥に言う


 「3年G組の大和剛司…能力者にして裏生徒会の役員だ。」


 紗里弥も、他の人には聞こえないようにヒソヒソと龍雅に答えた。


 「裏生徒会? 何だそれは?」

 「あいつら生徒会がやらない仕事をやる汚れ仕事役だ。まぁ、理事長が顧問だから権威的には守られているけどな。表向きには公表されていないからオフレコで頼む。」

 「わかった。」


 二人の内緒話が終えると、二人は食事に戻る。


 「何を話していたんだ?」

 「いや、何でもない…よな? 紗里弥?」

 「あぁ、ただのつまらない話だ。」

 

 龍雅と紗里弥は、そう言って話を誤魔化す。


 「あっ、いたいた。」


 現れたのは、赤髪の女神であった。翔妃には劣るが、人を魅了するだけの美貌は、持っている完璧な体型を持つ巨乳美少女桃華奈菜だ。

 彼女ならば、恐らく龍雅達と一緒に食べても文句は言われないだろう。だが、余計に他の人々が近づけなくなってしまうのだ。


 「よう。奈菜…お前何処座る?」

 「じゃあ翔妃さんの隣でいいかしら」

 「そうか、翔妃いいか?」

 「えぇ、どうぞ。奈菜さん…」


 翔妃が、そう言うと隣の椅子を引き、奈菜がすぐに食事が出来るようにし、翔妃は、奈菜に少し怪しい笑顔で微笑んだ。


 (少し胡散臭い…自分で翔妃の隣って言ったけど関わっても大丈夫かしら?)


 奈菜は、翔妃に警戒しながら翔妃の隣に座った。


 「私、桃華奈菜よろしくね。翔妃」

 「えぇ、けど君、少し私の事を警戒してませんか?」

 「…それは…」


 翔妃にそう言われると、奈菜は、少し困惑した。


 「クスッ…冗談ですよ。さて、食べましょうか…」


 翔妃がそう言うと、六人は話しながら料理を楽しんだ。


 昼飯を食べ終わり、六人は、それぞれに別れ、龍雅は翔妃と一緒に校舎内を歩いている。

 美が体現した二人が、揃って廊下を練り歩く姿は、注目の的で、廊下にいる生徒達は、龍雅と翔妃に尊敬ではなく畏怖の感情を向けている。


 ――ククッ…やれやれ…今日は、目立つな…まぁ、俺は目立った方が俺にとって都合のいいモノ…しかし、逆に近寄りがたいという感情が異性に芽生えてしまったら嫌だな…ならば、今後は目立たない生活に戻ってみるのも一つの策かもしれんな…まぁ、決めるのはいつでもいいか…まずは、こいつの能力の応用性を聞くだけだ。


 「なぁ、翔妃…お前の能力って応用性はどれくらい効くんだ?」


 龍雅は、翔妃にだけに聞こえるぐらいの声でそう言った


 「そうですね。まずは、瞬間移動そして平行世界及び異世界への移動ですかね。」


 翔妃も、同じ声の音量で話し始めた。


 「なるほど、異世界転移か…中々興が乗る。」

 「後は、空間切断によるほぼ不可避即死攻撃と空間転移を応用し、攻撃を無効化及び反撃する絶対的な防御能力です。」

 「じゃあ、今日の俺とぶつかったのは…」

 「はい、わざとですが?」


 翔妃はそう言って晴れ渡る青空のような曇りのない笑顔を見せる。


 「ククッ…そうか、それでもっと応用方法はあるのかな?」

 「そうですね。転移能力を応用して異空間から物を射出したり、装備や使用したりする事も可能ですね。」

 「まるで某金ぴかみたいだな。そして今の俺では勝てなさそうだな。」

 「何も能力者は、戦闘おける需要で全てが決まるわけではありません。能力者は適材適所によって活かされるもの…そうですね…君の能力は何ですか?」

 「俺の能力は、まぁ…複合系能力かな? 様々な能力が重なっている能力…最低でも十個ぐらいはある」

 「なるほど、多重能力ですか…いいですね。活躍する幅が多い…まぁ、内容によりますけどね。」

 「そうか…それにしても、空神というから空間を操るイメージが何となく湧いたけど、翔妃って時を操るイメージが湧いてしょうがないな…」

 「まぁ、翔妃なんて女性に付ける名前じゃないような気がしますね。私の予想では、私は、天空の神の如く天を翔ける妃という意味じゃないですかね?」

 「何それ厨二病…」

 「ですよねーうちの親は、アニメオタクで、私が生まれた事は、厨二病アニメに影響されていたみたいなんですよ。」

 「それでその名前と…」

 「はい…」

 「まぁ、似合うな。その名前…」

 「え?」

 「お前のようにそういう意味で、名付けられたのならば、天使のようなお前には、ちょうどいい…」

 「クスッ、お世辞は止してくださいよ…」


 二人は楽しくしゃべっていると、いつの間にか時間が過ぎ、そして昼休みの終えるチャイムが鳴り、二人は教室へと戻った。


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