第佰話《予選開始》
ついにこの日がやって来た。
龍雅は、サッカーチームのユニフォーム、スパイク、グローブを確認してからポーチに入れ、そして能力で時間を確認し、そして宮弥の部屋の扉から学校へ向かう。
空には極星院マークの付いたヘリが数機諸島を目指して飛んでいる。
全国大会開始と同時に全国の極星院の高校の体育大会が開催される。
予選の日は、本校ではG組以外の生徒は、通常授業が行われる。
尚、G組の教師は、東京大会に行っている為、能力未覚醒者は、自習を行い、そして体育大会の日は教師無しで、体育大会に参加しなければならない。
――さて、大会の開催所だが…
龍雅は、東京大会のパンフレットを見る。
東京大会の場所は、極星院が所有する諸島の中心部の47ある島の内の一つで、大きさは他の島とさほど変わらない。
47の島の中心に一際大きい島が存在し、その島が本選の島で、大きさは北海道一つ分の大きさがある。
――律儀に47の島があるのか…結構な事だ。
龍雅は、学校に登校し、体育館に向かう。
体育館にあの島への入り口がある。
龍雅は、体育館にある転送場所の前に並んでいる参加選手の列に並ぶ。
チームとの集合は現地集合だ。
その理由は、チームメンバーに他の競技に参加している者もいる可能性があるからだ。
龍雅は、その一人でサッカーと格闘大会とそして一応、障害物リレーに参加している。
転送先は、勿論東京大会が開かれる島だ。
龍雅は、自分の番が来ると、転送部屋に入り、ワープ能力者が能力を発動させると部屋いる全選手が東京大会の開かれる島に転送された。
「ここが東京大会の開催地か…」
龍雅は、島に着くと、辺りを見渡した後、格闘大会が開かれる闘技場へと真っ先に向かう。
龍雅は、格闘大会のチームが集まっている場所を見つけると走り出す。
「よう! 虎太郎! 紗里弥!」
龍雅は、軽く挨拶をする。
「よう龍雅、これで揃いましたね。剛司先輩」
「あぁ、これでチーム全員が揃った。では行くか。」
格闘大会のチーム全員が大会の会場内へと入っていった。
龍雅達は大会にエントリーをした後、更衣室に行き、大会用の戦闘服に着替えた。
戦闘服には、リフレクターが仕込まれており、使用者が戦闘不能になった時、リフレクターが貼られるように設計されている。
龍雅達が着替えると、更衣室を出て休憩時間の間、龍雅達は、他愛ない会話をし、時間を潰していた。
時間が来ると、全員が立ち上がり、戦場へと向かって行った。
「俺達は、B1エリアか…」
「私達は、G1エリアね。」
龍雅と奈々は、マップを見ていた。
何処で予選が行われるのかの最終確認だ。
「なるほど、ボーイとガールか…わかりやすいな。」
「そうですね。さて、俺達は余裕で勝ってきます。男達も頑張ってくださいね。」
「おう。お前らも頑張れよ。」
「了解…では行ってくる。」
紗里弥は、女チームを率いてG1エリアの選手入場口に入る。
「さて、俺達も行くとするか。」
「あぁ…なるべく早く片付けたいな。それに痛いの嫌だし。」
「なら、速攻戦でやるしかないな。」
「それ言えてるぜ。」
龍雅達は、喋りながらB1エリアの選手入場口を探し、そして見つけるとB1エリアに入っていく。
龍雅達は入場口に入ると、そこは巨大な闘技場で、闘技場の下は、水になっており、闘技場から飛ばされると、水槽に落ちるようになっている。
水槽には、常にダイバーが待ち構えており、いつでも落ちた選手をステージから退場させられる準備をしている。
闘技場を覆うようにバリアが貼られており、バリアの向こう側には無数の観客がこちらを見ている。
応援している目線だ。
龍雅は、自分の家族を探すと勇雅が後ろの席で座っていた。
優雅は、龍雅がこちらを見つめているのを察すると、勇雅は、口パクで頑張れよと言い、サムズアップをした。
龍雅は、勇雅の応援を受けると、優勝してみせると口パクで言い、サムズアップを返した。
「取り敢えず落とせばいいって訳だな。」
「まぁ、そういう事だ。」
「なるほど簡単…」
龍雅は、そう言い、自分に気合を入れる。
司会者が出場している高校の紹介をし始める。
『そして最後に、G1エリアと同じくB1エリアの優勝候補の期待の星! 銀河丘高校!』
龍雅は、自分の所属する学校名を言われ、不敵に笑う。
不敵に笑う龍雅を見て、剛司は「やる気満々だな」と言い、龍雅は「ちゃんと優勝候補なら見せなくちゃな。俺達の戦いの舞をな」と答えた。
『では、予選のルールを説明しましょう! ルールは簡単! 落としていき、残り二チームにまるまで戦い続けるバトルロワイアル! 生き残った二チームは、東京大会の本選に出場する事が出来ます! 勿論、二チームキチンと残る必要はありません。一チームだけ生き残ってもOK。一チームだけ生き残った場合、生き残ったチームは、シードとなります。尚、闘技場から落ちた場合、ダイバーが救助に当たりますので、ご安心を! それでは開始いたしましょう! 予選開始!』
司会がそう言うと、ゴングが鳴り、能力者達は一斉に動き出し、戦闘を開始する。
「さぁ、始めるとしようか!」
銀河丘高校のチームは、フィールド全体に散らばり、戦闘を開始する。
龍雅はまずブルーウィザードに変化し、敵の攻撃を回避しながら自分の能力値をどんどん上昇させていく。
ある程度戦闘力が高ままると、龍雅はグリーンアサシンモードに切り替え、姿を消す。
――さて、ここから一人一人潰していくか…いや、あえてイエロースナイパーモードで、一気に殲滅するのもいいな。
『兄さん…ここはグリーンアサシンでいきましょう。』
――宮弥か? あぁ、そうか…神であるお前はこっちの事も見えるのか。
『はい。こちらは紗里弥が炎と氷の二つのエリアに分けて殲滅しています。俺達は氷のエリアにて戦闘。炎のエリアに居る選手は全員脱落しました。』
――早いな…で? グリーンアサシンのままで居ろというのはどういう意味だ?
『えぇ、敵味方巻き込むかもしれませんからね。』
――安心しろ。俺の攻撃には追尾能力がある。敵だけを狙えばいい。
『確かに、貴方には敵味方を識別する技を持っています。ですが、もし幻影能力を持った奴がいたとしたら?』
――なるほどな。だが、イエロースナイパーは乱戦を想定したつくりだ。個人戦では、敵に気付かれてスナイパーどころじゃない…予選で使ってもいいだろう?
『そうですね。では、要所要所で使ってください。』
――了解した。
龍雅は、戦場を駆け、狙撃位置に移動する。
狙撃位置に移動すると、イエロースナイパーに変化し、龍雅は指で銃の形を作り、狙いを定める。
――落ちろ! 蚊トンボ!
龍雅は、心の中でそう叫び、空に飛ぶ能力者をエネルギー弾で、次々と撃ち落としていく。
能力者がこちらに気付くと、龍雅は指から追尾エネルギー弾の超高厚弾幕を発射し、そしてグリーンアサシンに切り替え、その場を立ち去り、そして次の狙撃位置に移動する。
――やっているようだな。
龍雅は、虎太郎達の様子を見る。
虎太郎は、複数の能力を使って応戦している。
摩擦を操り、地面を滑らせたり、受けた攻撃を二倍に返したり、そしてエネルギーを操り、力を一点集中させ、攻撃したりして夢想している。
「ハァ…ハァ…全く…数が多いぜ…」
虎太郎は、敵の数の多さにため息をついている。
(もう面倒だし、いっきに片付けちまうか…)
虎太郎は、電流を発生させ、そして発生させた電流を自ら吸収し、電力を溜めていく。
「覚悟しろ…」
虎太郎は、自身をレールガンの弾と見立て電流を纏いながら高速移動しながら、敵を倒していく。
「行くぜ!」
虎太郎は、アームズ人としての力を発揮し、異能を無効化する能力と戦闘力が増幅し、サイコキネシスで片付けていく。
「オラオラァ!! 効かねえぜ!」
虎太郎は、ベクトルを操作し、無数の能力者を吹き飛ばしていく。
(俺は強くなっていく感じがする。出会う度に強くなる。俺らしくもないが、この状態で戦うと楽しい…もっと戦っていたい…俺も龍雅に影響されちまったのかな?)
――その戦闘から生まれる歓喜、快楽…それはアームズ人としての本能だぜ。虎太郎。本能に身を委ねろ。虎太郎…そして勝利せよ。
(…本能というのか…これが…なら、本能に支配されてはならないな。俺が支配されてしまえば、元の俺に戻れないかもしれない。)
――…どうやらアームズ人としての本能を受け入れていないようだな。ふむ、まぁいい…いずれ戦う事が好きになるさ…その時になれば毎日楽しめるぜ。
(なるほど、本能を受け入れたら毎日戦わなければならないのか…面倒だな。)
――面倒くさがっているだろう。だが、受け入れればそんな考えはなくなるな。
(さっきから俺の心を読むような考えをしているけど何なんだ? 龍雅は…もしかして心を読む能力にでも目覚めているのか?)
――俺が心を読む能力を持っていると思っているだろう。だがそれは違う…今日の俺は久しぶりにすげぇ目覚めがいいし、グリーンアサシンだから、頭がめちゃくちゃ冴えているんでな。親友の心を察するぐらい造作もない。
(なるほどな…まぁ、心を読んではいないという事か…)
――そこで、虎太郎は「ならば特に問題ない。さっさと片付けてしまおう」と言う。
「ならば特に問題はない。さっさと片付けてしまおう…ハッ!」
――お前の獲物は俺の物! 纏めてぶっ潰す!
龍雅は、グリーンアサシンの状態のまま空中に居る敵を次々と倒していく。
――消えてしまえ!
龍雅は、一瞬でレッドファイターに切り替え、全身から衝撃波を解き放ち、フィールド上の大半の敵をステージ外に落とした。
残りチームは僅か十チームだ。
「あいつやるな…」
「大半を吹き飛ばすとは…よし作戦変更だ。銀河丘高校のメンバーを狙うぞ。」
「了解!」
一つの高校のチームは、そう言って龍雅に向かって行く。
他の高校も考える事は同じだった。
龍雅を落とすこれが最優先事項となっていた。
龍雅さえ落とせば、希望の光が見えてくる。
残りを倒せる。
と思い込んでいた彼らは、油断していた。
他のメンバーの影を。
龍雅は、無数の敵が迫ってくるのを感知すると、グリーンアサシンに切り替え、その場から姿を消す。
「何処に行った!?」
「龍雅を探す余り、お前らがら空きだぜ。」
龍雅以外の銀河丘高校のメンバーは、隙だらけの敵のチームの一番強い存在に、一撃を加え、最強の存在を闘技場外に投げ捨てる。
強者は、水に落ち、ダイバーに救われる。
龍雅は、誰も気付かれない場所から援護を開始する。
――ここから先にはお前達がやれ。俺はここでサポートさせていただこう。
『まぁ、いいだろう。頼んだぜ。龍雅』
――任された。
龍雅と虎太郎は、テレパシーと心の声で会話し、龍雅は、チームメンバーに強化をかけていく。
チームメンバーの戦闘力が上昇する。
「力が溢れでてくる…この感覚は一体?」
「龍雅の強化ですよ。先輩…龍雅が使う強化で力が強化されているんです。」
「なるほど…では、龍雅であの場所で待機しているのは…」
「俺達の強化に集中しているからですよ。」
「なるほどな…」
虎太郎達は、龍雅の強化を受けながら敵を次々と倒していき、残り3組となった。
「どうやらここからは二手に分かれましょう。」
「そうだな。行くか。」
「一樹先輩、俺について来てください」
「正彦! 行くぞ!」
「「おう!」」
虎太郎と剛司は、一樹、正彦と共に残りのチームに立ち向かっていった。
「我々も嘗められたものだな。」
「そうだな。そちらのチームと一時期同盟を結ぶというのはどうだ?」
「いいぜ。では決勝で決着を付けるとしようか。行くぞ! 共に銀河丘高校を落とすぞ!」
二チームは同盟を組み、銀河丘高校を倒そうと迎え撃つ。




