第玖拾捌話《本命の練習試合/最弱VS最強》
「あぁ、始めよう。」
龍雅は、そう言って身構える。
「まぁ、何も今すぐ始めるってわけじゃないけどな。演習と言っても模擬戦でしかない。」
「そうだな。」
「さっきまではお前が来るまで暇を潰していたところだ。…さて、今から大会と同じくリーグで演習を行う。試合終了後、自動的に全快する。尚、試合開始すると、最後の戦いが終わるまで闘技場での時間経過は百分の一となる。最も多く勝利した者は、私からの報酬をやろう。人によって報酬は違うし、報酬の内容は明かさないがな。」
「なるほどな…良いやり方だな。」
「だろう? まぁ、私自身の分も用意してあるんだけどな。」
「やっぱりね。」
「あっ、一応言っておきますが、俺はこの戦いでは手加減させてもらいます。まぁ、覚醒状態のアームズ人としての能力は使えないが、能力無効化は作動しますがね。」
宮弥は、そう言って龍雅がかつて着けていた腕輪を付ける。
「まぁ、そうでもないと練習にならないからな。宮弥の強さは最強だし」
「確かにな…では、始めるとしよう。第一バトル…龍雅VS梨奈!」
紗里弥がそう言うと、龍雅は、準備運動をし始める。
「先輩、お手柔らかにお願いしますね。」
梨奈もそう言って、準備運動をする。
「あぁ、いいぜ。だが俺が勝つけどな。」
「そうですか…なら、こちらは本気でやらさせてもらいますよ?」
「いいぜ。」
龍雅と梨奈以外は、観客席に飛び、そして観客席に座り、バリアを張った。
このバリアは、物凄く薄いが超新星爆発並みの衝撃が発生してもヒビ一つ入らないバリアで、大会でも使われている。
音量や光量がある程度超えると、音光軽減効果が発揮される。
材料は不明、この世界の物質ではない。
宮弥が異界の物質を持ち込んだのだろう。
この物質は、勇雅が出場する能力者総合格闘技大会にも使用されている。
それほどまでに格闘大会の戦闘は激しく苛烈な物なのだ。
フィールドも、バリアと同じ物質で出来ている。
『試合開始!』
ブザーが鳴ると、龍雅はブルーウィザードに変化し、HP、攻撃力、防御力、速度を強化、状態異常無効など様々なバフを自分に掛け始め、そして梨奈に様々なデバフをかけ始めた。
「またその戦法ですか!」
「あぁ、またその戦法だ。さぁ、早く俺を倒さねえと弱っていくぜ? 俺を早く倒してみろ。さもなければ、俺の力は強大になっていく。」
「分かってますよ!」
梨奈は、龍雅に触れようとするが、回避され、そしてサイコキネシスで吹き飛ばした。
「いったいなぁ…返しますよ!」
梨奈は、攻撃の痛みを倍にして返そうとするが…
「残念だが…予想は付いて居た。」
龍雅は、その数倍の威力で、梨奈に返した。
梨奈は、大ダメージを受けると、また龍雅に返し、龍雅はその攻撃を返す。
攻撃を返す度に、梨奈は苦しんでいく。
まるで梨奈だけがダメージを負うキャッチボールのようだ。
――そろそろ限界になるだろうな。梨奈がよし…
龍雅は、ガード状態になり、跳ね返ってくる攻撃を無効化する。
――よし、これでいい。さて次は…能力を無効化する。
龍雅は、そう思い、光輪を放つ
――異能封殺これで勝負は決まった。
光輪は、梨奈に当たると、光輪は梨奈の口にはまる。
――よし、これで終わりだ!
龍雅は、一瞬で、梨奈の後ろに回り込み、首を軽く叩き、梨奈を倒した。
『試合終了!』
その後、何回か練習試合が行われた。
龍雅は待ち時間の間、虎太郎と世間話をしている。
そして龍雅の出番が来る。
『龍雅VS友恵』
龍雅と友恵は、フィールドに移動した。
「始めるわよ。」
「あぁ、来い。」
まずは友恵が動く。
友恵は、龍雅のいる場所の摩擦係数を減少させ、転ばせ、そして龍雅のいる場所の空気の摩擦に関する情報を操り、転んだ時の動きで、空気摩擦で摩擦熱を発生させ、龍雅を焼く。
「なるほど…そうやってやるか…あいにく俺は戦闘を見ていなかったんでな…対策をしていなかった」
「慢心は敗北へ繋がるわよ。」
「確かにな…だが、空中に浮いてしまえば問題はない。」
龍雅はブルーウィザードになり、熱耐性を付け、そして空を飛ぶ。
「ただ滑らせるだけが摩擦の力ではないわ。」
友恵は、そう言い、龍雅の腕を消滅させる。
「何!?」
「摩擦を操る事で、結合と分解を操れる。物質は、摩擦によって成り立っていると言ってもいい。摩擦を支配するという事は、物質を支配するという事なの。」
「なるほどな。強い能力だ…」
龍雅は、友恵に攻撃を仕掛けようとするが、攻撃が滑り、当たらない。
「何かしたかしら? 攻撃と言うのは、こういうものよ!」
友恵は、龍雅に対し、一撃を叩き込んだ。
「いてぇ…高い威力だ。」
「更にこう言う事も出来る。」
友恵は再び龍雅に攻撃をしかける。
友恵の攻撃の摩擦係数が高まった事により、友恵の拳は、炎を纏い、超強力な炎の一撃と化した。
炎の一撃は、龍雅を吹き飛ばす。
「さらにこう言う事だって出来る。」
――動けない? まさか…
「張り付けよ。摩擦係数を操って動けないようにした。」
――やはりか…
「おい! 紗里弥! こんなに強い奴は次鋒にしていいのか?」
「それを言うならお前とて同じだ。そろそろ遊ぶのはやめろ。」
「そうだな…だが、動けないからこのままやらせてもらう。この壁は壊せねえし、無理に剥がそうとするといてえしな。」
「…なるほど、反射を狙うつもりなのね…タイミングよく防御する意思を持てば反射出来る能力…ただし、自分が防御できるとイメージできた時にのみ限る。」
「あぁ、そうだよ。」
「なら、認識できない速度で攻撃するまで…」
「できるものならやってみろ。」
友恵は、挑発に乗り、連続で分解攻撃を仕掛けるが、龍雅は、攻撃を受ける場所を予測し、跳ね返していく。
友恵は、跳ね返された攻撃を受け、肉体は削り取られる。
(なるほど、動けないから余計に神経が研ぎ澄まされて反射しやすくなっているのね。これでは、逆に不利…それにその気になれば防御無視した攻撃も加えてくる。クリティカルヒットは、あらゆる防御策を撃ち砕く能力…正彦君と同じような能力だ。それに今こうしている間にも私の戦闘力は下がっていき、そして龍雅の戦闘力が上昇していっている。不味い状況ね…5回殺せば降参すると言っていたけど…殺せるイメージがない。私がどれほど強い能力を持っていたとしても…殺せるイメージがない。いや、私が負けるイメージしかない。)
友恵は、能力を使い、物質を結合し、自分の体を再生する。
(よし、これで応急処置は出来た。さて、ここからどうするか…)
「もういいか? なら、次は俺の番だ。」
龍雅は、状態異常無効を付与し、そして摩擦によって張り付けられていた身体をいとも簡単に引き離す。
「なっ!?」
「俺はさっきの俺の状態を状態異常バインドと定義した。もはや張り付けは通用しない。」
「転ばせるしか…」
「おっとそれは無意味だ。俺は空を飛んで転倒を回避する。」
「ならばこれはどう!?」
友恵は、原子を結合し、牢を生成し、閉じ込め、そして地面の摩擦を減らし、地面を滑って高速移動する。
「時間稼ぎのつもりか!」
龍雅は、自分は牢を破壊し、そして友恵に向かって防御無視のエネルギー弾の弾幕を放ち、そして勝利した。
「強い…最初は勝てると思っていたのに」
「まぁ、仕方がない。あいつ強いし…むしろ弱体化した今の方が強いんじゃないかと思っている。」
「重ね掛け出来るって点があるからな。俺は…技の数を使いこなせば、戦闘力的に格上でも勝てるってもんだ。俺が技持ってなかったら梨奈やお前にも負けていただろう。」
「でもアームズ人相手だと通用しません。」
「だから俺は、アームズ人に腕輪を強制的に触れさせ、弱体化した所をつく。さて、次の試合は?」
「あぁ、そうでした。では始めましょうか…次は…俺と剛司先輩ですか。」
「とても勝てるとは思わんが、やらせてもらうとしよう。」
「まぁ、手加減はしてあげますよ。手加減はね…」
試合が開始する。
宮弥は、剛司を挑発すると、剛司は第二覚醒形態に変身すると、宮弥は、早速剛司に対して突きの一撃を与え、剛司を超高速で吹き飛ばす。
(やはり強いな…一発喰らっただけでもわかる…勝てない…そもそもこいつに勝てるなんて事は出来ない。イカサマだ。理不尽だ。)
剛司は、冷や汗をかき、そして受け身を取る。
(遊んで差し上げましょう。)
宮弥は、そう思い、分身を作り出し、連続攻撃を始める。
「クッ! こいつら…強い…これではリンチではないか…」
「宮弥、その技見た事ないぞ。」
「すみません兄さん。少し興が乗ったもんですから…未公開の技使ってしまいました。」
『でも、後で兄さんにも使ってあげますよ。今夜でも…』
宮弥は、そうテレパシーで龍雅の耳元で囁くようにそう言った。
(わかった…)
龍雅は、そう心の中でし返答し、宮弥は龍雅にウインクをする。
複数人の宮弥は、剛司からして見れば情け容赦ない攻撃を剛司に加えていく。
これでも宮弥にとっては情けをかけているようなもの。
軽い攻撃でも一撃一撃が大陸を滅ぼす威力。
それを一瞬にして無数も受ければひとたまりもない。
それにこちらの能力を無効化してくるので、エネルギー分散能力を突き抜けて攻撃してくる。
宮弥に宿るアームズ人の因子が、剛司の能力を無効化しているのだ。
「ガハッッ!」
剛司は、口から血を吐き出す。
「どうしたしましたか? もっと楽しませてくださいよ!」
宮弥は、指を鳴らし、分身を消し、そして攻撃を再開する。
「クソッ…どうやれば、勝てるんだ?」
剛司は、圧倒的な力量差に押されている。
完全なる劣勢だ。
「ふむ…どうやら本当に抵抗できないらしい。では終わらせましょうか…」
宮弥は、そう言って一瞬で、剛司の後ろに回り、一撃を加え、剛司は倒れた。
『試合終了!』
「宮弥が最強なのはわかっていたが、剛司でさえ手も足も出ないなんて…」
「強すぎる…まさにジョーカーだ。」
「次は龍雅と宮弥だな。」
「剛司が勝てないなら、俺も勝てない。よし、出来るとこまでやってみよう。」
龍雅は、そう言ってフィールドに降りる。
「二戦連続、俺か…まぁ、いいでしょう。いずれにしろ勝つのみです。」
宮弥は、そう言ってフィールドで準備運動をしてから構えた
「死ぬ気そして殺す気でやってやる。」
龍雅は、これが人生最後の戦いだと言わんばかりの特攻の覚悟と敵を必ず殺すという非常に強い殺意を胸に宮弥に挑む。
『試合開始!!』
仕合のゴングが鳴る。
龍雅は、早速ブルーウィザードになり、自分の能力値を上昇させ、宮弥は、時間を止める。
宮弥の戦闘力は、龍雅を上回っており、龍雅のデバフ効果は効かない。
「オラァ!!」
龍雅は、本気の回転蹴りで、宮弥に一撃を入れるも、宮弥は、まるで蚊でも刺されたかのように蹴られた場所を軽く掻いている。
「何かしましたか?」
「効くちゃあいねえか…」
「次は、私の番です。」
宮弥は、一瞬にして龍雅の後ろに回り、一瞬にして数百回攻撃を叩き込んだ。
龍雅の体から大量の血が吹き出す。
――強すぎる…
龍雅は、能力値をある程度上昇させると、レッドファイターに切り替え、攻撃を始める。
「イエロースナイパーとグリーンアサシンは使わないんですか?」
「あぁ、この方が手っ取り早いからな。それにお前に使っても無意味だと分かっているからだ!」
龍雅は、レッドファイターで怒濤の連続攻撃をし始める。
一撃一撃が星を壊す一撃だが、宮弥にとっては蚊に刺されるよりも痛みのないダメージだ。
効かないことが分かると、龍雅は、宮弥の攻撃を回避しながらブルーウィザードになり、能力値を上げていく。
自分のMPを全て能力値やバフに費やす。
ポーチの中に入っている食料のカロリーをMPに変換し、戦闘力を上昇していく。
そして龍雅の戦闘力は手加減状態の宮弥を越える。
「やっと追いついた…」
「なるほど、食料を大量に喰らう事で、そこまでの戦闘力に…なるほど…いいでしょう。この腕輪をしている限り、俺は覚醒状態になる事は出来ない。故に、兄さんは俺に勝つチャンスが出来るという事だ。さて、このバリアでは私達の戦いに耐えられない…だから、銀河崩壊級までに引き上げましょう。」
「お気遣い感謝する…行くぞ!」
龍雅と宮弥は、衝突する。
目にも止まらぬ速度で衝突する。
収束されたエネルギー同士がぶつかり合う。
収束されたエネルギーは、エネルギーのロスなく相手に伝わる為、分散されるエネルギーによる被害もなくそして収束されている為、威力も高い。
(体力が削られている…それに防御無視か…厄介な力だ。だが、それを設定したのは俺自身だ…自業自得だな。まぁ、いい修正する気はないがな…ゲームクリアの為に設定した能力なんだから)
宮弥は、瞬間移動して逃げる。
「逃がすかよ!」
龍雅は、瞬間移動で追いかける。
(やはり来たか…)
宮弥は、龍雅を迎え撃つ。
(防御無視、それに呪いとも呼べるスリップダメージ…それに戦闘力が同等になった事で、デバフの範囲内になり俺の力は弱体化していく。だが、この力を使えるのは自分だけだとは思うなよ。)
――ステータスの低下…なるほど、宮弥も俺の戦闘力を…それに宮弥の戦闘力も上昇しているように感じる…ふむ、では…この技を使うか…
龍雅は、そう言って光輪を密かに生成し、宮弥に瞬間移動で接近し、そして光輪を宮弥にぶつけると、光輪は、宮弥の首にはまった。
「異能封殺…これでお前はアームズ人としての能力も今かかっているバフも無効化される。勿論、能力者としての能力もだ。そしてスキルバインドは、相手の動きを封じる効果もある!」
宮弥の動きは止まり、
(なるほど、やられた。これでは、身動きが取れない。)
「さぁ、最後の時だ。」
龍雅は、眼を破滅の邪眼へと変えると、宮弥は、腕輪を外し、そして光輪を解き、龍雅に一撃を加えた。
「ガハッ!」
「サービス時間は終了しました。」
宮弥はそう言い、紅き闘士第二覚醒状態になり、龍雅に猛撃を加えていく。
第二覚醒状態になった事で、龍雅の能力は全て無効化された。
一回の攻撃で龍雅は死ぬ。
ただの一撃で死ぬ。
5回以上は死んでいる。
「タンマ! タンマ! もう99回以上死んでるって!」
「そうですね…追い詰められて冷静さを失っていました。申し訳ございません。」
『試合終了!』
「やはり勝てなかったか…」
「何があったんだ? あの空間で…時間が止まって龍雅と宮弥が消えたかと思ったらいつの間にか…」
「まぁ、あの戦いは神速にして刹那の戦いだから捉えられないのも当然だ。」
「見えなかったけど、龍雅先輩に勝つなんて…宮弥先輩はやはり最強なのですね。」
「まぁ、手加減したせいで追い詰められましたけどね。さて、練習試合を再開しましょうか。」
「あぁ、そうだな。」
龍雅達は、最後の戦いが終わるまで練習試合を行った。




