第9話 崩壊【北原綾音視点】
私はみんなに言った通り、たっくんと二人で話をしようと試みた。
たっくんの家に行く前に連絡をしたが、既読にはならなかった。
なのでしばらく待つ事にした。
………
帰宅してから二時間程が経過した。
時刻は18時25分。
返信は無い。既読もつかない。
「行こう」
もうすぐ、たっくんママも帰ってくるだろうし限界だ。
私は二人きりで話をしたい。そうすれば、優しいたっくんなら分かってくれるはず……だった。
「もう来ないで。学校でもお兄ちゃんに近づかないで」
こっちゃんがいた。今までの私に対しての態度ではなかった。
あんなに怒ってるこっちゃんを初めて見た私は、たっくんにそれだけ酷い事をしたのだと、ようやく自覚した。
友達同士のノリとはいえ、許されない事をしてしまったんだと痛感した。
家に戻った私はグループメンバーに報告した。報告と言っても一言だけ。
「私達のせいで、私が」
それだけ打ち込みベッドに体を預けた。
私が悪いとは、どうしても言えなかった。
今は何も考えたくない。そう思い目を瞑った。
◇
翌日の学校。
風夏に連れられて、誰も居ない空き教室に来た。
「全部、綾音が悪いから。なんで私も巻き込まれなきゃいけないの?」
突然、風夏に責められ、さすがに私も言い返す。
「それをいうなら、そういうノリにした健也や煽った皇輝も悪いし」
二人の名前を出す。
私一人が悪者になるわけにはいかなかった。
「…… 私、グループ抜けるから。嘘告なんて酷い事する人達と関わりたくないし」
「あっそ、勝手にすれば。自分だけ悪くないみたいに言わないでくれる?同罪だから」
「私は止めたもん!拓斗くんが傷つくのは見ていられなかった。でも皆が」
口論は朝のチャイムがなるまで続いた
◇
学校から帰宅して自由時間を過ごしていると、お母さんがノックもせずに入ってきた。
「ノックくらいしてよ、お母さ――」
パチーン
乾いた音が部屋に響く
あまりに急な出来事に、私は堪らず痛む頬を抑える。
「え、」
「綾音!!あんた、拓斗くんになんであんな酷い事したの!今日、拓斗くんママに話を聞いて驚いた。何とか言いなさい」
「あ……あ……」
お母さんに改めて言われ、涙が込み上げる。
私なんかが泣いてはいけないのに、涙が止まらなかった。
「ごめんなさい、ごめんなさいお母さん」
「謝る相手が違うでしょ。でも学校以外で会わないで欲しいって、拓斗くんママに言われてるからもう手遅れだけどね」
お母さんは呆れた様子で私に話す。
私は自分の体を支えきれず、床に崩れ落ちるしかなかった。




