僕は他人の家にしがみついている変態でしかない。
路頭生活五日目の朝。僕は早乙女家の玄関前に立っていた。
決して御呼ばれされたわけではなく、今日ここに来たのは僕の独断である。
「ふぁーっ」
おっと、つい欠伸が。
仕方ないか。今は朝の5時だし。
「さて」
いつまでもここに突っ立ているわけにもいかないので、さっそく突撃を開始した。
その辺の公衆便所からすっぽん? をふたつ拝借し、それを使って早乙女家の壁をよじ登る。
え? 何を言っているのかわからない? すっ、スク○ンを読みたまえスク○ンを。
「咲の部屋は……お、ここだな?」
壁を登り始めてから数秒で、お目当ての部屋にたどり着く。
窓から中の様子を伺ってみると、まだ咲は寝ているようだ。まぁ5時だし、当たり前か。
「おーい、咲さーん!」
言いながら窓を何度か叩く。
「起きろー! 早くしないと通報されっからー!」
傍から見れば、僕は他人の家にしがみついている変態でしかない。
おそらく早朝ランニングをしている誰かに見つかり次第、僕は警察行きだ。
「咲ー! 起きろっつってんのに!」
懲りずに窓を叩き続けると、ようやく咲が起き始めた。
もぞもぞと布団から起き上がり、辺りをきょろきょろしている。
「こっちだ」と言いながらもう一度窓を叩くと。
「ふぇ? はる?」
まだ寝ぼけているらしい。
「なんで春が窓の外に? ふわぁー……」
「のんきに欠伸なんかしてんな! 早く窓開けろ!」
「うー わかったぁー」
目をこすりながら、部屋の窓を開ける咲。
よかった。もう少しで落ちそうだったわ、危うし危うし。
すっぽんを壁に放置したまま咲の部屋へ滑り込んだ。
「潜入成功! ご協力、感謝する!」
「え、うん。ありがと」
まだ寝ぼけている咲の手を握って、ぶんぶん振る。
「ところでくるみとは一緒に寝てないのか?」
咲の部屋には咲本人しか居なかった。
おかしいな。てっきり一緒に寝てんのかと。
「今日はお母さんと一緒に寝てるわ。初日はあたしだったけど」
あぁ。なるほど。
「せっかくだからくるみを驚かせてやろうと思ってたのに、ってイデデデデデッ!」
急に咲が僕の頬をつねってきた。
き、昨日のスリーパーホールドの次は頬を抓るのか!? なんか咲さん暴力的になってません!?
「それにしても、妙にリアルな夢ね? 春のほっぺの感触がリアルに再現されてるわ」
「なに言ってんだ! これはっ、現実だ! 痛っ!」
「はぁ? 壁をよじ登ってきたアンタと喋ってるこの状況が現実? んなわけないでしょ?」
「それもそうだがっ、てかいい加減やめろ!」
言いながら頬を抓っていた彼女の手を払いのける。
「ったく、もう夢ってことでいいから。とりあえず言いたいことがある」
「なによ?」
「昨日はなんかよくわからんが悪かった」
「はぁ? なにが?」
あ、あれ? 昨日僕の首絞めたこと覚えてないのか?




