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好き嫌いしないのはいいことだ!

田中さんと一緒に帰ってくると、くるみが出迎えてくれた。

どうやら学校帰りに遊びに来たらしい。


「みはるおねーちゃんとおねーちゃん! おかえりー!」

「おぉくるみか! さぁおにーちゃんの胸に飛び込んでくるがいい!」


言いながら両手を広げる。


「くるみちゃんもお帰りなさい。今日はなにして遊びましょうか?」


田中さんのほうもくるみを手招いた。


「え? えっと、えっとね?」


両手を広げる僕と手招きをする田中さんを見比べて、困り顔のくるみ。


おそらくどっちへ行こうか迷ってるんだろうが、僕とくるみは生まれながらの付き合いだ。きっと僕のもとに来るはずさ。

ハハッ、兄貴ってのも困りもんだぜ。


「みはるおねーちゃん!」

「なんだと!?」


なんとくるみが選んだのは田中さんだった。


「えへへ、なんかごめんなさい」

「っく! そんな勝ち誇った顔すんな!」


別に悔しくなんてねーし! 自分の妹が懐いてくれないからってなんとも思わねーし!

そんな負け惜しみを脳内で言いつつ、とぼとぼ橋下へ。



「お。お前か」


橋下に居た七面鳥に声をかける。


「やっと帰ってきたか。早々にすまんが、一つ頼みを聞いてくれないか」

「は? あぁ、別にいいけど」

「実は今朝からなにも食ってなくてな。なにか食べられるものはあるか?」

「お前なんも食ってねーの?」


サラダさん情報と違うなぁ。


「あぁ。サラのネーチャンに全部食われてな」

「あの野郎……」


話が全然違うじゃねーか!

サラダさんのヤツ、帰ってきたらガツンと言ったらんと!


「てか、お前からもなにか言ってやったらどうだ?」


人間語話せるんだし、と提案する。


「いや。俺は坊主以外と話さないつもりだ」

「坊主って僕のことか?」

「あぁ」


何様だよ七面鳥。別にいいけどさ。


「なんで僕以外とは話さねーの?」

「坊主以外は女だろ。なんか嫌われそうで」

「そうか?」


そうでもないと思うのだが。

今朝田中さんも喋る七面鳥はアリって言ってたし。


「まぁそういうことだから、俺が話せるってことはくれぐれも他言無用だ」

「あぁ、ま。お前がそう言うなら」

「おい! 鳥!」


丁度僕が納得したところで、サラダさんがやってきた。


「どうしたサラダさ……うぉっ! なんだそれ!?」

「鳥の飯を獲ってきたぞ!」


そう言うサラダさんの手には虫かご。

その中身はあまりにグロテスクなので言えません。


「さぁ食え!」

「んなもん食うのか?」


ギュワッ!


一声鳴いた七面鳥が虫かごを咥えて少し離れた位置まで飛翔していった。

どうやら食うらしい。


「雑食なのかアイツ」

「好き嫌いしないのはいいことだ!」

「まぁ、そうだな。とりあえずお前は手を洗って来い」

「わかったぞ!」


言われてすぐに、川のほうへかけていくサラダさん。

ううむ。説教してやるつもりが、なんかうやむやになっちまった。


祝!40話突破!


こんな小説誰も見てくれないだろうと思っておりましたが、心優しい方々のご感想に励まされ、ここまで頑張れました。

これからも陰でコソコソ書いていきますのでよろしくお願いします!


ところで銭湯の身体を洗う場所ってなんて言うんですかね? 洗面所……?


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