おおおっ。昼飯が出たらどーすんだっ。
『メインディッシュ。』
「さて、野菜の次は肉だ」
「おぉ! 肉か! 肉は最高だ!」
「それは激しく同意」
「それで肉はどこにあるんだ!」
「ここだ」
興奮気味なサラダさんの前で、僕は地面を指差した。
そんな僕を見て目を丸くするサラダさん。
「なに! 肉が埋まっているのか!」
「怖いこと言うな」
死体が埋まってんのか、って勘違いするだろうが。
「いいか。肉は埋まってない、生えてるんだ」
「なんだと! 肉は生えるのか!」
「その通り。ホラ、これが肉だ」
言いながら近くのサヤエンドウを引きちぎる。
「おいハル! これはマメだ!」
「いいや肉だ」
「これはマメだッ!」
「違うっつの」
畑の肉と言えば大豆。大豆の元は枝豆だが、まぁサヤエンドウも似たようなもんだろ。
「畑の肉って言われてるくらいだし。騙されたと思って食ってみろ」
「畑の肉。わかった、食べてみるぞ!」
「おし、いただきまーす」
二人揃ってサヤエンドウを口に放り込んだ。
もしゃもしゃと咀嚼しながら、ゆっくりと首をかしげる。
「ハル、肉の味がしないぞ……」
「あぁ確かに。ってか、コレ……」
「「不味いわッ!」」
またも吐き出す二人だった。
『デザート。』
「さて、シメはデザートといこうか」
「……」
「おいどうした? デザートだぞ、もっと喜べよ?」
なんだかサラダさんに元気が無い。一体どうしたというのか。
っは! まさかコース料理の素晴らしさに言葉も出ないってか!?
「そんなに喜ばれるとなんか照れくさいな」
「死ね!」
「ぐほぉっ!?」
照れくさくなって頬を掻いていると、サラダさんの鉄拳が鳩尾に入った。
「おおおっ。昼飯が出たらどーすんだっ」
腹を押さえながら訴えると、
「私達はなにも食べてない!」
「うぐ」
「昼飯がないなら初めに言え!」
「す、すんません」
暇だったんでつい。
「ふん。まぁいい! 仕方ないからこれを一緒に食うぞ!」
「え? お、おっと」
不意にサラダさんがバナナを寄越してきた。
あれ? 怒ってたんじゃないのか?
「バナナは全部七面鳥に食われたって言ってたよな?」
「知らん!」
「い、いや言ってたって絶対」
「黙って食え!」
「……はい」
この後一緒にバナナを食べると、何事も無かったようにサラダさんは河原に帰っていった。
「はぁー」
午後の授業中。黒板に向かう教師を眺めながら、ため息を一つ。
結局のところサラダさんも暇だったのだろう。
いきなり校門にいた時は驚いたが、僕のほうもいい暇つぶしになったのでよしとする。
でもな、これだけは言わせてくれ。
「どう考えても殴る意味は無かったろ……」
次来ても絶対相手してやんねぇ。




