わたしのこと独り占めにしたいんですか!?
路頭生活四日目。今日は学校である。
「今日もいい天気ですねー」
「そうだなぁ」
礼によって本日も田中さんと登校。
うむ。女の子と登校って素晴らしい。
「田中さんさぁ、喋る鳥ってどう思う?」
「な、なんですか急に?」
「いやなんとなく」
身近に喋る七面鳥がいるんですよ、という言葉は飲み込む。
「そうですねー インコとかオウムはかわいいと思いますけど」
「確かにインコとかオウムはかわいいけどな。喋る七面鳥はどうだ?」
「し、七面鳥……」
言いながら苦い顔をする田中さん。
「いまいち想像付かないですけど。でも、アリと思います」
「アリですか」
おぉ、やったな七面鳥。帰ったら田中さんの前で喋らせてやるからな。
「喋る七面鳥なんて怖いよ!」
「は?」
その時、誰かが話に割り込んできた。
隣を見ると、ちんちくりんな女の子が一人こちらを見上げているではありませんか。
僕と目が合うと、その女の子はニコリと微笑む。
「そうだよね! あたしの親友である真鍋春さん!」
「……誰だお前?」
「えええ!? ちょっと昨日ぶりでしょ! 橘葵だよ!」
「たちばな、あぁ! 葵ね!」
「全く、親友の顔を忘れるなんて最低だね」
「そんな急に親友とか言われても」
「もー! それも昨日言ったでしょー!?」
顔を真っ赤にした葵が僕の耳を口元まで引っ張る。
「痛えぇぇぇえええ! 耳千切れる!」
「計画通り進めてよね! あたしと美晴さんが仲良くなるよう協力してくれるんでしょ! 忘れたの!?」
「あ、あぁ。確かそんなこと言ってたような」
「忘れてたんだ!?」
「いやちょっといろいろあって」
喋る七面鳥の件とか。
「あの、真鍋さん。そちらの方は?」
葵と話している途中で、反対側の田中さんが袖を引っ張ってきた。
どうやら葵とは面識がないらしい。
「あぁこいつはたちば……」
「みみみみ美晴さん! あたし橘葵って言います!」
割り込んできた!
「橘葵さん、ですか?」
「そうです! えっと、あたしは春さんの親友です!」
「そ、そうなんですか」
「だから美晴さんともお友達になりたいです!」
おぉ。直球だなぁ。
「お友達……! はい! わたしでよければ是非お友達になってください!」
「いいんですか!?」
まぁ田中さんに限って断ることはないだろうと思ったけど。
こうして、あっさりと葵の目的が達成されたのであった。めでたしめでたし。
「よかったな葵」
「うん! もう最高!」
そりゃよかった。
「これからもっと仲良くなれるように頑張る!」
「あぁ頑張れ」
「まずは毎朝一緒に登校する!」
「え」
待て待て待て。そんなことされたら、僕の幸せなひと時が終わる。
「それはダメだ! 一緒に登校など認めん!」
「な、なんで!?」
「田中さんは僕と登校すんだよ!」
「えええ! 酷い! 美晴さんのこと独り占めするつもり!?」
その表現はちょっと恥ずかしい!
「独り占めってわけじゃっ、ないんだが!」
動揺しながら否定するが、時既に遅し。
僕と葵の会話を聞いていた田中さんが顔を真っ赤にして詰め寄ってきた。
「真鍋さん! わたしのこと独り占めにしたいんですか!?」
「ちげーよ!?」
「独り占めなんてっ、ケダモノですよ真鍋さん!」
「だからちがうっつってんだろ!」
「もう同じ屋根の下で寝れません! イヤーッ!」
誰か田中さんの暴走を止めてぇええええええええ!




