↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】悪役令嬢は、おもしれー女が好きな殿下をおもしれー女にお譲りして幸せになりたい!  作者: カワシロツカサ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
20/21

おもしれー女完結編

 アルフレッドとエレノアの婚約が正式に解消されてから、一月ほどが過ぎた。


 ここまで来るのは、思っていた以上に大変だった。


 ヴァレンティス公爵が婚約解消に同意しても、それですべての貴族が納得したわけではない。次の王太子妃に自家の令嬢をと考える者も現れ、男爵令嬢であるリリアをわざわざ選ぶ必要はないと主張する者もいた。

 アルフレッドたちは一つずつ反対意見を退け、ようやくリリアを王太子の婚約者候補として認めさせた。


 エレノアとユリウスの婚約も発表され、あとはリリアの王太子妃教育の進み具合を見ながら、正式な婚約の時期を決めることになっている。


 久しぶりに四人でゆっくりとお茶を飲めるようになった日のことだった。


「そういえば、皆さんにちょっと相談があるんですけど」


 リリアが菓子をつまみながら言った。


「何でしょう?」

「最近、私、光るんです」


 三人は黙った。


「もう一度お願いします」

「光るんです」

「何が?」

「手が」


 リリアが右手を差し出した。


「怪我をしたところに触ると、こう……ぴかっと」

「リリア」

「はい」

「今すぐ神殿へ行きますよ」

「そんなに大変なことですか?」

「いいから来なさい!」


 その日のうちに神官が呼ばれ、リリアの手に現れる光を確認した。


「間違いありません。聖魔法です」


 沈黙が落ちた。


 聖魔法の使い手は、この国でも数えるほどしかいない。身分にかかわらず神殿の庇護を受け、王家からも相応の地位を与えられるほど貴重な存在だった。


「……つまり」


 ユリウスが口を開いた。


「最初からこれがわかっていれば、兄上の婚約者にする話はもっと簡単だったんじゃないか?」

「そうですね」


 エレノアは即答した。


「ヴァレンティス公爵家に後ろ盾をお願いして、葡萄を調べて、試験栽培の計画を立てて、貴族の方々を説得する苦労も、かなり減っていたでしょうね」


「……すみません」

「いつから使えたのです?」

「最近です! 本当に最近なんです!」


 リリアは慌てて両手を振った。


「この前、侍女が指を切ったので触ったら、ぴかっと光って傷がなくなったんです。でも、そういう魔法もあるのかなって」

「ありますが、誰にでも使えるものではありません!」

「そうなんですか?」

「教えました!」


 アルフレッドが笑った。


「殿下?」

「いや。ここまで来てもリリアはリリアだと思ってな。これで、君との婚約に反対する連中の理由はほとんどなくなった」

「本当ですか?」

「ああ」

「じゃあ、王太子妃教育も――」

「それは続けてください」


 聖魔法が使えても、外交儀礼や政治を知らなくてよくなるわけではない。


 リリアの勉強はそのまま続いたが、正式な婚約については一気に話が進み、ほどなくして、王太子アルフレッドとリリア・モーガンの婚約が正式に発表された。


「結局、あんなに苦労しなくてもよかったんでしょうか」


 リリアが尋ねた。


「どうだろうな」


 アルフレッドは笑った。


 何の役に立つかわからないことを調べ、誰も気に留めなかったところで立ち止まり、二百七十年前に途絶えた葡萄畑まで復活させようとした。


 そういうリリアだから、アルフレッドは彼女を好きになったのだ。


 これから先もきっと、彼女はアルフレッドの予想もしないことを言い出すだろう。


 少なくとも、退屈することだけはなさそうだった。

お読みいただき、ありがとうございます!

これにて全編完結です!

「面白かった」「続きが気になる」と思っていただけましたら、リアクション・評価・ブックマークで応援していただけると嬉しいです!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。