2章「鬼神次なるステージへ」
朝。
「……ん」
凛はゆっくり目を開けた。
「……朝か」
まだ少し眠い。
布団の中でスマホを手に取る。
「……ん?」
通知が。
異常なほど溜まっている。
「……何これ」
SNS。
メッセージ。
配信サイト。
全部合わせて。
数十件どころではない。
「……」
凛は一つずつ確認していく。
そして。
「…………」
目が覚めた。
鬼宮鬼神。
チャンネル登録者。
**100,000人。**
「……十万人」
凛はスマホを持ったまま固まった。
少し前。
まだ四万人にも届かなかった。
それが。
魔王杯を優勝しただけで。
こんな数字になった。
「……すご」
自分でも。
笑ってしまう。
「十万人かぁ……」
すると。
スマホが震えた。
ピコン。
「ん?」
通知。
星乃ひより。
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**ひより:鬼神さん!!
**ひより:10万人おめでとうございます!!!
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「……早いな」
凛は笑った。
返信する。
**鬼神:ありがとうございます。**
すぐに返事。
**ひより:今日絶対お祝いしましょう!**
**鬼神:今日?**
**ひより:はい!**
**ひより:みんなで!**
「みんな……」
凛は少し考える。
「……まあ、いいか」
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その頃。
ひよりの配信枠では。
「皆さん!」
ひよりが嬉しそうに話していた。
「鬼神さんが10万人突破しました!」
**『おめでとう!!』**
**『魔王杯効果すごい』**
**『鬼神伸びるの早すぎw』**
「本当にすごいですよね」
ひよりが笑う。
「私も嬉しいです」
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学校
「おはよ」
「おはよう、凛」
いつものように。
乃愛が凛に声をかける。
「凛!」
「ん?」
「昨日の魔王杯の切り抜き見た!?」
「……見た」
「鬼神やばかったよね!」
「……そうだね」
「最後のレオさんとの一騎打ち!」
乃愛がスマホを見せる。
「めちゃくちゃカッコよくない!?」
「……うん」
「私、あの配信で完全にファンになっちゃった」
「…………」
凛の手が止まる。
「……そうなんだ」
「うん!」
乃愛は嬉しそうに笑う。
「なんかさ」
「ん?」
「鬼神って、普段はクールなのにゲームになるとめちゃくちゃ熱くなるじゃん」
「……」
「そこがいいんだよね」
凛は。
何も言えなかった。
(……俺なんだけど)
心の中だけで呟く。
「凛?」
「……何でもない」
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昼休み。
教室では。
「鬼神、10万人いったらしいぞ」
「マジ?」
「魔王杯優勝したからな」
「すげーよな」
男子たちも話している。
そして。
「女子人気も高そうだよな」
「声がカッコいいしな」
「分かる」
凛は。
少し離れた場所で。
弁当を食べながら聞いていた。
(……なんか変な感じだな)
自分のことを。
自分ではない誰かのように話される。
それが。
少し不思議だった。
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放課後
家に帰る。
制服から着替えて。
PCを起動。
「……さて」
鬼神として。
SNSを開く。
すると。
「……多いな」
DMが。
大量に届いている。
コラボの誘い。
ゲーム大会。
企業案件。
歌ってみたの依頼。
「…………」
凛は。
一つずつ確認していく。
「これ……全部?」
以前なら。
DMが一件来るだけで。
嬉しくて仕方なかった。
今は。
返信するだけでも大変だ。
「人気者って……大変なんだな」
凛は苦笑する。
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そこへ。
リビングから声。
「凛ー!」
「なに?」
「ご飯できたよ!」
「今行く!」
凛はPCを閉じる。
そして。
少しだけ笑った。
どれだけ登録者が増えても。
どれだけ有名になっても。
家に帰れば。
ただの高校生。
それは変わらない。
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夕食後。
凛は再びPCの前へ。
そして。
一つのDMを開く。
差出人。
**星乃ひより**
「……?」
メッセージには。
> 鬼神さん。
>
> 今日、みんなでお祝いしませんか?
>
> 魔王杯優勝と10万人記念です!
凛は。
少し笑った。
「……いいな」
返信する。
> ぜひ。
その瞬間。
また一つ。
新しい通知が届いた。
今度の差出人は。
今まで話したことのない。
大手ゲームメーカー。
「…………」
凛は。
そのメッセージを開く。
そこに書かれていたのは。
> 『鬼宮鬼神様。
>
> この度、弊社ゲームのプロモーション配信について――』
「…………」
凛は。
ゆっくり椅子にもたれた。
「……本当に」
そして。
少しだけ笑う。
「始まったんだな」
鬼宮鬼神の。
第二の物語が。
今。
始まろうとしていた。




