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修行

魔王杯開催まで。


 あと二週間。


 鬼宮鬼神の配信枠が立った。


────────


【魔王杯に向けて特訓!】ソロランク修行


 開始前から。


 コメント欄はすでに盛り上がっていた。


『待ってた!』

『魔王杯前の鬼神きた!』

『今日は参加型?』

『練習配信助かる』


 そして。


 配信開始。


「――こんばんは」


 画面に映る鬼神。


 銀髪。


 二本の角。


 黒を基調としたクールな衣装。


「鬼宮鬼神です」


『こんばんは!』

『きたあああ』


「今日はタイトル通り」


 鬼神はゲーム画面を映す。


「魔王杯に向けて、ソロで練習します」


『ソロ!?』

『ガチじゃん』


「……あ」


 少し間を置いて。


「あと、今日は視聴者参加じゃなくて」


「全部ソロでやります」


『ストイックすぎるw』


────────


 鬼神は続けた。


「で」


 一拍。


「もし今日、チャンピオン取れなかったら――」


 コメント欄が一気にざわつく。


『罰ゲーム!?』

『きたこれ』

『何するの!?』


 鬼神は少し視線を逸らす。


「罰ゲーム、します」


『おおおお』


「内容は……」


 少し沈黙。


 そして。


「視聴者の皆さんから募集します」


『また地獄企画w』


「ただし」


 鬼神が指を立てる。


「現実に迷惑かかるやつは禁止」


「あと、俺が本気で嫌なやつも却下」


『了解w』


────────


一戦目


「じゃあ行きます」


 ソロランク開始。


「敵、前」


 銃声。


「一人」


 即撃破。


『はやw』


「二人目」


 さらに倒す。


『いつもの鬼神』


 だが。


 終盤。


「……あ」


 不意の横撃ち。


 画面が暗転。


GAME OVER


「…………」


 沈黙。


『wwwww』

『初戦から草』


「まだ一戦目だから」


 少しムキになる鬼神。


「次」


────────


二戦目


 三戦目。


 四戦目。


 五戦目。


「なんで……」


 鬼神の声に疲れが混じる。


『沼ってて草』

『魔王杯前なのにw』


「いや、敵が強い」


『言い訳助かる』


「うるさい」


────────


六戦目


 空気が変わる。


「……いける」


 鬼神の目が鋭くなる。


 集中。


 撃破。


 撃破。


 撃破。


『覚醒した』


 最終局面。


 残り二チーム。


「ここ取る」


 静かに言う。


 銃声。


 味方はすでにいない。


「……一人でいい」


 前へ。


 撃破。


 撃破。


 最後の一人。


「――そこ」


 ヘッドショット。


────────


CHAMPION


「…………」


 鬼神が固まる。


『きたあああああ!!』

『ソロチャンピオン!?』

『罰ゲーム回避!!』


「……よし」


 小さく息を吐く。


「取った」


『強すぎるw』


「まあ」


 少しだけ得意げに。


「こんなもんです」


『調子乗ったw』


「うるさい」


────────


配信終了間際


「今日はありがとうございました」


「魔王杯までまだ時間あるので」


「もっと詰めていきます」


 少しだけ真剣な声。


「……応援してくれると嬉しいです」


『もちろん!』

『優勝しろ!』


「……ありがとう」


 鬼神が笑う。


「じゃあ、終わります」


「おつかれさまでした」


 配信終了。


────────


数分後


 凛は椅子にもたれた。


「……疲れた」


 だが。


 悪くない疲労感。


「魔王杯か……」


 画面を見つめる。


「負けたくないな」


 そして。


「もう少しやるか」

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