時が経ち
あれから。
一ヶ月が過ぎた。
季節は少しずつ進み。
学校では。
いつも通りの日常が続いていた。
「おはよう、凛」
「おはよう、乃愛」
凛も。
乃愛も。
クラスメイトも。
変わらない日々を過ごしている。
けれど。
ネットの世界では。
少しずつ。
大きな変化が起きていた。
────────
――StellaLive。
「……え?」
ひよりはスマホの画面を見ていた。
登録者数。
120,000人。
「12万人……」
以前は。
8.5万人だった。
鬼神とのコラボ。
その後の配信。
そして。
何度か行ったゲーム配信。
少しずつ。
数字が伸びていた。
「……すごいな」
ひよりは嬉しそうに笑う。
そして。
自分の隣にある別の数字を見る。
「鬼神さんも……」
────────
――個人勢。
鬼宮鬼神
登録者:38,000人。
「……3万8千」
凛は画面を見ながら呟いた。
一ヶ月前。
まだ数千人だった。
それが。
今では。
約10倍。
「……なんか変な感じだな」
配信を始めた頃。
自分がこんなに見られるなんて思っていなかった。
ただ。
ゲームをして。
雑談をして。
楽しく配信する。
それだけだった。
「……まあ」
凛は笑う。
「楽しいからいいか」
────────
そして。
鬼神の伸びを支えたものは。
ひよりとのコラボだけではなかった。
最近では。
鬼神のFPS配信を切り抜いた動画が。
SNSで何度も拡散されている。
『鬼神、敵を見つけた瞬間だけ目が変わる』
『【FPS】普段はクールなのにゲームになると鬼になる女』
『鬼神、初心者相手に容赦がない』
コメント欄。
『この人ほんとに強い』
『声かっこいい』
『もっと伸びてほしい』
そんな声が増えていた。
────────
――そして。
鬼神だけではない。
VTuberたちも。
それぞれの場所で。
活動を続けていた。
────────
StellaLive
天宮ルナ
登録者。
35万人。
「最近また増えてるなぁ」
事務所でもトップクラス。
────────
黒瀬レイ
27万人。
ゲームと雑談を中心に活動。
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桜庭こよみ
23万人。
歌配信を中心に人気を伸ばしている。
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神楽坂アリス
20万人。
企画配信で人気。
────────
そして。
星乃ひより
12万人。
「……12万人かぁ」
ひよりは嬉しそうに笑う。
「もっと頑張らないと」
────────
――NovaLive。
神楽ミユ
34万人。
歌枠の人気が高く。
業界でも有名。
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天城レオ
29万人。
FPS界隈でも名前が知られている。
────────
小鳥遊ユナ
21万人。
ゲーム実況と明るいトークで人気。
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白鐘セナ
15万人。
FPSの腕前も高く。
静かな配信スタイルが人気を集めている。
────────
――個人勢。
そして。
事務所に所属していないVTuberたちも。
それぞれの場所で活動している。
────────
魔城院暁
17万人。
相変わらず。
「我」を貫いている。
「ふむ」
配信を終えた暁が。
登録者数を確認する。
「17万人か」
「悪くない」
そして。
別の画面を開く。
────────
獅堂ガク
13万人。
FPS特化。
最近。
鬼神の配信にも顔を出すようになっていた。
「……あいつ」
鬼神のプレイを見ながら。
「やっぱ強いな」
短く呟く。
────────
朝霧カナタ
11万人。
歌を中心に活動。
最近はひよりとの交流も増えていた。
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星川ミオ
65,000人。
ゲームと雑談。
そして。
鬼神のファン。
「鬼神さんまた配信してる!」
楽しそうに配信を覗いている。
────────
そんな風に。
VTuberたちは。
それぞれの場所で。
少しずつ。
成長していた。
────────
そして。
ある夜。
魔城院暁の部屋。
「…………」
暁は。
一枚の資料を見ていた。
タイトル。
『魔王杯 出場候補者』
毎年一度。
自分が主催しているFPS大会。
今年も。
多くのVTuberが参加する予定だ。
大手事務所。
中小事務所。
個人勢。
関係ない。
実力。
人気。
話題性。
様々な要素を考えて。
出場者を選ぶ。
そして。
そのリストの中。
一人の名前。
鬼宮鬼神
暁は。
その名前を見つめる。
「…………」
「3万8千人」
少し笑う。
「一ヶ月前は」
「まだ一万人にも届いていなかったというのに」
成長速度。
配信内容。
FPSの実力。
そして。
ひよりとのコラボで見せたトーク力。
「……面白い」
暁は椅子にもたれる。
「今年の魔王杯」
そして。
ゆっくり笑った。
「新しい鬼を」
「招いてみるか」
────────
その頃。
学校では。
「凛ー」
「ん?」
乃愛が凛の席にやってくる。
「今度の土曜日って暇?」
「……たぶん」
「じゃあ遊びに行かない?」
「いいよ」
「ほんと!?」
乃愛が嬉しそうに笑う。
「じゃあ決まり!」
「うん」
凛も笑う。
学校では。
ただの高校生。
友達と話して。
授業を受けて。
休日に遊ぶ。
そんな普通の日常。
けれど。
その裏側では。
鬼宮鬼神という名前が。
少しずつ。
大きくなっていた。
そして。
その鬼の前に。
次なる舞台が。
静かに。
姿を現し始めていた。




