幕間 話しかけたい!
昼休み。
神谷颯真と桐生蓮は、教室の後ろで小声で話していた。
「なあ、蓮」
「ん?」
「……朝倉さんに話しかけてみない?」
「急だな」
「いや、ほら。最近ちょっと気になるじゃん?」
蓮は少しだけ凛を見る。
窓際の席。
一人でスマホを眺めている。
「……まあ」
「じゃあ行こうぜ」
「なんで俺まで」
「一人だと無理だから」
「お前な……」
二人で凛の席へ向かう。
「朝倉さん」
「ん?」
凛が顔を上げる。
「何?」
思ったより普通。
颯真は少し安心した。
「あー……その」
「うん?」
「今日って……なんか予定ある?」
「特にないけど」
「そ、そうなんだ」
「うん」
「…………」
「…………」
沈黙。
蓮が横から助け舟を出す。
「朝倉って、普段休みの日何してるんだ?」
「家にいることが多いかな」
「そうなんだ」
「うん」
「…………」
「…………」
また沈黙。
颯真は心の中で叫んだ。
(会話終わった!!)
凛は凛で。
(……何を聞きたいんだろう?)
と首を傾げている。
「じゃ、じゃあまたな!」
「うん?」
二人は逃げるように戻っていった。
「…………」
凛は二人の背中を見る。
「……なんだったんだろ」
---
「無理だわ」
席に戻った颯真が机に突っ伏す。
「なんで?」
蓮が聞く。
「朝倉さん、クールすぎる!」
「普通に答えてくれてたぞ」
「それが余計に緊張するんだよ!」
蓮は苦笑する。
「……まあ、次があるだろ」
「次は絶対もっと上手く話す」
そう言いながら。
二人は再び凛を見る。
凛は何事もなかったようにスマホを眺めていた。
「……やっぱ可愛いな」
「……だな」
二人の挑戦は。
まだ始まったばかりだった。




