表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
15/35

本気

「……残り三チーム!」


 ゲーム画面を見ながら、ひよりは息を呑んだ。


 最初は楽しかった。


 先輩たちと喋りながらゲームをして。


 同期と笑って。


 コメント欄を見ながら騒いで。


 でも。


 ここまで来ると。


「……勝ちたい」


『お?』


 ミナトが反応する。


「勝ちたいです!」


『いいね』


 レイが笑う。


『ひより、さっきより目が本気になってる』


「だって……!」


 ひよりは画面を見る。


「せっかくみんなでやってるんだから!」


『その意気だよ、ひより!』


 ルナも応援する。


『私はもう倒れてるけど!』


「ルナ先輩は復活できないんですか!?」


『できません!』


「じゃあ応援してください!」


『任せて!』


 コメント欄が盛り上がる。


『ルナ応援団長w』


『ひより頑張れ!』


『ミナトが完全に司令塔』



 その頃。


 Bチーム。


「……敵、来ますわよ」


 アリスが冷静に告げる。


『え、どこ?』


 こはくが辺りを見回す。


『右』


 ましろが答える。


『あ、本当だ』


「こはくさん、前に出すぎです」


『大丈夫大丈夫!』


「それ、毎回言ってますわよね?」


『大丈夫!』


 次の瞬間。


「うわあああ!」


 こはくの叫び。


『やられた!』


「だから言ったでしょう!」


『ごめーん!』


 コメント欄が笑いで埋まる。


『こはく草』


『アリスの胃が心配』


『ましろママ頑張って』



 しかし。


 Bチームも負けてはいない。


 アリスが指示を出す。


「ましろさん、左をお願いします」


『分かった』


「こはくさんは――」


『もう復活した!』


「まだ話してる途中ですわ!」


 こはくが突撃。


 敵を一人倒す。


『ほら!』


「……結果オーライですわね」


 ましろが笑う。


『でしょ?』


 アリスはため息をつきながらも笑っていた。


「このチーム……本当に自由ですわね」



 そして。


 Aチーム。


「敵、二人」


 ミナトが呟く。


「二人……」


 ひよりの手に力が入る。


『レイ、左』


『了解』


 レイが移動。


『ひよりはここで待って』


「分かった」


『絶対に出ないで』


「うん」


 しばらく沈黙。


 銃声。


「……!」


 ひよりが身を縮める。


『一人倒した』


 レイの声。


『残り一人』


「……!」


 ひよりは敵を探す。


 そして。


 見つけた。


「いた!」


『ひより、撃って!』


「はい!」


 発砲。


 敵のHPが減る。


 もう一発。


「倒れて!」


 最後の一発。


 敵が倒れる。


「やった!」


『ナイス!』


『ひより、めちゃくちゃ上手くなってる』


「本当!?」


『うん』


 ミナトが珍しく少しだけ笑った。


「やった……!」



 残り二チーム。


 AとB。


「……まさかここまで来るとは」


 アリスが笑う。


『最初、ルナ先輩が一番最初にやられた時はどうなるかと思った』


 レイが言う。


『ひどい!』


 ルナが叫ぶ。


「でも、まだ勝負は終わってません!」


 ひよりが言う。


『お』


 こはくが反応する。


『ひより、熱くなってる』


「勝ちたいから!」


『かわいい』


「えっ」


『ひよりちゃん頑張ってー!』


 こはくが笑う。


『私たちも負けないよ!』


「負けません!」


 画面越しに。


 8人の声が響く。



 最終決戦。


 両チームが同じエリアへ入る。


「……来た」


 ミナト。


「……」


 ひよりは息を止める。


『ひより』


「はい」


『私が合図したら撃って』


「分かった」


『レイ、準備』


『OK』


 数秒。


 そして。


『今!』


「――っ!」


 発砲。


 レイも撃つ。


 ミナトも撃つ。


 敵側からも銃声。


『うわっ!』


 こはくが叫ぶ。


『ひより! 右!』


「右!?」


 敵が飛び出してくる。


「――っ!」


 ひよりは反射的に銃を向けた。


 撃つ。


 一発。


 二発。


 三発。


「倒れろぉ!」


 敵が倒れる。


『ナイス!』


 ミナトが叫ぶ。


「やった!」


 しかし。


 その直後。


『ミナト、やられた!』


「えっ!?」


 Aチームの司令塔が倒れる。


「ミナト!」


『ごめん』


「大丈夫!」


 ひよりは銃を握り直す。


 残っているのは。


 ひよりとレイ。


 そして。


 Bチーム。


「……二人」


 アリスが呟く。


『こっちは三人』


 ましろ。


『勝てるよ』


 こはく。


『行こう!』


 ひよりは緊張していた。


 でも。


 不思議と。


 怖くなかった。


 楽しい。


 勝ちたい。


 それだけ。


「レイさん」


『何?』


「一緒に行こう」


『もちろん』



 最後の交戦。


 銃声が響く。


 画面が揺れる。


「――今!」


 ひよりが飛び出す。


『ひより!』


 レイが援護。


 一人。


 二人。


 敵が倒れていく。


 そして。


 最後の一人。


「……!」


 ひよりと目が合う。


 撃つ。


 相手も撃つ。


 HPが減る。


「お願い!」


 もう一発。


 敵が倒れる。


 画面に表示された。


WINNER


「…………」


 数秒。


「……勝った?」


『勝った!』


「勝ったぁぁぁ!」


 ひよりが叫ぶ。


『やったー!』


『ひよりナイス!』


『すごい!』


 8人の声が重なる。


 コメント欄も一気に流れる。


『神回』


『ひより覚醒してて草』


『ミナトの指示が神』


『全員面白すぎる』


『次もやってくれ!』



 ゲーム終了。


「いやー、楽しかった!」


 ルナが笑う。


『次は私が最後まで生き残るから!』


『それ毎回言ってる』


 レイが突っ込む。


『ひよりちゃん、すごかったね』


 ましろが褒める。


「ありがとうございます!」


『最後のひより、めっちゃかっこよかった』


 こはくも言う。


「本当?」


『うん!』


 ひよりは嬉しくなる。


 すると。


『そういえば』


 アリスが口を開いた。


『最近、個人勢で話題になってる子がいるでしょう?』


「……?」


『鬼宮鬼神さん』


「!」


 ひよりの反応が一瞬早くなる。


『ああ、あの子ね』


 ルナも知っている。


『最近切り抜き回ってるよね』


『FPS上手い人』


 ミナトも続ける。


「うん!」


 ひよりが少し嬉しそうに答える。


「私も見ました!」


『ひより、好きそうだもんね』


「えっ」


『え?』


 レイが笑う。


『この前も話してたじゃん』


「そ、それは!」


『コラボしたいとか言ってなかった?』


「……言ったけど!」


 コメント欄が一気に流れる。


『鬼神コラボくる!?』


『StellaLive×鬼神見たい』


『ひよりちゃん鬼神好きすぎw』


「まだ何も決まってませんから!」


 ひよりが慌てる。


『でも面白そう』


 ルナが言う。


『個人勢とのコラボって、あんまりやったことないし』


『確かに』


 アリスも興味を示す。


『今後、そういう企画もありかもしれませんわね』


 ひよりの胸が少しだけ高鳴る。


「……いつか」


 小さく呟く。


「話してみたいな」


 まだ。


 名前しか知らない。


 まだ。


 直接話したこともない。


 それでも。


 少しずつ。


 距離は近づいていた。



 その夜。


 配信終了後。


 ひよりはスマホを見ながら、鬼宮鬼神のSNSを開いた。


 フォロワーは。


 また増えている。


「……すごいな」


 数日前より。


 明らかに勢いがある。


「本当に人気になってきてる」


 そして。


 その頃。


 別の場所でも。


 凛がスマホを見ていた。


「……StellaLive、全員コラボか」


 おすすめに流れてきた切り抜き。


 鬼神として最近少し注目されるようになってから。


 他のVTuberの配信も目に入るようになった。


「……ひよりも出てる」


 画面の中で笑う星乃ひより。


 凛は何気なく見ていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ