第三話
「あらあら、胸部の空気抵抗がない子がなにかいっているわあ。」
「何よ、喧嘩売っているの?だとしたら買うけれど。」
「そんなわけないじゃない。貴方と私じゃあ相性悪すぎて、勝負なんて目に見えているわ。」
そう言いながらヴィヴィアンは、手に持っていた杖を地面に突き刺して僕達に離れるようジェスチャーした。
「さて、久しぶりの仕事だし頑張っちゃおうかしら。」
そう言って彼女は詠唱を始めた。
「我が名はヴィヴィアン。かつてアーサー王に剣を預けた一人の乙女。私はヴィヴィアンアヴァロンへの案内人。故にここに開くはかつて失われた、楽園への道なり。『失われし妖精郷失われし妖精郷』」
その瞬間、僕たちの目の前には美しい草原が広がった。
「さあ、主様。この何もない草原に、楽園を作り出して見せましょう。この美しいだけの大地に、意味を与えてくださいませ。」
「あんたにしてはいいセンスしているじゃない。地獄でも作り出すのかと思っていたわ。」
二人がバカにしあうその姿を見てぼくは笑う。
「あははは。ああ、本当にこれほどまでに笑ったのはとても久しぶりだよ。ねえヴィヴィアン、エレシュキガルぼくはこの場所に誰でも笑って暮らせるような本当の理想郷を作りたいんだ。手伝ってくれるかい?」
そういうと彼女達は一瞬呆けた顔をしながらも、臣下の礼をとりながらいった。
「当然よ。私やガルラ霊たちは、鋭のためにあるのだから。こちらこそこれからもよろしくね。」
「私も正直にいうと、そこの女と意見が一致するのはひどく不愉快ですが、この場所には妖精もいるのでどうかこき使ってやってくれて構いませんよ。貴方から受けた恩に比べたらこんなことは、些細なことなのですから。」
そう言って改めて、僕たちはここに理想郷を作る決意を決めた。
一方その頃外の世界では。
「どうするつもりだ!?これ以上は人員が持たない。いくらなんでも被害が拡大しすぎている!こうなって仕舞えば、もはや東京を捨てるしかないぞ!」
「だが正気か!?たかだか怪物やトカゲごときに囲われた程度で、100年以上の歴史を持ち港区などの商業区や会社などが立ち並ぶこの関東地方を諦めろというのか!?正気の沙汰とは思えん!」
「馬鹿を言うな!国はたみがあってのものだ!いくら我々が優れていようとも、社会を成り立たせているのは彼ら一般市民達だ!もういい、多数決を取ろう!首都を大阪に移動させる。それに意義があるものはいるか!」
すると手を挙げたのは一人もいなかった。当然だ、今この場においてはそれが最善のことであると誰でも理解しているからだ。
「決まりだな。全会一致で、大阪に遷都することをここに決定する!急いで資料などを作り、市民達を安全区域まで移すぞ。」
男は、空を見ながら誰にも聴こえないくらいの大きさでいった。
「もはやどこが安全区域になるのかもわからんな。かの世界一の軍事力を誇るアメリカですら壊滅状態と聞く。急いで制度などを取り決めていかなくては。」
彼の中にあったのは、政治家としての矜持と甥っ子を思う心であった。
(鋭、今どこにいるのかは聞かないでおく。だから、だから無事であってくれ。)
そうして彼は歩いている。すると遠くから、ガードマン達が倒れてくる。
「だから、まだ入ってはいけないんですよ!いいですか?月影先生は、この国の防衛大臣なんです。そんなことで会えるわけが」
「いや、いい聞こう。」
すると彼らは口々に言い出した。
「鋭のやつは無事なのか!?」
「鋭さんは今どこにいるんですか!?」
「鋭のやつと全然連絡が取れねえんだ!あんた、鋭のおじさんだろ!?だったら知っているはずだ!」
すると一人の女性が、前に出てきて冷静な表情で言う。
「すみません。私の名前は、杉並 都と言います。鋭くんの担任を務めさせていただいております。鋭くんが今どこにいるのか教えてもらってもいいですか?叔父の貴方であればきっと知っているはずでしょう。」
男の名前は月影 守鋭の祖父に鋭の世話を頼まれていた男だ。
はい、前回エレシュキガルと相性最悪って言った理由がこれです。何せ妖精とかには寿命とかそう言った系統は存在していませんし病気にもならないですからね。エレシュキガルが奥の手使ったら勝てはするんですがそれ使っちまうと事実上の敗北になっちまうから使いたがらないんですよね。
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