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勇者と魔王の暁  作者: 詠風皓月


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022 魔の森(4)

 ディアブロは上二本の手に闇の魔力を溜め、フローラとレイラの闇祓いの魔法を防いでいた。

 どうやら、上二本の手は防御用、下二本の手は攻撃用のようだ。

 

 パーティーはディアブロの繰り出す衝撃波と、崩れそうな足場を気にして、ディアブロに近づけずにいた。

 

「どうする、牛頭の時みたいに飛ばす?」

 

 ルシアがいら立つように言った。

 マルスのことが心配だった。

 

「そんな高さないだろ……」

 

 ヨハンは洞窟の天井の高さを見ながら言った。

 

「飛ばせばいいの?」

 

 二人の会話を聞いてレイラが言ってきた。

 

「それなら出来るよ!」

 

 レイラはそう言って、ヨハンに杖を向けた。

 

「浮遊の魔法」

 

 レイラが唱えるとヨハンの体が浮いた。

 レイラは杖をディアブロの方に向けると、ヨハンがディアブロ目掛けて飛んで行った。

 

 ヨハンはいきなりで驚いたが、剣を構えた。

 

 ディアブロは上の手で、ヨハンを叩き落とそうとしたが、ヨハンは剣で腕を切り落とした。

 

 それを見て、フローラとレイラが魔法で、ルシアが弓矢で攻撃した。

 ディアブロは残った上の手一本では、防ぎ切れず攻撃を受けていた。

 やがて、ディアブロはうなり声をあげて倒れて、溶けていった。

 

 ディアブロを倒したのを見て、ヨハンがレイラに文句を言った。

 

「いきなり、飛ばすな!」

 

「あんたが、言うな!」

 

 ルシアがレイラの代わりに言うと、続けて言った。

 

「マルスを助けに行こう!」

 

「静かに!」

 

 フローラが言って、目を閉じマルスに渡した魔法石を感じ取った。

 

 

  マルスはルシアをかばって落ちていった。

 途中、崖を滑りながら落ちていき、地面に着地した。

 どうやら、ケガなく落ちたようだった。

 上を見上げるとヨハン達がディアブロと戦闘中の音が聞こえ、がれきが落ちてきた。

 

 上に戻るのは無理だろうと、辺りを見渡した。

 近くに水が流れていた。

 水が流れてくる方向を見ると、遠くの方に出口なのか、わずかに明かりが見えた。

 

 そこにマルスは何かを感じ取った。

 

(誰かいる……?)

 

 このようなところに、普通の人がいるとは思えなかった。

 しかし気になったので危険だとは思ったが、そちらの方へ進んで行った。

 

 

 フローラは魔法石を感じ取り、マルスが移動しているのが分かった。

 

(マルスは進んでいる……)

 

 フローラは不思議に思ったが、言った。

 

「マルスは大丈夫、無事よ……」

 

 フローラが言うと、一同は安堵した。

 

「早く、助けに行こう!」

 

 ルシアが言った。

 

 しかし、フローラは今戦ったディアブロより、はるかに恐ろしい者が近づいてくるのを感じた。

 

「みんな……」

 

 フローラが言いかけた時、闇の中からジークが現れた。

 ジークはヨハンを見ると、いきなり剣で斬りかかった。

 ヨハンは剣で受ける。

 

「前に言ったとおり、相手してやるよ!」

 

 ジークはヨハンと剣を合わせながら言った。

 

 

 北側の洞窟から進んでいた、アリア一行のパーティーの前にも魔族が現れた。

 ブルクだった。

 

「あなたは勇者ですか?」

 

 ブルクはアリアを見て尋ねた。

 

「そうだが……」

 

 アリアは答えながら、剣を構えた。

 

「よくここまで来ました。しかしここから先は行かせるわけにはいきません」

 

 そう言いながら、ブルクは闇に溶け込んでいき、姿が見えなくなった。

 

 ブルクは闇の魔術により、闇と同化する能力を持つ。

 

(人を操る魔法は、相手の目を直接見れば、掛けることができる。しかし、おそらくこの者たちには、私の人を操る魔法は掛からない。だが直接触れて闇の魔力を流し込めば操ることができる。そうすれば、私の勝……)

 

 ブルクは姿を消し、音も立てずに、アリアに近づいていった。

 

 しかし、アリアはあえて目を閉じた。

 そうすることで、魔力探知を最大限に発揮させて、ブルクの居場所を感じ取った。

 アリアが何もないところに、剣を鋭く振ると、そこにブルクが姿を現した。

 

 アリアとブルクは、お互いを見て不敵に微笑んだ。

 

 

 ヨハンはジークと剣を交わしていた。

 ルシア達が、ヨハンを援護していたが、ジークはその攻撃を剣で受けながら、ヨハンを圧倒していた。

 

(強い……)

 

 ヨハンは思った。ヨハンはどちらかというとパワー型で、力任せに相手を倒すタイプだった。

 しかし、ヨハンはジークの剣術に自分とは違う洗練された強さがあるように感じた。

 

 ジークの剣術に翻弄され、ヨハンは後ろに下がってしまった。

 そこを、ジークが追撃して、剣を振りかざした。

 

 その時、ヨハンは左腕から電流が走るような感覚がした。

 それは、サンリと対決している時に、感じたものと同じだった。

 左腕から力がみなぎるようだった。

 

 ヨハンはジークの剣を受けると、反撃に転じた。

 今までにない、パワーとスピードでジークを押し返していった。

 

(なんだ、いきなり強く……)

 

 ジークは思った。

 ヨハンのパワーと手数の多さに、退いてしまった。

 そこに、ヨハンが技を放った。

 

「無双一斬」

 

 ヨハンの斬撃は、ジークを切り裂いた。

 しかし、闇の魔力を纏っているジークは無傷だった。

 ジークは言う。

 

「今のは惜しかったな、だが闇の魔力がある俺は無敵だ。攻撃は通用しない!」

 

「闇払いの魔法」

 

 ジークが話している最中に、フローラが魔法を放った。

 ジークは咄嗟にそれを避けた。

 

「闇払いの魔法を避けました。本当に無敵ならば避ける必要はない。魔族と言えども攻撃し続ければ倒せます」

 

 フローラの言葉に、パーティーの一同は奮い立った。

 

 ジークの顔つきが変わった。

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