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勇者と魔王の暁  作者: 詠風皓月


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021 魔の森(3)

 マルス達は野営の準備を終えて、食事することになった。

 

「レイラ、闇祓いの魔法が詠唱無しで出来るようになったんですね」

 

 食事中にマルスがレイラに話しかけた。

 

「師匠に鍛えられた!」

 

 レイラが話すのを聞いて、ヨハンは思った。

 

(なんかしゃべり方まで変わっているな……)

 

「西の町の被害は……」

 

 フローラとレイラは森の西の町が、魔族と魔獣に襲われた後、首都アルバスから西の町を訪れていた。

 マルス達が西の町の様子を尋ねるとレイラはうつむいた。

 

「サラとニコラス神父は無事だった。だけれど多くの人が亡くなって……、建物もいっぱい壊された」

 

 レイラは悔しそうに言った。

 

「でも、私も復興を手伝った」

 

 フローラとレイラは、モニカの他、アルバス機関の者達と協力して町の復興を手伝っていた。

 それを聞いて、マルスはレイラに向かって優しく微笑んだ。

 

 

 ルシアは皆と離れた場所に立っていた。

 

(やっぱり、マルスには虫が付いていたか……)

 

 ルシアはマルスと出会った時を思い出した。

 

(一大決心して、付いてきたんだけどな……。そりゃ勇者だもんな、レアだもんな……)

 

「どうした?」

 

 ヨハンが串に刺した肉を焼いたものを食べながら話しかけてきた。

 ルシアの分も持っていて、それを渡した。

 ルシアは肉を受け取って食べながら思った。

 

(こいつも背が高くて、まあかっこいいよな。それに竜鬼人って、やっぱりレアだよな……)

 

 レアものに弱いルシアであった。

 

(ネックレスも買ってくれたしな……)


 ルシアがそう思っていると、ヨハンがくしゃみをした。


「ヘクシ!」

 

 くしゃみと共に食べているものを吐き出した。

 

 それを見てルシアは幻滅して思った。

 

(やっぱ、やめとこう……)

 

 

 ◆◇◆◇

 

 

 マルス達がいる岩山のちょうど北側に、もう一組の勇者パーティーがいた。

 マルスの師匠、勇者アリアのパーティーだった。

 アリアの他、若い剣士と、青年の僧侶がいた。

 本当はもう一人、賢者フローラがアリアのパーティーにいたが、フローラは前述のとおり、レイラを指導するためにパーティーとは別行動をとっていた。

 

 勇者アリアは、背が高くて体格が良く、精悍(せいかん)な顔立ちだった。

 剣士の名はレオン、僧侶はキリルという。

 

 アリア達も異様な魔物を倒しながら、岩山まで来た。

 

「フローラ達も南側に着いたようだな」

 

 アリアが言った。

 アリアもフローラと同じやり方で、フローラの位置を感じ取っていた。

 

「フローラ達は止まっている、おそらく朝になるのを待ってから、進むのだろう。我々もここで野営しよう」

 

 アリアが言うと、キリルが言った。

 

「こんなところで野営して大丈夫ですか……」

 

「おそらく、魔物たちはあの入り口を守っていたのだろう」

 

 岩山の北側にも洞窟があり、アリアはそちらを見ながら言った。

 

「あそこに入っては休息できない気がする……。辺りの魔物の警戒は怠らずにいよう」

 

「魔物もですが……」

 

 キリルが空を見上げながら言った。

 キリルも異様に漂う陰の気を感じていた。

 

「そうだな、あまり長居する場所ではないが、夜の内に行動する方が危険な感じがする……。ここで、朝になってから進もう」

 

 アリアが言った。

 

 

 野営の準備が終わって、腰を落とすと、アリアはマルスのことを思った。

 

(こんなに早く、魔の森で一緒に戦うことになるとは……)

 

 マルスが彼女のもとから、弟子を卒業して勇者になったのは、ほんの数か月前のことだった。

 アリアは感慨深く思った。

 

 もう一人、剣士レオンも昔を思い返していた。

 

(ヨハン、また会えるな……)

 

 

 マルス達は野営した翌朝、洞窟に入って行った。

 ほぼ同時刻にアリアのパーティーも洞窟に入っていった。

 

 洞窟は迷路のようになっていた。

 そして、何度も魔物に出会い戦闘となった。

 マルス達は退治して進んでいった。

 元々のマルス達に、フローラとレイラの魔法使いが加わったことで、攻撃力が増していた。

 

 どれくらい時間が経っただろうか。

 ずいぶん洞窟の奥まで来たようだ。

 

 広い洞窟の場所に出たとき、フローラは気配を感じて言った。

 

「今度の敵は、今までと違うようね……」

 

 その時、地面が割れ魔物が現れた。

 四本の腕を持ち、山羊のような顔をして牙を生やした、ディアブロという魔物だった。

 

 ディアブロは叫び声をあげると、二本の手で地面を叩いた。

 すると衝撃波が地面を伝って襲ってきた。

 

 マルス達は飛び上がって避けたが、ルシアは反応が遅れて衝撃波を受けてしまった。

 

「ク……」

 

 ルシアが動けないでいると、ディアブロはルシアめがけて地面を腕で打った。

 すると、ルシアの足元の地面が崩れていって、落ちそうになった。

 

 その時、誰かがルシアをトンと押して助けた。

 マルスだった。

 

 マルスはルシアの代わりに、崩れた地面と共に下に落ちていった。

 

「そんな、マルスが落ちた」

 

 動けるようになったルシアが叫んだ。

 

「マルス様ー!」

 

 レイラも叫んだ。

 

「落ち着きなさい」

 

 フローラが、皆を抑えるように言った。

 

「マルスは大丈夫、まずは目の前の敵に集中しなさい」

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