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勇者と魔王の暁  作者: 詠風皓月


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011 森の狩人(1)

 マルスとヨハンが森の南の都市に向けて出発する日となった。

 

 サラと回復したニコラスをはじめとする町の人々に見送られて旅立った。

 

 レイラとモニカの姿はなかった。

 数日前にレイラとモニカは、アルバス機関の本部がある、首都アルバスに向けて旅立っていた。

 

 その旅立つ前に、レイラはサラと一緒にマルスのもとを訪れていた。

 マルスにお願いがあってやって来たのだった。

 

 レイラはサラに促されながら言った。

 

「マ、マルス……、わ、私も一緒に旅に行きたい……」

 

「お子様は一緒に旅に行けないぜ」

 

 ヨハンがからかうように言った。

 

「お、お前だって……、子供だろ……」

 

 レイラが言い返す。

 

 ヨハンはレイラが子供だと思っていたが、自分達とそう変わらない年齢だったのを、このとき知って驚いた。

 

「レイラ、あなたの事はアルバス機関のある人から魔法を指導してもらえるよう頼んであります」


 マルスが言う。


「その人のもとで修行して認められるようになったら一緒に旅をしましょう」

 

 マルスが言い終わると、レイラは最初驚いた顔をしていたが、すぐに得心したように言った。

 

「わ、分かった……、や、約束……」

「ええ、約束します」

 

 マルスが誓った。

 

 サラはマルスの言うことに従うレイラのことを不思議に思った。

 しかし、それだけマルスのことを信じているのだろうと感じた。

 

 こうして、レイラはモニカと共に旅立っていった。

 レイラは旅立つとき、ニコラス、サラそして孤児院の子供達と涙ながらに別れた。

 特に子供達は名残惜しそうだった。

 

 モニカはサンリの護送も兼ねてだが、しばらくするとこの町に戻ってくると言っていた。

 

 

 ◆◇◆◇

 

 

 マルス達は何度か魔獣と遭遇しながらも、退治して進んで行った。

 

「なんか、今までとは違う魔獣が出てくるな……」

 

 ヨハンが言うと、マルスが少し考えてから聞いてきた。

 

「ヨハンは、この森がなぜ魔の森と呼ばれているか知っていますか?」

 

「確か、魔獣が自然に出現するんだったよな」

 

 ヨハンが答えると、マルスがうなずいた。

 

「闇の魔力の源になる、自然界にある邪の気とか呼ばれるもの。それが大気の流れの為なのか、大地の龍脈の為なのか、この森に集まっているのです。その気に長い間当たってしまった獣が魔獣になると考えられています」

「魔獣は元々、獣だったということか」

 

 ヨハンが言うと、マルスが話を続ける。

 

「はい、獣が魔獣になるので、元々森に棲んでいる獣によって魔獣も異なってきます。森の北の方と南の方で棲んでいる獣が違うようです」

 

「そうなのか……」

 

 ヨハンがうなずき、マルスに尋ねた。


「それで、今はどこに向かっているの?」

 

 マルスは途中、南の都市に通じる街道から外れて脇道に入り、森の外へと進んでいった。

 

「ちょっと寄りたいところがあって、この辺りのはずですが……」

 

 モニカは出発する前にある場所に行ってみるようにマルスに勧めていた。

 なんでも森で、魔獣を狩りながら生活している者がいる、その者に会ってみるといいと言われていた。

 

 道に迷っていると、トカゲの魔獣と遭遇した。

 人の背よりも大きいトカゲだった。


 マルスとヨハンが戦う。

 トカゲは口を広げて攻撃してきた。

 マルス達は攻撃を避けていたが、トカゲが尻尾を振り回して攻撃した時、尻尾の一撃がかすり、マルスは腕に怪我をしてしまった。

 

「無双一斬」

 

 ヨハンが技を放つと、トカゲは一撃を受けて倒れた。


「大丈夫か?」

 

 ヨハンがマルスを心配して、近寄る。

 

「かすり傷です」

 

 マルスが言う。すると二人の背後に倒したはずのトカゲが立ち上がってきた。

 二人が気づいたときには、トカゲは口を開けて攻撃しようとしていた。

 

 その時、どこからともなく矢が放たれ、トカゲの口の中に命中した。

 トカゲはもんどりうって倒れて、動かなくなった。

 

「誰だ?」

 

 ヨハンが言うと、木彫りの仮面をして、毛皮の服を着たものが現れた。

 

「詰めが甘いね……」

 

 仮面の者はそう言いながら近づいてきた。

 

「オオトカゲのうろこは厚いからね。あの程度の技じゃ倒し切れていないよ」

 

 仮面の者がそう言うと、ヨハンが反発した。

 

「なんだと!?」

 

 ヨハンが仮面の者に近づき胸ぐらをつかんだ。

 

(ん……)

 

 ヨハンは、なんか変な感じがした。

 

「どこ触ってんのよ!」

 

 仮面の者はヨハンの股間を蹴り飛ばした。

 

「いてえ!」

 

 ヨハンはうずくまった。

 

 仮面の者は仮面を取ってみせる。女性だった。

 

 仮面の女性、年齢はマルス達と同じくらいに見えた。

 背丈もマルスと同じくらいで、スタイルが良く白銀の髪色をしており、凛々しい顔立ちをしていた。

 女性はマルスに近づき話しかけた。

 

「ハイ、私はルシア」

 

「私はマルスです、そちらはヨハン」

 

 マルスが答える、ヨハンはまだうずくまっている。

 

「腕を怪我したでしょ、見せて」

 

 ルシアがマルスに言う。

 

「大丈夫です」

「ダメよ、ちゃんと治療しとかないと」

 

 ルシアはマルスの怪我した腕を取り、回復魔法を掛けて治療した。

 

「回復魔法が使えるんですね」

 

 マルスが感謝の礼を述べた。

 

「あなたたち、勇者一行でしょ」

 

 ルシアが聞いてきた。

 

「知っていたんですか!」

「やっぱりね。西の町で魔人を倒した噂は聞いているわ。勇者でもなければこんなとこ、来ないもんね」

「そうでしたか……」

 

 ルシアはヨハンのところに行って言った。

 

「悪かったわね。思いっきり蹴とばしちゃって……」

 

 ヨハンが顔を上げると、ルシアは小悪魔的な笑顔をヨハンに向けて言った。

 

「あのトカゲ、運ぶの手伝ってくれない?」

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