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勇者と魔王の暁  作者: 詠風皓月


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010 森の西の町(7)

 マルスとモニカの対話は続く。

 

「レイラが、闇払いの魔法を使えるとは驚いた」

 

 モニカが言うと、マルスが話した。

 

「ニコラス神父が教えていたんですね、神父が無事でよかったです」

 

 サンリを倒した後、領主の館を調べると、地下牢にニコラス神父が閉じ込められていた。

 ニコラス神父は衰弱していたが、命に別状はなかった。

 サラとレイラは、発見されたニコラス神父と涙の再会を果たした。


「そのニコラス神父からレイラのことを聞いたのだが……」


 ニコラス神父が言うには、レイラは昔から魔法が使えていたが、魔力は普通だった。

 それが最近になって、急に魔力が増大してきた。

 自分の知る、光属性の闇払いの魔法を教えたら、習得出来たという。

 

 神父は、レイラのことは自分の手に負えるものではない。

 また、これから良くないことが起こると予感がして、アルバス機関に連絡したという。

 

「その予感が的中して、サンリが来た……。サンリはレイラも目的だったのでしょうか」


 モニカから話を聞くと、マルスは尋ねた。


「そうかもしれない……」

 

「そのレイラのことなんですが……」

 

 モニカが答えると、マルスはレイラのことで、ある提案をモニカにした。

 モニカはマルスの提案に驚いたが、承諾した。


「分かった、レイラのことは善処しよう」

 

 モニカが答える。

 

「ありがとうございます。あとヨハンのことですが……」

 

 マルスはヨハンの左腕の事を話した。

 

「竜の痣……」

 

 モニカがつぶやくと、マルスは続けた。

 

「サンリと対決した時には、動いていたようですが……」

 

「竜斑紋か……」

 

 モニカは思案しながら言った。

 

「竜斑紋?」

「私も噂で聞いたことがあるだけだ……、うかつな事は言えない、専門家がいる。呼び寄せて診てもらおう」

 

 マルスは気になっていた事を聞いた。

 

「闇の魔術の類でしょうか?」

「分からない……。レイラの闇払いの魔法はどうだった?」

「レイラが魔方陣に闇払いの魔法を掛けた時、ヨハンは意識していたのか、いなかったのか、魔方陣の外にいました」

「そうだったか……」

 

 マルスは不安だった。

 

「本人に腕の事、話すべきでしょうか?」


「ん? それはそうだろ」

「……」

 

 マルスはうつむいた。

 

「なんだ、もう一緒に旅が出来ないとでも思っているのか?」

「……」

「いずれにしろ本人に話して、どうするかは本人次第だ。その後は先程言ったように、専門家に診てもらうしかない」

 

 マルスが館から出ると、ヨハンがいた。

 ヨハンは館の修繕の手伝いをしていた。マルスを見つけて言う。

 

「何だ、またしけたツラしてるな」

 

 ヨハンは休息すると言って、館の庭のベンチに腰掛けた。

 

「これからどうするんだ?」

 

 ヨハンはマルスに聞いた。

 

「私も、修理を手伝います」

「そうじゃなくて、今後の旅のこと」

「……森の南の都市に行くことになりました」

「そうか……」

 

 ヨハンは言った後、黙っていた。

 マルスが話し出した。

 

「ヨハン、あの話が……」

「この腕の竜のことか?」

 

 ヨハンは言いながら左腕を見せた。

 マルスは驚きながら言う。

 

「知っていたのですか?」

「ああ……今はっきり見えるぜ」

 

 ヨハンは上着を脱いで左腕を見せた。

 竜の痣は黒く、刺青のように見えた。

 どうやらヨハンにも見えるようで、ずっと消えたりせずにいる様だった。

 竜は天に昇るような格好で、前腕から肘まで達していた。

 

「実は前からうっすらと見える時もあったんだが、あの魔人と戦った後はっきり見えるようになった」

 

 ヨハンは話し出した。

 

「魔人と戦っているとき、雷に打たれたような感じがして、それから気の巡りが良くなったのか左腕が動くようになった。いや、むしろ前より力が出るようになった。前に腕が動かなくなったのは、逆に力を持て余してうまく動かせていなかったからの様な気がする」

「その竜の痣が力を与えていると?」

「……よく分からない」

 

 マルスはやはり、ヨハンがこのまま自分と一緒に旅を続けるのは危険だと思った。

 

「一緒に旅を続けるよ」

 

 ヨハンが先に言い出した。

 

「これは勘なんだが、マルスと一緒に旅を続けた方が、この腕の事が分かるような気がする」

 

 マルスは黙っていた。純粋にヨハンが旅を続けると言ってくれた事が嬉しかった。

 ヨハンが話す。

 

「今更なんだがもっと前に、この事、誰かに相談すればよかったんだな。そうすれば養成所も辞めたりせずに済んだのかも」

「今からでも遅くないです」

 

 マルスが言ったとき、モニカがやって来た。

 

「マルスに頼まれていた物が、今届いた」

 

 モニカがそう言って、ヨハンに剣を差し出す。

 

「ヨハンの剣が折れてしまったので、頼んでいたんです」

 

 マルスが説明した。

 

「この剣は……」

 

 ヨハンが受け取って見ると、それは剣士の証と呼ばれる剣士養成所を卒業した者に与えられる、名誉ある剣だった。

 

「俺は養成所を卒業していないんだけど!」

 

 ヨハンが言うと、モニカが言った。

 

「勇者が剣士と認めれば、剣士になれるのだ」

 

(そうなの!)

 

 ヨハンは剣を抜いてみせた。

 

 剣士ヨハンがここに誕生した。

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