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悩みと救いは狂気の果てに  作者: 三島三城
その④:過去と決別と
24/28

文化祭のクライシス

夏休みの終盤あたり、つまり晃司が襲撃された後にたかしは新しいストーカーを獲得しています。

ストーカーを獲得とかこれいかに?

モデルの人もストーカー持ちだったし……本当に思い出しただけでも居心地の悪さを思い出す。

あの人には相当嫌われてたみたいだから……ははっ。


 昨日、お姉ちゃんがお姉さまの中にいたことを知り、そのままいなくなる瞬間に立ち会ってしまいました。

 お姉ちゃんを思い題したと思った瞬間にさよならなんて悲しいですよね。

でもそれよりも、兄さんの泣き顔が可愛かったです。

自分も泣いていたのですが、後半はそれがメインでした。これは、あれですね。

悲しいときにより悲しんでいる人を見ると正気に戻るみたいなものですかね?

同時に、その瞬間に、あの時の感情の意味をようやく理解できたのでした。


 正直に言うと、自分で自分に対して引いています。

何でしょうか?ずっと兄さんのことしか考えてません。昨日の兄さんを思い出して気分が高揚しています。綾さんと同類になってしまったのでしょうか?

それは何だか嫌ですね。綾さんは好きですが……それはですね……

兄さんにハグしたいです。いっそ、マウストゥマウスとかもいいですね。

これは確実に、恋ですね。そうである範疇ならよいですが。


 どうして入院中はおでこにしかしてくれなかったのでしょうか!

普通に考えると、そこが限界ですね。普通はすること自体おかしいです。

私たちの関係性からそれが許されるだけです。

他の人にそんなことしているなら……殺すしかないですね(^▽^)/。相手を!

これが、いわゆるヤンデレというものでしょうか?ヤンデレは目覚めてはいけないものでしたっけ?自重……出来たらします。

兄さんは私だけのものです……ふふふ……はははは。




 自分の妹がこの時点でヤンデレ化を始めていることなんてつゆ知らず、

私こと村上晃司は昨日の妹の胸で泣くという黒歴史を誕生させてしまったことへの後悔を募らせていた。

ちょっと思ったより勢いが付いちゃったというサイズの問題があったことはこの際取り上げない。


しかし、実際問題すぐそこへと控えている美咲との決闘……【狂気】無しで勝つのはかなり無謀である。そして、本当の意味で勝利することはただ単に力で勝つことでないことにも気づいた。なぜ、美咲がこんな提案をしたかを考えれば納得のいく話ではあった。

 彼女には今度こそボクを認めさせる必要があった。これまでの衝突は全て、薊絡みであったことは言うまでもない。実際、二人きりの場合ほぼないがはそこまで争いごとになったことはない。

悲しいサガではあるが、ボクはこういった人物を怒らせることが多い。

そのため、薊なしでもボクが一方的に蹂躙されることがある。これは仕方ない。


 説得を戦いながらすること必要があったのだ。そのために、ボクは【オレ】と一つ約束事をしてある。

 それは、言ってしまえば力の貸与についてであるが、その力の制限と暴走の禁止について。さらに深くいくと、【治癒能力】だけを借りる約束。

後で暴れたいだけさせるつもり……翼師範代お世話になります。


 実質、自分の力で美咲に勝利しなければならない。それは、無理!

取り敢えず現状は……ということで修行することに決めた。

場所は、あそこしかないでしょうに。翼流道場。


 という訳で、修行(数日だけなのですが)に来ていますが……みんな強ええのなんの。ボロ負けですたい。みんな、幻想種に立ち向かう素質を持っているらしい。そして、ほんとにいたんだなあ。ノートに書いてあったし。

というより、手記やUSBに載っていた名前についてはノーコメント。

自分の父親の名前が知らない人の名前になっているとかどんなホラー。

村上輝樹は本当の意味で柊のプロジェクトが終わった事件での犠牲者であった。

その際に、ボクの父である雨宮総司は副主任を務めていた。

ちなみに、事実確認はできていないが過去の記憶と薊の記憶でほぼ間違いがないことは分かっている。


 そして、父さんはボク達が柊の家に行った日から家に帰ってきていない。

母さんは一貫して『当直』を主張し続けている。

医者という仕事柄、そういうことは日常茶飯事であるのだがこの際はいささか不自然であるとしか言えない。

この感じからすれば、母さんもパーフェクトチルドレン計画とやらに参加していたことになる。希に残っている姉さんの記憶で、その作業は人工授精の要領ということは知っている。つまり、下世話な話、ヤッてないということです。

そういうことなら、さすがに知っているはず。

例外として、薊みたいな純粋培養のお嬢とかがいるけど……そんなのこのご時世にいないって、どこの時代錯誤だよって姉さんin希が言っていたらしい。

希さん、姉さんの言葉を借りた体で薊ディスるのはやめなさい……寿命縮めたいの?


 そんなことを考えている道場での休み時間。もう終わりなの?地獄は始まったばかりだあ(棒)。

棒術の先輩マジ強いっすわ。今まで見た普通の人の中で一番強いかも。

これより強い可能性のある美咲って化け物だったんだな。

【狂気】とか翼師範代とか誠とかの人外ばかりで影が薄くなってた。

この人は何が強いって、キレがすごい。いなせない。ボクのスタイルはどうしてもいなしてからのカウンターになりがちなので、そもそもできないのはつらい。


 そして二日後に倒すことに成功した。少しは強くなれた。

というよりも、体の扱い方を思い出してきたというのが正しいだろうか。

記憶が戻って、自己暗示が解けたことで頭の回転も比較的早くなった。

しかし、あんな御大層な名前のわりに普通な回転速。名前負け。




 家に帰ると毎回綾ちゃんと気まずい空気が流れる。そのたびになんだか悪寒がするのはなぜ?綾ちゃんが少しおびえているのはなぜ?ボクワカンナイ。

ここ最近の変化といえば、薊が美咲との戦いをよく応援してくれるようになったこと。してくれること自体は嬉しさで昇天しそうなのだが、少し違和感が残る。それは気にしないでおこうかな……当分は……前例もあるわけで。


 最近、綾ちゃんの部屋から

『ふふ、禁断の兄妹愛…同性の親友の嫉妬、乱れに乱れる淫らな三角形。

それをただ単に傍観する純真無垢な後輩。彼女もいつしかその輪の中へ……』

そんな気味の悪いつぶやきが聞こえてきた。このTweetの意味を考える程ボクの神経は図太くないし、精神衛生上ふさわしくない。

つまるところ、聞かなかったことにしておこう!




 最近思うことがある。ボクの知り合いの中で一番まともなのは薊なんじゃないかなって思う訳ですよ。え?物語開始当初からその設定だろうと……

初期は若干ズレてたと思うよ。というよりも、他がおかしすぎる。

自分の事は認めるのかと……二度精神崩壊して、創作・睡眠中毒者(エロゲ愛好家)のどこが普通ですか?そう思うなら逆に聞きたい。

 最近の薊にも思うところがないわけではないのだが、薊かわいいし、全部肯定します。もう、姉さんの身代わりじゃないし。あの子自身が可愛くて仕方ない。子を持つ親の気持ちとかなのかねえ。まあ、兄ですが……


 姉さんの一件で、ボクの残った正気は薊にささげることにした。

未だに姉さんの言葉には絶対という訳ではないのだが、薊を託されたのだから。




 文化祭初日の朝、中学は外で、高校は中の講堂(普通は体育館とか)で出席の点呼をとる。委員長の読みでは文化祭の二日目、要するに最終日に山崎に不登校にされた生徒が復帰する。彼らは特例で、進級することを許されている。

でも、退学した連中は戻ってこない。凛久や総悟は戻ってこない。


 ボクはたかしと教室の机の中に綾ちゃんの同人誌を隠していた。

そんなんじゃばれるって?いえ、教室へ確認なんて来ません。我が校の抜け穴。

ちなみに、中学は展示に使われるためできない。高校の一部校舎は展示に使われるので、展示に使われることの多い文系は良く理系の教室に違反物を隠しに来る。

 まあ、それは置いておいてと……ばれたら末代までの恥です。

綾ちゃんとたかしの商売にボクを巻き込まないでほしい。これを薊に報告したらさぞひどい目に遭うことでしょう。具体的には美咲を味方につけて家族会議とか……これはバレテハイケナイ。


 場所を貸しただけなので、ボクはこの件には基本ノータッチ……

あとで、護衛に来てほしいと言われたけど……本当に危ないときだけ行こうか

綾ちゃん心配だし……

 それよりも、たかしに新しいストーカーができたのも驚きだった。

しかも他校の生徒と来た。彼はきっと“重い女”から好かれるのではないでしょうか。以前のストーカーさんも執着心を無くしたふりしてるけど今もたまにチラチラ見ていることは知っている。彼の精神衛生上知らない方がいいだろう。

まあ、何というかご愁傷さまです。薊や綾ちゃんに危害を加えたら殺す。




 文化祭は始まり、ボクは初日のバザーに興味がなかったので当番は朝にしておいた。しかし、それは通常の方でクラスの方は午後の最後である。

最終的に、たかしを引きずり込むことに成功した。代償として人として大切なものを失った気がする。

 薊はちょくちょく顔を出してくれる。とてつもなく暇なジュースの売り子もこれでモチベーションが上がるってものです。

普通にこの係、朝が一番忙しい。くそ、想定外だった。

ボクの薊の来る前の文化祭ではジュースを混ぜてゲテモノを作るとかしかしてない。ゆえに、その情勢について知っているつもりであった。しかし、時代は変わっていたのであった。


 変わらないのは薊の可愛さと男子高校生のアホさであった。

案の定、綾ちゃんのファンの方が見つけて、たかしに嫉妬で八つ当たりを始めたらしい。なんなんさ。取り敢えず向かう事にしましたさ。薊は危ないから後から来る希と一緒にいさせました。




 状況はなんとも想定外なことになっていた。屈強な男たち(ファンの方々とみられる)がグロッキーな姿で転がっていた。

 そこに佇んでいたのは見覚えのない少女、制服的に東高かな?

東校は県内有数の偏差値を誇る高校であり、うちの様ななんちゃって私立と圧倒的な差を持つ。向こうは努力する天才がうようよいる。怖い。西高と比べてもその差は歴然であり、うちと比べるのもおこがましい。

 つまり、そんな生徒がこんなところにいるということはつまり……

「たかし……この人が新しいストーカー?」

「はい、そうです(泣)。」

「私はストーカーじゃないの!妹ちゃんから許可は貰っているの!」

何と美咲を味方につけているらしい。それって、何気にすごいのでは?

あの隠れブラコンから勝ち取るとは……実力もすごそうではある。

それもそのはず、知る人ぞ知る熊を狩れる流派の開祖の孫娘らしい。

その気になれば熊だって狩れる。まさに、モンスターハンター。


 呆然としている綾ちゃんを傍目にいかにもなアプローチを続けるスト子さん(仮)である。もう帰っていいですか?薊が希連れてきちゃったじゃない。

希が来た瞬間、綾ちゃんは希へダイブ。そのふくよかな胸部へ……自重します、だからそんな目をしないで下ださい薊さん。

最近妹のジト目が以前と違う気がします。何やら……そんなのは嫌なので考えたくない!なにを考えたかすら言いたくない。

「希姉さ~~ん、このリア充の空気に耐えられません。どうにかして下さい。

ストーカー持ちはモテる奴の特権です。この人始末しでぐだざいよ~」

嘆きだった。綾ちゃんの瞳は涙であふれていた。そこまできつかったのか。

「晃司さんと薊ちゃんの朝の奴ならまだ耐えれますけどもぉ~~」

コイツ言いよった。

「それは、どういった内容かなぁ?」

久しぶりに瞳に生気のこもっていない希さんを見た。そして、なんでもじもじしているんですか?薊さん。思い出し恥じらいですか。かわいい!正義!

しかし、タイミングが悪い。お兄ちゃん不利になったよ!

ボクはそのままたかしを助けることができず、希にこってり絞られて

文化祭を無難に楽しんだ後に例のクラス喫茶で辱められた。




 この文化祭の準備期間で気付いたことがある。それは、ボクが言うほど恐れられていないということであった。

 いままでボクから距離を置いていた理由も、自分が実は社会不適合者なのかもしれないという恐怖からであったらしい。

それは、どちらかというとボクに対してではなく、自身の内面に対しての恐怖だった。だからこそだろう、こんなにノリノリでボクを女装させるのは……


 今日の当番は朝一であり、今日の目玉である決闘のトーナメントは午後から。

ちなみに、朝一とか終わり際にしているのはボクが最後まで抵抗した証。

そして、一部の人たちから絶賛されていたらしい。聞きたくなかった。

そこで一人の生徒が入ってくる。


「すみません。あなたが村上晃司さんですか?」

その生徒は、ボクの事を知っているらしい。まあ、知らない人の方が少ないか。

「そうだよ、お恥ずかしながら……」

「まあ、確かにお気の毒に……俺の名前は井ノ森充です。」

井ノいのもり……彼はこの学校の取柄ともいえるカリスマ講師の息子であり、様々なことに精通している。こと声楽においてはプロからスカウトが来ているらしい。

人生の勝ち組。そして、ボクが設けた【妥協枠】の一人。

それがボクに何の用だろうか?

「話は簡単です。妹さんをボクにください。」

「お断りします。」

まさに音速とでもいうほどの速さだった。【妥協枠】に薊を託せるわけねえじゃん。自分の腹黒さを鑑みてからまた来てください。


「もう一度言ってもらえます?あり得ない答えが聞こえた気がするので……」

「何度でもいうけど、お断りします。君みたいな【本質】を持ったやつに託せるわけがない。まあ、噂を聞いてボクの所まで来たみたいだけど。よほど腕に自信があるみたいだね。」

まあ、噂というのはファンクラブ事件をはじめとする諸々の問題。

事後処理はコネと権力で揉み消したのでしてない。

「俺を愚弄するのか?いい度胸だ!今回のトーナメントでぶちのめしてあんたの妹は貰っていくよ。あんたら二人だけの問題じゃなくなったね。」

コイツも参加することになったのか。なんともまあ……内容次第では死人が出るな。




 初日は薊と文化祭デートできなかったので今回は邪魔者を排除して実行に移せた。おかげで、ここ最近の疲れも全て吹き飛んだ。妹は癒し効果を持っているのでしょうか?医学的に検証できなくてもあるとボクは考察する。

 そんな幸せな時間も終わり、トーナメントの予選が始まる。

思いの外人が集まって少し以外……なんでスト子さん(仮)が参加することになっていらっしゃるのだろうか?

「それはね……私の大切な人を振った報いを受けさせるためよ!」

噂をすれば何とやら、というか同性からの告白は普通断りますよね?そして、あんたはたかしに出会えてなかったのよ。出会いについては知らんけど。

「私だって、告白されたいのよ!」

「それが本音かぁ!」

コンマ一秒の世界……ツッコみはタイミングである。かつてそう言った主人公がいた。それに倣って、ボクはコンマ数秒で言ってみた。というより、反射なんだけど。


「兄さん、あの人は美咲ちゃんに任せておきましょう。最悪、私が頼んで本気を出させてみます。」

そうですか……美咲の扱いがうまくなったね。

そして、ボクはきっと井ノ森と戦うことになる。気を引き締めておこう。




 トーナメントは順調に進み、第5回戦(結構長い)の井ノ森との対決。

奴の武器はグローブ、恐らくボクシングだろう。

対してこちらは竹刀、それも中学の部活時代に使ってたもの。中学用だからリーチも若干短い。

 間合いに関しては、こちらが有利ではあるが、懐に入られると危ない。

それよりも、試合中にあいつの発言にキレないかが問題。


「行くぞ!そして、あんたという目障りなやつを消させてもらう。」

「それはこちらのセリフとでも言わせてもらおうか。」

戦いは始まった。どちらも間合いを掴めば勝てる。まあ、この場合ボクには反則技があるけど。

修行の成果といえるのか、相手の拳は全ていなせている。それよりも、相手の実力が“ただの器用な人”レベルであったので修行無しでも行けた。

ボクが全ていなし、数度ダメージを与えると……

「くそ、なんでこうなる。俺はこの野郎を倒してあの女を好き放題するんじゃないのか?そうだよ、この気に食わないやろうを潰して、最高級の妹を好き放題してやる。クソがああ。」

これ以上は、聞くに堪えない。観客席の薊は希から耳栓をされ、目を隠されていた。確かに、こんなお下劣なもの薊には聞かせられないというほどではある。

だからボクは希に口パクで「目隠しありがとう」といって粛清を始めた。


相手の動きがゆっくりに感じる。すべての動きが読めるような感覚。

相手の右ストレートに対して右払いで体勢を崩し、その瞬間に相手のあご部分に渾身の一撃をぶつける。もともと竹刀は怪我を抑えるために用意したのだが、この際は邪魔で仕方ない。鉄パイプが使いたい。

そんなことはできないので、剣先を使った。剣先はそこそこ固いので使い方によっては十分な威力である。

それ故に、脳震盪のうしんとうを起こしたようだ。軽く痙攣している。そんなことは気にせず、ボクは奴を痛めつけた。


 審判から止められるまでの事はほとんど覚えていない。【オレ】もみたいだった。

周りの人は『冷酷で怒りという感情には見えなかった』といっていた。

つまり、無表情で半殺しにしていたということだろう。

つまるところ、ボクは何も変わっていなかったのだろう。不良を占めていた頃と……




 美咲はスト子さん(仮)と戦いながら話し合い、妥協点を見つけたのだろうか最後には握手をして美咲の勝利となった。

ちなみに勘だが、スト子さん(仮)はまだ本気を出していないと見た。


 ボクと美咲の戦いは始まる。お互いに引けない戦い。薊のこれからが掛かっている。負けるわけにはいかない。

そして、始まりを告げるベルが鳴る。

「お先にいただくよ。」

そういって、ボクの竹刀を掴みいつものようにボクに宙を舞わせる。

「今回は追加もあるの。あんたのした技よ。」

そして、空中をキリモミ回転しているボクを殴る。それ自体は美咲自体が貧弱なためいたくないのだが、体中の関節から鳴ってはいけない音がする。

これは、ボクが以前さわやか君にしたことだ。美咲が投げてボクがとどめを刺す。


 しかし、こんなことを想定していないはずはない。対策は取ってある。

この状態では少なくとも数か月はまともに動けない。

だから、【狂気】の再生力を使い元に戻す。

「それはさすがに反則じゃないの?」

「フルで使ってないからいいじゃない。」

「そうね。」

ボク達は、今までの試合とは比べ物にならない戦いを繰り広げていた。

後にこれは後世まで語り継がれることになる。


「あなたがいると薊ちゃんは危険なの。私なら守り切れるとは言えないけど、あなたといるよりは安全。誠という人はそれほどに危ない。」

「ああ、分かっている。過去の事も全て思い出した。あの人が何に対して憤っているのかも知っている。だから、ボクはいつかあの人と決着をつける。」

「いつかじゃ遅いの。薊ちゃんはあなたといるべきではないの。それは過去の記憶を取り戻したときに気付いたんじゃないの。」

「やっぱり、知ってるんだな。誠と直接会ったのか?」

「そうよ。あの人は危険すぎる。【狂気】すら倒せるのならあなたには手に負えないの。」

「それでも、ボクは薊と一緒にいることを決めたし、姉さんからも託された。ボクはそれだけであの男と戦う覚悟はできている。」

「あなたは死人の意志で薊ちゃんを守るの?それとも自分の意思?」

「自分の意思に決まっているだろう!ボクは……」


その瞬間、美咲に尻もちをつかせる。続けて言う。

「ボクは、自分でも引くぐらいのシスコンなんだから。」

正直、後で思い出すと泣きたくなるセリフだった。でも、だからこそだろうか。

美咲に気持ちが伝わった。

「今回は私の負けだし、あなたの薊ちゃんへの意思も分かった。正直、対策も聞けてないから。また勝負は挑ませてもらうことになるかもしれない。でも、それまでにどうにかするんでしょう?」

「当たり前だ。薊の事に関しては手は抜かない。」

「そうね、なんでこんな奴に負けたのかしら?あーあ、悔しい。」

その言い方は果てしなく棒読みだったが、悔しさは不思議と伝わってくる。

「薊はもちろんボクが守り抜く。お前は手を貸してくれるだけでいい。薊のためならしてくれるだろう?」

「いやな奴ね、でも、その戯言に乗ってあげましょうか。」


この瞬間、初めて美咲と分かり合えたのかもしれない。




 全校生徒の点呼も終わり、下校しようとするときであった。

委員長が心底慌てた様子で迫ってきた。

「晃司君、まだ一人……戻ってきていないの!」

ボクは、まだ過去を清算できていないのであった。


次回は二月の投稿予定です。

次回の主役は違いますけど。一番気にしてほしいのが村上兄妹の関係です。

自分の気持ちに気付いた妹とようやく解放されたと思っていた矢先に足を引っ張られる兄。

自覚するものとしたくないもの、二人の行方は。スト子さん(仮)の番外編も作れれば投稿します。

注:美咲は攻略対象ではありません。お気に入りの方には申し訳ありませんが

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