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悩みと救いは狂気の果てに  作者: 三島三城
その3:過去と関係性
19/28

それでも世界は美しいものなのだろうか

なぜか投稿されていなかった三島です。バックアップの使い方わからん。そして消えた。

今回は奇跡シリーズネタがあります。苦手な方は流し読みしてください。

この際に興味を持ってくれる人がいると嬉しいです。


 高校1年の入学式が終わり、軽いホームルームも終わると後は早々に学校から立ち去るのが伝統と言っていいほどの我が校で受け継がれてきた習慣である。しかし、学校から立ち去れないものもいた。何を隠そうボク達だ。


 総悟はボク達に何も言わなかった。しかし、現に今、総悟は入学すらしていない状態である。だから、ボク達3人は職員室まで事情を確かめに行った。そこできいたセリフはきっといつまでも忘れることはないだろう。


「おお、アイツか。あいつは春休みの間に高校進学を取り消したぞ。まあ、いじめられでもしたんだろうな。傍目からでも、近くにいても気づかないからよく隠したもんだ。まあ、そういうことだ。」


 何が『そういうことだ』だ。ただ、いじめを見て見ぬふりをしたどころか無関心ですらある。教師としてそれはどうなのか。発言からは間接的に参加していた可能性も示唆される。例えば、助けるふりをして話しかけるなど。

 そのことに憤りを感じ、冷静さを取り戻すと……職員室の“異様な”雰囲気に気付いた。誰一人としてそれを“問題として”扱っていないことだった。耳をすませば聞こえてくる『なんだよ、うるせえな。』や『いちいちうるさいですねぇ。』といった、さもボク達の方が非常識なことを言っているような発言……ボクは“教師”というものをようやく理解した。




 これからの1週間はなるべく総悟の事を思い出さないように過ごした。皮肉にも時期的に楽しい日々でもあった。でも、凛久との“お別れ”までの期間でもあった。


「ねえ、いい加減怒ってもいい?」

「いやだ。」

猫じゃらしを振っておちょくるボクを凛久は半分マジ切れ状態の臨戦態勢で攻撃しようとしていた。これには、総悟のこともあってそのことから遠ざけようとした側面もある…と言っておこう、ボクはただ猫みたいな凛久を飼いならしてみたかっただけです。

「ねえ、グーとチョキとパーどれがいい?」

どう考えても処刑宣告である。恐らくグーは文字通りグーパンだろう……前はそれでパーを選んでひどい目に遭った。人の体って鞭みたいに扱えるんだ…。

「グーで許してください。」

死刑囚には一番楽な死に方を選ぶ権利しかない…もしかしたらない。チョキはたぶん目つぶしだろうな。普通は冗談だけどしかねないのが凛久クオリティ。

「よし、いさぎよいな。全部くれてやろう。」

はい、地雷踏んだぁ。フルコース!

「ちなみにパーは掌底ね!」

全回を超えるものが現れた…勘弁してください。もう猫扱い止めますからぁ。

「何やってるんだよ…二人とも…」

たかしの発言でボクは致命傷を負わずに済んだ…ありがとう。

「本気でやるわけないじゃないの。」

…きっとボクとたかしの心は一致しただろう『『どの口が言う』』と。特に、

以前『お前はまだマシ』と発言した、たかしはなおさらだろう。


「それと晃司、あなたはあのゲームの聖女様倒せた?」

「二週目なので何とか。なんだよあれ、カシ〇スと同じ扱いじゃねえか。一定値まで減らせば死んでいいとか。グランドクロス喰らえばいくら防御特化なオーブメントの配置でも死んじゃうから。アダマスシールドとフィールドは必須。」

「そうね、アリ〇ンロードはチートね。聖技グランドクロスが来た瞬間は絶望しかないわよね。カ〇ウスの鳳凰烈波は耐えることはできるから。」

「ちみ達はいったい何の話を……」

あ、たかしを置き去りにしてた。まあ、本気でしたいならパソコンかPSP買わないと…今はVITAでもいいのか。時代は変わったものである。


 一つ言おう、凛久のほっぺの柔らかさはその他の追随など許さない。どうして唐突に…そんなの触ったからに決まっているじゃないか。何アレあんなものはじめて。あ、言っておきますけど許可は貰ってますからね。ボクはそんな変態じゃない。やべ、中毒になりそう。欲望は封じよう…般若心経ってどうだった思い出せない。


「いつまで触ってるの?変態認定を……今しました。」

「今かよ!でも、こんなに柔らかいのはすごいです…としか言えません。」

「そこまで言うんだったら触ればいいんじゃないの。その代わり対価は支払ってもらおう。」

対価ってなんだ?それ次第ではいくらでも……冷静になれ、“あの”凛久だぞ。普通な対価のはずがない。クソッ、どうしろってんだ。

「……そこまで悩むほどだったの(呆れ)」

情けないことにそうです。しかし、先程の発言の意味するところは永遠に分かることはなかった。対価の内容もわからず終いだった。




 凛久の頬の発言の翌日から…正確には昼過ぎから凛久はボク達の前に姿を現すことがなくなった。

 凛久はあの一週間の間にあの遊びのターゲットとなっていたのだ。それについてはクラスの雰囲気と内緒話で察しがついた。そして、次がボクであることも。


 その日からボクの心に何か大きな穴が開いたような感覚だった。山崎達によるいじめらしきものはあってはいるが眼中にすら入っていなかった。ただ、あいつらが話した凛久の事だけはしっかりと聞こえていた。


「あの女はなあ、最後まで迷惑をかけたくないって言ってたんだよ。このことを言うことだけはやめてとな。まあ、消えたからいいよな。だからお前たちの前、特にお前の前では必死に取り繕ってたな。見てて滑稽だったぜ。」


それからだろうか、ボクの中で何かが湧き上がってきたのは。そして、そのときからどうすればアイツらに復讐できるかだけを考えていた。

 不良を締め始めたのも部活を辞めたのもそのあたりだった。なぜか鉄パイプの感触がフィットした。木刀が体に合う感じがした。八つ当たりの様に生きる価値のなさそうなどうしようもなさそうなのから倒し始めた。その時の犠牲者が結集したのが以前の綾ちゃんの事件のときの連合。


 ボクはそれから復讐の算段は付いた。まず最初の目標はブレインを自称している吉田からだ。手こずっているのだからそろそろどうにかしなければならない。あいつが直々に出向くだろう。あいつはボク達を内側から崩壊させようとしてきた。それは普通に失敗したのだが、何より最後の時間を邪魔されていたことも許せない。そして最後は一対一に“見えるような”形で来るだろう。きっと背後に武闘派を用意しているだろう。その程度なら秒殺できる。それよりもその必要はない。


そして、ボクの想像通りに乗り込んでくるのだった。


「よお、村上。お前にも立場というものを考えてもらわなければならないんだが。」

何が立場だ。そっちの都合じゃねえか。

「いい加減降参してくれよ。お前が粘ったところでもう変わらないんだからさ。須増だっけ、アイツはお前の名前を出せばいい声で鳴いてくれたぞ。さあ、お前も同じところに行く時が来たんだよ。」

……自分が思い描いている状況が実は真逆であることにまだ気付いていない。知将やブレインの名が泣く。

 ボクの想像通りそれから吉田は次々と今までしたことを話し始めた。聞いてもいないのにつらつらと……想像通りの阿呆で助かった。

「随分前からお前に裏切られてたことになんか気づいていたよ。そもそも、あのタイミングで味方になろうとする時点で警戒するだろ、減点①。発言にいちいち誘導が入っているあからさま、減点その②。後は、笑うんだったら見えない所で、減点その…」


まあ、実際のところあいつが内側から崩壊させようとしてたけどヘタッピだったという話。

「やめろ!うるさい!お前ごときが歯向かっていいとでも…お前ぐらいいくらでも…」

だけどボクは非常な現実を押し付ける。

「あのさあ、君は自分の事を優秀と信じて疑ってないみたいだけどさ…実際はただのバカなんだよね。そもそも、定期考査欠点ギリギリの奴が頭脳派になれるはずねえだろ。マンガの読みすぎだ。それに、お前達の中でもお前は特に嫌われ者らしいな。一部のトップを除く人間からは邪魔にしか思われてない。」

事実その通りである。ただそういう心理学や教養の本を読んだだけの本質を理解できていないやつ。知識をひけらかせば、知らない相手からすれば初級……しかも間違えていてもすごい奴に思われる。今回もそう言ったものだ。


「それに、お前の人生が既に終了なんだが。どの口で俺の人生が終わるなんて言えるのだろう。」

「は?」

素っ頓狂な声を上げる。そんな彼に隠しておいた携帯を見せる。

「そんな録音程度で……お前バカなんじゃねえの。」

ああ、本当に愚かだ。画面をよく見ろって……

「バカはお前だよ。この携帯は現在通話中。そして…」

ボクはそのまま教室のオフにしていた放送機器の電源を入れる。すると……

「「現在、全校で放送中だ。」」

スピーカーと自分の声が重なる。本来なら大したことがないのだが吉田にとっては重症だ。何せ、吉田には好きな人がいる。その人に自分の悪行と性格の悪さ加えて本当はバカであったことを暴露されたのである。ショックだよね。

 ちなみに、今回は彼と仲の悪い弟君に協力してもらって通話で拾った音を放送室で流してもらっている。調べるのは簡単であった。


 その後、自分の置かれていた状況を認識して、好きな人からはすれ違った際に罵声をかけられる。そんな状況に耐えられなかったのだろう。すぐに学校に来なくなった。




 晃司は変わってしまった。総悟だけでない、凛久まで失ってしまったのだ。凛久は晃司にとってはただの親友ではなかった。自分の人から理解されない所を理解してくれる存在だったらしい。晃司のたまにする発言は良く分からないものだった。聞いていて見方の違いというものを感じる。晃司自身はあまりそのことを話そうとしなかった。本当に口を滑らせた時と……凛久と話している時だけ。

俺は凛久がいじめられていることは知っていた。知っていて助けなかった。言い訳をすると、本人から止められた。

 俺自身はクラスの中では味方が多い方でもあったために“遊び”に巻き込まれることもなかった。だから、より一層助けに入れなかった。俺は凛久との最後の会話を思い出す……


「あのさ、このことは晃司君には話さないでほしいな。あいつは絶対に何かしてしまう。それだけはやめさせないと……」

「まあ、そうだけど。お前はどうなの?やっぱりヒーローに救ってもらいたいんじゃないの?」

「それって、晃司君のこと?さすがに無理よ。あいつは無意識に“何か”をセーブしている感じはするけど、これをどうにかするほどではないでしょう。」

ああ、結構見ていたんだな。流石理解者…俺とは違うか。

ここで初めて嫉妬した。こういう状況で嫉妬なんて自分でも性根を疑う。それにこいつは……

「一つ聞いておきたい。“あのとき”の対価とは何だったんだ?」

俺の勘が確かであったなら……この関係は少なからず遠くないうちに破綻していた。俺がはみ出るという形で……


「そうね。いじめ自体はあのころから始まっていたから。聞くまでもないことだとは知ってはいたんだけど…」

彼女は言い淀む。そして意を決したかのように口を開く。

「まあ何というか…これからもずっと一緒にいてほしいという意味の事ではあったね。これは別にそういう意味ではないんだけどさ。やっぱり私の日ごろの行いって悪かった?」

それは……聞くまでもないだろう。この沈黙で察した彼女は『そうね』とさみしそうにこぼして続ける。

「あんたにも悪いことしたとは思ってるよ。流石にあれはシャレにならなかった。」

それはもう…。妹以外にあそこまでの重傷を負わされたのは初めてだった。それとあのバカは晃司まで肩関節外してからに……


「それでも、どこかには行ってほしくはないかな…私にとっての唯一の理解者だもの。それは向こうも同じだろうけど……やっぱ、離れたくないなぁ…」


彼女の声は震えていた。いつも気丈で自由で何物にも縛られない彼女は今泣きそうになっている。恐らく“遊び”も終盤なのだろう。何となく察しは付いている。教師陣もこれに参加していて主に学校の対応の関係でフォローまでしている。それと、本当に粘る相手に“退学”という処分をそれらしい理由で与えていた。

 確かに今まで学校の意に沿わない生徒を罪もなく“実質”退学にしたことはあった。任意という名の強制であるが今度は“任意”はない。恐らく凛久はその対象になることに気付いたのだろう。俺は助ける気にもなっていなかったことに今になって気付いた。なんでこんなことすら考えなかったのか?




 それからボクはたくさんの【貴族】の連中を学校から消した。ついでに言うと教師陣の大幅な見直しも決定した。それも全て教師の参加が外部に漏れてしまったことだ。理事たちは黙認どころか推奨していたにもかかわらず、保身のために参加した教師陣を売った。それが大幅見直しの要因となった。


 生徒方面もそれから一週間もしないうちに解決した。

中には自殺した奴もいる。そいつらの中には一昔前にニュースで取り上げられた他校の自殺に追い込んだ犯人もいた。その相手と今同じ状態だと悟らせると彼はすぐに飛び降りた。

 ボクは山崎を終わらせた。山崎は周りの人間がいなければ勢いを失うタイプであった。いうなればジャイアンタイプ。一人でもできるが仲間(舎弟)を持つことによってモチベーションや自信を持つことができる。反面、周りからの疎外感にはめっぽう弱い。自分がしていたことだろうに…撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ。

 それだけでは終わらずにボクは小中高全てにおいて選別を行った。

もうこんなことを起こさないためといえば聞こえもいいが、結局は自己満足のための欺瞞だ。山崎に与えたダメージは【一人の人間としては強烈なもの】であっても【多数の人間からすれば大したことのないダメージ】だった。今までは前者でもよかったがあいつは別だった。後者にとっての前者を与えなければ気が済まなかった。しかし、実際は前者のものしか与えられなかった。


 そんなときに出会ったのが委員長であった。その当時は名前すら呼んでいなかったというかそのころから委員長…彼女の


『甘ったれんな!』


という一言はその後の落ち着きに大きく関わっていた。色々話しかけられてはいたが基本的に右から左であったために聞いたのはその一言だけであった。

 言われた当初こそはさらに荒んだが後になって後悔した。委員長はつい最近までそのことについて負い目を感じていた。父さんにまで謝ったほどらしい。


 それから程なくして、学校中のクズの因子を持った連中の駆除が終わった。まあ、妥協枠も存在したが……。


ボクは落ち着きを取り戻しはじめて……虚無感に捕らわれた。だから、総悟の好きだったラノベやアニメも見だした。ボクはちっぽけな自己満足のために親友をも失った。それから色々なものに手を出しては無気力な日々を過ごしていた。そこで出会ったのが薊だった。

 出会った経緯こそ薊に絡んでいた不良を学校の奴らと重ねてしまったからだったが、なんとなく一緒にいるうちに守りたく思ってきた。せめてこの子だけは今度こそ…そういう気持ちもなかったわけじゃない。でも単純に薊の事が【大切】に思えてきたから




「というのがボクの悪行だ。」

ボクが話し終えるとすぐに薊は口を開く。

「やっぱり兄さんは変わらないのですね。兄さんはただ自分の親友たちを奪い、苦しめた理不尽が許せなかっただけでしょう。過程でどのようなことをしてもその芯にあるものが間違ってさえいなければいいのです。私をそんな状態で拾ってくれたのだから感謝しきれません。私に兄さんを責めることなどできません。」


 希も同様にボクを責めることはしなかった。むしろ以前の自分といじめられた側を重ねてしまったらしい。賞賛すらしてくれた。ボクには自分を認めてくれる人たちがいる。そのことを実感した。


「ちなみに晃司の肌の色が変色したのは吉田の粛清のときからだったから【狂気】に関係しているんじゃないかと思う。事件自体も限度という倫理観を消していたという面でもそうだったんじゃないかと俺は思っている。」とたかしは振り返る。


 そこまで大した理由でもないと思うが、そう考えると【狂気】も自分の一部だということに気付いた。どうしてそんな単純なことも受けいれられなかったのか。それはきっと余裕がなっかたのだろう。薊に嫌われるわけにはいかないという強迫観念からの……だから二人の反応はボクにとってうれしいものだった。そして、薊が少しでもためらったらボクは絶望していたかもしれない。だから、薊の反応がひたすらうれしかった。



 残りの日数を温泉街の散策で使い温泉にもう一度浸かり旅館を去った。帰りはさすがに疲れたのか皆寝ていた。美咲は寝てくれた方が扱いが楽。

 駅に到着して希と小鳥遊兄妹に別れを告げる。その帰り道に異様な殺意にも似た視線を感じる。ボクに恨みを持つ相手のものとは次元が違う。しかも、これは敢えてわかるようにしている。だからボクは家の前の公園に到着すると同時に…


「薊、今からすぐに家に帰れ!10分後に家に帰らなかったら母さんを呼んでここに来い。いいな、急げ!」

「兄さん……分かりました。」

 ボクの勘が正しければ…あの時の【協力者】なのではないかと思う。だから

「出てこい、いつまでそんな気配を出し続けるつもりだ。」

「それは~君が声をかけてくれるまでですよ。初めまして、私の名前は柊誠まことと言います。薊の叔父にあたりますね。」

何だって…一家丸ごと死んだはずでは……それじゃあ

「君の言いたいことは分かりますよ。確かに私は兄貴とその嫁を殺しました。そして、【とある人物】の攻撃にあったため死んだことにしました。あんなものといまだに交流があるとは…」


 分かった。本当にコイツが犯人なのか。一言で言えば胡散臭い。その言葉がぴったり合う人間はそうそういない。本質は嫉妬。兄の才能に嫉妬したというところか……こいつは殺す。

「まあ、君も個人的にというか嫌いなんでね。あんなことも忘れるとは……自分の存在意義まで忘れさせられるとはね。」

言っていることは意味が分からない。でも、【オレ】よあいつを倒してくれるか?

そうして意識が入れ替わる。でも、【ボク】の意識は消えない。


「そういう御託はいい。さっさと始末してやらぁ。」

「自分の意志で入れ替わるのか。君は年齢としてはそこまでたどり着いた中で最年少だが…時間で言えば歴代最下位だ。」

「うるせえ!」

そうして拳を構え、足に力を籠める。瞬間、地面を人外の力で蹴り高速で間合いに入る…しかし。

「いや、その速さなら十分なんですけどね。こちらは伊達に【神速】なんて名乗ってませんからね。遅い!」

飛び込んだ瞬間に既に間合いに入られていた。その加速を利用して拳をオレの腹に突き刺す。

 貫通する感覚が分かる。内臓がぐちゃぐちゃになっていく感触がする。オレが吐血するだと……あり得ない。吹き飛んでいく自分の腹を見るとピンク色のひも状の物体がひらひらと揺れていた。そして、壁に激突して意識を失った。


 それから10分後に母さんを連れてきた薊のおかげで一命をとりとめた。ほとんどが【狂気】の再生力なのだが、それまでの処置も心得ていた。ちなみに、二人とも誠の事は見ていないようだった。完全に実力差が……差が大きすぎる。薊を守れない。でも、恐らく誠は薊には何もしないだろう。問題はボクだ。


「薊、柊家に行ってもいいかい?」

ボクは誠の言っていた真意を確かめるため、その質問をした。


薊が晃司に与えたものは【善】か【悪】か?

しかし、問題は内容物ではなく容器なのではないか。

容器が腐っていれば内容物も腐る。 その④に続く


前の方はもっとしっかりしてたんだが。

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