間章:二人の友人
若干黒歴史気味です。
いつか絶対書き直す!
時は遡り、晃司と薊が入院していたころに遡る。
そこには一人の少年と一人の少女が【とあること】について話し合うためにいた。それこそ今後の二人についても多いに関わる話であるが、呼び出された状態である少女の方は事態についてはほとんど知らずにいた。だが、なんとなく重要な話であることは察していた。
二人の名前は小鳥遊公仕と一ノ瀬希。村上晃司の中学からの親友と最近できた友達である。公仕は希と話をすべきと考え、駅のはずれにある寂れたカフェまで呼び出した。
「で、何の用かしら?デートのお誘いじゃないことぐらいは分かるけどね、美少年君」
「まあ、そんなピリピリなさんな。今回の件は若干俺の落ち度もあるし…まあ、大体察しは付いてるかもしれないけどさ…晃司のことについてだ。」
その微笑はいつもの彼とは一味も二味も異なっていた。被っていたものを脱ぎ捨てるように。
「それを言うならそちらもでしょう。会うたびにガンつけられる身にもなりなさい。最初の晃司君の角度からは私の胸をガン見してるように見えるようにガンつけてきたのは初めての経験だったわ。」
「……面倒くさい妹を持っているとそういう技術は自然と身につくんだ。本題に戻すが、晃司の事はどう思う。」
その言葉は一見すれば普通の会話としても見れるが実態は大いに異なる。このことについては身の回りで既に重大な事件が起こっている身とすればそんな風には考えれるはずもない。
「さあ、どういう意味かしら?ことと次第では帰らせてもらうけど。」
「まあ、そんなに怒らないでくれよ。いろいろと含めすぎたな…取り敢えず分割しよう。取り敢えず、一つ目は最初にあった晃司と現在の晃司…何か違和感はないか?」
この話のおいての違和感の定義とは?マニュアル人間ならそこから考え始めるところだけどあいにく二人は元天才と現天才の二人。些細なニュアンスの違いなんて分かる。つまり、すっとぼけることは不可能であるということである。
「そうね、薊ちゃんへのべたつき具合が増したこととか……行動に合理性がなくなってきたこととか?」
「ああ、オレが見込んだ通りだな。良く分かってるじゃないか。あんたしか呼ばなかったのはこういうことさ。その答えについてだが…十点中八点しかあんたの解答には与えられないけど。」
「そういうことでいいのね。」
「ああ、でも、今の晃司も俺からすればただの抜け殻だ。今の状態は抜け殻の中に少しずつ中身を戻しているようなものだ。そうした時の結果なんてわかるよね。」
補足しておくと、彼らは【狂気】の後遺症については一切知らない。それは前提となっているが、彼らにとっては前提というものがない…つまり、自分たちの仮説を打ち立てることができる。
「本当にあなた、晃司君のこと好きよね。ついでに聞くけど薊ちゃんの事も嫌いでしょ?これが二つ目の意味といったところかしら。」
「ああ、正解。先に一つ目について答えさせてもらおう。晃司は【あの事件】以降と以前ではほとんど別人だ。でも、このことに気付いているのは俺と父親である輝樹さんだけ…。今のあいつは【人間の感情】を張り付けただけの人形だ。特に二つ目にもかかわるが薊への依存なんてその最たるものかもしれない。それが、恐らく抑圧していたものの集合体である【狂気】から還元されているのだとすれば…」
「以前の感情を少しずつ取り戻して、今の自分を守るために薊ちゃんへの依存を深める。」
「そういうこと。」
これも全てただの憶測にすぎない。本当のところがどうなっているかなど分かるはずもない。その本人が無自覚なのだから。
「ついでに言うと俺は【あの事件】以前の最後の親友だ。だから俺は輝樹さんとある協定を結んだ。
まあ、言ってしまえば薊関連だよ。」
「つまり、すべてを知っている者同士で薊ちゃんを監視しようということ?」
「簡単に言えばそうだが…あいつの存在は非常に厄介だ。あいつはいつぞやの【狂気】状態の晃司から『支柱ちゃん』と呼ばれていたらしい。…そういうこと、あれは晃司の人間性を一定値留めることができる。だけど深みにはまればお終いだ。例えるなら、解熱剤や松葉杖かな。」
解熱剤を風邪をひいた時に飲む方も多いだろう。だけどそれはどうしても休めないときにしか有効でない。本来熱というものは抗体が病原体と争ったときに発生しているもので、それを抑えるということは実質病原体の排除を遅らせることにつながる。つまり、解熱剤自体には治す効果などない。
「解熱剤は…まあわかる。松葉杖は車椅子にしない様にということでいい?」
「ああ、それで構わない。非常に厄介なものだ。あの子自身に一切の自覚がないのもまた…それに、あっちの依存もそろそろ危険なことになるだろう。今回の件はいい感じのトリガーだな。取り返しのつかないことにならなければいいが、俺達にはどうすることもできない。現状は様子見しかできない。」
「で、私にその役目をと。というよりもあんたもかなり複雑な立場よね。」
「いつから気付いてた?」
「何となくの違和感なら最初。確信したのは凛久さんの話をしたことを聞いたときから。」
「やっぱりあんたは気に食わないな。」
「お互い様よ。」
二人の共通の友人の思惑とは裏腹に二人はとてつもなく険悪な状態であった。まさに一触即発…触るな危険。めぐる思惑…彼の妹の存在は…【狂気】は…そこには様々な感情があり、誰にも、どうすることもできない。これはその一部でしかないことをここにいる二人も知らない。
書こうか迷ったけど書きました。
あの二人は全くと言っていいほど気が合いません。まあ、例外はあるけど。




