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悩みと救いは狂気の果てに  作者: 三島三城
その②日常編
11/28

小鳥遊兄妹編②:祖父と親友の母どちらもおかしいのはなぜかしら

そう言えば、同性愛タグ付けてなかったのをお許しください。


 翼流道場事件の翌週、ボク達の両親は軽い出張に出ることとなった。

そのためボクは薊を連れて祖父母の家に泊まりに行くこととなった。

およそ1年ぶりに……


 まずは、ボクの祖父であるじいさんの話をしよう。じいさんは幼い頃からボクにとてもよくしてくれ、一時期そっちの家に住んでいたことすらある…でも、その時の記憶はとても曖昧だと今になって思う。

因みに【あの事件】について話だけは知っているらしい…だから、会いたくはなかった。せめてまともな顔ができるまでは…。


じいさんは自分でいうのもなんだがかなりの過保護で若干押しが強く、なんだかいろんなものをもらった気がする。そのたびに母さんともめるのは毎度のこと。ゆえに絶対にあの時の表情を見られてはいけないと思った。


知らされないことによる心配の方が知ったことによる心配よりも軽かった。


 これは薊に会うまでで“最後の優しさ”だったのではないかと思う。ボクの最後の人間性だった。その後の事は…まあ、綾ちゃんの件で分かるよね?


 当初、今回の宿泊は薊を連れて行かない予定だった。何せあのじいさんだからさ、母さんが

『薊ちゃんを合わせるのはやめなさい。』というほどだった。まあ、ボクはそんなことはないと思うけど。


 なぜなら、薊の性格って小さい頃のボクに似てるし、何よりもじいさんの気分を害さないだろうし。それよりも、ボクを救ってくれた女の子を見せたかった。でも、うちの従妹は最悪だもんな…主に長女、次女。正直会いたくねぇな。実際にはロリ恐怖症の一因。そりゃあ、少女全般苦手になるわ。




 我がじいさんの家はボク達の家からそう遠くないところにある。自転車飛ばして20分、車で10分ってところかな。故に、我が母君がまるで地雷を運送するが如く送ってくらっしゃった。

「大丈夫だって、心配ない。あのじいさんの考えていることは分かってるつもりだよ。」

そうボクは言うと

「そう…大丈夫よね。じいさんさ…昔、【狂気】無しで熊じいさんとやりあって勝ってるのよ…。今は大分衰えたからって、高はくくらないでね。お願いだから。」

あ、そうですか。No【狂気】で、熊じいさんを…マジで…。というか母さんの方のじいさんということはそうだよな。完全に忘れてた。

「どうにかなる。大丈夫。」

きっとこの言葉は母さんにとってはひどく薄っぺらい言葉に聞こえただろう。冗談言いなさんな!薊に関して手を抜くことはないと思え!こうして約1年ぶりの祖父母の家へと着いた。




「晃司か…久しぶりだな。」

「うん、じいさん久しぶり。」

「まあ、大まかなことは聞いておる。それとそこにおるのが薊ちゃんでいいのか。」

「ん、ああ。そうだよ。今のボクのすべて…。」

「ああ、柊のところの…。取り敢えず晃司を支えてくれたことに礼を言おう。ありがとう。」

「いいえ、私は助けられただけです。居場所と信頼を取り戻してくれた人です。礼を言うならこちらの方です。」

「そうか、そういうことか。そりゃ、輝樹さんものう。よし、気に入った。」

おい!このじいさん気に入ったとか言ったぞ。見る目あるじゃねぇか。

「じいさんもわかってくれた?この愛らしさやらを…」

「おう。正直他の孫娘よりいいわい…。」

ああ…そうだね…あれはねぇ…きついわぁ…じいさん1年間押し付けてごめんなさい。そして、聞いていた話と食い違って拍子抜けしてぽかんとしている薊がまた可愛いんです。今回は二人になっているんですがね。じいさん…。

「そう言えば、ばあさんは?」

「ああ、しごとかのう。まだ定年ではないし。」

「年金ライフはじいさんだけか。」

「そうだな。最近は生きがいとかが少なくて沙織のおさがりのナ〇プレとかしとるの。」

ああ、アレだな。ダ〇ソーの100円均一の上級編。案外難しいんだよな。薊がすごい記録出して母さんが打ちひしがれてたな…。母さん…。

「それと、あの時はごめん。あの時は会わない方がいいと思ったんだ。少なくともまともな表情ができるぐらいにはなってないと…。」

「分かっとる。あれは仕方ない。晃司ぐらいの優しさがあればそうしただろう。あの二人は…残念だった。」

そう返し薊の頭に手を置きわしわしと撫でる…おい!それはボクの特権だ。

「それは凛久さんの事ですか。」

「ああ、知っておるか。でも言ってはいけない。晃司の意志は曲げるわけにはいかん。」

ナイス。【あの事件】の全容は薊に知られたくない。さしあったては、“きっかけ”のことを知られるわけにはいかない。

「薊…いつか話すから…今は聞かないで。」

ボクの切実な願いだった…。薊だけにはしられたくない。薊だからこそ…。かと言って希に言うのは不誠実だ。あいつは身代わりではない。メンタリティとしては希に近かった…だから言うならあいつだろうけど…【あの事件】は当事者だけでどうにかしなければならない。そういうことだ。

「それより【狂気】について教えてよ。」

まあ、今回の、メインの話かな。

「まあ、どこまで知っているか知らんが。お前の母さんの説明には不足点があるだろう。」

え、まだ何かあるの?

「【狂気】はコントロールするのではない。自分の負の面を受け入れることだ。だから“成長”する必要があった。しかし、完全に受けいれられたものなどいない。現に沙織は怒りやすくなった。わしは人間不信になった。」

「本当に…」

マジか!母さんのヒステリーって副作用だったの?まあ、あんな人外なもの支配すること自体に【無謀】の二文字が似合うっていうもんだ。でも、少しわかる。あれが少しずつ自分の中に入るということは……。


「兄さんは【アレ】に近づいていくということですか。」

「正直分からん。二重人格になった例なんてなかったから。成功と失敗の結果が大きく変わりそうだが、今の段階では何とも言えない。薊ちゃんにとっては【狂気】時の晃司はどうだ?」

「正直見ていたくありません。でも、私が逃げたらそれでお終いなんです。兄さんは一人で戦わなければいけなくなります。そんなのはだめです。」

「そうか…晃司を支えてやってくれ。それだけは自信を持って言える。」

その言葉に薊は無言でうなずく…この二人って結構気が合いそうかな?それからばあさんが帰ってくるまでこの話は続き、ばあさんからも薊は可愛がられていた…ライバルは二人だったか。




 今晩の夕食は最高であった。流石…料理のうまい方の祖父母でよかったぜ。この辺は格差が多いらしいからな。たかしの所は正直食べれたものじゃないらしいからな。マジで感謝。


 この晩はばあさんと薊が裁縫について話をし、ボクはじいさんにここ最近の話をする。あとで傑作ができそうな予感。だってばあさん元プロだし。で、結局希はじいさんからも彼女候補認定された…もう何だよこのじいさん。そこまで必死にならなくていいじゃないか。

 そういえば綾ちゃんはどこに行ったかって?それは……


佐倉のおじさんが泣きついて少し実家へ


むこうも娘煩悩……相変わらずでよかったです。そろそろ会いたいなぁ。

あのおじさん面白かったし…ちょっと話したいこともあるしねぇ…。

こんな夜を過ごしたのは久しぶりだった。


 夜も12時を回り、寝る時間となった。まあ、じいさんは9時には寝たけど…おじいちゃん……。

寝室に着くと布団が一組、ははぁん…二人でかぁ。ナイス!ばあさん。

「二人で寝ることになったけどいい?」

「いいですよ。兄さんとは最近距離がありましたし…。」

ですねぇ、綾ちゃんとか綾ちゃんとか綾ちゃんとか…。というかそのすねた顔がまた堪らなく良きかな。

「薊はじいさん達は大丈夫だった?」

「はい。いい人達だったので…私でも話せました。」

「よしよし。よくできました。こうやって人と話せるようになってうれしいよ。」

良かった。じいさん達が駄目だったらもう詰んでたからな。若干じいさんに取られてた専売特許である“頭を撫でる”をして今日の癒しとする。

「兄さん…少し抱き着いてもいいですか。」

「いいけど…なんでまた?」

まあ、こちらからすればラッキーとり越して昇天しそうですが何か?

「最近兄さんが遠くなっていく気がして…」

「大丈夫…ボクはいなくならないよ。」

そうだ…薊を置いていくようなことはしない。例えどんな犠牲を払っても…。

そのまま夜は更ける。ボク達は【互いに必要】であることを再認識した。




 午後3時。我が両親が家に到着したため、ボク達は家へと帰ることになった。

「じゃあね、じいさん、ばあさん。また来るよ。」

「また来てもいいですか。おじい様、おばあ様。」

そうだ、もう変な気遣いをしてここに行くことをためらう必要はなくなった。

だからこその『また来るよ。』だ。

「おお、何時でも来い!我が愛しの孫たちよ。」

そういってじいさんはボク達の頭に手を乗せわしわしと撫でる。全くこのじいさんは……ボク達は家路へと着いた。




 家についてから一時間ほどたった時のことである。あまり来ないところから電話が来た。

「……小鳥遊家の家からだとぅ!」

まあ、そうだよ。驚くよ。どちらかというとボクとたかしは悪友みたいな面があるからむこうの親からあんまりいいイメージはないと思う。

「はい、村上ですけど。」

『もしもし、小鳥遊です。晃司君でいいよね。私は二人の母の朱音です。少し話がしたいからうちまで来てくれないかしら。』

ええっと…それは処刑宣告ですか?どちらにせよ行きますよ。

「ええ、いきます。」

『そう、良かったわ。』

ソーデスネー。ボクの心境は玉切れの一般兵。死地へと向かうのだ。薊様バンザァイ!




「初めまして。私が公仕と美咲の母の朱音です。今日は今までのお礼がしたくて来てもらいました。」

……って、お礼ですか?そこまで何かした覚えもないけど。

「そんなことした覚えはないのですが…」

「そうねぇ、最近でいえば翼流道場事件とかかしら?それよりも公仕のこと。あの子にかまってあげてくれてありがとう。正直、あなたがあそこまでしてくれた初めての人なの。」

そうなんだ。確かに初対面の時のたかしはマジなキチガ…おっとイケナイ。あの頃は変人処理に明け暮れてたからなぁ…今になってみれば構いすぎだな。たかしはそのうちの一人だった。彼だけしか更生しなかったな。


「ああ、それですか。翼流道場事件はこちらの落ち度でもありますし、拡大させたのはボクのせいです。それに、彼はボクの数少ない友人です。逆に良くしてもらっていると思います。」

まあ、ボクがしなければ悪化しなかったものはたくさんあったな。もう一つはノーコメント。

「それにしても薊ちゃん可愛いわね。そりゃ、美咲が夢中になるわけだわ。」

そして来たよ…薊の話題(実質美咲の話)。

「そうですね。美咲ちゃんの百合っぷりには若干はらはらします。」

「そう、あの子は押しが強いのかしらねぇ?そういう私も昔は姉御と慕っていた人物がいたのよ。そりゃ、初恋で美咲の気持ちが痛いほどわかるわ。」

あ、ダメだこのメガネ美人もレズな類でした。というか、いつの間にか薊が美咲に連れていかれた。というか姉御とは…

「そうなんですか(弱引き)。それと朱音さんの母校ってどこですか?」

なんだか嫌な予感がするから聞いておこう。

「西高よ。そこで1学年上の姉御と出会ったの、あれはトイレでのこと…あの人はいじめられていたわ。」

あれれぇ。いきなり雲行きが怪しくなったよぉ。

「でも、番長と恐れられていた3人組を瞬殺したわ…。」

マジで…。というか落ちと正体が分かったよ。異名は……

「そのときは分からなかったけど、戦うときに瞳を紅く染めることからオーガと呼ばれていた人だったわ。」

うん…まあ、そうだよね。うちの母さんだよそれ。というか…姉御……。あの人も西高生だったよ。

「それからというもの憧れて何処へでも着いていったわ。今でも忘れられないわね。」

そうかそうですか。この場から立ち去り、薊を救出して母さんを痛い目に遭わせる方法を思いついた。


「あの…実はその人の連絡先知ってるんですけど…。」

「え、本当に!」

「はい!そうです。電話してみますからどうですか?」

「いいの?お願い。」

「先に事情を話しますから。それと旧姓お願いします。」

「姫崎よ。」

「じゃあ、もしもし。母さん、姫崎朱音って人覚えてる?」

『なぜあんたがそれを…』

「いや、何って、たかしの母親なんだけど。」

『ヘッ!あの子の母親…確かに誰かに似ていると…』

「まあ、代わるよ。」

『いや、やめて。あの子と接するのは嫌。ちょ、声が薄れ始めてる。携帯を渡そうとしないで…晃司ィィィ!覚えてなさい!』

久々に母さんに一泡吹かせられそうだ。今日宇は良き日なり。ちなみに、離れても聞こえるほど母さんは絶叫していた。そして朱音さんは美咲と同じ顔をしていた。それなりに時間がたったら救出をし、希の写真を見せてミスリードした。すまぬマイフレンド…たぶんこの人と会う機会はないと思うからさ。

結末…帰ったらフルボッコされた。


小鳥遊ママこと朱音さん…彼女もまた百合っ子だった。

おじいちゃんはやっぱり最高だよね。

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