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第2話 ガラスの街エルレックの不協和音

<前回のあらすじ>

ミラが、記憶が薄れていく病を患った親友のハーヴェストを救うために記憶の石を探しに異世界アドルベルナに転移した。

しかし、そこの者は異世界の者を嫌っていた。

特にミラたちが住む世界の者を憎んでいた。

そのため、万が一アドルベルナの者に正体がバレてしまったら強制帰還させられるシステムを使い、異世界転移した。

ミラは、最初の街アレルドリアで看守に異世界の者とバレてしまった。

しかし、魔法使いのレフィアに助けてもらい強制帰還は避けられた。

2人は一緒に行動することになり、2つ目の街であるガラスの街エルレックを目指した。




何時間歩いたのだろうか。

紫がかった森の小道をひたすら歩き続けている。

だんだんと周りの紫色の靄(もや)も薄れていった。


ー遠くにキラキラした何かが見えるー


「ねえ、レフィア。あのキラキラしてるものは何?」

ミラがそれに向かって指を差した。

「あ、あれは、、、エルレックだわ。」

レフィアの歩くスピードが速まった。

中心部にそびえ立つお城や周りの民家が近づくにつれて繊細に見えてきた。

「本当にガラスでできているんだ。」

ミラはエルレックの美しさに息を呑んだ。

遠くから見ていても美しいのに、近くで見ると神秘的だ。

そっとガラスの地面に一歩足を踏み入れた。

すると

ガーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン

突然、耳をつんざくほどの轟音(ごうおん)に見舞われた。

ミラが恐怖で

「っ何?今の?」

と大声で言ってしまった。

この声を聞いたレフィアは耳を押さえて森に戻ってしまった。

ミラも慌ててレフィアを追った。

「どうしたの?大丈夫?」

「うう、、耳が、、、、。音が10陪になることを忘れていたわ。ミラも大丈夫?」

「少し耳が、、、。」

ミラも耳を痛めていた。

「しばらく休みましょう。落ち着いたら耳栓をして駆け抜けましょう。長時間いたら、耳が壊れてしまうわ。」

2人は近くの木陰に移動し、木の幹に体を寄せた。

「ここなら大丈夫そうだね。」

だが、周りが騒がしい。

ミラはそっとエルレックの方に目を向けた。

「異分子が侵入したぞ!」

「森の方へ走っていったぞ!」

「追いかけろ!逃がすなーー!」

さっきの轟音(ごうおん)で住民に存在がバレてしまったようだ。

「まずいわ。休んでいる暇はない。ミラ、逃げるわよ。」

レフィアはミラの手を引いて森の奥へ向かった。

「ここまで来れば安心だわ。」

森の小道からは死角になる大木の陰に身を潜めた。

住民たちはミラたちを探していた。

住民が2人の居場所の情報を共有しているのが聞こえる。

アレルドリアの住民よりも明らかに団結力が高い。

誰か1人にでも居場所がバレたのなら、おそらく逃げ切ることは不可能だろう。

奴らがミラたちの反対側に行こうとしたそのとき、近くの木の向こうから背の高いプードルのような白い生物がやってきた。

2人は少し警戒した。

ニラミーギョのように住民や看守に居場所を知らせる生物かもしれない。

でも、奴はミラたちをじっと見つめている。

何か危険を冒すようなことをする気配はない。

「仲間かあ。」

ミラが安堵した瞬間

「キュエーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

「キュエーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」

大きな声で鳴き始めた。

レフィアは

「しまったわ。白いからエリマキキツネじゃないと思ったけど、同種だったんだ。とにかく逃げるわよ」

ミラの手を引っ張り、全速力で走った。

だが、奴の足が速く、すぐに追いつかれてしまった。

しかも最悪なことに、住民にも居場所がバレてしまった。

「あっちにいるぞー!」

住民は看守も連れてこちらに走ってきた。

前方からも住民らがやって来た。

ーこのままじゃ捕まる。ー

レフィアの顔をじっと見た。

「使うときが来たようだわ。」

レフィアはそっと手を合わせ

「デウス、システ、テンプス、エオルム!」

その瞬間、真っ白な閃光が周りを覆った。

閃光が消えるとなぜか、奴らが動かなくなっていた。

「何が起きたの?」

「魔法を使って奴らの動きを止めたわ。」

レフィアは茫然としているミラの手を引いた。

「もたもたしてるとまた動き出して捕まってしまうわ。急いで!」

2人はとにかく走った。

森を抜けて再びエルレックの目の前までやって来た。

「レフィア、どうやってこの街を駆け抜けるか考えないと。」

「ええ。このままの状態で入ったら確実に捕まってしまうわ。どうしましょう。」

アドリッス樹林にはエルレックを通らなければ行けない。

2人は頭を抱えた。

どうにかして音を出さない方法はないのか。

そこで、ミラは科学者にもらったアドルベルナの攻略本の存在を思い出した。

「もしかしたらここにエルレックの抜け方が書いてあるかもしれない。」

ミラはそう言って、急いでページをめくった。

ーーーーーアドルベルナの攻略ーーーーーーーーーーーーー

・・・

エルレックーガラスの街

ここでは音が10倍になる。

小さな音でも爆音になる。

だからすぐに住民や看守にバレてしまう。

さらに、エリマキキツネという赤色のプードルのような生物がいる。

こいつに遭遇すると爆音を鳴らして奴らに居場所を示す。

こいつに遭遇したらほぼ確実に看守に捕まってしまう。

白色のものもいて、そいつはメスだ。

こいつの前で声を出すと叫ぶ。

一度叫ぶと見失うまで叫び続けるからな。

でも、奴の前で声を出さなければ叫ばないんだ。

安心しろ。

で、どうやってここを抜け出すかだが、耳栓をして走れ。

これ以外の方法は危険すぎる。

これが最も安全だ。

健闘を祈る。

・・・

ーーーーーーーーーーー完ーーーーーーーーーーーーーーーー

「ダメだ。走り抜けるしか方法はないみたい。ねえ、レフィアの魔法で音を消せたりしない?」

ミラはダメもとで聞いてみた。

「使えないわけではないけど、さっき魔法を使ったばかりだからここでもう一度使ってしまったら私の体力が持たないわ。ごめんなさい。」

レフィアは申し訳なさそうだった。

そんな彼女を見てミラは

いつまでもレフィアに守られる存在でいたくない。

自分の力でハーヴェストを助けたい。

だから

「わかった。耳栓をして走ろう。ここを抜けちゃえば安全だろうし。」

ここでレフィアに頼るのをやめた。

早速、耳栓をつけた。

お互いの声がよく聞こえない。

2人は手を繋いだ。

そして

「じゃあ、行くわよ。足元、気を付けてね。」

3ーーーーー2ーーーーー1ーーーーー0

その瞬間、2人は猛ダッシュでエルレックに侵入した。

耳栓越しでも不快になるような轟音(ごうおん)が鳴り耳を貫く。

この音を聴きつけた看守や住民が後ろを追っている。

ときどき手が滑り、離れそうになる。

そのたびに固く握りなおす。

そこには‘‘絶対に置いていかない‘‘という2人の強い絆もあるからだ。

しかし

「うう。」

長距離を走り慣れていないミラの体力が少しずつ消耗されていく。

ミラのペースが乱れ始める。

「あとちょっとだわ。がんばれ!ミラ!」

だが、前方からも奴らが迫ってくるせいで思い通りに進めない。

「こっちもダメだわ。周りましょう。」

前から奴らが迫ってくる度に回り道をする。

そのせいで、同じような場所をぐるぐると走っている。


こんなことをしているうちに、中心部のお城の中に追い込まれてしまった。

城内は薄暗い。

ガラスでできているのになぜか透明感がない。

柱についているろうそくの灯がなければ暗くて前に進めない。

「レフィア、どうやってここを脱出するの?」

殺風景な回廊。

平衡感覚が狂いそうになる。

後ろからは奴らが迫っている。

前に進むしかない。

すると、

「レフィア、あれ・・・。」

2人は驚愕した。

そこには、回廊が途切れて深淵と化した巨大な穴があったのだ。

奴らとの距離がだんだん縮まっていく。

ここまで来て強制帰還か。

「飛び込むわよ。」

レフィアの言葉に耳を疑った。

こんな巨大な穴に飛び込む勇気などミラにはないからだ。

でも、飛び込まなければハーヴェストを救えない。

震える声で

「わかった。」

と言い、力強く手を握った。

奴らは

「もう逃げられないぞ!」

「異分子ども正体を明かせ!」

「捕まえろー!」

あと数歩進めば手が届く距離にいる。

「せーのっ!」

2人は深淵に飛び込んだ。

奴らは追ってきていない。

城の光がだんだんと薄れていく。

まるで走馬灯のようだ。

恐怖心もだんだんと薄れていく。


ドーン!


体に強い衝撃が走った。

不思議と痛みがない。

ただ、意識が遠のいていく。

「レフィア、、、大丈、、、夫、、、、。」

声は出るが力がでない。

レフィアの方を向きたくても向けない。


ーーーそれからの記憶は残っていないーーー


「チチチチチチチ」

という音で目を覚ました。

ミラは重い瞼を開けた。

周りの光景に驚愕した。

なんと無数の小人たちがいたのだ。

「ここは、どこ?」

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