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笑顔

 青が戻った空。

 大穴のあった場所を眺めるダークエルフ達。

 彼らの顔に達成感はない。


 多くを失った心の空白を、これだけでは満たす事など出来ない。


 空虚。


 彼らの心を表すのなら、この言葉がふさわしいのかもしれない。

 このような大きな穴の空いた心を胸に抱え、何を思えば良いのか分かる者などいなかった。


 彼女が語りかけるまでは──。


「笑うがいい」


 カルラは空を見て笑っていた。

 死の女神と呼ばれる程、多くの死を見てきた彼女。


 だからこそ知っている。

 境遇に溺れることなく、足掻いて想いを成した者が何をするべきかを。


「死者への見送りは、古来より心配をかけぬように笑える強さを見せるのが習わしじゃぞ」


 彼らは成したのだ。

 悲劇に見舞われながらも、己の在り方を見定めて最後まで誇りを貫いた。


 終わっていなかった。

 悪魔を倒したあと、伝えなければならなかったのだ。


「……そうだね。お父さんとお母さんに教えてあげないと、だね」


 誰もが空に向かって笑みを浮かべる。


 彼らは勝者だ。

 誇りを最後まで貫き、復讐や境遇に酔う事のなかった。


 だから勝者として、居なくなる者達に伝えなければならない。 

 勝者らしく、胸を張って笑顔で見せなければならない。


 悪魔に囚われた、大切な魂に伝わったことだろう。


 例え、頬を涙が伝わっていたとしても。

 遺る自分達が、胸を張って笑える勝者であると。


 だから彼らは笑った。

 見えぬ魂に向かって。


 勝者としての姿を見せ続けた。

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