ボロボロの船
分析は終わり、花の正体が予想通りであると分かった。
次は調査隊を使って、花の分布状況の確認する。
その後は、原種がどこにあるのかを特定。
問題はこの後だ。
厄介な相手と戦わないとならない。
どうしたものか?
奇襲を仕掛ければ、最大級の魔導を使えば仕留め切れるだろう。
問題はその後だ。
ヤツは1度だけ復活する。
しばらく思考を巡らす。
その結果”最大級の魔導で奇襲を仕掛けてから様子を見る”という脳筋な結論に落ち着いた。
*
貸し出された簡素な家。
細い木を組んで造られただけのため、風通しが異常なまでに良い。
それでも森の中だけあり、すごい湿気だ。
一ヶ月も書類を放置しておいただけで、カビが生えるかもしれない。
このような環境で、書類仕事をするのは戸惑われる。
アーシュは報告があるまで、魔導具を弄り続けることにした。
──♪──♪──♪
やはり音程が合わない。
自分の記憶違いか、それとも音楽の素養に問題が。
嫌な想像をしかけた所で、報告が来たようだ。
「アーシュ様」
「様だなんてからかわないで下さいよ先生。いつも通りアーシュでお願いします、ね」
報告は
訪問した先生に念を押すかのように伝える。
本当の上下関係が、こんなことでばれたらあまりにもバカバカしい。
「失礼。ココに来たのは報告があってね。調査隊が戻ったのだが、彼らの報告に少々気になる点があったのだよ」
クロナの思案する姿。
そこには、学者然とした重みのある空気があった。
「気になる事と言いますと、バラの怪物でも出たのでしょうか?」
「予想していたようだね。元あった村の跡地で遠くから眺めて見かけたと報告が来ている。なんでも瓦礫の上でハープを奏でていたらしい」
溜め息しか出ない。
あの紅い花が元気に森を侵略していたのを見て、ずっとその可能性を考えていた。
因縁のある相手だ。
アーシュがではない。
強欲王にとって。
「それと船を見たらしい」
「船……というのは変ですね」
この辺りの地理については、予め調べてある。
その情報の中に航路についてもあったのだが、船は近くを滅多に通らないとあった。
「ボロボロの船なのだがね。船から現れた奇妙なモンスターが花を処分していたとのことだ」
あの花は厄介だ。
原種を得れば相応の利益を得られるが、放置すれば大きな害になりかねない。
その花と処分する船から現れるモンスター。
無関係という事は無いだろう。




