表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
商人グレました  作者: モロモロ
旅路
65/67

ある少女の回想2

黒豹の男がまた現れた。

なんだかこの男からは嫌な匂いがする。

好きになれない。

たまに見せる目は背筋を凍らせる。

こんな男と先生達は笑顔で話している。

世界中から孤児を助け出して、危険を乗り越えて、学校へと送り届けている偉大な男だ。

頭では分かっている。でも、この嫌悪感は消えない。


連れて来られた子供たちの中で一際目をひいたのは、サラマンダーの男の子だった。

ラグとの始めての出会いは、刺すような目線との出会いだった。

無口なラグは、さっそく孤立していた。

シャルロットは定期的にラグに話しかけていたが、「俺に構うな」と邪険に追い払われる日々だった。


エイドリア先生から依頼があった。

ドミリスへの物資の流通調査。

アイテムボックスを覗くスキルがあると聞いたことはあるが、これは学校でも禁じられている。

となると、物資の受け渡しの現場に潜入しての調査となる。

チームは、エイドリア先生が選抜するとの事だった。


当日、集合場所に着いた私は愕然とした。

シャルロットも微妙な顔つきだ。

私達の前に、赤髪と青髪、無愛想ラグの3人がムスッとした顔でいた。

この5人で潜入調査とか成功する光景が見えない。


見事に任務に失敗した。今、私達はドミリスの兵に追われている。

顔は隠しているので、リームレとは違う方向に一度逃げて、敵を振り切ってから一日潜伏し、学校へ戻る事にした。最悪でも身元がバレるのは避けなければならない。


赤髪ことアースと青髪ことアイラのちょっとしたミスが原因で敵に見つかってしまったのだが、逃亡中になんと2人が喧嘩を始めた。

この状況で喧嘩とは良くやるもんだ。

シャルロットが止めてくれると思ったが、その前に喧嘩を止めたのは、なんと無愛想のラグだった。

無言で喧嘩する二人を殴り倒し、その二人を両肩に担いで逃亡を続けた。

なんて怪力だろう。


潜伏場所で目を覚ましたアースとアイラは、なぜかラグに左右から寄り添っている。

ラグは迷惑そうにしている。


潜伏場所の山裾で野営をしていると、山賊に囲まれた。

力を過信していた私達は、逃亡という2文字を捨て、山賊に挑みかかった。

まず一番最初にラグが山賊の集中攻撃を浴びて瀕死の状態になった。

アースやアイラの遠隔攻撃も、後から後から湧き出てくる山賊の数に追いつかない。

私とシャルロットも次第に数に押され、全身がズタボロになっていった。

山賊たちにもかなりの深手を負わせたが、深手を負った者は奥に逃げ込み、すぐに新手が奥から現れる。

私達が動かなくなると、アースが弓をハンマーに持ち替えて突っ込んできた、山賊たちが舞い上がる。

アイラの回復魔法で、何度か戦線を維持したが、1時間もかからずにすっかり取り囲まれた。

山賊側から、「こちらの負傷者を助けてくれれば見逃す」という提案があったのは、絶対絶命のそんな時だった。

「また暴れられたら困るから回復魔法を使えるお前だけが来い」とアイラだけが指名された。下卑た笑顔を張り付かせた山賊達にアイラが近づいていく。動けない私達を置いてアイラは山奥へ消えていった。

明け方、疲労困憊の様子でアイラが戻ってきた。

そんな状態なのに、私達に回復魔法を施した。

こんな時に、感謝の言葉を言えない私がもどかしい。

みんなが感謝の言葉と、心配する言葉をアイラにかけるが、「回復魔法をしてきたけど、人数が多くて時間がかかってしまった」とどこか陰のある笑顔で返すアイラにそれ以上に言葉をかけられる人はいなかった。


その日を境に、ラグはアイラをとても気遣うようになった。

シャルロットもアイラを尊敬していると公言し、アースとも仲良くなっていった。


エイドリア先生は最初からこんな結果を予想していたのだろうか?

結果的にラグを中心とした学校内でも最強チームが出来上がっていた。

ラグ一家の最初の一歩はここからだったと思う。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ