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商人グレました  作者: モロモロ
旅路
56/67

舞踏会1

王宮はドルーアンの奥深くにある。

3つの検問を通った先に高さ1km半径2kmほどの広大な空間がある。

その中に純白の王宮が佇んでいた。

ドルトニアの力がどれほどのモノか良く分かる。


王宮の舞踏会はさぞ盛大だろうと思っていたが、200人ほどしかいない。

どの顔もドルトニアのトップクラスの人々だった。

オレもこの顔ぶれの経済状況、縁戚、強み、弱み、などは金を惜しまず徹底的に調査済みである。

遂にこのレベルまで来たのかと思うと感慨深い。

転生前の世界で言えば皇族の私的なパーティーに招待されたようなもんだ。

初代皇帝ビヨットは猿人だったが、親戚縁者を贔屓する事なく能力のある者にはチャンスを与えた。

だからこそ、各国から優秀な人材が集まり国家としての力も近隣諸国より群を抜いている。

差別なく実力主義で取り立てるというのは中々出来る事ではない。

だからこそ皇子達も手段を選ばず功績をあげようとしているのかもしれない。


このドルトニアは攻略不可に思える防御力を持っている分、攻撃という意味で兵の質が悪いと言われていた。その質を向上させるための策をそれぞれの皇子が打っている。

父に認められたいという思い以上の妄執を感じさせる策ではあるが、オレ自身もそれに匹敵するような方策をとってココまで上り詰めて来たのでビヨットや皇子達の事は言えない。


この1年、ビジネスにも邁進したが夜の方も邁進してしまった。

既に子を30人ほど作ってしまっている。

ラグ一家にはラグの子として育てさせている。サラマンダーの血が見受けられないのは母方の血を多く遺伝しているという事で魂に命令することでやり過ごしている。

アイラを除く4人が既に出産し母としてラグと一緒に暮らしている。


モート商会の従業員として大量に買い取った奴隷たちも、基本的に教育前の奴隷落ちしたばかりの者達を教育前ということで安く買い叩いて当方で教育を施した。

奴隷はある意味魂の契約以上に残酷だ。

奴隷たちは奴隷落ちした辞典で頭に魔法の拘束具を付けられる。主人の命令を拒否すると頭を締め付けられて猛烈な頭痛に襲われてしまう。孫悟空の頭の緊箍児のような役割だが奴隷のものは金でも無く目立たなく銅のような色のもっと細いモノだ。


男女ともに商会独自の教育法で教育したので、ボルックの街や王都の工房には、勤勉で優秀なスタッフで溢れている、昼も夜も教育に専念したオレの肉体は心身ともに鍛え上げられた。


筋力(攻撃力) 85

体力(HP&持久力) 70

耐久(物理防御) 60

器用(成功率) 95

敏捷(身軽さ) 42

知識(魔法防御) 56

魔力(MP)62


何故か魔力が急激に上がったのは、オテロクと作った武器の生成方法から、鍛冶屋も簡易な魔法を使える事により、より強力な魔道具、属性武器の錬成が可能という事が分かったので、それらを教え教育していく内にどんどんと上がってしまった。

高価な秘薬を購入する費用を考えても充分に採算が合う値段で飛ぶように売れていった。


もちろん全てが企業秘密のため、奴隷であっても錬成に関わるものには重ねて魂の契約までしている。


1年前にサキュバスのチャームを大量に被弾した翌日<魅了>のスキルを習得していたのでその力にも随分と世話になった。


教育前の奴隷落ちしたばかりの者達は、高慢だったり頑なな者も多いが子を宿す頃には家族として商会の為に必死で働いてくれた。


ボルックの街には定期的に視察に行って、新たな人口増加の一助を担っている自負もある。それぞれの家庭で我が子として育ててくれている事に感謝している。

だからこそ、商会はすべて家族と思っているし虐待の無い当地と、他団体や集団からの圧力には決して屈せずに過ごしてきたつもりだ。

奴隷の中から諜報に向くものを選抜して、セシリアの指導の元に諜報のプロに鍛え上げている者達がいる。一度訓練を視察に行ったが、午前中にぶっ倒れるまで鍛えあげて午後に座学、その後夜の闇の中で本格的な訓練に入っていくハードスケジュールだった。セシリアもデカイ腹を抱えてギリギリまで指導していたが、今はナンバー2だったシリアというものが指導している。来年にはシリアにもラグの子としてオレの子を産んでもらおうと思う。


男の奴隷に関しては、教育が面倒なので基本は魂の契約後に、オレの子の父親としてボルックで鉱山夫をしてもらっている、キツく危険な仕事だが、家族の為に一生懸命働いてくれている。


奴隷落ちした彼らに仕事と生きがい、そして家族を持つことを許しているオレに対して、周囲の目は奇人を見るようだが、ボルックや工房などのスタッフからは神のように崇められている。

先日のボルック視察の際に、街の中央にオレの像が建てられていた事にはビックリした。


さて、そんなオレだがこの舞踏会では、思いっきり新参者の末席だ。

内々の案内では、今回招待されている面々は、国家の中枢を担う「フォレスト オブ ジャスティス(正義の森)」Forest of Justice 略してFOJのメンバーだ。

諸外国の有力者も多数参加している。

今日の舞踏会は、オレの新規加入を祝うパーティーでもあるみたいだ。

会場は王宮の中、謁見の間ではなく、大ホールで行うらしい。


遅れてはならないと思い、1時間早く会場に入る。

さすがに誰もいないかと思ったが既に数名がチラホラといる。


「モートさん、こんばんは。本日はおめでとうございます」


プロミリアのランクールが来ていた。外部の人間だけあって、こういうところで早めに来る事でなんらかのメリットもあるのだろう。流石はプロミリア一の商人だ。

こういう場で知った顔を見ると凄く安心するな。

ランクールには、この1年大量のバイオトランス入りのミネローダを極秘裏に卸売している。プロミリアでも西の地方にしか販売していないとの契約でお願いしているので、プロミリア全土にミネローゼが流通するころには、かなりの中毒者が出ているだろう。メルロ側ではバイオトランス抜きのものを売っているので、ミネローダが原因で中毒症状など引き起こしても、同じものを食しているドルトニア人は大丈夫だ整合性が無いと言って押し通るつもりでもある。最終的に国家的な調査の上で出荷元の張本人がゴフトスと判明した時のプロミリアの反応が楽しみでもある。


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