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商人グレました  作者: モロモロ
旅路
43/67

野営



今回は、王都を目指すので、南門から出ることになる。


王都までの道のりは約一ヶ月ぐらいかかるだろう。


出発前にモートさんへ送金すると言って、銀行に金を預ける。

一応、200万ドランは持っていくが、外の世界で俺のような輩に狙われる可能性もある。

大金は店とは別口座に預け、一ヶ月毎に店の口座に100万ドランを振り込むように話した。

ソマックが順調にやってくれれば振り込む必要も無いが、いろいろと活動資金も出てくる可能性もある。

王都に着いたら両方の口座をチェックして再度調整しよう。



南門を抜けると森の中に細い道が一本ある。


この世界では、アイテムボックスがあるため、荷馬車などは無いし、道も人が通れる程の道しかない。

その道も人々の往来によって自然とできた獣道のようなもので、人の往来の少ない町周辺では、その道にも浅く草が生えている。

天候の悪い日や、闇夜では、ほとんどの場合は、旅が出来ない。


距離的にはそこまで無いだろう王都までも、この少人数での旅では、それぐらいの時間がかかるだろう。


アクアニアの山岳地帯近くのリームレとドミリスは大小の山に囲まれているので、王都を目指すにも、まずこの山岳地帯を抜けなければならない。


進むべきルートは3つある。


山間部の谷間を縫うようにして進む道。

廃坑や洞窟をいくつか抜けて山をくぐり抜ける道。

山を越える道。


の3つだ。


谷間は、歩く距離が一番長いが、坂が少なく、水も確保しやすい。水はアイテムボックスにたっぷり入っているが、女性が多いので水浴びイベントなんかも期待出来るかもしれない。

ただ、水が確保出来る環境は、山賊が住みやすい環境でもある。

山賊というと、数人が徒党を組んで襲ってくるイメージだが、このドルトニアの辺境の山岳地帯の山賊はそうではない、ドルトニアからの大規模な討伐隊も何度も出ているが、各所に塹壕を作り、ゲリラ戦を展開して撃退しているかなり大規模な山賊だ、彼らのテリトリーを安全に通過するのは、大規模な軍もしくは、それなりの商隊による多額の通行料が必要だ。


廃坑や洞窟のルートは、比較的安全だが、不安要素もある。坑道や洞窟はそれぞれが繋がっていたりして、複雑に入り組んでいる、道を正確に分かる案内人がいても、思わぬモンスターの襲撃で逃走した結果道に迷う、落盤などによって怪我や洞窟の奥へ落ちたり、未踏破区域近くの未確認の魔物との遭遇などだ。


山越えのルートは、ひたすらに坂道だ。険しい山を踏破する事になるので、このルートは、人や魔物よりも自然が一番の敵だ。一歩間違えば転落死。深い山林内で道に迷うことも十分に考えられる。



まぁ、この旅路のリーダーはラグになるだろうから、ラグ任せで良いだろう。


そう思っていたが、なんだか南門を出た所で話し合いが始まった。

どうやら、ラグ一家内では、こういった命がかかるような重要事項に関しては、全員の意見を聞いた上で判断するらしい。


「オレは山越えルートを考えている。この人数で谷間のルートは危険な気がする。規模が小さいと金額も山賊サイドの言いなりになるしかない」


ラグは、山越えルートのようだ。


「山賊ニツカマラナイ。ダカラ谷間デイイ」


セシリアは、谷間でも山賊に見つからないように抜ければいいという事だ。


「私は洞窟を抜けていくのが、いいと思う。魔物を狩れば、旅の間も金が稼げるし冒険者としての経験にもなるからな」


アースは口には出さないが、ドワーフ族というのもあるのだろう。

洞窟は懐かしい気分になるという理由もあるはずだ。


「私は、ラグについていくだけだっちゃ」


クソー!ああああ!ラムラちゃんがぁぁぁぁぁ!

笑顔の口元から覗く、小さな牙が可愛い。

ラグのラムラからの信頼度高すぎだろ!


「私は谷間がいいな。水があればいざという時もなんとか出来ると思う」

アイラは水がある方が、ウンディーネ族の力を遺憾無く発揮出来るのだろう。


「私は、どのルートでもいいが、ルークの意見も聞いておきたい」


シャルロットに急に話しを振られる。


「えーっと、私は谷間の道が安全かと思います。山賊に渡すお金の用意は、ある程度はありますし」


そして、水浴びイベントにも期待したいのだよ。

谷間だ谷間!

ラムラちゃんの谷間!

漆黒の肌の谷間!


「じゃぁ、今回は谷間ルートで行くことにしよう」


最終的なラグの一言。谷間ルートに決定したようだ。


門を出て狭い獣道のようなところを通って、森の中に入る。

森といっても、木がまばらなので、太陽の光が入ってきて、全体は明るいが、その分、樹の下の植物たちも良く育ち、遠くまでは見渡せない。


定期的にオテロクに飛んでもらって、大きな魔物の接近が無いかを確認してもらいながら進んでいた。

出てくる魔物は、スイートスネークやアップルドッグなど小型の魔物が多く、基本的に、前線のラグとシャルが薙ぎ払うように進んでいく。


森に入って一時間もすると、森が暗くなり、樹の下の草も短くなり、森の奥が、薄暗く見渡せるようになる。


見渡せる分、進むのは楽になるが、魔物も集団で襲ってくるようになる。


次々襲ってくる魔物にオレは、もうこの旅に出たことを後悔し始めていた。


その日は、とりあえず谷間ルートの入り口にある、開けた草原に野営する事になった。

流れる小川の水を利用して、簡単な食事をとると、アイテムボックス内から取り出した大きなテントで全員が就寝する事になった。


見張りはオテロクに任せる事にしたので、全員が夜の見張り番を交代でする必要は無くなった。

オテロク初日から大活躍だな。


テントに入る。


{ラグ一家に命じる。全員行動停止。モートとルークの発言どおりに行動せよ。}

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