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商人グレました  作者: モロモロ
第二章 旅立ちまで
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通信

「モートよろしくな!」


手のひらサイズのミニオデロンが、フランクに話しかけてくる。


「可愛いっ!」

「よぉ小さいの!オマエもよろしくな!」

「なに?この子しゃべれるの?」

近づいてくるキャンにミニオデロンが話しかけた。

どうやらオレの「魔族交流」が遺伝されているのか、人間とも話せるようだ。


「モート。名前付けてやってくれ」


名付け・・・

なんかオレが気持ちの整理が出来るより早くどんどん事が進む。


「オテに名前?カッコイイの頼むぜ」


オデロンより流暢に話せるのもオレの分身でもあるからだろう。

オレの分身とかロクでもない予感しかしない。


「では、オマエはオテロクと名付ける」


「おお!なんかチョットかっこいいじゃん!強そうだし!」


気に入ってもらえたようだ。由来は伏せておこう。


「オデロンありがとうな」


一応、礼はする。


「オテロク連れてけば、オデとも会話出来るからな、オデも寂しくない」


「会話?オデロンとオテロクは離れてても会話できるのか?」


「夜だけだけどな」


闇の力が増すのだろうか?

遠距離通話とか便利過ぎるぞ。

対象がオデロンオンリーという部分を除けば・・・



キャンとカイエントとも別れの挨拶を交わし、俺達は洞窟を後にした。

明日の朝にはラグ一家が来る。

今日は早めに帰って、旅の準備と鍛冶仕事だ。


「明日からしばらく会えなくなるな」


俯いて隣を歩くメルロがオレに話しかける。


「そうだな。なるべく早く戻ってくる」


「今夜はドミリスの館に泊まっていくんだろ?」


嬉しいお誘いだが、流石に長旅を前に、準備をしたい。

そして、今はちょっぴり賢者モードだ。


「すまん。明日からの長旅の準備がある。ここでお別れだ」


「お前が帰ってくるまで心配で眠れぬ日が続きそうだ」


メルロが苦笑する。


「オテがいるから大丈夫だ。安心しろ」


オレの肩口からオテロクが話しかける。

雰囲気ぶち壊しだ。


「そうだな。その羽根、少しだが私の因子も混じっているようだな。よろしく頼むぞオテロク」


「ああ、任せておけ」


オレは手のひらサイズのオテロクに何が出来るのかと思う。

あまり期待しないほうが良いだろう。


「モート。いざとなったら全てを捨てて逃げてこいよ。逃げたっていいんだからな」


見上げてきてからの、この甘い言葉。

メルロぉぉぉぉぉ

かわえぇっぇぇぇ



オレは無言でガッシリとメルロを抱きしめた。

肩口でオテロクが囃し立てる。

雰囲気台無しだ。








結局、朝方まで鍛冶仕事を頑張ってしまった。

なんだかんだで鍛冶の仕事が好きなんだなと思う。

素材から、イメージする形や性能どおりに物を創りだす。

これは、凄く楽しい作業だ。


昨夜は、鍛冶仕事をしていて、オテロクともいろいろ話しが出来た。

基本的に一人で作業を黙々とこなすオレのスタイルに、初めての話し相手兼助手となったわけだが、思いの外いろいろと役立ってくれた。


流石、オレの因子を受け継ぐものだ。

アイデアを生み出すセンスがある。


明日からの長旅に、ランガー装備を着用するわけにもいかないが、見た目の違う古代龍装備は必要だろうと思って、作っている時だった。


「その素材を加熱してぶっ叩く時に、オテも手伝っていいか?」


「手伝うって何をだ?」


「ちょっと、力を込めてみる」


「力を込める?ああ、頼む」


良くわからないが、説明をしてもらっても分からないだろう。

実際にどういうことか体験するのが一番だ。


加熱して叩き始めると、横から例の黒い霧を素材に注ぎ始める。

赤く加熱された素材が赤黒くなる。


そうやって、オテロクに手伝ってもらいながら出来た、明日からの装備がこれだ。


装備 暗器 暗黒古代龍の仕込み杖 闇属性攻撃 +62 攻撃力 65 即死 +200

頭:イケメンフルフェイス(イケメンボイス変換機能付き) 防御力 3

上半身 下半身:暗黒古代龍のローブ 潜伏 +35 隠密 +45 全属性耐性 +28 防御 130

足:暗黒古代龍の靴 潜伏 +35 隠密 +45 全属性耐性 +28 防御 110

腕:暗黒古代龍の手袋 潜伏 +40 隠密 +35 全属性耐性 +28 防御 122

アクセサリー:エルフ族変装セット 防御力 2


全身が真っ黒の装備になってしまった。

ローブはフード付きだから、頭装備を付けてなくても違和感は無いだろう。

ランガー装備に比べて、攻撃力や防御力、全装備統一効果が無いが、それでも一級品の装備だ。

一級品の装備なのに、見た目は普通の装備に見える所も目立たなくて良さそうだ。

潜伏と隠密にスキル値を振らなくても、発動すれば完全なスキルが使えそうなプラス補正もありがたい。

オテロクがさっそく役に立ってくれた。


流石、オレの因子を継ぐ者だな。


「オテロク。いい装備が出来たよ。ありがとう」


「オテもモートの役に立てて嬉しいぞ」


オレに顔が少し似てる所も可愛い。

明日からの旅でも良い道連れが出来た。

オデロンに感謝だな。


「オテロク。さっそく、オデロンと話ししてみたいんだが?」


「お、やってみるか?それじゃ、まず、この部屋は明るすぎる。明かりを消してくれ」


「分かった」


準備が出来るとオテロクがオレに手を向けるのが、薄明かりの中でなんとか見える。

黒い霧を出しているようだ。

次第にオレの耳や口、顔全体を濃い霧が覆い始めるのを感じる。

反射的に目をつぶってしまう。

本能的な恐怖というやつだろう。


「モート。さっそく使ってくれたんだな。オデ嬉しいぞ」

「オデロン。凄いなこれは」


目の前の暗闇にオデロンが立っていた。

サイズはオレと同じぐらいだろう。

同じサイズのオデロンでもガッシリとした体格が強そうに見える。


「オテロクのお陰で明日からの旅の装備も良いものが出来た。オテロクを創ってくれたオデロンにも改めてお礼をと思ってな」


「オテロク役に立った。オデほっとした」


オデロンはオデロンなりに心配してたらしい。


「いろいろ話したいこともあるが、もうすぐ夜が明けそうだ。オデロンまたな」

「モート。気をつけて」


会話が終わると、ゆっくりと闇が晴れてオテロクが現れる。


「オテロク。凄いな。オデロンと話せたぞ」

「オテ凄いのか?おお!やった!オテ褒められた」


オテロクも素直で可愛いもんだ。


「もうすぐ朝だが、長旅になる仮眠でもいいからとっておこう」


オレがベットに横になると、オテロクもオレの隣で横になった。


「おやすみオテロク」

「おやすみモート」


小さな家族。

オレの分身。

大事にしよう。

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