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商人グレました  作者: モロモロ
第二章 旅立ちまで
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餞別

「さて、では我々も解散しましょうソマックさん、モートさんから店番の件、よろしく頼むとの事でした。そして、これは当面の店の資金と鍵になります」


ソマックに当面の資金と鍵を渡すと、神妙な顔でそれを受け取った。


「必ずモートさんの信頼に答えて結果を出してみせます」


「モートさんも期待していますよ。それと、反ドルトニア勢力としては、メルロさんとエイドリアさんの間に立って、連絡や資金のやりくりなどをお願いします。二人は今後は頻繁に会うわけにはいかないでしょうから、我々モート商会が仲介役として暗躍することになります」

「私からもよろしく頼む」

メルロが手を差し出す。

「力の限り頑張らせていただきます」

ソマックはメルロとガッチリと握手をして爽やかに微笑んだ。



洞窟を出ると、ソマックと別れ、メルロと歩き出す。


「メルロ、オレは明日から旅立つことになる」

「ああ、寂しくなるな」

「旅立つ前に、一つお前に頼んでおきたい事がある」

「なんだ?遠慮するな」

「実は、ドラゴンの洞窟に、一人の少女を匿っている、エイドリアの組織で暗殺されかけた生徒の生き残りだ。学校に戻すことも考えたが、学校側に転校したはずの生徒が戻ってきた事で、我々の活動が漏れる可能性もある。出来れば、メルロのところで面倒をみてくれないか?」

「ふむ。確かに扱いの難しいところだな。わかった、では会って話してみよう」


学校の洞窟から、ラングロングの洞窟はそんなに離れていない。

俺達はキャンのいる洞窟へ向かった。

洞窟に入ると、変装を解きモートに戻る。

奥から音が聞こえてきた。


ガッ ゴッ ギンッ 


洞窟を抜けると、キャンがオデロンを相手に剣を叩きつけているところだった。


「ダークピクシー!お前は先日の!?」


ラングロングがメルロを見るなり咆哮と共に問いかける。


「よぉ!ラングロング今日は話し合いで来たんだ。こちらは一人だ落ち着け」

ラングロングを宥める様に、なるべくフランクに話しかけた。


「確かに、他の人間はいないようだな」


何事だ?といった表情で、オデロンとキャン、カイエントがこちらを見ている。


「モート、お前がドラゴンやサイクロプスと意思疎通が出来るのであれば、先日の件、ドラゴンに謝ってくれ。私からは詫びの印として渡せるものは何も無いが、今後出来るだけのことはしていくつもりだとも伝えてくれ」

「分かった」


オレはラングロングにメルロの思いだけでなく、様々な事情も伝えた。


「ずいぶんと勝手なものだな」


ラングロングは納得いかない様子だったが、カイエントの為にも、この地域の人間側の有力者と懇意にしておくのは良いことだと話し、なんとか溜飲を下げてもらう。


メルロを連れてきた事を後悔し始めるが、オレが留守にする間、メルロにラングロング達の事をお願いするしかない。


今は、険悪な関係ではあるが、少しでも良い関係になっていって欲しいと思っている。


「今日来たのは、明日から旅立つ前に、みんなに別れの挨拶をしに来たんだ。それとオレのいない間は、ここにいるメルロにお前達の力になってもらえればと思って連れてきた」


「え?モートパパどこかに行っちゃうの?」

「そんな・・・」

「モート旅に出るのか?ならオデも行くぞ!」

「そのダークピクシーに世話になる事など無い」


「突然決まった事だからな、まぁいろいろと言いたいことはあるだろうが、お前達が平和に暮らしていく方法を探る旅でもある事を理解して欲しい。人間は強欲な生き物だ、今すぐどうこうという訳ではないが、いつかこの洞窟の場所が知れ渡れば、まだ力の弱いカイエントを狙って、どんな卑怯なやり方で手を出してくるか分からない」

「そのメルロとかいうダークピクシーのようにな」

「ああ、そうだな。だが、これからはそのメルロが、お前達にかかる当面の火の粉は払ってくれるだろう。ラングロングの気持ちは分かるが可能な限りは仲良くやって欲しい」

「人間どもの事はわからぬが、襲うものがあれば、全力で叩き潰すのみだ。心強い用心棒もいることだしな」

「ああ、オデロンは確かに心強い用心棒だからな、だが油断するなよ。何があるか分からないのが世の中だ。慢心が大切なものを失うことになる事もある。打つ手があるならすべて打っておく、それでもオレは旅立つのが心配だ。留守の間、カイエントだけでなく、オデロンやキャンの事もよろしく頼む」

「モート、お前とは短い付き合いだが、人間界の旅にも危険は多くあるだろう。何か餞別になるようなものがあれば良いのだが・・・・」

「いや、先日お前の鱗と牙を貰ったばかりだ充分だよ」

「まぁ遠慮するな。ちょっと待っていろ」

「あ、ああ」


何か餞別をくれるらしい。

古代龍から何かもらえるというのだ、装備はかなり充実しているが、くれるというなら貰っていこう。


ラングロングを見ると、無言でオレを見つめている。

他の4人は無言で見つめ合う俺達を遠巻きに見守っている。

待つ。

どのぐらい待てばいいのだろうか?

もしかして、これはオレの言葉待ちなのか?


「ラングロング?」

「黙って待っていろ集中できん」


集中して何かを創りだしてくれるのか?

古代龍の宝玉とか秘宝とか逆鱗とか、聴くだけでレア素材と分かるような餞別が貰えるのか?

かなり期待が高まるな。

まぁ黙って待とう。


ブッ!ゴトッ!


「待たせたな。受け取れ」


・・・・え?

確かに集中は必要かもしれんが、それが餞別なのか?

ラングロングの尻尾の下あたりに、紫色の直径2m程もある歪な形の大きな球が落ちてきた。

糞だ。

コイツはオレに糞を餞別に渡そうとしてるぞ!

嫌がらせか?

嫌がらせなのか?

いじめか?

メルロを連れてきた事を怒っているのか?


「えーっと、それはお前の糞だよな?卵って事はないだろ?」


「私の口から言わせたいのか?きっと旅で役立つだろう受け取れ」


やり取りをしている間に、強烈な刺激臭が鼻をつく。

大きさも巨大だが匂いも凄い。

これをどうしろと?アイテムボックスには入るだろうが、一緒のアイテムボックスに食料を入れる気にならない・・・


「受け取らないなら、焼いて土に返してしまうが良いのか?」


糞がどんな素材になるのかは分からないが、これ以上ラングロングの機嫌を損ねるのも困るのでオレは素直に受け取ることにした。

巨大で凶悪な異臭を放つそのブツをアイテムボックスに収納する。


「ラングロングありがとうな」

「気にするな」

「で?これはどんな風に使えばいいんだ?」

「多少の魔物避けにもなるだろうし、私の魔力の塊でもある。空中で爆散し風魔法で匂いを拡散してくれれば、私にお主の場所を知らせる事も可能だろう」


説明を受けると、ただの糞がずいぶんと便利なアイテムに聞こえるから不思議だ。


「そっか、ずいぶん貴重なモノをもらっちまったみたいだな」

「普段は焼いてしまうのもだからな、貴重と言えば貴重だろう」


複雑な気分ではあるが、深く考えてはいけないな。


「よい旅を、そして良い報告を待っている」

「ああ、ありがとう」


なんだかんだでラングロングは、いろいろとオレを面倒見てくれる。

口うるさい一面はあるが良い奴だ。


「モート!オデも旅についていくぞ!」

オデロンがまだ言ってる。

さて、これはどう言いくるめたらいいもんかね・・・


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