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商人グレました  作者: モロモロ
第二章 旅立ちまで
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新たな決意

この町を出よう。


全てを忘れる為に。


放心した心にまず浮かんできた言葉。


確か、今日は初の作戦会議をやるって話だった。

場所は、学校近くの洞窟で。

遂に、勢いで結成した反ドルトニア勢力の活動が始動する。

そして、ある意味、オレの新たな人生が始動する。


キャンやモンスター達を守る。

ラグ一家とhshs。

メルロと一生hshs。


オレの行動3原則が出来上がったと思っていたが、大きな間違いだった。


オレは、これから忘れる為に生きる。

昨夜の事を、楽しい事や、嬉しい事で塗りつぶす。

作戦会議では、なんらかの理由を付けて、この町から離れる方法を考えよう。

メルロやキャン達とはしばらく会えなくなるが、気持ちを新たに再会したい気持ちでいっぱいだ。


ああああ、メルロたん。可愛い可愛いメルロたん。

ごめんよぉっぉ。オレは汚されてしまったよぉぉ。


忘れようと思っていた、思考がまた揺り戻される。

頬をつたう涙をグッとふき取り、歯を食いしばって、階下に降りていく。


「あ、モートさん目が覚めましたか。おはようございます!」

「「おじちゃんおはよう!!」」


食卓に準備された料理を前に、2人の子供に挟まれたソマックが、満面の笑みで挨拶してくる。

やけにスッキリした顔だ。

なぜか腹が立つ。

だか、この男とは兄弟になってしまった。

同じ鞘に収まりし武器の兄弟。

あああああああああああ。


ソマックの顔を見る度に思い出してしまうだろう。

ごめんなさいソマックさん。

ああああああ。


「おはよう。モートさん。よく眠れたかい?」

エーテリスが、エプロンで手を拭きながら台所から出てくる。

若干頬が桃色に染まり、上目遣いで聞いてくる。

あああああああ。

やめてぇぇっぇああああ。

眠れるわけがぁないだろっ!

泣いてたら朝だったわ!


「モートさん、飲み過ぎましたねぇ。顔が腫れぼったいですよ。今、二日酔いに良く薬を出しますね」


ああ、ソマックさんよ。これは、あんたの嫁さんが引っ叩いてくれたからだよ。そして、泣き腫らしたからだよ・・・・良い人すぎて鈍感なあなたは罪だよ。


今まで何人の男がソマックの知らない間に毒牙にかかったのだろうか・・・・

エーテリスも悪気がある訳じゃないんだろうから質が悪い。

善意と誠意がある悪行。


考え方次第では、エルフ人妻寝とりゲッチューじゃぁないかと自分に何度言い聞かせても、どんよりとした暗雲が晴れる事はない。

あの怪力、あの容姿、あの体格、エルフじゃないよ絶対に・・・

謎の生物・・・


「「「「いただきまーす!!!」」」」


朝食も喉を通らない。

と、思ったが、朝食もメチャクチャ美味くて沢山食べてしまう。


「どんどん食べておくれ!」


エーテリスがジャンジャン料理をオレの皿に盛ってくれる。

ガンガン食べる。

あ、なんか塩味が効いてきたかも・・・


それでも、お腹いっぱいになってきたら、ちょっと落ち着いてきた。

おいしい食事って凄い力あるな。

でも、この料理作った人と、昨夜の魔王が同一人物とは考えたくない。



食事を終えると、今日の会議についてソマックに同席してもらう旨を話す。


「何の集まりなんですか?」

「この後、オレの店に一旦寄る。その時に話しましょう」

「分かりました。では、さっそく店に向かいましょう」


玄関まで見送りに来たエーテリスに食事のお礼を言うと、俺達はソマック家を後にした。


「また、いらっしゃってくださいねー」


背後から聞こえる、エーテリスの言葉に戦慄しながらも、振り返り会釈をして足早に店へと急ぐ。


店に着くと、先日、仕上げた鍛冶仕事の数々を店内に展示する。

すべて盗品の加工品だ。

そして、回復剤各種やスクロール、秘薬など、足の付かないものは、そのまま軽くクリーニングして展示する。


「今回も、また一段と素晴らしい品々を仕入れて来られましたねぇ。これなんか高かったんじゃないんですか?」


黒豹の部隊の奴が持っていた武器の加工品だ。さすがソマックは見る目がある。


「かなり厳しいビジネスでしたが、良いモノが仕入れられました」


フワッとした回答をしておく。


「さて、では、ソマックさん。今日の会議についてお話させてください」

「はいっ」


あの子どもたちの返事の良さは父親譲りなんだろう。


オレは、バイオトランスの事から始まって、王子たちの事、学校の事、順を追って説明していった。


「で?私に出来る事は?」


ソマックが問いかけて来る。


反ドルトニア勢力に加担する事に関しては、何も言ってこない。


「ソマックさん?いいんですか?」

「え?何のことですか?というより、モートさん、もう自分へのさん付けや敬語は辞めて下さい。今日からはあなたの部下ソマックです」

「え、ああ。分かった。で?いいのか?反ドルトニア勢力だぞ?」

「モートさん、私はこのリームレの町にたどり着くまでに、たくさんの町を訪問してきました。様々な事情で、様々な事に苦しむ人々もたくさん見て来ました。もちろん、今のドルトニアの一部の悪い行いで苦しむ人々もかなりの数を見てきたつもりです。それに、私は既にモートさんに魂を渡した身です、あなたの信じた道に付き従うのみです」

「ありがとう。そこで、ソマックにオレが頼みたい事がいくつかある。まず、会場には私の代理のルークというエルフの男が案内する。それまでの間、こちらで店番を頼む、詳しくはルークに聞いてくれ」

「かしこまりました。ところで、ルークとは、先日のエルフの青年ですよね?あの方とはモートさんとどういった関係なのでしょうか?」

「オレの意思を伝える者。オレの商売の一番弟子でもある。お前の上司でもあるな。ソマックにはルークの言葉をオレの言葉と思って聞いてほしい」

「モートさんに既に弟子がいらっしゃったとは知りませんでした。分かりました。では、ルークさんが来るまで店番して待っております」

「ああ、頼んだぞ、それではオレは失礼する」


店を出て、木陰に隠れると<潜伏>を発動しルークに変装する。

さらばモートよ。

身も心もルークになりたい。別人になってしまいたい。

オレは、会議の打ち合わせの為、ドミリスに向かった。

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