お食事
引き続き血が・・・
苦手な方はご注意を
「おい、立てるか?」
ひどく怯えた表情でオデロンを見つめる少女。
肩をたたく。
「ひっ!」
かなり怯えているようだ。
「もう大丈夫だ」
「だ、だってあ、あれ」
オデロンを指さす。
オレとオデロンの会話など魔族との会話は、テレパシーのような感じで会話してるので、少女からしてみれば、危機は去っていないのだろう。
「大丈夫。もう、オレが飼い慣らしたから」
「え、だって、何も」
「大丈夫」
深く突っ込まれては困るので、ここで会話は打ち切る。
喋れるし大丈夫そうだな。
「立てるか?」
「は、はい」
かなりガクガクしてるが、手を貸すとなんとか立ち上がった。
「ありがとうございました」
「いや、オレの方こそ、もっと早く助けてやれなくて悪かった」
「友達がみんな・・・・」
恐怖が舞い戻ってきたのか、また座り込んでしまった。
「この悪夢を消したいか?記憶を消したいか?」
「いえ、私は今日の事は絶対に忘れません。必ずみんなの仇は討ちたい」
「誰が手を引いたのか知っているのか?」
「それは・・・・校長先生ですか?」
「いや、もっと裏に大きな力がある。きっとこの黒幕は、この国の第三十一王子ルシュランド・ドルトニア・リンドニックだろう」
「そんな・・・王子がなぜこんな事を」
「学校は、王子の戦闘部隊や親衛隊の育成期間だ。育ちそうに無い子どもたちは定期的に処分して新しい子供を補充しているのだろう」
「じゃぁ、今まで転校していった、みんなは?」
「このダークサイクロプスに食われたか、それに類する形で処分されたと考えるしかないだろうな」
「・・・せない・・・ゆるせない・・・絶対に許さない!」
怯えた表情だった少女は、今は怒りを目に宿らせ、周囲に散らばる遺体を目に焼き付けるように、視線を動かしつつゆっくりと見ている。
「お前が許さなくても、王子はなんとも思わんだろうな。どうにかして一矢報いたいなら強くなれ、力だけじゃなく知恵をつけろ」
「どうすれば?」
流石に、ここにこの子を置いていくのは酷かもな。
14歳ぐらいだろうか手足は華奢。力仕事は向かないだろう。
この状況で、心が折れずに、怒りを覚えられる気持ちの持ちようは、若くして凄い戦闘的な思考回路だ。
浴びた友人たちの血で顔も身体も赤黒くなっている。
血にまみれた顔に、ギラギラと目だけがオレを射抜くように見ている。
痛そうな素振りもないので、怪我は無いようだ。
背中からメルロのような羽が生えている。
羽の色は薄緑色なので、どうやらピクシー族のようだな。
回復系か魔術系なのだろうか?
「名前は?何かお前に出来る事があるのか?」
「名前は、ハル・キャン・フローゼです。私に出来る事と言っても・・・回復魔法と鎌を少しだけ。あと飛べます」
「どうすればって言われても、お前全然戦闘向きじゃねぇな。敵討ちはかなり難しいと思うぞ」
「ですよね。とりあえず、学校に戻ります」
「ああ、それがいいかもしれないが、学校側の人間の多くは、転校の実態は知らないかもしれないが、一部には知っていて送り出した人間もいるかもしれん。学校に戻ったら、拘束されて処分される可能性もあるからな注意しろ」
「学校以外に帰る場所はありません。ですが、死んでは仇討ちは出来ません」
「そうだな。そんな目でオレを見ても、何も出来んからな。正直、足手まといだ」
「あなたしか頼れる人がいないんです」
困った。ウルウルさせるなー。
この手のお願いを断れるような経験詰んでないわ。
でも、ここは心を鬼にして。
「分かった。ついてこい」
断れないよやっぱり。
流石にこの状況で置いていくのは寝付き悪すぎでしょ。
すでに、この惨劇が目に焼き付いて、今日は眠れる自信ない。
「ありがとうございますっ!!」
血まみれの顔から、白い歯が出て、ニッコリ笑ってお辞儀された。
ザ・ホラー。
「オデロン、いくぞ」
「オデ、まだ全部食ってない」
「ああ、そっち骨ばっかりだろ、洞窟出るぞ」
「洞窟出る出来ない。イタイのヤダ」
なんだ?洞窟から出ようとしないぞ?
「なんだ?洞窟の外になにかあるのか?」
「オデ、外に出ようとすると、たくさん切られる」
ダークサイクロプスを切るとか、どんな手練だよ。
それとも・・・・
「おまえ、いつからここにいる」
「生まれてからずっとここにいるだよ」
「で、洞窟から出ようとしたのはいつだ?」
「ずっとずっと前だよ。オデ、痛いの嫌だから出ない。決めた」
なるほど、子供の頃に調教済みってヤツだな。
「お前に痛い事する悪いヤツはお前がさっき食った美味いのだ」
「痛いの美味かった」
「悪いヤツほど美味いんだ」
「悪いヤツ食う。美味い」
「そうだ、ちなみにオレは良い奴だから不味いぞ」
「良い奴。モート。不味い。友達」
「そうだ。じゃぁ、外にもう少し美味そうなのあるから行くぞ」
「美味い悪いやつくれるの?」
「そうだ。ついてこい」
「モート好き」
オデロン素直すぎ。ドラゴンより何倍も扱いやすいな。
キャンは何度も後ろを振り返りながら、オレと一緒にオデロンの前を歩いて洞窟の入り口まで戻ってきた。
さて、では、調理開始だな。
強奪と窃盗で5人とも綺麗にしてやる。
一人目食す時に、絶対に他の4人が起きちゃうだろうから、麻痺属性の武器も付けて、睡眠の上に、麻痺も付けてやった。
これで起きても、首から上以外は動かないはずだ。
「さぁ、オデロン準備が出来たぞ」
「オデ、全部食っていいの?」
「ああ、お前が独り占めだ。一人だけは残しおいてくれ」
オデロンのお食事が始まった。
「うぎゃぁぁっぁぁあ」
森の中に絶叫が響いて、誰か来ないかとビクビクする。
「なんだ?まってくれ?嘘だろ?」
プチュア。ゴッ。ゴリッ。ゴキュ。
「うお。寝てたのか?え?」
「わぁぁっぁぁ」
「ひぃぃぃ」
「落ち着け!」
うん。やっぱり起きちゃったね。
でも、麻痺もかかってますから。
順番に美味しく食べられてやってくれ。
「え?え?これ夢だよね?」
ゴリゴリゴリ。ゴキュン。ブチャアァァァ
「助けてくれー。なんでも言うこと聞くからぁぁ」
「母さん。母さん。親不孝ばっかりでゴメンよぉぉ」
「何が望みだ?これは脅しか?」
「オデロンストップ!」
「なんだ?」
「とりあえず、一人残しておく」
「あ?」
「こっちの2人は食べていいぞ」
とりあえず、一人だけは、ロープで手足、身体を何重にも拘束しておく。
「俺助けてくれたのか?ありがとぉぉ。なんでも言ってくれよ」
「とりあえず、黙ってろ」
猿轡をしておく。
オデロンは、左右の手で、2人同時食いに挑戦中だ。
「がぁざーん!がぁざーん!がぁざぐふぅぅぅぅ」
「悪かった!お前の勝ちだ!たすけごはぁっぁぁ」
ボッキグッチャゴッチャブッシュピリァァァ
「美味かった」
「オデロン満足か」
「おう、オデ満足。モートありがと」
「よし、じゃぁそいつは、食べちゃダメだ。洞窟の奥に持ってくから、ロープのココを持って、持ち上げてくれ」
「ココか?」
「そうだ」
身体に何重にも巻きつけたロープを、最後に足の間と肩を通して、オデロンが持ちやすいようにしてある。
「んーんんー」
何か言ってるようだが気にしない事にする。
「キャン。お前はここで待ってていいぞ」
オデロンの食事シーンも目をそらさず見ていた少女に声をかける。
「私も行きます」
なんか、この娘、甘く見てたけど結構しっかりした娘かもしれないな。
洞窟の中に戻ると、遺体の山の中に、さっきの男を置いてもらう。
「お前は、ここで待っていろ。数日したら、迎えが来るかもしれない」
「んーんんーんんんー」
何か言ってるようだ。
「それじゃまた」
男を残して俺達は洞窟の外にでる。
さて、問題だ。
キャンをどうするか。
1 俺にずっとついて来てもらう
2 エイドリアにあずける
3 ソマックにあずける
4 メルロにあずける
まず、1は足手まとい、オレの行動が制限される、ウザい。
そして、2はもしかしたら、王子に気付かれて処分される。
3は、ソマックなら大事にしてくれるかもしれないが、商人ギルドに届けられるのが一番有力だろう、そうすると、やっぱり王子に情報が入る可能性がある。
4は、ない。いろいろとない。あと、ありえなくもないのが、ピクシーとダークピクシーが犬猿の仲だったりとか、その辺は分からないけど、ヤバイ気がする。
若干、八方塞がりだぞ、どうするよオレ。
予約掲載を覚えました便利。




