新たな出会い
みなさん、いつも感想や評価ありがとうございます。
今回はちょっと血の出る展開です。
こういうの苦手な方は、ご注意を。
隠れた状態で、1時間ほど待っていると、続々と生徒が集まってきた。
そして今は、転校生50人が先ほどの黒豹の獣人の前に整列している。
「良し、準備が出来たようだな。長旅になるので、しっかり護衛の人間も付くぞ。全員挨拶だ」
黒豹の後ろに5人ほどの屈強な護衛の人間が並んでいる。
流石に長旅をするだけあって、黒豹含め全員が完全武装だ。
「「「「よろしくお願いします!!」」」」
「よし、では出発!」
黒豹を先頭に、50人は歩き始める。
「どんな学校だろうねー」
「授業難しくないかなー」
「チーしゃん元気にしてるかなぁ?」
「先にあっちの学校転校した子達に技術追いつくの大変そうだねー」
「私は技術職の方が食いっぱぐれないし、楽しみ♬」
「歩くの苦手だよぉ」
「どのぐらいの旅になるのかなぁ?」
「回復剤けっこういっぱい持ってきたよ」
「おやつ休憩はあるのかなぁ?」
50人は不安や期待など様々な表情を浮かべてついていく。
なんだか遠足に行く子どもたちのようでチョット微笑ましい。
1時間ほど歩くと、急に黒豹が止まった。
「これから長い旅になる。初日の今日は、ここで、この地の守り神様に旅の安全を祈願していく」
この世界にも土地神のような考え方があるらしい。
「祭壇は洞窟に入ってすぐの所にある。私についてきてくれ」
洞窟の中に入っていく。
護衛の人間達は洞窟に入らず、洞窟の外で待機するようだ。
洞窟に魔物が入らないようにしているのか、洞窟を塞ぐように整列している。
護衛専用の部隊なのだろう、かなり訓練されているようだ。
5人共私語もない。
若干張り詰めた表情で周囲を警戒している。
おいおい。そんなに気合入れてたら、これから長い旅路が大変だぞ。
10分ほど待っても、誰も出てくる様子がない。
安全祈願ってこんなに時間かかるのか?
いや、そんなはずはない。
ちょっと、気になる。
装備を変更する。
装備 暗器 スリープバタフライダガー 睡眠 +8 攻撃力 26
頭:エルフ族変装セット 防御力 2
上半身 下半身:スリープスネークローブ 睡眠 +5 防御15
足:スリープスネークブーツ 睡眠 +6 防御14
腕:スリープスネークグローブ 睡眠 +5 防御12
アクセサリー:イケメンフルフェイス(イケボ変換機能付き) 防御力 3
<必殺技>暗器連続突き3
スキル構成は
<暗器戦闘100><潜伏 100><隠密 81><暗視 50>
でいく。
まず、隠密移動で、5人の前を通りながら、一人一人に水色●で「眠」と出るポイントを確認する。そのまま、右端3人を暗器連続突き3で連続で突く。
4人目と5人目も続いて暗器連続突き3で付いたが、4人目を突き、5人目に移動している時に。右側3人が倒れこむように昏倒する。
「何事だっ?!」
5人目が周囲を見渡す。
4人目が昏倒する。
5人目が4人目に駆け寄った所を撃破しようと思ってたが、そんなに甘くはないらしい。
小石を拾って、5人目の向こうに投げる。
相手が、振り返った瞬間を逃さず1突き。
5人目もバッターンと前のめりに昏倒する。
5人とも、起きた時は頭部にかなりのダメージが残っているだろう。
これで中から、普通に生徒たちが出てきたら、チョットしたパニックになるだろうな。
安全祈願して出てきたら、護衛が全員居眠りとか。
思った通り、洞窟はそんなに深くないらしい。
それにしては、50人もの人間が入っていた割りには静かだ。
「畜生!」
奥から怒声が聞こえた。
少し進むと、洞窟が開けて大きな広場のようになっていた。
ザシュッザシュッザシュッ
暗闇の中、何かが3つほど倒れこむ。
<隠密 50><暗視 81>にする。
目の前に広がった光景に、胃の奥からせり上がって来たモノを必死に押し留める。今は出したらまずい。気付かれる。
20人程の死屍累々が前方の広場に散らばっていた。
正に散らばるだ。
ヤバイ逃げろ!
と思ったが、腰が抜けたのか足が動かない。
ほとんど明かりという明かりも無い中で、先ほどの黒豹の獣人がまるで全てが見えるように動きまわる。
黒豹の前方を走る30人ほどの影。阿鼻叫喚。
後列の5人が振り返り黒豹を取り囲む。
後ろ一人が魔法。もう一人が治癒。前の二人が槍と両手剣。一番前が大盾を持って、黒豹の斬撃を防ぐ。
黒豹の前にファイアーフォールを作り出す。
黒豹は迂回して、大盾にタメを作っての一撃。黒豹の剣が青白く光ると大盾を粉砕しそのまま身体を真っ二つにした。
上半身が錐揉みしながら吹っ飛んでいく。
下半身が遅れてドサリと崩れる。
槍と両手剣が、「「ウオォォォアァァッァア」」と奇声をあげて黒豹に特攻していった。
黒豹の剣は、青白さを維持したまま、槍を分断し、剣を砕き、二人を両断。
ビックリした表情を浮かべながら2人の上半身は飛んでいった。
残った下半身は、数歩進むと倒れこんだ。
「久しぶりのゴハン。うまそうな匂いだなぁ」
ドン ドスーン ドシーン ドシーン
残った生徒たちが一斉に振り返った方を見ると、何処から現れたのか、巨大な黄色い目が一つ10mほどの空中に浮かんでいる。
「ファイアーボール」
誰かの詠唱したファイアーボールが一つ目に飛んでいく時に、浮かび上がった姿は、巨大な漆黒のサイクロプスだった。
絶望。
その文字が生徒たち全員の顔に張り付く。
ボリッ ボリッ ボリッ
驚いた事に、サイクロプスはその大きな手で散らばった生徒たちの遺体を、暗闇に浮かぶ真っ赤な大きな口で食べ始めた。
「骨ばっかりで、旨くねぇ」
完全に恐怖に飲み込まれた生徒たちに、サイクロプスの出現を知っていたかのように、まったく動揺していない黒豹の獣人は切り込んでいった。
ザシュッザシュッザシュッザシュッザシュッザシュッ
首。手。剣。杖。上半身。生徒たちの集団の中から、斬撃と共に右に左に様々なモノが、吹っ飛んでいく。
生徒たちは為す術もなく、殺されていく。
<暗視 81>スキルのお陰で、見たくないものも見えてしまう。
泣き叫ぶ女生徒が、泣き叫んだ表情のまま首だけで飛んでいく。
だんだんと、オレの中にある感情が沸き上がってくる。
この状況で浮かぶはずのない感情。
「怒り」だ。
ヘタレのオレなら逃げ出すべき状況なのに、なんだろうねこれは。
先ほどの転校だと言って、新しい生活が楽しみだと言って、喜んでいた生徒たちの表情が浮かぶ。
そんな生徒たちを前に、偉そうに喋っていた黒豹の表情も。
ゲスなオレがゲスな黒豹に怒り?
足の震えは止まっていた。
ゆっくりと一歩を踏み出した後は、もう行動に躊躇はなかった。
「キャン!俺達の後ろに隠れろ!」
勇敢な5人の少年たちが、一番華奢な女の子を後ろに匿う。
黒豹の背中が大きく盛り上がると、一閃。
睨みつけた表情の首や上半身が5つ空を舞う。
「思ったより時間がかかってしまったが、お前で最後だ」
一人の少女がへたり込んでいる。
黒豹の背中に追いつくと、黒豹は剣を振り上げた。
背中の肉が隆起する。
その真中の●にダガーを突き立てる。
黒豹がゆっくりと横に倒れこんだ。
振り返ると、「魔族交流」の脳内タブをクリックし「ダークサイクロプス」を選択。
「おい」
「あー誰だ?」
「ここに、肉厚で美味そうな肉があるぞ」
「さっきまでオデの前で暴れてたヤツか?」
「そうだ、活きが良くてきっと美味いぞ」
ダークサイクロプスがこちらへ歩いてくる。
歩くだけで凄い振動だ。
「ちょっと待て」
「あー?オデ待てない」
「もっと美味くしてやるから待て」
「美味くなるならオデ待つ」
ダークサイクロプスの動きが止まったのを確認すると
倒れ込んでいる黒豹の手から剣を抜き取る。
すると何かスキルが増えたようだった。
確認すると
<強奪 1>というスキルが出てきている。
生きている人間から装備を獲ったのは初めてだったが、こんなスキルまであるのか。
とりあえず、姿を現してダークサイクロプスに挨拶。
「はじめまして。モートと言います。あなたに美味しいゴハンを食べてもらうために来ました」
「オデ美味しいゴハン好き。モート好き。になるかも」
「では、もう少しお待ちください」
「オデ。待つ。もう少しだけ。はやくしろ」
<暗器戦闘100><潜伏 31><隠密 20><暗視 81><強奪 100>
スキルを変更すると、とりあえず、黒豹を素っ裸にした。
<アイテムボックス観覧 50><鍵開け 100><窃盗 100><潜伏 30><隠密 20><強奪 32>
さらにスキルを変更して、アイテムボックスも綺麗にしてやった。
「よし。これで美味しく調理できたぞ。食っていいぞ」
「肉。いっぱい。こんな美味そうなの初めてだ」
ダークサイクロプスが大きな手で黒豹の獣人を掴む。
「ぐぁぁっぁぁぁぁ。なんだこれは??!!?」
どうやら、痛みで目が覚めたようだ。
素っ裸で、手足を動かし暴れまわっている。
「こりゃぁ活きが良い。ちょっとシメなきゃ食えんかな?」
ゴキッボキッグキィゴッゴッゴッ
「がぁぁぁぐっえぇぐがぁぁぁぁ」
黒豹はダークサイクロプスの手の中で泡を吹いてぐったりした。
オレと目が合う。
「た・・・・たす・・・」
「知らねぇな」
「もう大丈夫だろ。早く食べないと逃げちゃうぞ」
「オデ。もう我慢出来ない!」
アグッ。ボリッモキュブチャッブチュッ。ブチャッブチュッ。
「うめぇ。オデこんな美味いの食ったことねぇぞ。」
「そうかそうか。オレについてくればいっぱい美味いもの食わせてやれるぞ」
「オデ。モート好き。オデ。モートについてく」
ダークサイクロプスちょろい
「ところで、あなたは名前はなんて言うんだい?」
「な・ま・え?」
「じゃぁ、お前は今日からオデロンと呼ぶ。それがお前の名前だ」
「オデ。オデロン。いい名前ありがとう」
「おう、オデロン俺達友達だよな」
「オデ。モートと友だち」
「よし、じゃぁちょっと待っててくれ」
オデロンを待たせる。
「フィールドヒール」
スクロールを使って、全体魔法を使うが、やはり全員即死のようだ。
振り返って、オレは1人へたり込んでいる、生き残った少女に近づいていく。




