出会い
「このバカ!」
組合の門前にチュウユウの怒声と拳の音が響く。
「いてぇ…何するんだよ」
「それはこっちのセリフだバカ!あの様子はどう見ても不審者だったぞ!
衛兵を呼ばれたら今度こそ帝都から叩き出されるぞ!」
胸倉をつかみながら、どれだけの愚行をしていたのかを面と向かって伝えるチュウユウ。
「とにかく、方針を変えるぞ。
どこでもいいからとにかく宿を探して―――」
「宿を探しているのか?」
不意に聞こえた声に振り向くと、そこには先ほどの狩人が立っている。
「もしかして、登用試験の受験者か?」
「はい、そうです。宿が見つからなくて、誰かに泊めてもらおうと思いまして・・・」
「なるほどな、なら俺の家に泊まるか?」
「いいんですか?」
「宿がないからっていろんなところに迷惑かけられちゃ困るんでな、宿泊代としていろいろと仕事を手伝ってもらうけど、いいか?」
「はい、お願いします!」
ルイクシンの暴走に振り回されるくらいならと狩人の提案に乗るチュウユウ。
先導される形で狩人の自宅へと歩く。
「名前を言ってなかったな、俺はガイシン。
元軍属の狩人だ」
「軍を辞めて狩人に?」
「反乱軍や異民族との戦いで同じ人を殺すのに疲れた」
「戦闘職から身を引くことは考えなかったんですか?」
「俺は戦いしか生き方を知らない、それに超生物の相手ならば実入りもいいからな」
「戦いしか生き方を知らない…ですか」
「戦闘職の多くはそんな奴らばかりだ。
小さいころから戦い方ばかりを叩き込まれて、育て上げられた。
弱いとビタ銭すら稼げない、だから他のことを捨ててでもとにかく強くならなければいけないのさ」
「…」
交易商の子供として豊かな環境で暮らしてきた自分とは違う過酷な世界に口を閉じる。
「見えてきたぞ、あれが俺の家だ」
ガイシンの指さす先、そこにはそれなりの一軒家が建っている。
「おらえりなさい、あら?お知り合い?」
頭飾りをした彼の妻が三人を出迎える。
「登用試験の受験生だ、寝るところに困ってたんで仕事を手伝ってもらう代わりに泊めることにした」
「そう、私はカマン。よろしくね」
挨拶もそこそこに、家に入る。
狩人の家らしく、あちこちに武具が置かれてあり、きちんと整備されている。
「空き部屋があるからそこを使え。
少し待ってろ」
そういうと、ガイシンは空き部屋のに積まれている鉄の箱を外に退け始める。
さすがは狩人というべきか、相当に重いはずの鉄箱を何段も積み上げて軽々と運びだす。
「あの箱には何が?」
「倒した生物の素材ね。
あれを組合に売ったりして生計を立てているのよ。
ところで、貴方の剣、見せてもらっても?」
「これですか?」
ルイクシンの持っている剣に興味を持つカマン。
剣を持ち、鞘を開いて刀身を確認する。
「なかなかの代物ね。
だけどあまり手入れがされていないわね」
「そう…ですか?」
「鍛冶をやっているから詳しいのよ。
お手入れの方法を教えてあげるから、少し待ってなさい」
そう言って近くの棚から道具を持って来るカマン。
部屋の用意が整うまでの間、外で手入れの方法を教わった。




