表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜の官僚  作者: 影光
1章 裏 帝都
11/17

宿探し

「着きましたよ、お客さん」

 万永城の外門前、豪華な装飾の門前に馬車が止まる。

 受験者に向けた特別措置として割引かれた運賃を支払い、二人は荷物を持って出る。

「ここが万永城か」

 皇帝の鎮座する、国家の中枢。

 将来の職場になるかもしれない場所に可能なまで近づく。

「何用だ?」

「登用試験に臨む前に会場の確認に参りました」

 呼び止める衛兵の問いに、ルイクシンは受験票を見せながら毅然と答える。

「それはご苦労、だが今は立ち入ることはできない、去るがいい」

「は、失礼します」

 一礼し、城を背に来た道を徒歩で戻る。

「さて、まずは宿だな」

 当日まで宿泊できる宿を探す二人。

 手始めに近くの宿に飛び込み、受付に尋ねる。

「すみません、試験日までニ名で泊まりたいのですが…」

「申し訳ありません、全室満室となっております」

 事務的な応答で断る受付嬢。

 万人を超える受験者が集まっているだけあって、万永城の近くの宿はすでに宿泊者でいっぱいであり、二人の入る余地はない。

「もう少し早く来ればよかったかな」

 少し後悔しつつ、万永城から離れた場所で別の宿を探す。

 しかし、どこに行ってもすでに満室であり、二人の宿の捜索は徒労に終わる。

 「はあ、このままだと帝都で野宿かぁ…」

 夕暮れの迫る帝都、冷たくなり始めた空気にチュウユウのため息が混じる。

「腹が減った、食事に行こう」

 寒さに身を震わせながら、歓楽街へと向かう。

 煌々と光る提灯。

 並ぶ店の中からは客たちのがやがやとした声が響く。

「そこにしよう」

 適当に選んだ酒場に入り、案内されるがままに席に着く。

「高いな…」

 帝都とあってか、故郷の店と比べて割高な料金がお品書きに書かれている。

「とりあえず、一つだけ頼もう」

 受験票の割引の効かない店。

 少しでも出費を抑えるべく、一人一品だけ頼む。

 酔いどれの喧騒を耳に、出された料理をゆっくり食べる。

 すると、奥にある舞台に一人の踊り子と二人の奏者が現れる。

 美しい化粧が施され、天女の様な衣装を纏い、幽玄な音楽に合わせて歌い踊る。

「・・・・・」

 客達が上機嫌になる中、踊り子の声に耳を澄ませるルイクシン。

「この声、聴いたことがある、確か…」

 食事を止めて声の記憶をたどる。

 最近聞いたばかりの声。

「思い出した、馬車の時のだ」

 馬車で出会った華奢な少女の姿を思い浮かべ、踊り子とその容姿を重ねる。

「それ本当か?」

 姿のまるで違う踊り子に困惑しながらも、ルイクシンに倣って耳を澄ませるチュウユウ。

「…賭けてみるか」

 食事を急いで済ませて代金を払うと、ルイクシンはチュウユウを引っ張って店を出る。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ