帝都
帝都を守る要塞、玉門台。
豪華な装飾が目を引く城塞の前に二人はたどり着く。
「これが玉門台…」
全てを威圧するかのような巨城。
門前には巨大な川が流れ、魚竜と呼ばれる、背びれの大きな生物の群れが優雅に泳ぐ。
「行くぞ」
赤い欄干の大きな橋を歩く二人。
歩を進めるごとに、木床の心地よい音が鳴る。
「通行証を拝見します」
大門前に構える衛兵に通行証の提示を求められる。
「こちらに」
「確かに、お通りください」
確認を終えると、大門に付けられた小門が内側から開き、そこから入るように促される。
小門から続く、大きな通路の左右に並ぶ武装した衛兵。
その間を緊張した面持ちで一歩一歩進む。
訓練中なのか、分厚い石壁越しに、大勢の兵士たちの掛け声や規則的な間隔で鳴る銅鑼の音が耳に届く。
玉門台を抜け、帝都に入る。
「これが帝都咸陽か」
故郷の都市とはまるで違う景色に立ち止まるチュウユウ。
大きな建物が密集して並び、主通りは絶えず人や荷車が行き交う。
故郷と違って土づくりの建物はなく、そのほとんどが石造りである。
「チュウユウ、ボーっとしてないで会場に向かうぞ」
「あ、ああ」
ルイクシンに手を引かれる形で会場である万永城に駆け足で向かう。
道中、乗り合いの馬車が二人の後ろから近づいてくる。
「乗せてくれ!万永城まで」
右手を大きく伸ばし、馬車の御者に受験票を見せて声をかける。
「受験者ですか、わかりました」
停車した馬車に搭乗、先客の女性に軽く挨拶して対面の座席に座る。
「走りますよ」
搭乗が完了したのを確認すると、御者は馬車を発進させる。
パカラッパカラッと心地よい蹄鉄の音が響く中、先客の女性が二人に声をかける。
「登用試験に臨まれるんですか?」
鈴のような可憐な声。
高貴な人なのか、華奢だが身なりがよく、香の匂いがする。
「はい、国のために官僚になりたくて」
ハキハキと応答するルイクシン。
「この若さで素晴らしいですね、私の祖父も官僚になろうとして試験に挑んだ事があるんですよ」
「そうなんですね」
「残念ながら、答案用紙を雨で濡らしてしまった、という理由で落ちてしまったそうですけど」
「雨で…ですか。それは何というか…」
「運も実力のうちですわ。
その後、祖父は官僚を諦めて故郷の友人たちと劇団を創設しました。
宮中に招待されるくらい有名なんですよ、名前は―――」
「着きましたよ、お客人」
「あら、それでは失礼しますね」
話を終え、下車する女性。
とある建物の中に入ってゆく。
「見ろよ、あそこって狩人組合だぞ…」
チュウユウが指さす先、そこには狩人組合と書かれた看板が掛けられている。
「もしかして狩人…」
「まさか」
華奢な体で巨大な武器を振り回して超生物を狩るなんてありえない。
走り出す馬車の中でそう考え、ルイクシンはチュウユウの言葉を否定する。




