表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の能力は『以心伝心』全部丸聞こえですわ。【第1章100話完結済】  作者: 黒砂 無糖
初めての学園生活

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
83/131

無知な娘の受難


 ——フルオリート家の一室


 一人娘のオランジュは、不貞腐れていた。



 外出する事を禁止されたので、学園にも行けなくて、今日は一日部屋で過ごしていたわ。


「なんで私が、自宅謹慎なんかしなければならないの?」


 お父様ったら、昨日は、帰宅するなり怒鳴り散らして……


 私の話すら、聞いて下さらなかったわ……


「お嬢様、それはカフェでの失態を反省するためと、旦那様が言っておりましたよね?まさかご理解されていなかったのですか?」


 侍女は、冷たい目で私を見ている。


「確かに私は……ちょっとだけ失礼な事をしたわ。でも、あんなに怒る事かしら?」


 高位貴族だけど、たかが、子供同士の集まりじゃない。


「機密事項があるわけでもないのに……」


 なんで、私が悪者にされなきゃならないの?


「だいたい、全部あの娘がいけないのよ。あの娘が学園にきてから、アズール様がおかしくなったのよ!」


 ——私は何も悪くないわ。


「……お嬢様、本当に、グランディエラ家のご子息様とは、良い仲だったのですか?」


 侍女は、私とアズール様の仲を疑ってくる。


「何を言っているのよ?以前からずっと、アズール様とは、お互いに目と目で通じ合っていると言っていたじゃない」


 だっていつも、私と目が合っていたわ。


「彼は、恥ずかしがり屋さんだから、表立って行動しないだけよ……それに最近は、お話する時に、優しく微笑んでくれるもの」


 あれは、私とお話しているからだわ。


「……目が合うのは、単にお嬢様が見つめているからです。笑顔は社交辞令ではないですか?通じ合っているのは、気のせいだと思います」


 侍女は、私が苛立って暴れた部屋の後片付けをしながら、冷たい事を言ってくる。


「あなた、さっきから失礼よ! もう顔も見たくないわ。部屋から出て行って!! この事はお父様に言いつけてやるんだから!」



 ドサッバサバサ、ガチャン!パリン



 私は悔しくて、近くに置いてある本や、花瓶を投げつけ、侍女に八つ当たりをした。


「……旦那様への言いつけなどは、お嬢様のお好きにしてください。私は本日限りで、お嬢様の専属を辞退させて頂きます」


 侍女は、淡々と頭を下げ、さっさと部屋を出て行った。


「ちょっと!なによ!なんで出ていくのよ! 侍女なら部屋を片付けなさいよ!!」


 出て行けと言ったけど、本当に出ていかなくてもいいじゃない!


 イライラするわ。


「それもこれも、全部アズール様との仲を邪魔した、あの娘のせいだわ」


 少しすると、廊下をバタバタと走る、複数の足音が聞こえてきた。


「誰よ?廊下を走るなんて、品がないわね」


 私は子供だし、走っても許されるけど……


「お父様に見つかって、叱られればいいわ」


 そんな風に思っていたら



 ガチャ、バン!!



 部屋のドアが、ノックも無く乱暴に開いた。


 びっくりして振り返ると、お父様が、顔を真っ赤にして怒っていた。


「オランジュ、お前、本当に大丈夫か?」


 ——あの侍女、お父様に何か言ったのね?


 お父様は、私の心配をしてるんだわ。


「お父様、あの侍女はクビにしてください。私を馬鹿にした挙句、部屋の片付けすらせずに、出ていきましたわ」


 私は早速、お父様に告げ口をした。


「……オランジュ以前からお前は、グランディエラ家のご子息とは、特別に仲が良いと言っていたが、今も本気でそう思っているのか?」


 お父様が、真剣な顔で尋ねてきた。


 これは、もしかしたら、前からお願いしていた婚約の打診をしてくれるつもりかしら?


「お父様アズール様とは、その……お互いに思い合っていると思いますわ。ただ、アズール様は誠実な方だから、積極的でないだけですわ」


 恥ずかしいけど、ここは、何としても、お父様に動いていただかなければ。


「……グランディエラ家のご子息は、シュピネル家の令嬢と共に登下校していると聞いたが、それはなぜだ?」


 ——本当にあの娘は邪魔だわ。


「学園の噂で、初日から、2人はかなり親密だと聞いたが……お前は知っているか?」


 お父様ったら険しい顔だわ。


 私のことを心配してくださったのかしら?


「お父様、あの娘は、私とアズール様の仲を邪魔するんです。ヘルグラウ様と仲睦まじくしながら、アズール様まで振り回すのよ」


 アズール様は困っているはずだわ。


「アズール様は、妹としか思ってないのに、いつまでも我儘で振り回して、可哀想ですわ」


 だから、あの娘のことは、お父様に言えば、なんとかしてくれるわよね?


「……そうか、私は間違っていたのだな」


 ふーとため息を吐き、怒りを収めた様に見えるお父様は、小さな声でポツリと呟いた。


 ——でも、私には聞こえなかった。


「お父様?聞こえませんわ。それより、シュピネル家の娘、あの娘は邪魔なので、お父様の力で、どうにかしてくださ……」



 そう言った瞬間、私の身体は床に倒れた。



「え……?お父様……」


 訳がわからず、お父様を見た。


 振り抜かれたお父様の手と、熱をった頬に、私は自分が、頬を打たれたのだと気付いた。


「……こんなにも、頭の不出来な娘だとは思わなかった。お前は一体、今まで娘に何を学ばせてきたんだ!」


 いつのまにか、お父様の後から、お母様も入って来ていたようで、お父様はお母様をキツく叱責している。


「旦那様、本当に申し訳ありませんでした。今後、この様な世迷言を言わないように、しっかりと教育しなおしますから!」


 お母様は、床に膝をついて、お父様に縋りつき謝っている。


「……お母様?」


 打たれた頬が痛くて、私はお母様に手を伸ばしたけれど、


「あなたは! 自分のした事を考えなさい!」


 と言って、取り合ってくれなかった。


 初めてお父様とお母様に拒否され、どうしたらいいかわからず、専属侍女を見たけど、


「旦那様、今日をもちまして、お嬢様の専属を 辞めさせて頂きます」



 侍女すら、私の心配をしてくれない……



 それからの毎日は、学園には行かず、ひたすら家庭教師について、勉強の毎日だったわ。



 私は、後から知ったの。



 私の家より、あの娘の家の方が家格が上だと



 私は、間違っていたの。



 お父様とお母様が、いつだって、私は世界一の姫だって言うから……



 ——だから、ずっと


 私が1番だって、思っていたのよ。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ